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【法人税】税法における中小企業特例その2

2017-05-24

資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人(中小企業者等)(注)については中小企業向けの特例が適用できますが、その主なものはつぎのとおりです。

(注)資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人であっても、資本金の額もしくは出資金の額が1億円を超える同一の大規模法人に発行済株式または出資の総数または総額の2分の1以上を直接所有されている法人および2以上の大規模法人に発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を直接所有されている法人を除きます。

中小企業投資促進税制  中小企業者等が、機械装置等の対象設備を取得や製作等した場合に、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除(資本金等が3,000万円以下の法人に限る)が選択適用できる。
商業・サービス業・農林水産業活性化税制  中小企業者等が、器具備品、建物附属設備を取得や製作等した場合に、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除(資本金等が3,000万円以下の法人に限る)が選択適用できる。
中小企業経営強化税制  中小企業者等が、指定期間内に、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の設備を新規取得等して、指定事業の用に供した場合、即時償却又は取得価額の10%(資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除を選択適用できる。
少額減価償却資産の特例  中小企業者等が、取得価額が30万円未満の減価償却資産(少額減価償却資産)であれば、即時にその全額を経費として算入することができる。

 

 

 

【法人税】税法における中小企業特例その1

2017-05-08

資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人(中小法人等)(注)については中小企業向けの特例が適用できますが、その主なものはつぎのとおりです。。

(注)資本金の額又は出資金の額が1億円以下であっても、資本金の額または出資金の額が5億円以上である大法人との間に完全支配関係がある子会社の場合は除きます。

貸倒引当金の繰入れ 中小法人等は貸倒引当金の繰入の損金算入が認められている。
欠損金等の繰越控除制度 青色申告書を提出する中小法人等は繰越欠損金の控除限度額について所得制限がない。
法人税の軽減税率の適用 中小法人等の年800万円以下の所得については15%の軽減税率が適用される。
特定同族会社の留保金課税制度 中小法人等は留保金課税が適用されない。
交際費等の損金不算入制度 中小法人等の交際費等については、接待飲食費の50%の損金算入と年800万円以下の定額控除のいずれかを選択適用できる。
欠損金の繰戻し還付制度 青色申告書を提出する中小法人等は、前1年以内に開始した事業年度の法人税について、欠損金の繰り戻し還付を受けることができる。

【コラム】中小企業基本法における中小企業

2017-05-07

中小企業庁によると、全事業者数の99.7%が中小企業、全従業者の約70%が中小企業に就業しているとされています。
この中小企業に該当すると、税制、金融、補助金、創業・事業承継支援などのさまざまな恩典がうけられます。

ではこの場合の中小企業基本法における中小企業の定義はどのようになっているでしょうか。

中小企業者 うち小規模事業者
資本金 または 従業員 従業員
製造業その他 3億円以下 300人以下 20人以下
卸売業 1億円以下 100人以下 5人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下 5人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下 5人以下

この場合の従業員は、労働基準法第20条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」を従業員とされています。
第20条(解雇の予告)
①使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
②前項の予告の日数は、1日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
③前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。

第21条
前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。
但し、第1号に該当する者が1箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第2号若しくは第3号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第4号に該当する者が14日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない。
一 日日雇い入れられる者
二 2箇月以内の期間を定めて使用される者
三  季節的業務に4箇月以内の期間を定めて使用される者
四  試の使用期間中の者

詳しくは中小企業庁HPをご参照下さい。

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【コラム】退職給付金の受取方法の有利不利

2017-05-03

退職給付金を一時金で受け取る場合と年金で受け取る場合とでは、どちらが有利なのでしょうか。
その判断要素としては、受取総額、税負担額、社会保険料の三つの要素があると思います。


-受取総額-
年金方式には有期年金と終身年金がありますが、終身年金は少なくなって最近は有期年金が一般的になってきているようです。

年金方式の最大のメリットは、退職金を分割してもらう代わりに企業が退職金を運用してくれるので、一時金で受け取るよりも受取総額が多くなる点です。
例えば退職金を3,000万円、予定利率を2%、10年有期年金だと毎年の年金は334万円なので10年間での受取総額は3,340万円となり、一時金で受け取るよりも総額で340万円多くなります。



