コラム

【コラム】申告書の押印廃止

2020-10-26

加藤勝信官房長官は19日の記者会見で「政府全体として不要な押印は廃止する方向で検討を進めている。国税関係手続きでの押印についても、納税者の利便性向上の観点から財務省で見直しを検討している」と述べた。(2020/10/19 日経)


もともと申告書は自署・押印でした。その制度の趣旨は、「自署・押印制度は、その導入当時(昭和25年)、代表者又は経理担当の責任者が申告書に記載された事項について了知していない法人が見受けられたという状況を背景に・・・(財務省・平成30年度税制改正の解説より」とあるように、申告納税制度が未熟な時代にその責任を明確にするというものでした。

それが、平成30年度の税制改正で、電子申告の普及の妨げになっているとして法人税法本法では廃止となりました。
その結果、法人税は国税通則法(124①②)の適用を受けることになり、所得税、消費税、相続税と同様に記名・押印という中途半端な形になりました。

さらに、税理士法(33 ①)が改正されなかったことから、税理士が税務代理をする場合は依然として自署・押印となっています。


おそらく令和3年の税制改正で、現行の記名・押印(税理士が税務代理をする場合は署名・押印)は改正にされ、記名のみになると思われます。

すでに電子申告をされている方はともかく、書面で申告をしている方は何度か下書きを繰り返しながら申告書を仕上げ、最期に押印をして出していると思います。

慣れるまでのことかもしれませんが、その押印がなくなってしまうのは、最初のうちはややもの足りなさを感じるかもしれません。

 

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【コラム】適用額の制限が見直し

2020-10-16

税金の申告にあたって、納税者にとって有利になる制度の適用を受けるための意思表示を、当初の申告(期限内申告、期限後申告)において行われなければならないものがあります。これを「当初申告要件」といいます。

この当初申告要件の多くは、平成23年の12月の税制改正において廃止されましたが、併せて控除額の制限※も廃止されています。
※益金不算入額や損金算入額,税額控除額を当初申告である確定申告書等に記載された金額を限度とすることをいいます。

主なものは次のとおりです。

受取配当等の益金不算入 法法23⑧
国等に対する寄附金、指定寄附金及び特定公益増進法人に対する寄附金の損金算入 法法37⑨
所得税額控除 法法68④

例えば所得税額控除は、改正前と改正後では次のようになっています。

改 正 前 改 正 後
③第1項(注:所得税額控除)の規定は、確定申告書に同項の規定による控除を受けるべき金額及びその計算に関する明細の記載がある場合に限り、適用する。この場合において、同項の規定による控除をされるべき金額は、当該金額として記載された金額を限度とする ④第1項(注:所得税額控除)の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に同項の規定による控除を受けるべき金額及びその計算に関する明細を記載した書類の添付がある場合に限り、適用する。この場合において、同項の規定による控除をされるべき金額は、当該金額として記載された金額を限度とする

当初申告要件の廃止は,交際費を除き基本的に法人税法上の制度に限られています。
一方、租税特別措置法では適用額の制限が見直がなされ、一定の緩和がされています。

例えば、試験研究を行った場合の法人税額の特別控除( 措法42の4 )では次のようになりました。

⑩・・・、確定申告書等(これらの規定により控除を受ける金額を増加させる修正申告書又は更正請求書を提出する場合には、当該修正申告書又は更正請求書を含む。)にこれらの規定による控除の対象となる試験研究費の額又は特別試験研究費の額、控除を受ける金額及び当該金額の計算に関する明細を記載した書類の添付がある場合に限り、適用する。この場合において、これらの規定により控除される金額の計算の基礎となる試験研究費の額又は特別試験研究費の額は、確定申告書等に添付された書類に記載された試験研究費の額又は特別試験研究費の額を限度とする。

つまり、税務調査等で追加の法人税額が生じた場合に連動して控除限度額(例えば、法人税額の20%)が増えたような場合には、修正申告や更正の請求により控除額の増加を認めるというものです。

それ以外の、例えば調査の過程で試験研究の額が増加したとしても、確定申告書等に添付された書類に記載された試験研究費の額をベースに計算されるので控除額が増加することはありません。また、当初申告で試験研究費の額などの添付書類がない場合には適用はないことになります。

 

