Author Archive

【相続税】一時相続・二次相続の有利不利(その1)

2021-03-31

男性よりも女性の方が平均寿命が長いので、一時相続で父が亡くなり、次いで二次相続で母が亡くなるというのが相続の場合の典型例でしょう。

ほとんどの場合父と母は年齢も近く、父の一時相続の遺産分割を検討する際には、母の二次相続についても考慮することが望まれます。

これは相続税の負担ということだけでなく、年老いた母が自身の老後をどの様に過ごすか、あるいは子供からすればどのように過ごしてもらうかということでもあります。


[相続税額の負担]
一時相続と二次相続、財産の分割の仕方によって税負担が変わってきます。

要因(小規模宅地等の特例を除く※)

①配偶者の税額軽減
国税庁HP👈クリック)
配偶者が遺産分割により実際に取得した財産の額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからない。
・1億6千万円
・配偶者の法定相続分相当額
②基礎控除額
国税庁HP👈クリック)
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
③相続税の税率構造
国税庁HP👈クリック)
法定相続分に応ずる取得金額に応じて10%〜55%までの超過累進税率
※相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)(国税庁HP👈クリック)を配偶者が受けるか子が受けるかでも一次相続と二次相続で税負担が異なってきますが、複雑になりますのでここでは取り上げていません。

①配偶者の税額軽減
一次相続における遺産分割において、どの程度配偶者が相続財産を取得するかによって配偶者の税額が異なってきます。

②基礎控除
一時相続の場合、例えば相続人が母と子供二人の場合、基礎控除額は4,800万円(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数:3)です。

一方、二次相続では子供二人なので基礎控除額は4,200万円になります。

③相続税の税率構造
現行の相続税の計算方式は法定相続分課税方式※(国税庁HPクリック)を採用しているため、一次相続、二次相続それぞれの相続においてどのような遺産分割をしても相続税の総額は変わりません。

しかし、一次相続で配偶者に多く財産を残せば、二次相続では法定相続人が二人なので法定相続人一人当たりの相続財産が大きくなり、その結果高いところの税率が適用されます。

※現行の相続税法は、相続人が法定相続分で遺産を取得したと仮定して相続税の総額を算出する遺産取得者課税方式を採用しています。

次回でその具体例を検討したいと思います。

∞∞ 吉岡 ∞∞

【所得税】予定納税の計算

2021-03-24

確定申告が1ヶ月延長されましたが、多くの方は令和2年分の確定申告は終えているのではないかと思います。

まだという方は、4月15日はあっという間にきます。頑張って早めに申告を終えるようにしましょう。

確定申告を終えて一段落という方には申し訳ないのですが、所得税には予定納税という制度があります。

予定納税は、その年の5月15日現在において前年の所得金額や源泉徴収税額から、所得税額が一定金額以上になることが見込まれる場合、その年の所得税等の1/3ずつを7月と11月にあらかじめ納付するという制度です。

もっとも予定納税額は税務署が計算をして事前に通知してきますので自分で計算する必要はないのですが、予定納税額を予め知っておけば年間の資金繰りに組み込むことができます。


-予定納税額基準額-
■計算式
次により計算した予定納税基準額が15万円以上となる場合は予定納税が必要となってきます。
なお、予定納税基準額に関する詳しい説明は国税庁HP👈クリックをご参照ください。

A=事業所得+不動産所得+利子所得+配当所得+給与所得
B=(A-所得控除の合計額)×所得税率
C=(源泉徴収額-雑一時等の源泉徴収額)÷1.021
(B-C)×1.021 =予定納税基準額

■具体例
事業所得:10,000,000円、給与所得1,950,000円、所得控除の合計額:1,450,000円、源泉徴収税額:450,000円

A=9,500,000円+1,950,000円=11,450,000円
B=(A-1,450,000円)×所得税率(国税庁HP参照)=1,764,000円
C=(450,000円-0円)÷1.021=440,745円※源泉徴収税額には復興特別所得税2.1%の課税されているので一旦課税前に戻す。
予定納税基準額=(B-C)×1.021 =1,351,043円 > 15万円 ∴予定納税あり
予定納税額:1,351,000円÷3=450,300円
第1期分(7月)450,300円 第2期分(11月)450,300円

-予定納税の納付額と納付期間-
予定納税は、予定納税基準額の3分の1の金額を、第1期分として7月1日から7月31日までに、第2期分として11月1日から11月30日までに納めることになっています。(特別農業所得者以外)

ただし、令和3年分は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、予定納税額の納期限が国税通則法の規定により延長される可能性があります。

