法人税

【法人税】新型コロナウイルスと青色欠損金の繰戻し還付

2020-05-19

例えば、12月決算の青色申告法人で、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年12月期は業績好調で多額の納税、ところが2020年12月期は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、休業要請などの影響で大幅な赤字となった。

このような場合、前期の黒字と当期の赤字を通算して、前期に収めた税金を返してもらう制度が、青色欠損金の繰り戻し還付制度です。
しかし、この制度は下記の場合を除き、現在制度の適用が停止されています。
・清算中に終了する各事業年度の欠損金額
・解散等の事実が生じた場合の欠損金額
・資本金1億円以下などの中小企業者等の各事業年度において生じた欠損金額

新型コロナ税特法により、青色欠損金の繰戻し還付制度について、上記中小企業者等に加えて資本金の額が1億円超 10 億円以下の法人※についても利用することができることになりました。

※ただし、大規模法人(資本金の額が 10 億円を超える法人など)の 100%子会社及び 100%グループ内の複数の大規模法人に発行済株式の全部を保有されている法人等は除かれます。

この特例は、令和2年2月1日から令和4年1月 31 日までの間に終了する事業年度に生じた欠損金額について適用され、欠損事業年度の確定申告書の申告期限までに還付請求書の提出が必要です。

 

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【法人税】新型コロナウイルスで役員報酬改定

2020-04-30

法人の役員報酬は、原則とし事業年度を通して、又は株主総会からつぎの株主総会まで、定期同額でなければならないとされています。

その例外として、つぎの2つの改定事由が認められていいます。
○臨時改定事由   ・・・ 法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更などにより定期給与の額を改定する。
○業績悪化改定事由 ・・・ 法人の経営状況が著しく悪化したことその他これに類する理由よる定期給与の額の改定する。

ところで、新型コロナウイルスの感染拡大により、会社の業績に大きな影響を及ぼした場合、又はお及ぼすことが見込まれる場合、期中であって役員報酬の減額改定をせざるを得ないことがあります。
このような場合は、上記改定事由のうち業績悪化改定事由に該当すると国税庁のホームページ「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」で公表されています。
問 6.《業績が悪化した場合に行う役員給与の減額》
問 7.《業績の悪化が見込まれるために行う役員給与の減額》

問題は、新型コロナウイルスが収束し、業績が回復した場合役員報酬をもとに戻せるかということです。
現行法では改定事由は上記2つしか定められていないので難しいのではないかと言われています。

 

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【国税】国税の納税猶予

2020-04-22

令和2年4月7日に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置(案)」で、国税の納税猶予制度の特例が掲げられています。
現行でも国税の猶予制度はありますが、担保を必要とする場合があったり、外出自粛に伴い収入が大幅に減少したような場合であっても、猶予期間中の延滞税が免除されないことがあるなどから、制度の緩和が予定されています。

対象となるのは、令和2年 2 ⽉以降の任意の期間(1か⽉以上)において、事業等に係る収⼊が前年同期に⽐べて概ね20%以上減少している法人又は個人です。
対象期間は、1年間で、 担保の提供は不要、延滞税もかかりません。

申請手続き等は、納期限(申告納付期限が延⻑された場合は延⻑後の期限)までに申請が必要となります。

 

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【法人税・消費税】申告期限延長

2020-04-20

法人税等
法人は3月決算・5月申告がもっとも多いところですが、政府の緊急事態宣言により、在宅勤務等で決算・申告が期限までに間に合わないことが予想されます。
法人税等におきましても、申告・納付の期限延長の取り扱いが国税庁のホームページでFAQ形式で公表されています。


問1.どのような場合に法人は個別延長が認められますか。
問2.個別延長の場合の申告・納付期限はいつになりますか。
問3.申請や届出など、申告以外の手続きも個別延長の対象となりますか。
問4.個別延長する場合には、どのような手続きが必要となりますか。

ご注意いただきたいのは、問4です。


○ 別途、申請書等を提出していただく必要はなく、申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」である旨を付記していただくこととしております※。
このため、当初の申告期限以降に、申告書を提出する場合には、新型コロナウイルス感染症の影響による申告期限及び納付期限を延長する旨を以下の方法で作成していただき
ますようお願いします。
※ 源泉所得税においては、納付を行う際に所得税徴収高計算書の「摘要」欄に「新型コロナウイルスによる納付期限延長申請」である旨を付記していただくこととしております。
○ この場合、申告期限及び納付期限は原則として申告書等の提出日となります。