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【コラム】当初申告要件が存置した規定

2020-10-15

税金の申告にあたって、納税者にとって有利になる制度の適用を受けるための意思表示を、当初の申告(期限内申告、期限後申告)において行われなければならないものがあります。これを「当初申告要件」といいます。

この当初申告要件の多くは、平成23年の12月の税制改正において廃止されましたが、そのまま残った規定もあります。
主な規定は次のとおりです。

小規模宅地等の特例(相続税関係) 措法69条の4⑦
相続時精算課税制度(相続税関係) 相法21条の9②
居住用財産の譲渡の3,000万円の特別控除(所得税関係) 措法35⑪
住宅借入金等特別控除(所得税関係) 措法41㉛
研究開発税制(法人税関係、所得税関係) 措法42条の4⑩他
所得拡大税制(法人税関係、所得税関係) 措法42条の12の5⑤他

例えば、小規模宅地等の特例を見てみると次のような規定になっています。

⑦ ・・・相続税法第27条(注:期限内申告書)・・・の規定による申告書(これらの申告書に係る期限後申告書及びこれらの申告書に係る修正申告書を含む。・・・)に第1項の規定(注:小規模宅地等の特例)の適用を受けようとする旨を記載し、同項の規定による計算に関する明細書その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。

これにより、小規模宅地等の特例は、当初申告(期限内申告書、期限後申告書)において認めれるということになります。

なお、これらの申告書に係る修正申告書ですが、稀なケースかも知れませんが例えば、当初申告で小規模宅地等の申告が漏れていて、税務調査で修正申告が必要になったような場合などが考えられます。

 

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【コラム】当初申告要件の廃止

2020-10-14

税金の申告にあたって、納税者にとって有利になる制度の適用を受けるための意思表示を、当初の申告(期限内申告、期限後申告)において行われなければならないものがあります。これを「当初申告要件」といいます。

この当初申告要件の多くは、次のとおり平成23年12月の税制改正において廃止されました。


当初申告時に選択した場合に限り適用が可能な「当初申告要件」がある措置について、次のいずれにも該当しない措置については、「当初申告要件」が廃止され、更正の請求範囲が拡大されました。
・ インセンティブ措置
・ 利用するかしないかで、有利にも不利にもなる操作可能な措置
次の措置については、上記のいずれにも該当しないことから、「当初申告要件」が廃止されました。(財務省HPより)


この改正により、確定申告で適用を受けなかった場合でも、修正申告や更正の請求において新たに制度の適用を受けることができます。
当初申告要件が廃止された主なものは次のとおりです。

受取配当等の益金不算入 法法23⑧
外国子会社から受ける配当等の益金不算入 法法23の2⑤
国等に対する寄附金,指定寄附金及び特定公益増進法人等に対する寄附金の損金算入 法法37⑨
所得税額控除 法法68④
外国税額控除 法法69⑮⑯
公益社団法人又は公益財団法人の寄附金の損金算入限度額の特例 法令73の2 ②
適格合併等による欠損金の引継ぎにおける譲渡等損失額の損金不算入の対象外となる資産の特例 法令112 ⑥三ロ
交際費課税における中小企業者の定額控除限度額の損金算入の特例 措法61の4⑤

この他、所得税や相続税・贈与税の規定にも対象となるものがあります。
詳しくは国税庁HP 👈(クリック)をご参照ください。


例えば、受取配当金の益金不算入では次のように改正されました。

改 正 前 改 正 後
⑦ 第1項の規定は、確定申告書に益金の額に算入されない配当等の額及びその計算に関する明細の記載がある場合に限り、適用する。この場合において、同項の規定により益金の額に算入されない金額は、当該金額として記載された金額を限度とする。 ⑧ 第1項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に益金の額に算入されない配当等の額及びその計算に関する明細を記載した書類の添付がある場合に限り、適用する。この場合において、同項の規定により益金の額に算入されない金額は、当該金額として記載された金額を限度とする。

この改正により、当初申告で受取配当金の計算に誤りがあったとしても、更正の請求で申告の是正ができるようになりました。

 

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【コラム】期限内申告要件

2020-10-13

税金の申告にあたって、納税者にとって有利になる制度の適用を受けるための意思表示を、申告期限内の申告で行われなければならないものと、当初の申告において行われなければならないものがあります。

