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【所得税】出国と国外転出

2017-11-17

出国とは、読んで字のごとく「国を出る」ことですが、所得税法では少し意味合いが違ってきます。

居住者※の出国とは、「納税管理人の届出をしないで国内に住所及び居所を有しないこととなることをいう」とされています。したがって、納税管理人の届出をした上で転勤などで長期間海外に出る場合は、所得税法では出国とはいわないことになります。

※居住者とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいい、非居住者とは、居住者以外の個人をいうとされています。
※※納税管理人とは、確定申告書の提出や税金の納付などを非居住者に代わってする人(法人又は個人)のことです。

一方、国外転出課税制度※※※における国外転出とは、「国内に住所及び居所を有しないこととなることをいう」とされていて、納税管理人の有無を問わないことになっています。
こちらの方が、一般の感覚に近いものとなっています。

※※※国外転出課税制度とは、平成27年7月1日以後に国外転出をする一定の居住者が1億円以上の有価証券等を所有等している場合には、国外転出の時に、その対象資産について譲渡等があったものとみなして、対象資産の含み益に所得税が課税される制度です。

 

∞∞ 吉岡 ∞∞

 

 

 

 

【所得税】サラリーマンの海外転勤その4

2017-11-10

海外勤務等により非居住者となる人が、海外に出発する日までに一定の所得がある場合や、海外に出発した後国内にある不動産の貸付けなどにより日本国内で所得(国内源泉所得)がある場合は、日本で確定申告をする必要があります。

このような場合には、納税管理人を定める必要がありますが、年の中途で海外勤務となった年の確定申告書の提出期限は、出国の時までに納税管理人の届出書を提出したかどうかによって、次のようになります。

① 海外に出国の日までに納税管理人の届出をした場合
その年1月1日から出国の日までに生じた全ての所得及び出国の日の翌日からその年12月31日までの間に生じた国内源泉所得の合計額について、翌年の2月16日から3月15日までの間に納税管理人を通して確定申告をする必要があります。

②上記以外の場合
イ所得が出国の日までの場合・・・その年1月1日から出国する日までの間に生じた全ての所得について、その出国の時までに確定申告(準確定申告)をする必要があります。
なお、海外に出発する日までの所得が給与のみで勤務先において年末調整が行われる場合は、確定申告(準確定申告)や納税管理人の届出をする必要はありません。

ロ出国後にも国内源泉所得がある場合
上記イの確定申告書(準確定申告)を提出した場合であっても、その年1月1日から出国する日までの間に生じた全ての所得及び出国した日の翌日からその年12月31日までの間に生じた国内源泉所得について、翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告をする必要があります。
この場合の納付すべき税額は、すでに納付した上記イの税額を控除した残額となります。また、控除しても控除しきれない場合は還付となります。

なお、海外勤務となった年の翌年以後も、日本国内で国内源泉所得が生じるときは、日本で確定申告が必要になる場合があります。この場合は、翌年の2月16日から3月15日までの間に納税管理人を通して確定申告をすることになります。

 

∞∞ 吉岡 ∞∞

 

【所得税】サラリーマンの海外転勤その3

2017-11-09

サラリーマンの方でも、親からアパートなどを相続したりしていると、不動産所得が生じるため毎年確定申告していると思いますが、もしこの方が海外転勤するとどうなるでしょうか。

海外勤務等により非居住者となる人は、海外に出発する日までに既に一定の所得があるときは、日本で確定申告をする必要があります。

では、例えば海外転勤で家族も帯同するたことになったため、空き家になった自宅を賃貸に出すような場合はどうでしょうか。
海外に出発した後で国内にある不動産の貸付けによる所得が生じた場合でも、日本国内で生じた所得(国内源泉所得)に対してはやはり日本で確定申告が必要になります。

このように海外勤務等により非居住者となる人で確定申告が必要となる場合には、納税管理人※を定めなければならないことになっています。納税管理人は、「所得税の納税管理人の届出書」を税務署に提出します。

※納税管理人とは、確定申告書の提出や税金の納付などを非居住者に代わってする人(法人又は個人)のことです。

 

∞∞吉岡∞∞

 

【所得税】サラリーマンの海外転勤その2

2017-11-02

海外転勤して非居住者になると、以後は海外の勤務に対して給料が支払われることになりますから、その転勤先の国でその国の税金が課されます。

ただし、日本で役員のまま海外転勤した場合には注意が必要です。
海外勤務に対する報酬であっても、日本の法人の役員として受ける報酬については国内源泉所得となり、20.42%の税率で源泉徴収されます。この場合、その役員は日本と転勤先の国で二重に課税されますので、転勤先の国で日本で源泉徴収された税額は控除(外国税額控除)されます。