-予定納税の減額申請-
その年の6月30日の現況で所得税及び復興特別所得税の見積額が予定納税基準額よりも少なくなる人は、7月15日までに所轄の税務署長に「定納税額の減額申請書」(国税庁HP👈クリック)を提出して承認されれば、予定納税額は減額されます。
なお、第2期分の予定納税額だけの減額申請は11月15日までです(この場合には、10月31日の現況において見積ることとなります。)。

 

∞∞ 吉岡 ∞∞

【所得税】確定申告の添付書類

2021-03-10

今年(令和2年分)の確定申告から、医療費控除の際の領収書を税務署に送付しようとしてもできなくなっています。

どういうことかというと、平成29年度の確定申告から、医療費の領収書の添付は不要となっていています。

その代わりとして「医療費控除の明細書」(国税庁HP👈クリック)に医療を受けた方の氏名、病院・薬局などの支払先の名称ごとにまとめて記入することになっています。
・医療を受けた方の氏名
・病院・薬局など支払先の名称
・医療費の区分
・支払った医療費の額
・そのうち生命保険や社会保険などで補填される金額

なお、医療費控除の明細書を提出した場合、医療費の領収書は申告期限から5年間保管しておかなくてはなりません。


経過措置として、平成29年分から令和元年分までの確定申告については、明細書を確定申告書に添付せず、領収書を確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に提示することによることもできることになっていました。

そこで、5年間領収書を保管するのは大変なので、従来どおり医療費の領収書を税務署に送付し続けていた人も多かったと思います。

それができたのも令和元年分までで、令和2年分の確定申告からは、原則通り「医療費控除の明細書」を添付し、ご自身で領収書を5年間保管しなければならなくなっています。


なお、健康保険組合等の医療保険者からの医療費通知(参考:協会けんぽ👈クリック)を添付することによって医療費控除の明細書の記載を簡略化することができるとされています。

しかし、多くの場合事務手続きの都合で前年の1年分の記載がないため、記載がない医療費等については領収書に基づきご自身で「医療費控除の明細書」を作成せざるを得ず、使い勝手の悪いものになっています。

おそらくあまり利用されていはいないのではないでしょいうか。


ところで、確定申告には電子申告(e-Tax)による場合と、従来どおり確定申告書の用紙で提出する場合とがあります。

電子申告の場合は、第三者作成書類としてその記載内容を入力して送信することにより、これらの書類の税務署への提出又は提示を省略することができるものがあります。

その主なものは次のとおりです。(詳しくは国税庁HP👈クリック)

・医療費の領収書等
・医療費に係る使用証明書等(おむつ証明書など)
・社会保険料控除の証明書
・小規模企業共済等掛金控除の証明書
・生命保険料控除の証明書
・地震保険料控除の証明書
・寄附金控除の証明書
・適用2年目以降の住宅借入金等特別控除に係る借入金年末残高証明書
・認定NPO法人寄附金特別控除の証明書
・公益社団法人等寄附金特別控除の証明書
・給与所得及び公的年金等の源泉徴収票
・上場株式配当等の支払通知書
・特定口座年間取引報告書

 

∞∞ 吉岡 ∞∞

 

【所得税】複雑になった確定申告

2021-03-03

今年の確定申告の期限は、新型コロナウイルス感染拡大による非常事態宣言によって早々に4月15日まで延長(国税庁HP👈クリック)されました。

とはいっても、確定申告会場も「入場整理券」が必要になるなど例年とは勝手が違ってきていますので、早めに着手しましょう。

今年の確定申告は複雑になっています。特に手書きで確定申告書を作成する人は相当戸惑うのではないでしょうか。

■基礎控除が48万円になりました。
今年から基礎控除が38万円から48万円に10万円引き上げられました。

これは、フリーランスや在宅での仕事の請負など働き方が多様化を背景に、給与所得控除と公的年金控除をそれぞれ10万円引き下げる代わりに基礎控除を10万円引き上げたものです。

ただし、基礎控除は生活保障的な意味合があるため、合計所得が2400万円を超えるような高額所得者は徐々に減額され、2500万円を超えると基礎控除はなくなります。(国税庁HP👈クリック)

給与所得控除が引き下げられました。

・給与所得控除額が原則10万円引き下げられました。
・給与所得控除の上限額が給与所得を1000万円超から850万円超に引き下げられました。
・給与所得控除の上限額も220万円から195万円に引き下げられました。
国税庁HP👈クリック)

■公的年金控除が引き下げられました。

・公的年金等控除額が原則10万円引き下げられました。
・公的年金等収入以外の合計所得(国税庁HP👈クリック)1000万円超の人はさらに引き下げられました。
・公的年金等の収入金額に上限がありませんでしたが、公的年金等の収入金額が1,000万円超の場合には上限額が設けられました。
国税庁HPクリック)

■所得金額調整控除の対象となる人は忘れずに!