-税負担額-

①退職所得
一時金で受け取った場合は退職所得となります。
退職所得の金額は、つぎのように計算します。

退職所得の金額=(収入金額 - 退職所得控除額※) × 1 / 2
勤続年数 ※退職所得控除額
20年以下 40万円 × 勤続年数
20年超 800万円 + 70万円 × (勤続年数 – 20年)

例えば、退職金が3,000万円で38年間勤務した場合の退職所得の金額はつぎのとおりです。

470万円=(3,000万円 - 2,060万円※) × 1 / 2

※800万円+70万円×(38年-20年)=2,060万円

つまり退職金3,000万円を受け取っても税金の課税対象となるのは470万円ですみます。
退職所得課税には、退職所得控除や2分の1課税の他にも、他に所得があったとしても他の所得合算しない分離課税となっていて、税金面で優遇されています。詳しくは国税庁HPをご参照下さい。

②公的年金等に係る雑所得
年金で受け取った場合は、公的年金等に係る雑所得となり、つぎのように計算します。詳しくは国税庁HPをご参照ください。

公的年金等に係る雑所得の金額=公的年金等の収入金額の合計額-公的年金等控除額

公的年金等については公的年金等控除額がありますが、他の所得と合算する総合課税であり、退職所得のように2分の1課税や分離課税といった優遇措置はありません。



-社会保険料-

退職金を一時金で受け取る退職所得の場合は、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料などへの影響はありません。しかし、年金として受け取る場合は公的年金等に係る雑所得として、これら保険料の所得割額の計算対象となる総所得金額等を含まれるため、社会保険料が増える場合があります。

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【コラム】退職年金と国民健康保険料等

2017-05-02

-公的年金等-
年金には、公的年金と私的年金があります。公的年金とは、国などの公的機関が運営するものをいいます。私的年金とは、企業が退職者に支給する企業年金や個人が生命保険会社等と契約する個人年金などをいいます。
このうち「公的年金」と「私的年金のうち企業が退職者に支給する企業年金」などを合わせたものを「公的年金等」と呼びます。
したがって、退職者が退職金を年金で受け取ることとした場合、公的年金となります。この場合の公的年金等は雑所得として所得税や住民税の課税の対象になります。詳しくは国税庁HPをご参照ください。

公的年金等に係る雑所得の金額=公的年金等の収入金額の合計額-公的年金等控除額

-国民健康保険料-
国民健康保険料(税)は、世帯の国保加入者ごとのに医療給付分、後期高齢者支援分及び介護納付金分(40歳~64歳まで)を計算し、その合計額が世帯主に通知されます。これらはそれぞれ所得割額と均等割額からなります。
このうち所得割額についてはつぎのように計算します。

(前年の総所得金額等-基礎控除額33万円)×料率

この場合の総所得金額には、公的年金等に係る雑所得の金額は含まれますが、一時金で受け取る退職所得金額は含まれません。

-後期高齢者医療保険料-
後期高齢者医療制度では、75歳になると被保険者一人ひとりに対して保険料がかかってきます。保険料は、所得割額と均等割額からなります。
このうち所得割額についてはつぎのように計算します。

(前年の総所得金額等-基礎控除額33万円)×料率

この場合の総所得金額には、公的年金等に係る雑所得の金額は含まれますが、一時金で受け取る退職所得金額は含まれません。

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【コラム】退職金等の源泉徴収とふるさと納税

2017-05-01

-退職所得の源泉徴収-
退職給付を一時金で受け取った場合は退職所得となり、原則として他の所得と分離して所得税額や住民税額の計算をします。
退職金等の支払者に「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合は、退職金等の支払者が所得税額・復興特別所得税額及び住民税を計算し源泉徴収するため、原則として確定申告の必要ありません。

-ふるさと納税-
自分の選んだ自治体にふるさと納税をした場合に、寄附額のうち2,000円を越える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度です。
控除を受けるための手続きとしては、ふるさと納税を行った翌年に確定申告を行う必要があります。
ふるさと納税の控除額のうち、確定申告により所得税分が控除され、所得があった年の翌年の住民税から残りが控除されます。なお現在では、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内であれば、ふるさと納税を行った各自治体に申請することで確定申告が不要になる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」も実施されています。