前者を”期限内申告要件”といい、後者を”当初申告要件”といいます。

ちょっと見には同じもののようですが、後者には期限内申告の他に期限後申告も含まれています。
いずれの場合も原則として、更正の請求や修正申告で新たに制度を適用させることはできません。


期限内申告要件のある特例には次のものがあります。

■青色申告65万円控除(所得税関係)
青色申告者の特典の一つで、所得金額から最高65万円又は10万円を控除するという制度です。
この制度の適用を受けるための要件の一つに、次の期限内申告要件があります。

・・・明細書の添付があり、かつ、当該確定申告書をその提出期限までに提出した場合に限り、適用する。(措法25の2)

■相続時精算課税制度(相続税関係)
この制度を選択すると、 贈与時に2,500万円までの特別控除が認められています。
ただし、贈与者が死亡して相続が発生した場合には、この特例により贈与した財産を相続財産に加算して相続税額を計算するという制度です。

つまり、生前の贈与は相続時に相続税に取り込まれて精算されるという制度です。
なお、一旦相続時精算課税制度を選択すると、暦年課税に戻ることはできません。

この制度の適用を受けるための要件の一つに、次の期限内申告要件があります。

前項(注:相続時精算課税制度)の規定の適用を受けようとする者は、・・・、第28条第1項注:その年の翌年2月1日から3月15日までの申告期限の期間内に・・・届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

 

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【コラム】賃貸と比較する住宅の購入

2020-10-09

現在、空前の低金利です。
コロナ禍で不動産価値は弱み含みのようですが、住宅としての不動産なら当面の不動産市況は考えなくてよいので、検討してもよいかもしれません。

住宅価値は、なんとなく買った値段がそのまま続くと思い込みがちですが、必ず値下がりするという前提の方がよいと思います。

値下がりするなら買わない方がよいかというとそうではありません。
家族には住むところが必要だからです。

住宅の購入コストと比較するのは賃貸住宅の家賃です。


今、35年の固定金利でも1%(諸費用を除く)を切ったものがあるようです。
仮に5,000万円、1%、35年、元利金等で借り入れると、毎月の返済が141,142円、支払総額59,279,814円です。

住宅の取得には、初期費用とは別に毎年の固定資産税、修繕費、損害保険料などの維持コストがかかります。
マンションだと、管理組合費や修繕積立金が必要です。

維持管理費は、購入する物件によってばバラツキがあると思いますが、仮に年間60万円かかるとすると35年で2,100万円です。

大雑把ですが、5,000万円の住宅を買うと、35年間の総支払額は8,000万円かかることになります。
実際の支払総額は、借入期間、戸建てかマンションかなどの前提条件で、大きく変わりますのでご注意ください。


35年後のことは誰にもわかりませんので、単なる経験則です。
物価変動率も考慮しないとします。

築35年のマンションだと、管理組合がしっかりしていて適切な修繕や住環境が維持されていれば、購入価額の3割~4割り程度の価額ではないかと思います。

築35年の戸建てだと、建物価額はゼロなので、土地の価額のみとなります。
購入時に、建物価額3,000万円、土地価額2,000万円とすると、土地価額2,000万円となります。

5,000万円の住宅を購入して35年の支払総額が8,000万円、35年後の処分価額が2,000万円だとすると差引のコストは6,000万円となります。


一方、35年間賃貸で生活するとすると、142,857円/月(6,000万円÷420ヶ月)ですが、2年に一度更新料が発生するとすると、ざっくり毎月のコストは15万円程度でしょうか。

家賃15万円だと東京都の23区内の住宅地で40~60㎡、郊外だと70~80㎡くらいの住宅に住めると思います。

なお、賃貸住宅の場合で数字に現れない大きなメリットは、自然災害に対するリスクは大家が負うことです。それ以外にも、35年間の家族構成に変化に対して柔軟に対応できる点もあります。


住宅をコストと見る限りおいては、住宅を購入しても賃貸で過ごしても、大きな差はないように思います。

住宅を数字で検討することも必要ですが、結局自分の家が欲しいと思うのか、ローンに縛られたくないと思うのか、などの個人の価値観ではないでしょうか。

 

