コラム

【コラム】上場REIT(不動産投資信託)

2020-05-23

-2020/05/23 日経朝刊-
日経平均株価が3月中旬を底として大幅に反発するなかで、REIT特有の理由から買いを手控える動きがある。オフィスビルに投資するREITを中心に、今後の入居率の悪化や賃料収入の減少を懸念する声が上がっており、先行き分配金を減らすREITが増える可能性がある。
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日銀が今年、実際に購入した金額はこれまでに総額655億円。すでに2019年通年を上回る。同じペースが仮に続けば、年間1000億円を超え過去最大となる。REIT市場は1日の売買代金が全体で500億~1000億円前後。1日に15億~40億円を買い入れる日銀が買い支えている構図だ。


REIT(不動産に投資して主に賃料収入を投資家に配当する不動産投資信託)の多くは東証などの金融商品取引所に上場しています。門外漢で知らなかったのですが、REITも日銀が買い支えていたのですね!。

新型コロナウイルスの余波でオリンピックが延期になり、在宅勤務(テレワーク)が進み、飲食店・小売店などが営業自粛するなど、肌感覚では好調だった不動産市況が下落に転じていると感じていました。改めて、REITの状況を調べていたら、下記のサイトがありました。
不動産投信情報ポータル:http://www.japan-reit.com/ranking/all#price

このサイトは非常にわかりやいですね。価格騰落率(一年間の投資口価格の騰落率)でみてみると、概ねつぎのようになっていました。。
(好調な順から) 物流主体型 > 住居主体型 > 事務所主体型 > ホテル主体型

巨大地震でも来ない限り物流倉庫はこれからも好調だと思います。住居も一定の需要はあると思います。ホテル・リゾートはしばらくは厳しい状況が続くのではないでしょうか。

問題はオフィスだと思います。一度経験したテレワークが一過性の事象で終わるのか、あるいは新しい働き方として定着するのか、これからの働き方によって決まってきます。オフィスビルには桁違いの投資がなされています。もし、オフィスが余ったとしたら不動産・金融業界に大きなダメージを与えるものと危惧しています。

 

∞∞ 吉岡 ∞∞

 

【コラム】特例納税猶予

2020-05-14

申告・納付の延長をしても申告書の提出と同時に納期限が到来してしまいます。申告書提出時点となっても、なお新型コロナウイルス感染拡大の影響で納税が困難な場合は、別途、納税の猶予の手続きが必要となります。

この納税の猶予には、従来から納税猶予制度(換価の猶予、納税の猶予)がありましたが、この度の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、一定の要件のもと特例猶予制度が設けられています。
-要件-
① 新型コロナウイルス感染症等の影響により、令和2年2月以降の任意の期間(1か月以上)において、事業等の収入が前年同期と比較して、概ね 20%以上減少していること
② 一時に納税することが困難であること

上記要件を満たす場合は、税務署に申請することにより、令和2年2月1日から令和3年1月 31 日までに納期限が到来する国税について、無担保かつ延滞税なしで1年間納税の猶予を受けることができます。

なお、事業等の収入の20%以上の減少にいては、下記のとおり弾力的な取り扱いがなされるようです。


国税の納税の猶予制度 FAQ
問 23

収入の減少率が 20%未満の場合には特例猶予を受けられないのか。

(答)
○ 「前年同期比概ね 20%以上の収入の減少」という基準の適用については、現に収入の減少が 20%に満たないことのみをもって一概に特例の適用を否定するものではなく、収入の減少が 20%に満たない場合でも、今後、さらに減少率の上昇が見込まれるときなどは、これを勘案して総合的に判断しますので、このような事情がある場合は、国税局猶予相談センターにご相談いただくようお願いします。

 

∞∞ 吉岡 ∞∞

【コラム】申告期限の延長と納期限の延長

2020-05-13

新型コロナウイルスの感染症拡大に伴い、納税者の申請のもとに個別に申告・納期限が延長されます。その申請の期限は、災害その他やむを得ない理由のやんだ日から 2 か月以内となっています。

したがって、申告期限が来ても何ら手続きを要することはなく、新型コロナウイルスが収束してから2ヶ月以内申請するればよいことになっています。何を持ってやんだと言えるのかわかりませんが、おそらくそのような状況になれば、当局から一定期間の幅をもったなんらかのアナウンスがでるではないでしょうか。

延長の申請方法も、申告書の右上の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延⻑申請」と記載すればよいようです。(法人税申告書の記載例:国税庁HP参照

ところでご注意いただきたいのは、延長される申告・納付の期限は申告書等の提出日となる点です。つまり申告書の提出と同時に納税も済ませなければなりません。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で売上が減少するなどして納税が困難な場合は、別途、納期限の延長の手続きが必要となります。

 

∞∞ 吉岡 ∞∞

 

【コラム】ESG投資

2020-05-10

会社は誰のものかという議論があります。資本と経営が分離された大企業では、会社は株主のもので、株主である投資家はリスクと引き換えにより多くのリターンを求めます。この要請に応えることこそが、株主から経営を委任された取締役の責務とされてきました。