この場合の申請書とは、災害による申告、納付等の期限延長申請書を指すものと思われますが、この申請書を出してもよいし、あえて出さないで便宜的に<<申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」である旨を付記>>しただけでもよいとされています。
なお、この申請書には申請期限がありますがその記載方法は下記となります。
・申告書と同時に申請書を出す場合は申告書の提出日を記載する。
・申請書のみを提出する場合は、期限延長の指定を受けようとする日を記載する。

 

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【法人税・所得税】海外中古不動産を利用した節税規制

2019-12-01

日本では、中古の建物はあまり評価されません。
地価の高い地域では、建物は評価されず、多くは取壊しが前提になります。

一方、海外のリゾート地などの投資物件は、建物を修繕しながら使っていくため、建物込みの価額で取引されます。
ここに目を付けたのが、賃貸物件として海外の中古不動産を利用した節税です。

郊外のタウンハウスや一戸建ての木造だと、新築の耐用年数は22年ですが、耐用年数を超えたものは4年で償却できます。
これを利用して多額の減価償却費を計上することにより赤字を作り出し、日本国内の所得と通算して節税をはかるものです。

この耐用年数を利用した節税は、なにも海外の中古不動産投資ばかりではありません。
ちょっとした節税としては、自動車の耐用年数が5年と短いことから、中古の高級車を利用したものがあります。
商品としては航空機リーススキーム(オペレーティングリース)などがあります。

このうち海外中古不動産を利用した節税は、ここ数年毎年規制されるのではないかといわれ続けてきました。
先日の新聞報道によりますと、どうも来年の税制改正で規制されるようです。

今年は、所得層にかかわらず国民全員が負担する消費税が10月に10%に増税されました。
高額な海外中古不動産の投資が富裕層に多い節税であることを考えれば、規制のタイミングは今なのだと思います。

財務省主税局は、巷で行われている節税商品や手法は、すべて把握していると考えておくべきです。行き過ぎた節税が盛んになると、時期を見て税制改正や通達で蓋をします。

納税者は、節税商品に蓋をされた場合、どのように対応するかは、最初から考えておくべきです。節税は、常にリスクと隣り合わせだからです。

 

 

∞∞吉岡∞∞

【法人税・所得税】現物での支払い

2019-05-30

税法では現物での支払いをした場合には、その支払いの時の時価で譲渡があったものとされることがあります。

例えば、離婚にともなう財産分与で、金銭に代えて夫が妻に住宅を渡すような場合です。
これは夫から妻への「贈与」と思われるかも知れませんが、税務的に見れば財産分与請求権を対価とする「譲渡」になります。
譲渡ですから、渡したときの時価から住宅の取得費等を控除した金額がプラスであれば譲渡所得税がかかります。
もっとも、妻に渡した住宅が夫の居住用財産に該当する場合は、居住用の3,000万円控除の適用が可能ですので、確定申告をする必要がありますが実際に課税されることはあまりないでしょう。

他にも、例えば退職にあたって従業員が住んでいた会社所有の社宅を退職金代わりにその従業員にあげたとします。
これは法人からの不動産の贈与ではなく、退職金の請求権を対価とする法人からの「譲渡」になります。したがって、法人側で退職時の社宅の時価から帳簿価額を控除した差額が法人税の課税の対象となります。

法人の配当は決算をして利益が出た場合に株主に金銭で分配するのが一般的です。しかし、例えば子会社を清算するにあたって、清算時の債務を弁済してなお財産が残ったような場合において、子会社は残余財産を換金せずに親会社に現物を分配することもできます。この場合において財産を受けた親会社はその出資額以上の分配となれば、その差額は法人税法ではみなし配当となります。

 

 

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【法人税】法人税申告書の代表者、自署から記名に

2018-07-04

法人税申告書の代表者の欄には代表者が自署しなければならなかったのですが、これが記名に改正されました。

自署とは文字通り代表者自身が手書きすることです。これが記名になったことで、申告書をPCで印刷する場合に代表者名を印刷したり、ゴム印を押して済ますことが可能となりました。
経理責任者についても自署となっていましたが、これは記載そのものが不要となりました。
ただし、押印は従来どおり必要です。
この改正は、30年4月1日以後終了事業年度用の法人税申告書からの適用されます。

 

ところで、税理士や税理士法人が法人税申告書を作成し税務署に提出する場合については、税理士が申告書に署名押印しなければならないことになっています。
この場合は、法人の代表者についても署名が必要とされています(税理士法33)。

つまり、税理士や税理士法人が申告代理する場合は、税理士法の定めにより従来どおり、代表者についても自署しなければならないというわけです。税理士法の改正が追いついてないのでしょう。

