国外転出時課税制度

国外転出時課税制度

 有価証券などの対象資産を1億円以上有している方が、国外転出(国内に住所及び居所を有しなくなること)すると、その時に譲渡があったものとみなされ、その含み益に対して譲渡所得税が課されてしまう制度です。

課税する理由についての財務省の解説は次です。

株式等のキャピタルゲインについては、株式等の売却等により実現した時点で、株式を売却した納税者が居住している国において課税されることが原則となっています。
こうした仕組みを利用して、巨額の含み益を有する株式を保有したまま国外転出し、キャピタルゲイン非課税国において売却することにより課税逃れを行うことが可能となっています。
そうした課税逃れを防止する観点から、主要国の多くが国外転出時点の未実現の所得(含み益)を国外転出前の居住地国で課税するようになってきています。  

(財務省 平成27年度税制改正の解説 82頁)

国外転出(贈与・相続)課税制度

同様の趣旨で、贈与の時において1億円以上の有価証券などの対象資産を所有している方が、非居住者である親族等に対象資産をを贈与した場合には、贈与者が贈与対象資産を譲渡等したものとみなされます。この場合は、贈与者が確定申告することになります。

相続の場合にも、相続開始の時において1億円以上の有価証券などの対象資産を所有している被相続人から、国外に居住する相続人等が、相続又は遺贈により、対象資産を取得した場合には、被相続人が対象資産を譲渡等したものとみなされます。この場合は被相続人の準確定申告となります。

具体例

  • 自社株式を時価1億円以上保有している上場会社の役員が、長期間海外子会社に赴任す ることになった。
  • 同族会社の株式を1億円以上保有している後継者が、東南アジアの現地工場に3年間の予 定で赴任した。
  • 同族会社の株式を1億円以上保有しているオーナー会社の社長が、国外在住の子供や孫 に同族株式の贈与した。
  • 被相続人である父が有価証券を1億円以上保有していて、相続人である子供のうち海外 に在住するものがいる者が有価証券を相続した。


有価証券等の対象資産

有価証券(株式、投資信託等)の他に、匿名組合契約の出資の持分、未決済の信用取引・発行日取引・デリバティブ取引が国外転出時課税の対象資産となります。なお、株式については上場株式、非上場株式を問いません。


納税猶予制度

国外転出時課税制度は、譲渡したものとみなされる制度なので、担税力(税金を負担する能力)に欠けます。そのため納税が猶予(5年間、最長10年間)される制度が用意されています。


減免措置

国外転出の日から5年(期限延長をしている場合は10年)以内に、帰国したり、対象資産を居住者に贈与したりした場合は、国外転出時課税の適用がなかったものとされます。その場合は、国外転出をした年分の所得税を再計算することができます。

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