しかし、すべての大企業がそうだともいえません。広く知られていますが、ジョンソン&ジョンソン社の企業哲学に「我が信条」というのがあります。そこでは、まず顧客、次に従業員、そして社会、最後が株主となっています。株主が第一とはなっていません。

・我々の第一の責任は、我々の製品およびサービスを使用してくれる医師、看護師、患者、そして母親、父親をはじめとする、全ての顧客に対するものであると確信する。
・我々の第二の責任は全社員--世界中で共に働く男性も女性も--に対するものである。
・我々の第三の責任は、我々が生活し、働いている地域社会、更には全世界の共同社会に対するものである。
・我々の第四の、そして最後の責任は、会社の株主に対するものである。

このような企業哲学を持つ企業は少数派で、大多数の企業はより多くの利益を上げることが、株主の期待に応えることとされてきました。そこでは環境、貧困、教育といった問題よりも企業利益が優先されてきました。

しかし21世紀に入り、従来の伝統的な投資である「リスク」・「リターン」という二元の世界から、SDGs「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」という新たな視点が生まれてきました。この視点は、企業への投資にも反映され、ESG「環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)」という投資手法が生まれ、世界中の政府系ファンドや年金基金などに採用されています。

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【コラム】みなし失業

2020-05-09

産経新聞によると、「政府は、新型コロナウイルスの感染拡大で休業を余儀なくされている従業員を支援するため、離職していなくても失業したとみなして同じ手当を支給する特例措置「みなし失業」の導入に向け、新たな立法措置を行う方向で検討に入った。」とあります。

失業給付金(手当)は、当然のことながら失業が前提です。雇用保険被保険者として、2年の間に最低12ヶ月以上働いた期間があり、ハローワークに行って求職の申し込みが要件となっています。
検討が始められた「みなし失業」は新型コロナウイルス感染拡大による休業であっても失業とみなして失業手当を給付しようというものです。雇用保険の被保険者でなければならないのか、勤続期間はどのくらいかなどの詳細はこれから検討されるものと思われます。

雇用調整助成金は、申請書類を簡素化されたとは手続きが煩雑で利用は国の想定どおり進んでいませんが、失業手当は労働者が自ら申請できるため利用が期待できると見ているようです。同記事によると、雇用保険法の改正か特例法を制定する方針で、早ければ月内の国会提出を目指すとしています。

 

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【コラム】家賃助成(自民党案)

2020-05-08

今朝の日経新聞によると、政府与党において懸案だった家賃助成の支援策が決定したそうです。これは、新型コロナウイルスの感染拡大で家賃の支払いが難しくなったテナント事業者へ支援するものです。

対象者は、売上の減少がつぎのいずれかを満たす場合の中小事業者です。
・3カ月間で3割以上の減収
・単月で5割以上の減収

6月以降の家賃の半年分が対象で、助成額の上限は家賃の3分の2(上限は中小企業が月額50万円、個人事業主が同25万円)です。

助成の仕組みは、テナントがまず日本政策金融公庫や民間金融機関から無利子・無担保で融資を受けてその借入金を当面家賃の支払いに充てる。その後借入金の返済資金として助成金を支給するというもののようです。

この案には二つの視点から見ることができます。
一つは、ビルのオーナーを巻き込まなかったということです。ビルの貸主と値下げ交渉するのではなく、テナント自ら不足する資金を銀行借入れをして家賃を支払うという原則をとった点です。もう一つは、あくまでも助成で、残り3分の1はテナントの自助努力を求めている点です。

疑問点として、テナントが借入をしたが国から要件を満たさず助成金が下りなかった場合や助成金は下りたがテナントが残り3分の1の銀行返済ができなかった場合、どうするのかということです。銀行からすれば不良債権の恐れが出てくるわけですが、それを国がどのように担保するのか、これからでてくる制度の中身を見てみたいと思います。

 

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【コラム】給付金等の対象となる法人規模

2020-05-07

中小法人等が国から受け取れる持続化給付金(法人は200万円まで、ただし、昨年1年間の売上からの減少分が上限)と東京都から受け取れる東京都感染拡大防止協力金(50万円、2事業所以上で休業等で100万円)ですが、その中小法人等の対象範囲が若干ことなります。

範囲の内容は下記のとおりですが、東京都は「大企業が実質的に経営に参画していない方が対象」とされていて、大企業の子会社は実質的に対象とならない点にご留意ください。


-持続化給付金-
2020年4月1日時点において、次のいずれかを満たす法人であること。
①資本金の額又は出資の総額が10億円未満であること。
②資本金の額又は出資の総額が定められていない場合は、常時使用する従業員の数が2,000人以下であること。
中小企業庁HP参照

-東京都感染拡大防止協力金-
東京都内に主たる事業所又は従たる事業所を有し、かつ中小企業基本法第2条に規定する中小企業及び個人事業主※で、大企業が実質的に経営に参画していない方が対象。
業種分類 中小企業基本法の定義

製造業その他 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人
卸売業 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人
小売業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人
サービス業  資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

 

