Archive for the ‘所得税’ Category
【所得税】確定申告と申告期限の延長
目次
●申告期限の延長
●令和元年分の確定申告の延長との関係
●確定申告をしなければならない人
●還付申告
●納税方法
[申告期限延長]
今年も確定申告が始まりましたが、緊急事態宣言の期間が確定申告期間(令和3年2月 16 日~3月 15 日)と重なるため、申告期限が延長されています。
税 目 | 当 初 | 延 長 後 |
所 得 税 | 令和3年3月 15 日(月) | 令和3年4月 15 日(木) |
消費税 | 令和3年3月 31 日(水) | |
贈与税 | 令和3年3月 15 日(月) |
振替納税(国税庁HPクリック)を利用されている場合は、振替日が次の通り延長されています。
税 目 | 当 初 | 延 長 後 |
所 得 税 | 令和3年4月 19 日(月) | 令和3年5月 31 日(月) |
消費税 | 令和3年4月 23 日(金) | 令和3年5月 24 日(月) |
(国税庁HPクリック)
[令和元年分の確定申告との関係]
新型コロナウイルス感染症の影響によって、令和元年分の確定申告(・・・)を今後される予定の方におかれては、令和2年分の確定申告を行うまでに行っていただくこととなります(令和2年分の確定申告と同時でも差し支えありません。)。 |
(国税庁HPクリック)
[確定申告をしなければならない人]
給与所得者 | 給与の収入金額が2,000万円を超える人 |
1ヶ所給与の場合・・・給与所得以外の所得の合計額が20万円を超える人 | |
2ヶ所以上給与の場合・・・年末調整をされていない給与の収入金額と、給与所得の以外の所得金額との合計額が20万円を超える人 | |
同族会社の役員やその親族などで、その同族会社からの給与のほかに、貸付金の利子、店舗・工場などの賃貸料、機械・器具の使用料などの支払を受けている人 | |
公的年金等に係る雑所得のみの者 | 公的年金等に係る雑所得の金額から所得控除を差し引くと、残額がある人 ただし、公的年金等の収入金額が400万円以下の人は確定申告の必要はありません。 |
退職所得がある者 | 外国企業から受け取った退職金など、源泉徴収されないものがある人 |
その他の者 | 次の①②③の計算の結果、③において税額が生じる人 ①各種の所得の合計額から、所得控除を差し引いて、課税される所得金額を求めます。 ②課税される所得金額に所得税の税率を乗じて、所得税額を求めます。 ③所得税額から、配当控除額を差し引きます。 ただし、公的年金等の収入金額が400万円以下であり、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である人は、所得税等の確定申告の必要あはりません。 |
(国税庁HPクリック)
[還付申告]
上記[確定申告書を提出しなければならない人]に該当しない場合でも、給与等から源泉徴収された所得税額や予定納税をした所得税額が年間の得税額よりも多いときは、確定申告をすることによって、納め過ぎの所得税の還付を受けることができます。この申告を還付申告といいます。
具体的には次のようなケースです。
なお、還付申告書は確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。
年の途中で退職し、年末調整を受けずに源泉徴収税額が納め過ぎとなっているとき |
一定の要件のマイホームの取得などをして、住宅ローンがあるとき |
マイホームに特定の改修工事をしたとき |
認定住宅の新築等をした場合(認定住宅新築等特別税額控除) |
災害や盗難などで資産に損害を受けたとき |
特定支出控除の適用を受けるとき |
多額の医療費を支出したとき |
特定の寄附をしたとき |
上場株式等に係る譲渡損失の金額を申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得等の金額から控除したとき |
(国税庁HPクリック)
[納税方法]
ダイレクト納付 | e-Taxによる簡単な操作で預貯金口座からの振替により納付する方法 |
インターネットバンキング等 | インターネットバンキング等から納付する方法 |
クレジットカード納付 | 「国税クレジットカードお支払サイト」を運営する納付受託者(民間業者)に納付を委託する方法 |
コンビニ納付(QRコード) | コンビニエンスストアの窓口で納付する方法 |
コンビニ納付(バーコード) | 預貯金口座からの振替により納付する方法 |
振替納税 | 預貯金口座からの振替により納付する方法 |
窓口納付(金融機関や税務署の窓口) | 金融機関又は所轄の税務署の窓口で納付する方法 |
(国税庁HPクリック)
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【所得税】異なる事業を始めた場合の青色申告の承認申請
[事例]
甲は、勤務していた会社の早期退職優遇制度を利用して円満退職、サラリーマン時代の経験と人脈を生かして2020年6月から〇〇◯のコンサルタント事業を開始した。