ただし、その役員が、例えば取締役兼ニューヨーク支店長などのように、海外支店・駐在所等で使用人としての立場で勤する場合には、一般の使用人と変わらないこととから日本で源泉徴収の必要はないことになっています。
また、海外の子会社に勤務する場合であっても、次のいずれの要件を満たす場合は同様に海外支店長等とのバランスを考慮して、源泉徴収しなくてもよいことになっています。
・その子会社の設置が現地の特殊事情に基づくものであって、その子会社の実態が内国法人の支店、出張所と異ならないものであること。
・その役員の子会社における勤務が内国法人の命令に基づくものであって、その内国法人の使用人としての勤務であると認められること。

 

∞∞吉岡∞∞

【所得税】サラリーマンの海外転勤その1

2017-11-01

企業の役員や使用人が海外転勤する場合で、海外勤務の予定期間が1年以上ならば、その者は所得税法では非居住者※扱いになります。

※居住者とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいい、非居住者とは、居住者以外の個人をいうとされています。

年末調整は通常その年の12月に行われますが、次の方は出国の時に日本で支払われた給与等について年末調整を行うことにより所得税の精算を行います。
・扶養控除等(異動)申告書を提出していること
・その年に支払われたた給与等の支給額が2,000万円以下であること

-留意点-
・社会保険料や生命保険料などの控除は、出国する日までに支払われたものに限られます。
・扶養控除や配偶者控除などは、出国の時の現況により判断し、該当する場合は1年分全額控除の対象になります。

生計を一にしていたかどうかや親族関係にあったかどうかは、出国の時の現況によります。
合計所得金額は出国の時の現況により見積もったその年の1月1日から12月31日までの金額となります。

 

∞∞吉岡∞∞

【相続税・国外転出時課税】相続人に非居住者いたら国外転出(相続時)課税に注意!

2017-10-17

相続財産に1億円以上の株式や投資信託などの有価証券等があって、相続人に非居住者がいる場合は要注意です。非居住者である相続人が有価証券等を相続すると国外転出(相続時)課税を受けしまうからです。

この場合、相続税は相続人に課税されますが、非居住者が相続した有価証券等は、被相続人が有価証券等を譲渡したものとみなして所得税が課税されます。被相続人の所得税はその相続人がなくなった日から4か月以内に被相続人の準確定申告をして、所得税の納税義務を負います。

国外転出時課税の場合の有価証券等は、上場有価証券等に限られません。非上場株式も対象となります。
例えば、中小企業の後継者が海外の製造子会社に出向していていた最中、創業者である社長が急死したような場合では、後継者が非上場株式を相続することになると思います。
この場合、後継者を含め相続人は亡くなった創業者の相続税の他に、創業者の国外転出(相続)時課税に係る譲渡所得税も負担しなければなりません。

相続が発生した場合、相続人に非居住者いたら相続税だけでなく、国外転出(相続時)課税も考慮して遺産分割協議を進めることになります。

【所得税・国外転出時課税】多額の有価証券をもっている人が海外勤務になったら!!

2017-10-08

多額の株式や投資信託などの有価証券をお持ちの方が海外勤務となったら国外転出時課税で大変だといわれています。

1億円以上の有価証券を持っている人が国外転出(国内に住所等を有しなくなることをいいます。)すると、その時に持っていた有価証券を一旦譲渡してこれを同時に買い戻したものとみなされる「国外転出時課税」の適用を受けることになっています。
つまり、売ってもいないのに国外転出時の譲渡益の20.315%が所得税課税を受けてしまうということです。

この場合の1億円の判定にあたっては、未決済の信用取引等やデリバティブ取引の含み損益も加減することになっています。
しかし、海外勤務のように長期間日本から離れるよう場合には信用取引やデリバティブ取引は手仕舞いをするでしょうから、国外転出時に未決済のままということは通常ないだろうと思われます。

また、上場有価証券ですが、そもそも非居住者になっても日本の証券会社に口座を持ち続けることができるのでしょうか。どうも現状では、非居住者は証券口座をもてないようです。非居住者となった時点で口座を解約するか休眠口座にせざるを得ないようです。

そうすると国外転出時課税の適用を受けるのは、事実上証券会社の休眠口座に保管されている上場株式か非上場株式ということになるのではないしょうか。

この制度で怖いのは、非上場株式をお持ちの方が国外転出する場合だと考えています。例えば、ある程度事業承継が進み後継者に株式が移転しているような場合で、後継者が海外の生産拠点にしばらく赴任するといったケースです。

 

∞∞吉岡∞∞

 

【地方税】中小企業等経営強化法に基づく税制措置(固定資産税特例)

2017-08-08

中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けた中小企業者等は、取得した対象設備の固定資産税が3年間半分になる固定資産税特例と取得した対象設備の即時償却又は取得価額の10%(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除が認められる中小企業経営強化税制の適用があります。