給与所得と公的年金がある人は、給与所得控除が10万円引き下げられ、公的年金控除も10万円引き下げられると、基礎控除が10万円引き上げられても差し引きで10万円負担が大きくなってしまいます。

また、給与所得控除額の上限が220万円から195万円に引き下げられたことで、年収850万円超の人は負担増とななりますが、一定の事情がある人には配慮されています。

-給与所得と年金所得の両方がある場合-
確定申告で、給与所得控除額に次の所得金額調整控除額を加算します。

所得金額調整控除額 = 年金所得※ + 給与所得※ - 10万
※10万円を超える場合は10万円とする。

-給与所得が850万円を超え、以下のいずれかに該当する場合-
・本人が特別障害者に該当する。
・特別障害者に該当する同一生計配偶者または扶養親族がいる。
・23歳未満の扶養親族がいる。

給与所得控除に次の所得金額調整控除額を加算します。
なお、年末調整も事業主に「所得金額調整控除申告書」を提出することによりこの制度の適用を受けることができますので、対象者の多くは適用済みだとおもいます。

所得金額調整控除額 =(給与の収入金額(※) - 850万円) ×10%
※1,000万円を超える場合は1,000万円とする。

 

∞∞ 吉岡 ∞∞

【コラム】一部の地銀では未だにフロッピーディスク(FD)

2021-02-24

一部の地銀では未だにフロッピーディスク(FD)が使われていたのですね。


「まだフロッピーディスク(FD)を使っているのかと驚かれるが、これが現実なんです」。3.5型の雄だったソニーが国内販売を止めて10年。山形市の山形銀行事務センターには、今も多い日で1日400枚が県内各地から郵送されてくる。業務を担う山銀システムサービス業務第一部長の剣持勇が、重ねられた束を前に苦笑いした。
(日経 2021/02/05)


もっともこの記事に出てくる山形銀行や他の地銀の多くも今年の3月末で取り扱いを終えるようです。

理由は、関連機器が故障しても修理できないこと、銀行の事務コストが大きく採算が合わないことによるようです。

最近、もう一つ驚いたことがありました。


弊行では、かねてよりお取引のある自治体さまと、税公金の取扱いに関する協議を行って参りましたが、2021 年 3 月末をもって、一部の自治体さまと税公金の取扱いを終了させて頂くことになりました。(三菱 UFJ 銀行のHPより 👈クリック)


口座振替やインターネットバンキングなどは引き続き利用できるようです。

かつては銀行側も、たとえ事務コストで採算が取れなくても、自治体の税公金の指定金融機関になることにより、公金の運用や地方債の引き受けといった取引で旨味がありました。

ところが最近の金余りや超低金利でこれらの旨味がなくなり、残ったのは銀行側の事務コストだけになってしまいました。

そのため、銀行としては採算の取れない支店は手数料の値上げを自治体に求めて来ました。結果、自治体に手数料の値上げが受け入れられなかったため、税公金の指定金融機関を辞退することになったようです。

経済産業省は2026年をめどに手形の廃止を目指すようです。また、政府は2022年1月から、所得税や贈与税などで30万円以下の国税は、スマートフォン決済アプリで納付できるようにするそうです。

時代は刻々と変化しています。不自由がないからと今のやり方にこだわっていたら、周回遅れになるのかも知れません。

ちなみに、現在の国税の納付方法は、従来からある納付書による窓口納付や振替納税だけではなく、インターネットバンキングやクレジットカードによる納付も認められています。
国税庁👈クリック)

 

∞∞ 吉岡 ∞∞

【所得税】確定申告と申告期限の延長

2021-02-17

目次
●申告期限の延長
●令和元年分の確定申告の延長との関係
●確定申告をしなければならない人
●還付申告
●納税方法


[申告期限延長]

今年も確定申告が始まりましたが、緊急事態宣言の期間が確定申告期間(令和3年2月 16 日~3月 15 日)と重なるため、申告期限が延長されています。

税 目 当 初 延 長 後
所 得 税 令和3年3月 15 日(月) 令和3年4月 15 日(木)
消費税 令和3年3月 31 日(水)
贈与税 令和3年3月 15 日(月)

振替納税国税庁HPクリック)を利用されている場合は、振替日が次の通り延長されています。

税 目 当 初 延 長 後
所 得 税 令和3年4月 19 日(月) 令和3年5月 31 日(月)
消費税 令和3年4月 23 日(金) 令和3年5月 24 日(月)

国税庁HPクリック)


[令和元年分の確定申告との関係]

新型コロナウイルス感染症の影響によって、令和元年分の確定申告(・・・)を今後される予定の方におかれては、令和2年分の確定申告を行うまでに行っていただくこととなります(令和2年分の確定申告と同時でも差し支えありません。)。