また、甲はかねてより、ワンルームマンション1室の不動産賃貸業をしていたが、白色申告であった。
甲はコンサルタント業務を行うにあたり初期投資がかさんだため、今年度は相当額の赤字が見込まれるため、所得税の青色申告承認申請手続をして今年度の赤字を翌年度以降に繰り越したいと考えてる。
所得税の青色申告の適用を受けたい場合には、次の期日までに「所得税の青色申告承認申請書(国税庁HP👈クリック)」を提出しなければなりません。
■青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで
■その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日から2月以内
なお、青色申告の承認を受けていた被相続人の事業を相続により承継した場合は、相続開始を知った日(死亡の日)の時期に応じて、次の期間内に提出しなければなりません。
・その死亡の日がその年の1月1日から8月31日までの場合 | ・・・死亡の日から4か月以内 |
・その死亡の日がその年の9月1日から10月31日までの場合 | ・・・その年の12月31日まで |
・その死亡の日がその年の11月1日から12月31日までの場合 | ・・・その年の翌年の2月15日まで |
設例のように、すでに白色申告の不動産所得があった場合でも、新たに事業を開始した場合には2ヶ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を提出することで青色申告者となることができるでしょうか。
これについては、すでに白色申告の不動産所得があったため、事業を開始してから2ヶ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を提出しても、その提出した年には青色申告者となることは認められないとする次の採決事例があります。
・・・、本件不動産の貸付けは、・・・「不動産所得を生ずべき業務」に該当し、請求人は・・・、平成13年12月から引き続き本件不動産を貸し付けていたことからすれば、請求人が平成18年10月1日に再生資源回収業という個人事業を開始した時点では、既に請求人は、不動産所得を生ずべき業務を行っていたのであるから、・・・その年の1月16日以後新たに不動産所得又は事業所得を生ずべき業務を開始した者とは認められない。したがって、本件承認申請書の法定の提出期限は、平成18年3月15日である。(国税不服審判所 (平20.9.16、裁決事例集No.76 258頁)👈クリック)
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【所得税】Go Toトラベル・家賃支援給付金の課税
[基本的な考え方]
所得税の計算上、ある収入の収入計上時期については、その収入すべき権利が確定した日の属する年分となります(所得税法第36条)。
[特定の支出を補填するもの]
助成金等が、支給要綱などで定められた特定の支出(・・・)を補填するものについて、その支給を受けるために必要な手続をしているときには、その支出と同時に、実質的に、助成金を支給する権利が確定していると考えられることから、その収入計上時期は、結果として、所得が生じることがないように、その支出が発生した日の属する年分として取り扱うこととしています(所得税基本通達36・37共-48)。(国税庁HP👈クリック)
[Go Toトラベル事業における給付金]
旅行業者等を通じたご予約で旅行前に決済をした場合、宿泊施設へ直接予約手続きを行った場合で自身で「Go To トラベル事業事務局」に還付請求をした場合、いずれの場合も下記の年分の一時所得の収入金額になります。
□旅行終了時(旅行代金割引相当額)
□クーポン使用時(地域共通クーポン相当額)
一時所得は下記のとおり50万円までの特別控除があるため、ほとんどのケースで所得は生じないと思われます。
総収入金額 - 収入を得るために支出した金額 - 特別控除額(最高50万円) = 一時所得の金額(国税庁HP👈クリック) |
ただし、生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金等があったりすると、一時所得が生じる場合がありますのでご留意下さい。
[家賃支援給付金]
家賃支援給付金とは、新型コロナウイルス感染症を契機とした5月の緊急事態宣言の延長などにより、売上の減少に直面するみなさまの事業の継続をささえるため、地代・家賃(以下、賃料)の負担を軽減することを目的として、賃借人(かりぬし)である事業者に対して給付金を給付されます。(中小企業庁HP👈クリック)
新型コロナウイルス感染症の影響などにより、①いずれか1か月の売上が前年の同じ月と比較して50%以上減っている、②連続する3か月の売上の合計が前年の同じ期間の売上の合計と比較して30%以上減っている場合に、個人は最大300万円まで給付されます。
支給決定時又は経費発生時の事業所得又は雑所得の総収入金額に計上することとされています。(国税庁HP👈クリック)
