法人税

【法人税】中小法人等と中小企業者のちがいに注意

2017-05-27

国税庁が平成29年3月に公表した「会社標本調査」によりますと、平成27年度における法人の数は264万社、そのうち資本金が1億円以下の法人は260万社となっています。つまり、日本の場合そのほとんどが資本金1億円の法人だといえます。

中小法人等に該当すれば、法人税の軽減税率や貸倒引当金の繰入れなどといった特例の適用があります。
また、中小企業者に該当すれば、中小企業投資促進税制や少額減価償却資産の特例といった特例の適用があります。

中小法人等と中小企業者、いずれも資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人をいうので、日本の法人のほとんどがこれらの特例の適用があることになります。
ただし、注意しなければならないのは中小法人等と中小企業者は必ずしもイコールではないということです。

中小法人等
(法法57条⑪)
資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下の法人。
ただし、資本金の額又は出資金の額が5億円以上である大法人との間に当該大法人による完全支配関係がある普通法人を除く。
中小企業者
(措令第27条の4⑫)
 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人。
ただし、資本金の額若しくは出資金の額が一億円を超える同一の大規模法人に発行済株式または出資の総数または総額の2分の1以上を所有されている法人および2以上の大規模法人に発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を所有されている法人を除く。

 

 

【法人税】税法における中小企業特例その2

2017-05-24

資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人(中小企業者等)(注)については中小企業向けの特例が適用できますが、その主なものはつぎのとおりです。

(注)資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人であっても、資本金の額もしくは出資金の額が1億円を超える同一の大規模法人に発行済株式または出資の総数または総額の2分の1以上を直接所有されている法人および2以上の大規模法人に発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を直接所有されている法人を除きます。

中小企業投資促進税制  中小企業者等が、機械装置等の対象設備を取得や製作等した場合に、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除(資本金等が3,000万円以下の法人に限る)が選択適用できる。
商業・サービス業・農林水産業活性化税制  中小企業者等が、器具備品、建物附属設備を取得や製作等した場合に、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除(資本金等が3,000万円以下の法人に限る)が選択適用できる。
中小企業経営強化税制  中小企業者等が、指定期間内に、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の設備を新規取得等して、指定事業の用に供した場合、即時償却又は取得価額の10%(資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除を選択適用できる。
少額減価償却資産の特例  中小企業者等が、取得価額が30万円未満の減価償却資産(少額減価償却資産)であれば、即時にその全額を経費として算入することができる。

 

 

 

【法人税】税法における中小企業特例その1

2017-05-08

資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人(中小法人等)(注)については中小企業向けの特例が適用できますが、その主なものはつぎのとおりです。。

(注)資本金の額又は出資金の額が1億円以下であっても、資本金の額または出資金の額が5億円以上である大法人との間に完全支配関係がある子会社の場合は除きます。

貸倒引当金の繰入れ 中小法人等は貸倒引当金の繰入の損金算入が認められている。
欠損金等の繰越控除制度 青色申告書を提出する中小法人等は繰越欠損金の控除限度額について所得制限がない。
法人税の軽減税率の適用 中小法人等の年800万円以下の所得については15%の軽減税率が適用される。
特定同族会社の留保金課税制度 中小法人等は留保金課税が適用されない。
交際費等の損金不算入制度 中小法人等の交際費等については、接待飲食費の50%の損金算入と年800万円以下の定額控除のいずれかを選択適用できる。
欠損金の繰戻し還付制度 青色申告書を提出する中小法人等は、前1年以内に開始した事業年度の法人税について、欠損金の繰り戻し還付を受けることができる。

【法人税・所得税】退職給付制度

2017-04-25

人事院の民間の企業年金及び退職金の調査結果によりますと、 企業規模50人以上の民間企業では退職給付制度を有する企業 は9割をこえているそうです。この退職給付制度ですが、そのスタートは江戸時代の「のれん分け」にあるとされています。


わが国における退職給付制度の源流は、江戸時代の商家で使用人の独立時などに行われた「のれん分け」にあるといわれている。明治期以降、熟練労働者の足止め策の一つとして定年退職時に一時金を支給する退職一時金制度が普及・慣行化していった。
しかし、戦後の高度経済成長に伴い退職者数・退職金額が急速に増加したことにより、退職金の支払負担を平準化することが企業経営上の課題として注目されるようになった。
このような状況を背景に、昭和37年に法人税法および所得税法に基づく適格退職年金制度が、昭和40年に厚生年金保険法に基づく厚生年金基金制度が創設された。(企業年金連合会のHPより)


退職給付の支給形態には、一時金で支給する場合と年金で支給する場合があります。後者の場合はさらに、将来の給付額をあらかじめ決められている確定給付型と拠出額(掛金)をあらかじめ決めておき、将来の給付額は拠出額とその運用実績によって決まる確定拠出型ああります。各制度の概要はつぎのとおりです。

支給形態  種 類  説 明
一時金  退職一時金 退職により勤務先から一時に受ける退職手当などの給与等をいいます。
年金 確定給付型 厚生年金基金 企業が従業員と給付の内容を約束し、高齢期において従業員がその内容に基づいた給付を受けることができる確定給付型の企業年金制度の一つ。企業や業界団体等が厚生労働大臣の認可を受けて設立する法人である厚生年金基金が、年金資産を管理・運用して年金給付を行う。国の年金給付のうち老齢厚生年金の一部を代行するとともに、厚生年金基金独自の上乗せ(プラスアルファ)を行うもの。(注)
確定給付企業年金 企業が従業員と給付の内容を約束し、高齢期において従業員がその内容に基づいた給付を受けることができる確定給付型の企業年金制度であり、企業等が厚生労働大臣の認可を受けて法人(企業年金基金)を設立する「基金型」と、労使合意の年金規約を企業等が作成し、厚生労働大臣の承認を受けて実施する「規約型」がある。基金型は企業年金基金、規約型は企業等が、年金資産を管理・運用して年金給付を行う。(注)
自社年金 企業が独自に行う従業員のための退職年金で、税制上の優遇措置はないが、法令による規制もないので、企業は独自の制度設計をすることができる。
確定拠出型 日本版401k 企業等・個人が拠出した掛金は個人ごとに明確に区分され、掛金と個人の運用指図による運用収益との合計額が給付額となる企業年金制度であり、従業員のために企業等が規約を作成し、厚生労働大臣の承認を受けて実施する「企業型」がある。この他に、会社員に限らず、自営業者や専業主婦等でも加入できる「個人型」(国民年金基金連合会が実施)がある(平成29年1月より改正)。(注)

(注)企業年金連合会のHPより

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