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【コラム】Web会議

2020-05-05

以下は、新型コロナウイルスが猛威をふるうまでの税理士事務所の働き方の典型例がです。

①毎月お客様のところに公共交通機関を利用して訪問する。

②月次決算の報告、必要に応じて今期の決算予想、納税予想、税務相談などを対面で行う。

③帳票や書類の確認をし、会社で会計データの入力をされている場合は内容の確認、事務所で入力する場合は必要な資料をお預かりする。

④事務所に持ち帰り月次データの入力、月次決算書の作成をして、訪問予定日のアポイントをとり、①へ戻る。

⑤決算月は、決算整理仕訳、決算書・申告書等の作成、基本お客様へ決算・申告のご説明に訪問する。

しかし、新型コロナウイルスの出現により、このような月次・年次のルーティーンができなくなりました。
ホームページのお知らせに記載しましたが、当事務所も、「うつさない・うつらない」を徹底すべく、基本在宅勤務とし、事務所にはやむを得ない場合を除き出勤しない、出勤する場合は時差出勤とすることにしました。

その結果、お客様には大変ご不便をおかけしているところで、改めたお詫び申し上げます。

しかしながら、一方では税理士事務所の働き方を見直すよい機会ともなりました。
具体例を申しあげれば、Web会議です。これまではお客様のところへ訪問し、あるいは来所いただくことによる対面が基本だったわけですが、インターネットを利用したWeb会議である程度代替できることがわかりました。

Web会議ツールとしては、Zoom、Whereby、Skypeなどがあるわけですが、小規模なら無料で使えます。また、設備はネット回線とカメラ付きのパソコン又はパソコンとWebカメラ、あるいはスマホやタブレット端末でも利用でします。設定もさほど難しくありません。

新型コロナウイルスは一定の収束はするものと思いますが、今しばらくは新型コロナウイルスと共存ということになると思います。
今後はこれらのツールを有効に使っていくことも必要だと思っています。
ご利用をお考えのお客様がいらっしゃいましたらぜひお声がけ下さい。

 

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【コラム】テナント家賃補助

2020-04-25

新型コロナウイルスの国民経済への影響を受けて、国民には10万円特別定額給付金、企業にには雇用調整給付金、持続化給付金(法人は200万円、個人事業者は100万円)、さらに地方自治体から感染予防協力金(東京都の場合、50万円、2事業所以上100万円)の経済対策が公表されています。

政府はこれでなんとか中小企業者には7月ころまで持ちこたえてもらって、その次の政策としてテナントの家賃補助を検討しているようです。
与党、野党ともテナントの家賃補助をすることについては合意しているようですが、その補助の方法に大きな差があります。

与党案は、テナント企業に直接給付、野党案は政府系金融機関が肩代わりし、1年程度の猶予期間を設け、肩代わりした金融機関がテナントから家賃を回収するというものです。

与党案は、簡単そうに見えますが、下記のとおり線引が難しく、また、なぜテナントだけなのか給料が減額になった給与所得者はどうするのかといった問題もでてきます。
両案とも一長一短がありますが、野党案の方が優れていると思います。

 

ポイント 問題点
政府・与党 ■テナントである中小・零細企業

■補助金をテナントに直接給付

□対象業種の線引き、都市部と地方の負担が違う

□店の売り上げの増減で家賃が変動する契約内容も多く、制度設計が難しい

□幅広く対象とすれば財政のさらなる悪化を招く

野党4党共同会派 ■2割程度減収になったテナントの中小・零細企業

■不動産所有者が借り手のテナントから賃料を受け取れない場合、政府系金融機関が肩代わり

■テナントが政府系金融機関に賃料を返済する期間も1年猶予

□政府系金融機関が債権を回収できずに焦げ付くおそれがある。

 

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【コラム】テナント賃料の免除

2020-04-24

緊急事態宣言に基づき都道府県知事から営業自粛要請が出ていますが、営業自粛に応じたテナントからビルのオーナーに家賃の一部免除の要請が相次いでいます。
当事務所のクライアントであるビルオーナーのところにもやはり来ています。多いのは、料理・飲食業、衣料・雑貨等の小売業で、要請期間は1ヶ月~半年、減額要請割は合1割~3割と様々です。また、保証金の家賃への充当要請などもあります。

要請されたビルオーナー側にも、ビルの建築資金として銀行借入れしたローンの返済中であったり、父親の相続税が多額で相続税の延納手続きをしてその支払いをしている最中であるなど、それぞれ事情がある場合が少なくありません。

新型コロナウイルスという今まで経験のない事態が起こっているるわけですから、ビルオーナも賃貸借契約を盾に免除要請を一方的に拒否するのではなく、譲れるものは譲る必要があるでしょう。また、テナント側も免除要請(免除のお願い)ですから苦境である根拠をきちんと誠意をもって示す必要があると思います。

ところで、このビルオーナーとテナントとの間で、家賃の一部免除の合意がなされた場合、国土交通省から覚書の記載例が公表されています。参考にされたらいかがでしょうか。
また、この家賃免除は当然のことながら、ビルオーナーからテナントへの寄付金には該当しないことが国税庁のホームページに記載されています。

 

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