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【所得税】持続化給付金・雇用調整助成金の課税
[基本的な考え方]
所得税の計算上、ある収入の収入計上時期については、その収入すべき権利が確定した日の属する年分となります(所得税法第36条)。
[特定の支出を補填するもの]
助成金等が、支給要綱などで定められた特定の支出(・・・)を補填するものについて、その支給を受けるために必要な手続をしているときには、その支出と同時に、実質的に、助成金を支給する権利が確定していると考えられることから、その収入計上時期は、結果として、所得が生じることがないように、その支出が発生した日の属する年分として取り扱うこととしています(所得税基本通達36・37共-48)。(国税庁HP👈クリック)
[持続化給付金]
持続化給付金は、極めて厳しい経営環境にある事業者の事業継続を支援するため、使途に制約のない資金を給付するものとされています。(経済産業省HPQ15👈クリック)
売上が前年同月比50%以上減少している事業者は、中堅・中小企業、小規模事業者は上限200万円、フリーランスを含む個人事業者は上限100万円の給付が受けられるとあって多くの方が申請されたと思います。
持続化給付金は所得税の課税対象となります。事業所得者は事業所得の総収入金額、給与所得者は一時所得の総収入金額、雑所得者は雑所得の総収入金額にそれぞれ算入されます。
収入への計上時期は支給決定時となっていますので、仮に振り込みが2021年1月であったとしても給付通知書が2020年12月となっていれば2020年度の所得となります。
なお、消費税は課税対象外(不課税)です。
[雇用調整助成金]
雇用調整助成金は、事業主が労働者に休業手当等を支払う場合、その一部を助成する制度です。新型コロナ感染症に伴う特例措置により助成率及び上限額の引き上げがおこなわれています。
最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少していて、労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている場合に適用があります。(厚生労働省HP👈クリック)
従来からある雇用調整助成金は、あらかじめ「計画届」を提出し、休業手当の補てんとして助成金をうけとります。
したがって、上記[特定の支出を補填するもの]に該当するため、助成金の支給額が確定していなくても見積もった上で休業手当を支給する年分の計上することになります。
しかしながら、新型コロナ感染症に伴う特例措置では緊急対応期間中の特例として「計画届」の提出を不要とされ、休業等の実績に基づき支給申請することになっていることから、助成金の支給が確定した年分の収入金額に計上するればよいようです。
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【所得税】在宅勤務、通信費の半額非課税
通信費の半額非課税 社員のテレワーク補助 政府が基準明示 在宅定着を後押し
国税庁の指針では、在宅勤務をした日数分の通信費のうち、2分の1は仕事で使ったものと認める。残りは私用などとみなす。月30日のうち半分の15日を在宅で勤務すれば、通信費全体の4分の1が非課税となる。電気料金も目安を示し、業務で使った自宅の部屋の床面積などで水準が決まる仕組みにする。(日経 2021/01/15)
ところで、給与所得には給与収入から差し引く給与所得控除があります。これには、給与収入に応じた概算によるもの((国税庁HP👈クリック)と実額を控除する特定支出控除(国税庁HP👈クリック)があります。
概算額で控除すること理由は下記ですが、最大の理由は、①の必要経費の個別的認定が困難だからでしょう。
①必要経費の個別的認定が困難であるため
②給与所得が勤労性所得であってその担税力が資産性所得や資産勤労結合所得より低いこと
③給与所得の捕捉率が他の所得よりも高いこと
④給与所得はその支払のたびごとに源泉徴収されるのに対し,事業所得等は二回にわたり予定納税するのみであるため利息相当額を調整する必要のあること
「通信費の半額非課税」にケチをつける気持ちは毛頭ありませんが、もしこの通信費が給与収入を得るための経費だとすると、理屈の上では非課税とする理由はないことになります。
会社などの使用者から支払われるものもののうち給与以外には下記のものがあるとされています。
①福利厚生費としての支出
②使用者にとっての業務遂行のための費用としての支出
③本来の職務外の行為に対するものとしての贈与としての支出等
(フリンジ・ベネフィット課税の強化に関する一考察👈クリック)
そこで改めて給与収入から実額控除する特定支出項目を見てみると、「通勤費、転居費、研修費、資格取得費、帰宅旅費及び勤務必要経費」となっていて会社に務めることによって不可避な費用や自己研鑽費用となっています。
概算控除は、これらの費用項目を予定し、概算的に求めたものと考えられます。