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【コラム】法人の借入返済と実効税率

2020-10-02

銀行借入れをすると、借り入れの返済が始まります。
返済額は元本とその利息の合計額となりますが、返済原資は企業利益です。

正確に言えば、利息は費用になりますから、利息を払ったあとの税引後当期利益から、元本の返済をすることになります。

元本返済額 = 利益 - 税金
= 利益 - 利益 × 実効税率
= 利益 × (1 - 実効税率)

上記式は、利益 = 元本返済額 / (1 - 実効税率)となります。

元本返済額:1,000
実効税率:(仮)30%
利益 = 1,000 / (1 - 0.3) ≒ 1,428

つまり、設備投資をして毎年の借入返済が1,000だとすると、会社の実効税率が30%なら、元本を返済するためには、約1,428の利払い後の利益を上げ続ける必要があります。

見方を変えれば、それだけの利益をあげられない投資は再検討すべきということになります。


実効税率の求め方は次のとおりです。
正確な実効税率を知りたい場合は、会社の経理担当者か顧問税理士に計算してもらってください。

実効税率= 法人税率×(1+地方法人税率+住民税率)+事業税率+特別法人事業税率
1+事業税率+特別法人事業税率

(具体例)資本金1億円以下、東京都、標準税率の場合

法人税率(800万円超の部分) 23.2%
地方法人税率 23.2%×10.3%= 2.3896%
都民税法人税割(不均一課税適用法人の税率)  23.2%×7.0%= 1.624%
事業税(標準税率) 7.0%
特別法人事業税  7.0%×37%= 2.59%
実効税率 = (分子)36.8036% / (分母)/1.0959 ≒ 33.58%

 

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【コラム】税務調査の動向

2020-09-24

全国の税務署や国税局が新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、4月から中止していた新規の訪問税務調査を再開させることが、関係者への取材で分かった。国税側は連休明けの23日から納税者に電話で調査を受けてもらえるかどうか確認し、10月から再開する見通し。(2020/09/23 日経)


3月以降、仕掛り中の調査を除き新規の税務調査は行われてきませんでした。
同業者の声を聞いても、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ほとんど税務調査は行われてこなかったようです。

税務調査には、強制調査(査察)と任意調査があります。
任意調査には、準備調査と実地調査があります。

準備調査というのは、提出された申告書の分析や資料せん※などの税務署が独自に収集した情報との申告内容の照合などを行う、机上調査のことです。

※税務署では、適正・公平な課税の実現のため、法人及び個人の事業者の方々に「売上、仕入、費用及び リベート等に関する資料」の提出をお願いしております。(国税庁HP👈クリック)

税務署は、3月以降はこの準備調査がメインだったのでしょう。
上記日経の記事では「・・・18日に日税連に連絡した」とありますが、早速昨日調査の連絡があった税理士もいるようです。


実地調査は、原則として税務職員が納税者の事務所や自宅に訪問して行われます。
コロナの感染リスクについては、マスクをするなどの一定の予防をしていればあまり気にしない方もいらっしゃいますが、家から出ることさえ恐怖を感じている高齢者の方もいたりして、人それぞれです。

かようにコロナに対する受け取り方は人それぞれで、納税者の感情を無視して調査日程を決めるのは難しいと思います。
税務調査がなくなるということは基本ありませんので、どこかで折り合いをつける必要があると思っています。

法人税 従来と同じで、会社の会議室や応接室で税務調査が行われると思います。オフィースの広さの関係で3密(密閉・密集・密接)が避けられない場合の実地調査は難しいと思います。税務署への呼び出し、貸会議室などが考えられます。
所得税 所得税の調査は、税務署への呼び出しが中心だった思いますので、取引規模の大きい個人を除き、変わらないのではなかと思います。
相続税 相続税の税務調査は、被相続人の自宅で調査が行われることが多いようです。昨今の相続は相続人が高齢者の場合もあり、コロナ禍での実地調査は難しい思います。相続人のうち都合の良さそうな方の自宅や担当した税理士の事務所などが考えられます。

 

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【コラム】持続化給付金の不正受給

2020-09-22

持続化給付金のホームページ(👈クリック)が一新されています。

サイトの入り口で、2020年8月31日以前の申請と9月1日以降の申請に別れます。これは、電通に丸投げしたとして批判された一般社団法人サービスデザイン推進協議会から、コンサル会社「デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社」に事業者が変更されたことによると思われます。