固定資産税特例
-改正の概要-
これまでの固定資産税特例は,対象設備が工場で多く使われる機械装置に限定されていました。平成29年度の税制改正で、商店やレストランで使われるような冷蔵陳列棚や空調設備等といった器具備品や建物附属設備もその対象となりました。
ただし、機械装置については制限はありませんが、新たに追加された工具(測定工具及び検査工具)、器具備品、建物附属設備については地域・業種限定があります。

-特例の要件-
①対象者
資本金1億円以下の法人で、経営力向上計画の認定を受けたもの

②対象設備
対象設備については,工業会等でつぎの確認を受けた証明書を取得する必要となる。
・生産性向上の確認・・・・・旧モデル比で生産性(単位時間当たりの生産量,精度,エネルギー効率等)が年平均1%以上向上
・販売開始時期確認・・・・・設備毎に定められたつぎの期間内に販売された設備

設備の種類 用途又は細目 最低価額 販売開始時期
機械装置 全て 160万円以上 10年以内
工具 測定工具及び検査工具 30万円以上 5年以内
器具備品 全て 30万円以上 6年以内
建物附属設備 全て 60万円以上 14年以内

③地域・業種限定
最低賃金が全国平均未満の地域については全業種が特例の対象となる(40道県)。また,最低賃金が全国平均以上の都府県(7都府県)であっても,業種別に労働生産性を見ると全国平均未満の水準にある業種も特例の対象となる。
具体的には中小企業庁のHPをご参照下さい。
なお,地域・業種限定の判定については,本社所在地ではなく,設備の設置場所に応じて判定します。

③適用期間
平成29年4月1日から平成31年3月31日

 

【法人税】中小企業経営強化税制の創設

2017-07-22

平成26年度税制改正で創設された生産性向上設備投資促進税制は、即時償却が認められるなどかなり思い切った制度でした。また、中小企業者に対しては、中小企業投資促進税制の対象設備について,その上乗せ措置として即時償却や税額控除(資本金3千万円以下:10%,資本金3千万円超:7%)が設けられていました。
しかしながら、平成29年度3月末でこの制度は廃止となりました。

  上乗せ
<生産性向上設備>
 
中小企業投資促進税制 商業・サービス業・農林水産業活性化税制活性化税制 生産性向上設備等投資促進税制
(29年3月31日まで)

 


平成29年度税制改正において、上記の中小企業に対する上乗せ措置は、新たに中小企業経営強化税制が創設され,対象設備も器具備品・建物附属設備全てに拡充されることになりました。
この中小企業経営強化税制では,従前の中小企業投資促進税制上乗せ措置でも必要であった工業会証明書の取得(A類型)や,投資計画に関する経済産業局(経産局)の確認(B類型)に加え,経営強化法に基づく経営力向上計画の認定が必要となりますので注意が必要です。

中小企業経営強化税制
<生産性向上設備>
中小企業投資促進税制 商業・サービス業・農林水産業活性化税制活性化税制 廃止

【法人税】商業・サービス業・農林水産業活性化税制

2017-07-19

商業・サービス業・農林水産業を営む中小企業者等が、アドバイス機関から経営の改善に関する指導及び助言を受けることを条件に適用できる制度です。

-対象者-
中小企業者等(資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人※)

※ただし、資本金の額若しくは出資金の額が1億円を超える同一の大規模法人に発行済株式または出資の総数または総額の2分の1以上を所有されている法人および2以上の大規模法人に発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を所有されている法人を除く。


-アドバイス機関-

認定経営革新等支援機関※、商工会議所、商工会、農業協同組合、森林組合、漁業協同組合など

※認定経営革新等支援機関とは、中小企業・小規模事業者が安心して経営相談等が受けられるために、専門知識や、実務経験が一定レベル以上の者に対し、国が認定する公的な支援機関です。ちなみに当税理士法人も革新等支援機関として認定を受けています。


-指定事業-

つぎに掲げる事業が対象となります。ただし、性風俗関連特殊営業に該当するものは指定事業から除かれます。

卸売業、小売業、情報通信業、一般旅客自動車運送業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、こん包業、損害保険代理業、不動産業、物品賃貸業、専門サービス業、広告業、技術サービス業、宿泊業、飲食店業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、社会保険・社会福祉・介護事業、サービス業(教育・学習支援業、映画業、協同組合、他に分類されないサービス業(廃棄物処理理業、自動車整備業、機械等修理業、職業・労働者派遣業、その他の事業サービス業))、農業、林業、漁業、水産養殖業


-対象設備

機械及び装置 1台又は1基の取得価額が30万円以上のもの
建物附属設備 一の取得価額が60万円以上のもの

※中古品、貸付の用に供する設備等は原則として対象設備になりません。


-適用内容-

資本金3,000万以下の中小企業 30%特別償却 又は 7%税額控除
資本金3,000万超の中小企業 30%特別償却
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