一方、在宅勤務に伴う通信費は業務命令によるもので、出張旅費などと同じく会社の業務遂行上必要な費用です。
このように考えると、在宅勤務に伴う通信費の業務使用分は当然に給与課税されるものではないといえます。
「通信費の半額非課税」というのは、通信費の家事部分と会社の業務遂行部分の区分を簡便に計算できるようにしたものといえます。
なお、国税庁より「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)👈クリック」が既に公表されています。
このFAQでは、在宅勤務に事務用品等の支給、通信費の業務使用部分の具体的計算方法、電気料金の計算方法、従業員がレンタルオフィスを使用した場合などについて取り扱いが明らかにされています。
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【所得税】住宅ローン控除の見直し
令和3年度の税制改正大綱によりますと、ローン控除に関しては、住宅への入居期限が今年の年末(令和2年12月31日)までとなっているのを、新型コロナウイルスの影響で期限までに入居できない場合も配慮して2年延長するとしています。
併せて、合計所得金額1,000万円以下の人に限り、床面積40㎡から50㎡までの住宅もローン控除の対象となりました。
また、会計検査院から指摘を受けていました控除の額(年末のローン残高の1%)の見直しにつきましては、年末時点のローン残高の1%とその年に支払った利息の総額のいずれか低い方の金額とする方向でこの次令和4年度の税制改正で見直すことになりました。
[概要]
住宅の取得等で特別特例取得に該当するものをした個人が、その特別特例取得をした家屋を令和3年1月1日から令和4年12月31日までの間にその者の居住の用に供した場合には、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除及び当該控除の控除期間の3年間延長の特例を適用できることとする。
[ポイント]
■入居時期
令和3年1月1日~令和4年12月31日までの間に居住の用に供すること。
■住宅の契約時期
特別特例取得※に該当する住宅の取得等であること。
※消費税等の税率が 10%である場合の住宅の取得等で、次の期間内に契約がされているものをいう。
住宅の区分 | 住宅の契約時期 |
居住用家屋の新築 | 令和2年10月1日から令和3年9月30日まで |
居住用家屋で建築後使用されたことのないもの、既存住宅の取得、増改築等 | 令和2年12月1日から令和3年11月30日まで |
■床面積要件の緩和
床面積が40㎡以上50㎡未満である住宅の追加適用された。
従前 | 追加 | |
床面積要件 | 50㎡以上 | 40㎡以上50㎡未満 |
合計所得要件 | 3,000万円以下 | 1,000万円以下 |
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【所得税】上場株式等の売買にかかる特定口座
2020年の株式相場を振り返ると、新型コロナウイルスの感染拡大に伴いインバンド関連銘柄が大きく下落しました。一方、在宅、巣ごもりにみられる新生活様式に関連した銘柄は上昇しました。
コロナ禍に対する国の金融政策により市場に溢れた資金の一部は投資に向かい、株価は徐々に上昇し、日経平均は1991年5月以来29年ぶりの26,000円台にとなりました。
今年も余すところ一月足らず、確定申告の時期が近づいて来ました。株で儲かった人も、思いかけず損をした人も申告の準備は早めにしたほうがよいと思います。
上場株式等の売買にあたっては、原則として証券会社をとおしておこないますが、証券会社の口座には、①一般口座、②-1特定口座:源泉徴収なし、②-2特定口座:源泉徴収あり、3種類があります。
①一般口座
自分自身で売買記録にもとづき〔譲渡所得の金額=総収入金額-(取得費+譲渡費用)〕を計算することになります。
売買の回数が多い場合は、取得費(総平均法)の計算が煩雑になるので、特定口座ををお勧めします。
②特定口座
特定口座内における上場株式等の譲渡所得等の金額については、証券会社において一般口座で譲渡した他の株式等の譲渡による所得と区分して計算してくれます。
②-1 源泉徴収なし
証券会社から送られる特定口座年間取引報告書に基づいて自分で確定申告します。
②-2 源泉徴収あり
源泉徴収ありの特定口座では、上場株式等の配当金を受け入れることができます。
上場株式等の配当所得は20.315%(所得税15.315%、住民税5%)源泉徴収されます。
また、上場株式等の譲渡所得についても20.315%(所得税15.315%、住民税5%)源泉徴収されます。
上場株式等の譲渡について譲渡損が生じた場合は、上場株式等の配当所得と損益通算が行われ、源泉徴収税額の過納分が還付されます。
このように源泉徴収ありの特定口座では、上場株式等の配当所得と上場株式等の譲渡損との損益通算が行われるため、原則として確定申告は不要になります。