さらに、9月1日以降の申請を選択すると、「中小法人等」、「個人事業者等(事業所得)」、「個人事業者等(主たる収入が雑所得・給与所得)」の3つに別れ、情報が絞り込まれる作りとなってます。

持続化給付金は、例えば「個人事業者等(事業所得)」の場合、次が条件となっています。
・2019年以前から事業により事業収入(売上)を得ており、今後も事業継続する意思があること
・2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月があること

ところが、持続化給付金の性質上、支給決定までのスピードを重視し、形式的な要件を満たしていれば給付するという「性善説」に基づいた制度設計だあったため、一定数の不正受給があるようです。

9月に入ってからでも、京都、兵庫、愛知で組織的な不正受給がりました。


もし不正に加担して発覚すれば「受給したお金を返して終わり」では済みません。まず、不正受給した給付金については受給の翌日から起算して年3%の金利が課され、さらにその合計額の20%を加算した金額を請求されます。仮に100万円を不正受給して1年後に返還すると、123万6000円を払う必要があります。加えて申請者の氏名が公表されます。

さらに悪質な場合には刑事告発をされ、詐欺罪により厳しい刑事罰が科される可能性もあります。万一、不正受給をしてしまった人がいたら、直ちに給付金を返還することを勧めます。(日経 2020/09/11)


不正受給は明らかな詐欺行為です。
仮に刑事告発までも行かなかったとしても、氏名が公表されてしまうとSNSなどで拡散されてしまうことも考えられます。

 

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【コラム】ふるさと納税での損得

2020-09-08

ふるさと納税 再出発 制度除外の4市町復帰 基準順守、正常運用なるか

過剰な返礼品を理由にふるさと納税制度から除外されていた大阪府泉佐野市など4市町が、8月までに制度に復帰した。6月の最高裁判決で「国による除外は違法だ」という同市の訴えが認められたためだ。復帰した市町は国が定めた返礼品の基準を守る姿勢を示す。返礼品競争や訴訟で混乱した制度が、今後正常に運用されるのか注目される。(2020/09/07 日経)


寄付(きふ、英: donation)とは、金銭や財産などを公共事業、公益・福祉・宗教施設などへ無償で提供すること。(Wikipedia)

そもそも寄付とは無償が前提であって、見返りを求めないものだと思います。2008年(平成20年)から始まったふるさと納税制度ですが、多くの人は返礼品が前提としていいるため、純粋な意味での寄付とは趣が違うと思っています。


ところで、このふるさと納税は日本全体で見れば、だれが得をして、だれが損(国・地方自治体)をしているのでしょうか。

前提条件として、・ふるさと納税する金額を10万円、・返礼品の額3万円、・所得税率を20%、・住所地を東京都世田谷区、・返礼品の生産者の利益率を20%、とします。

- ふるさと納税をした人 -
①寄付をした▲100,000円分が損となります。
②確定申告により寄付金控除100,000円-2,000=98,000円が所得控除されます。所得税率が20%とすると所得税が98,000円☓20%=19,600円減額され得します。
③地方税は、(100,000円-2,000円)×(100%-所得税率20%)=78,400円減額され得します。
④返礼品を30,000円分受け取っていますので、30,000円分得します。

①~④合計 +28,000円】

- ふるさと納税を受けた自治体 -
寄付金を100,000円受けているので得してます。
一方、返礼品を送っていますので▲30,000円分損をします。
+70,000円】

- 返礼品の生産者 
返礼品の生産者の利益が仮に20%とします。
30,000円☓20%=6,000円
+6,000円】

- 国 -
税収が▲19,600円減っているので損をしています。
【-19,600円】

- 東京都&世田谷区 -
住民税の税収が▲78,400円減っているので損をしています。
【-78,400円】

なお、ふるさと納税により住民税の税収が減少した場合は、地方交付税で75%補填されます。
しかし、東京23区を含む東京都など、比較的裕福な自治体・区市町村については不交付団体に指定されているため、これらの自治体は地方交付税で填補されません。

結局、国と住所地の自治体が損をして、寄付者と寄付を受けた自治体、及び返礼品の生産者が得することになります。

全部を足してみると+6,000円になります。日本全体で見ればふるさと納税を受けた地域の町興し、村興しに寄与しているといいうことでしょうか。

 

 

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