-住民税の源泉徴収からの控除の可否-
個人住民税は、原則として1月1日現在の住所地において、その前年中に生じた所得に対してその翌年に課税する前年所得課税主義をとっています。
しかし、退職所得にかかる住民税は、他の所得と分離して退職所得の発生した年に課税する現年分離課税主義をとっています。

ふるさと納税の控除額のうち住民税部分は所得があった年の翌年の住民税から控除されるため、現年分離課税主義をとっている退職所得からは控除されないことになっています。

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【所得税】退職給付を一時金で受け取った場合の申告の要否

2017-04-26

-申告の概要-
退職給付を一時金で受け取った場合は退職所得となり、原則として他の所得と分離して所得税額や住民税額の計算をします。

①退職金等の支払者に「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合
退職金等の支払者が所得税額・復興特別所得税額及び住民税を計算し源泉徴収するため、原則として確定申告は必要ありません。

②退職金等の支払者に「退職所得の受給に関する申告書」の提出していない場合
退職金等の支払者により、退職手当等の支払金額の20.42%の所得税・復興特別所得税と10%の住民税が源泉徴収されます。退職所得の受給者本人が確定申告を行うことにより所得税額及び復興特別所得税額の精算をすることになります。

-確定申告をする場合-
「退職所得の受給に関する申告書」の提出していない場合の他に、つぎのような場合は確定申告をした方が有利になります。

・年の途中で退職したが再就職しなかったため給与収入がすくなく、給与所得から医療費控除や社会保険料控除等の所得控除が引き切れないといった場合があります。退職金等から所得税等が源泉徴収されていることが前提ですが、このような場合は確定申告することにより、源泉徴収された所得税額等が還付されます。

・退職者がアパート経営などをしていてた、退職してから事業を始めた等の場合で、退職した年の不動産所得や事業所得が赤字になったといったときは、確定申告することにより退職所得と損益通算できます。

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【法人税・所得税】退職給付制度

2017-04-25

人事院の民間の企業年金及び退職金の調査結果によりますと、 企業規模50人以上の民間企業では退職給付制度を有する企業 は9割をこえているそうです。この退職給付制度ですが、そのスタートは江戸時代の「のれん分け」にあるとされています。


わが国における退職給付制度の源流は、江戸時代の商家で使用人の独立時などに行われた「のれん分け」にあるといわれている。明治期以降、熟練労働者の足止め策の一つとして定年退職時に一時金を支給する退職一時金制度が普及・慣行化していった。
しかし、戦後の高度経済成長に伴い退職者数・退職金額が急速に増加したことにより、退職金の支払負担を平準化することが企業経営上の課題として注目されるようになった。
このような状況を背景に、昭和37年に法人税法および所得税法に基づく適格退職年金制度が、昭和40年に厚生年金保険法に基づく厚生年金基金制度が創設された。(企業年金連合会のHPより)


退職給付の支給形態には、一時金で支給する場合と年金で支給する場合があります。後者の場合はさらに、将来の給付額をあらかじめ決められている確定給付型と拠出額(掛金)をあらかじめ決めておき、将来の給付額は拠出額とその運用実績によって決まる確定拠出型ああります。各制度の概要はつぎのとおりです。

支給形態  種 類  説 明
一時金  退職一時金 退職により勤務先から一時に受ける退職手当などの給与等をいいます。
年金 確定給付型 厚生年金基金 企業が従業員と給付の内容を約束し、高齢期において従業員がその内容に基づいた給付を受けることができる確定給付型の企業年金制度の一つ。企業や業界団体等が厚生労働大臣の認可を受けて設立する法人である厚生年金基金が、年金資産を管理・運用して年金給付を行う。国の年金給付のうち老齢厚生年金の一部を代行するとともに、厚生年金基金独自の上乗せ(プラスアルファ)を行うもの。(注)
確定給付企業年金 企業が従業員と給付の内容を約束し、高齢期において従業員がその内容に基づいた給付を受けることができる確定給付型の企業年金制度であり、企業等が厚生労働大臣の認可を受けて法人(企業年金基金)を設立する「基金型」と、労使合意の年金規約を企業等が作成し、厚生労働大臣の承認を受けて実施する「規約型」がある。基金型は企業年金基金、規約型は企業等が、年金資産を管理・運用して年金給付を行う。(注)
自社年金 企業が独自に行う従業員のための退職年金で、税制上の優遇措置はないが、法令による規制もないので、企業は独自の制度設計をすることができる。
確定拠出型 日本版401k 企業等・個人が拠出した掛金は個人ごとに明確に区分され、掛金と個人の運用指図による運用収益との合計額が給付額となる企業年金制度であり、従業員のために企業等が規約を作成し、厚生労働大臣の承認を受けて実施する「企業型」がある。この他に、会社員に限らず、自営業者や専業主婦等でも加入できる「個人型」(国民年金基金連合会が実施)がある(平成29年1月より改正)。(注)