ただし、他の特定口座で生じた上場株式等の譲渡損益や配当所得と相殺する場合、上場株式等に係る譲渡損失を繰越控除する場合の特例の適用を受けるなどの場合には、確定申告をする必要があります。
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【所得税】給与所得者の基礎控除申告書
年末調整の時期になりました。令和2年の税制改正に伴い、年末調整ために従業員が会社に提出する申告書の用紙も変更されています。
従来の「給与所得者の配偶者控除等申告書」が「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」となりました。
(国税庁HP👈クリック)
このうち、「給与所得者の基礎控除申告書」には、給与所得を記載する欄と給与所得以外の所得の合計額を記載する欄が設けられています。
まず、「給与所得」の欄ですが、ここには2以上の支払者がある場合その総額を記載することになっています。
副業として給与所得がある場合はその副業も含めた合計の見積もり額が収入金額になります。
「給与所得以外の所得の合計額」の欄には所得を書くことになっています。
副業がある場合は収入から経費を差し引いた所得の見積もり金額を自分で計算し記載することになります。
ところで、勤務先やその関連会社から複数の給与を受けている場合や会社が副業を認めているような場合は、これらの欄に記入することについて悩むことはありません。
問題は、会社が副業を認めていない場合です。
副業が給与所得の場合、副業先には通常「給与所得の扶養控除等申告書」を提出していないと思われます。
この場合は、副業先の会社は税務署には給与収入が年間50万円を超えていなければ「給与所得の源泉徴収票」が提出されないのですが、副業先が副業をしている人の住所地の市町村に提出する給与支払報告書には金額のすべて記載されてしまいます。
また、副業が給与所得以外の場合も、副業先の会社が税務署に提出する支払調書やその会社の税務調査でやはり税務署がわかる可能性があります。
では、会社に提出する「給与所得者の基礎控除申告書」に副業にかかる部分を記載しないでおいて、別途確定申告をすればどうでしょう。
これは、給与所得者にとって年末調整は義務ですから、意図的に基礎控除申告書に不実の記載するのはルール違反だと思います。
たとえ確定申告したとしても翌年給料から天引きされる住民税の額から、副業していることを会社が知る可能性は残ります。
こういったことの本質は、本来国民は確定申告をするべきところ、年末調整という便宜的な方法で給与の支払い者である会社を介在させ、個人の確定申告の代わりをさせていることにあります。
その結果、寡婦控除やひとり親控除もそうですが、本来国民のプライバシーにかかる部分を会社にオープンにしなければならない結果となっています。
電子申告を含む行政の電子化の機運が高まりつつあります。
そろそろ年末調整という制度の見直しの議論が出てもよいのではないでしょうか。
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【所得税】ひとり親控除
年末調整の時期になりました。
今年から年調はとても複雑になりました、税理士もそうですが企業の担当者も大変だろうと思います。
主な改正点は次です。
・給与所得控除の改正
・所得金額調整控除の創設
・合計所得金額に応じた基礎控除改正
・ひとり親控除の創設
・寡婦控除の改正
この改正に伴い、年末調整ために従業員が会社に提出する申告書の用紙も変更されています。
これまで、婚姻歴のない、いわゆる未婚のひとり親は寡婦(寡夫)控除の対象とはなっていませんでした。これについて、かねてより、・ 未婚のひとり親も婚姻歴のある親も経済的に苦しい状況は同じであり、・ 離婚・死別した親の子どももいわゆる「未婚の母」等の子どもも「ひとり親の子ども」という点では同じであって、過去の婚姻歴の有無で区別することは不公平といった理由により、寡婦(寡夫)控除の対象に未婚のひとり親を加えるべきとの主張がありました。
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最終的には子どもの生まれた環境や家庭の経済事情に関わらず、全てのひとり親家庭に対して公平な税制を実現する観点から、「婚姻歴の有無による不公平」と「男性のひとり親と女性のひとり親の間の不公平」を同時に解消し、同一の「ひとり親控除」を適用することとされました(その際、住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」の記載がある者は対象外とされました 。)。(財務省HP👈クリック)
このような趣旨で、今年から寡婦(寡夫)控除が改正され、ひとり親控除及び(新)寡婦控除になりました。なお、特別の寡夫は廃止されました。
会社に提出する「給与所得者の不要控除等(異動)申告書」には、ひとり親に該当する場合はレ点をいれるようになっています。