 

 

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【法人税】中小企業経営強化税制の創設

2017-07-22

平成26年度税制改正で創設された生産性向上設備投資促進税制は、即時償却が認められるなどかなり思い切った制度でした。また、中小企業者に対しては、中小企業投資促進税制の対象設備について,その上乗せ措置として即時償却や税額控除(資本金3千万円以下:10%,資本金3千万円超:7%)が設けられていました。
しかしながら、平成29年度3月末でこの制度は廃止となりました。

  上乗せ
<生産性向上設備>
 
中小企業投資促進税制 商業・サービス業・農林水産業活性化税制活性化税制 生産性向上設備等投資促進税制
(29年3月31日まで)

 


平成29年度税制改正において、上記の中小企業に対する上乗せ措置は、新たに中小企業経営強化税制が創設され,対象設備も器具備品・建物附属設備全てに拡充されることになりました。
この中小企業経営強化税制では,従前の中小企業投資促進税制上乗せ措置でも必要であった工業会証明書の取得(A類型)や,投資計画に関する経済産業局(経産局)の確認(B類型)に加え,経営強化法に基づく経営力向上計画の認定が必要となりますので注意が必要です。

中小企業経営強化税制
<生産性向上設備>
中小企業投資促進税制 商業・サービス業・農林水産業活性化税制活性化税制 廃止

【法人税】商業・サービス業・農林水産業活性化税制

2017-07-19

商業・サービス業・農林水産業を営む中小企業者等が、アドバイス機関から経営の改善に関する指導及び助言を受けることを条件に適用できる制度です。

-対象者-
中小企業者等(資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人※)

※ただし、資本金の額若しくは出資金の額が1億円を超える同一の大規模法人に発行済株式または出資の総数または総額の2分の1以上を所有されている法人および2以上の大規模法人に発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を所有されている法人を除く。


-アドバイス機関-

認定経営革新等支援機関※、商工会議所、商工会、農業協同組合、森林組合、漁業協同組合など

※認定経営革新等支援機関とは、中小企業・小規模事業者が安心して経営相談等が受けられるために、専門知識や、実務経験が一定レベル以上の者に対し、国が認定する公的な支援機関です。ちなみに当税理士法人も革新等支援機関として認定を受けています。


-指定事業-

つぎに掲げる事業が対象となります。ただし、性風俗関連特殊営業に該当するものは指定事業から除かれます。

卸売業、小売業、情報通信業、一般旅客自動車運送業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、こん包業、損害保険代理業、不動産業、物品賃貸業、専門サービス業、広告業、技術サービス業、宿泊業、飲食店業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、社会保険・社会福祉・介護事業、サービス業(教育・学習支援業、映画業、協同組合、他に分類されないサービス業(廃棄物処理理業、自動車整備業、機械等修理業、職業・労働者派遣業、その他の事業サービス業))、農業、林業、漁業、水産養殖業


-対象設備

機械及び装置 1台又は1基の取得価額が30万円以上のもの
建物附属設備 一の取得価額が60万円以上のもの

※中古品、貸付の用に供する設備等は原則として対象設備になりません。


-適用内容-

資本金3,000万以下の中小企業 30%特別償却 又は 7%税額控除
資本金3,000万超の中小企業 30%特別償却

【法人税】中小企業投資促進税制

2017-06-26

中小企業投資促進税制は、指定事業や対象設備の要件さえ満たせば他に特別な手続きを必要としないため、中小企業ではもっとも利用されている制度の一つだと思います。


-対象者-

中小企業者等(資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人※)

※ただし、資本金の額若しくは出資金の額が1億円を超える同一の大規模法人に発行済株式または出資の総数または総額の2分の1以上を所有されている法人および2以上の大規模法人に発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を所有されている法人を除く。


-指定事業-

つぎに掲げる事業が対象となります。ただし、性風俗関連特殊営業に該当するものは指定事業から除かれます。

製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業を除く)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、通信業、損害保険代理業及びサービス業(物品賃貸業及び映画業以外の娯楽業を除く)


-対象設備-

機械及び装置 1台160万以上
測定工具及び検査工具 1台120万以上、1台30万以上かつ複数合計120万以上
一定のソフトウェア 一のソフトウェアが70万以上、複数合計70万以上
貨物自動車 車両総重量3.5トン以上
内航船舶 取得価格の75%が対象


-適用内容-

資本金3,000万以下の中小企業 30%特別償却 又は 7%税額控除
資本金3,000万超の中小企業 30%特別償却
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