(注)企業年金連合会のHPより

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【コラム】不動産の取得にかかる税金②

2017-04-21

-不動産取得税の概算計算-
不動産販売業者の価格表に記載されていたとします。

(事例) 8,240万円 (うち消費税240万円)

まず、この場合の概算の固定資産税評価額を求めます。

取得価額 価格水準 概算固定資産税評価額
建物 3,240万円
(120㎡)
建築家価額
50%~70%
3,240万円 ×(仮)60%=1,944万円
土地 5,000万円
(100㎡)
公示地価の70% 5,000万円×(仮)70%=3,500万円


<<不動産取得税の計算式>>

建物 (固定資産税評価額-1,200万円(注1))×3%(注2)
土地 (固定資産税評価額)×1/2(注3)× 3%(注2)-軽減額(注4)

(注1)新築住宅で床面積が50㎡以上240㎡以下の場合は1,200万円が控除されます。
(注2)平成30年3月31日までの税率です。
(注3)平成30年3月31日までは1/2します。
(注4)土地1㎡当たりの価格×住宅の床面積の2倍(200㎡までが限度)×3%

建物及び土地について上記計算式に事例を当てはめるとつぎのようになります。
①建物の不動産取得税の概算
(1,944万円-1,200万円)×3%=223,200円

②土地の不動産取得税の概算
(イ)3,500万円×1/2×3%=525,000円
(ロ)軽減額
3,500万円×1/2/÷100㎡=175,000円/㎡
175,000円/㎡×200㎡(120㎡×2=240㎡>200㎡ ∴200㎡)×3%=1,050,000円
(ハ)(イ)-(ロ) <0 ∴0

不動産取得税の概算
建物 223,200円
土地 0円
合計 223,200円


-登録免許税の概算-
<<不動産取得税の計算式>>

売買の場合はつぎのようになります。

建物 固定資産税評価額×1.5%(注)
土地 固定資産税評価額×1.5%(注)

(注)平成32年3月31日までの税率です。

建物及び土地について上記計算式に事例を当てはめるとつぎのようになります。
①建物の登録免許税の概算
1,944万円×1.5%=291,600円

②土地の登録免許税の概算
3,500万円×1.5%=525,000円

登録免許税概算
建物 291,600円
土地 525,000円
合計 816,600円

 

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【コラム】不動産の取得にかかる税金①

2017-04-20

ときどき不動産セミナーなどで「不動産の取得の際にも税金がかかります。」とお話しすると、どのくら位かかるのでしょうかと聞かれることがあります。
契約の際の印紙税は取引金額で決まりますし、建物にかかる消費税・地方消費税は不動産の価額表に明示されています。
簡単ではないのが不動産取得税と登録免許税です。これらは計算の仕組みが複雑なこともありますが、これらはそもそも固定資産台帳に登録されている評価額がわからないと計算できないのです。
新築建物の場合だと、未だ固定資産台帳にさえ登録されていません。したがって、これらの税金は概算ということになります。


-印紙税-
契約書に貼る印紙税は、契約金額に応じて税額が決まっています。なお、消費税が区分表示されている場合は、消費税額は金額に含みません。
具体的には国税庁HPで確認して下さい。

(例) 8,240万円 (うち消費税240万円)
印紙税:5,000万円<8,000万円≦1億円 ⇒ 3万円


-消費税・地方消費税-

不動産販売業者の価格表に記載されています。

(例) 8,240万円 (うち消費税240万円)

ちなみに消費税は土地には課税されませんから、土地と建物のそれぞれの価額はつぎのようになります。
240万円÷8%=3,000万円
建物価額:3,000×(1+0.08)=3,240万円(うち消費税240万円)
土地価額:8,240万円-3,240万円=5,000万円

 

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