ひとり親(所法2①三十一) 現に婚姻をしていない者又は配偶者の生死の明らかでない者で(・・・)もののうち、次に掲げる要件を満たすものをいう。 イ その者と生計を一にする子(・・・)を有すること。 ロ 合計所得金額が500万円以下であること。 ハ その者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者※(・・・)がいないこと。 ※住民基本台帳の続柄の記載が未届の夫又は見届の妻となっていないこと |
事実婚の場合で社会保険の関係から住民票には未届の夫又は見届の妻としてなっている場合があります。
しかし、会社にはその事実を知られたくない、しかしひとり親の控除は受けたいとして、ひとり親の箇所にレ点をつけなかったらどうなるでしょうか。
ひとり親の控除を受ければ所得税だけでなく住民税も安くなります。
住民基本台帳の整備・管理等は住所地の市町村で行いますので、この場合おそらく住民税の方から発覚するのではないでしょうか。
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【所得税】副業の普及
会社で働きながら社外に職を持つ「副業」が普及している。日本経済新聞社と日経HRの共同調査では副業を認める企業は3割に上り、会社員の7割以上が関心を持っているとわかった。社員が本業で生かす知見や人脈を培う機会になる。専門スキルや多様なアイデアを募る手段としても、副業の活用が企業で広がりつつある。
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日本経済新聞社と就職情報サービスなどを手掛ける日経HRが10月下旬に共同で実施した副業に関する調査で会社員4279人が回答。勤務先が副業を容認しているとの答えが28.1%に上った。74.7%の会社員が副業を探すなど関心を持っていることもわかった。(日経 2020/11/28)
コロナ前の話ですが、トヨタ自動車の豊田社長が「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた。」と発言されて話題になりました。
また、経団連の中西宏明会長も、「企業は従業員を一生雇い続ける保証書を持っているわけではない」とも発言しています。
企業の建前としては、「優秀な人材を留めるため」とか「社員のスキルアップ」とか副業解禁の理由をいろいろ掲げていますが、本音は豊田社長や中西宏明会長の発言にあるのではないでしょうか。
企業に勤務しながら副業を持つと給与以外の所得が生じます。
その副業の収入から経費を差し引いた所得の金額が20万円を超えると確定申告をしなければなりません。(国税庁HP👈クリック)
そこで悩むのがその副業収入が「事業所得」なのか、「雑所得」なのかです。事業所得ならば、事業から赤字が出た場合は給与所得等との損益通算できたり、青色申告特別控除ができたりと、税金計算で何かと有利になります。
事業所得 | 農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。(国税庁HP👈クリック) |
雑所得 | 利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも当たらない所得をいい、例えば、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)が該当します。(国税庁HP👈クリック) |
事業所得と雑所得の区分については一般的には下記の点などを総合的にみて判断するとされています。
・自己の危険と計算において独立して行う業務か
・営利性と有償性を有しているか
・反復継続して遂行されて営まれているか
・社会的地位が客観的に認められているか 等など
会社に勤務しながら副業として働くといった場合、仕事の軸足が勤務にあると思います。このような場合、多くの副業は雑所得になるではないかと思います。
ただし、例えば配達の仕事反復・継続して生活をしているが、空いた時間でパート・アルバイトをしているような場合は、配達の仕事は事業所得でパート・アルバイトは給与所得としても差し支えないと思います。
執筆及び講演等の業務から生じる所得を事業所得として申告したところ、否認された下記の裁決例があります。(国税不服審判所👈クリック)
本件は、大学の准教授である審査請求人(以下「請求人」という。)が執筆及び講演等の業務から生じる所得を事業所得として申告したところ、原処分庁が、当該所得は雑所得に該当し、また、請求人が事業所得の金額の計算上必要経費に算入した費用のほとんどが家事関連費等に該当して必要経費に算入できないとして所得税の各更正処分等を行ったのに対し、請求人が、著述業を行う目的を持ち、その目的を達成する意思で執筆及び講演等を行っていたのであるから当該業務は事業に該当し、また、請求人の主張する費用はいずれも当該業務の遂行上必要な費用であるから必要経費に算入することができ、さらに、原処分に係る調査の手続には違法があり、原処分庁が提示した更正の理由には不備があるとして、同処分等の全部の取消しを求めた事案である。 |
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