国税庁HPクリック)


[確定申告をしなければならない人]

給与所得者 給与の収入金額が2,000万円を超える人
1ヶ所給与の場合・・・給与所得以外の所得の合計額が20万円を超える人
2ヶ所以上給与の場合・・・年末調整をされていない給与の収入金額と、給与所得の以外の所得金額との合計額が20万円を超える人
同族会社の役員やその親族などで、その同族会社からの給与のほかに、貸付金の利子、店舗・工場などの賃貸料、機械・器具の使用料などの支払を受けている人
公的年金等に係る雑所得のみの者 公的年金等に係る雑所得の金額から所得控除を差し引くと、残額がある人
ただし、公的年金等の収入金額が400万円以下の人は確定申告の必要はありません。
退職所得がある者 外国企業から受け取った退職金など、源泉徴収されないものがある人
その他の者 次の①②③の計算の結果、③において税額が生じる人
①各種の所得の合計額から、所得控除を差し引いて、課税される所得金額を求めます。
②課税される所得金額に所得税の税率を乗じて、所得税額を求めます。
③所得税額から、配当控除額を差し引きます。
ただし、公的年金等の収入金額が400万円以下であり、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である人は、所得税等の確定申告の必要あはりません。

国税庁HPクリック)


[還付申告]
上記[確定申告書を提出しなければならない人]に該当しない場合でも、給与等から源泉徴収された所得税額や予定納税をした所得税額が年間の得税額よりも多いときは、確定申告をすることによって、納め過ぎの所得税の還付を受けることができます。この申告を還付申告といいます。

具体的には次のようなケースです。

なお、還付申告書は確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。

 

年の途中で退職し、年末調整を受けずに源泉徴収税額が納め過ぎとなっているとき
一定の要件のマイホームの取得などをして、住宅ローンがあるとき
マイホームに特定の改修工事をしたとき
認定住宅の新築等をした場合(認定住宅新築等特別税額控除)
災害や盗難などで資産に損害を受けたとき
特定支出控除の適用を受けるとき
多額の医療費を支出したとき
特定の寄附をしたとき
上場株式等に係る譲渡損失の金額を申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得等の金額から控除したとき

国税庁HPクリック)


[納税方法]

ダイレクト納付 e-Taxによる簡単な操作で預貯金口座からの振替により納付する方法
インターネットバンキング等 インターネットバンキング等から納付する方法
クレジットカード納付 「国税クレジットカードお支払サイト」を運営する納付受託者(民間業者)に納付を委託する方法
コンビニ納付(QRコード) コンビニエンスストアの窓口で納付する方法
コンビニ納付(バーコード) 預貯金口座からの振替により納付する方法
振替納税 預貯金口座からの振替により納付する方法
窓口納付(金融機関や税務署の窓口) 金融機関又は所轄の税務署の窓口で納付する方法

 国税庁HPクリック)

 

∞∞ 吉岡 ∞∞

【コラム】後期高齢者の窓口負担

2021-02-10

後期高齢者の医療費の窓口負担が見直されようとしています。

政府は5日、年収200万円以上の後期高齢者が支払う医療費の窓口負担を1割から2割に引き上げる医療制度改革関連法案を閣議決定した。現役世代の健康保険料の伸びを抑えられるが、軽減効果は2025年度で1人あたり年800円にとどまる。給付と負担の見直しは今後も欠かせない。(日経 2021/02/06)

現状の後期高齢者の窓口負担は、次のようになっています。

自己負担割合 前年分の住民税課税所得※
1割 同じ世帯の被保険者全員がいずれも145万円未満の場合
3割 同じ世帯の被保険者の中に145万円以上の方がいる場合

※詳しくは東京都後期高齢者医療広域連合HP参照👈クリック

この住民税課税所得ですが、上場株式等の配当等がある方は、思わぬところで窓口負担が3割になっていまう場合があります。

例えば勤めていた会社が上場会社でその会社の株式を保有していたことにより、毎年配当等を受け取っていたとします。上場会社の配当等には申告不要制度があるため、源泉徴収(所得税等15.315%、住民税5%)だけで課税を終わらすことができます。

ところが確定申告すれば所得税等が還付されることを知り確定申告しました。その結果、税金は還付されたものの配当所得が生じたため、住民税課税所得が145万円をオーバーしまい窓口負担が3割になってしまったということもありえます。

このような場合は、上場株式等については所得税と住民税で異なる課税方法を選択できなす※ので、所得税では総合課税、住民税では申告不要を選択すればこのような事態は回避できます。
※(参考千代田区HP)👈クリック


また、前年の住民税課税所得が145万円以上であっっても、次の要件を満たせば、住所地の市区町村に申請し認定を受けることにより、自己負担の割合を1割に変更することができます。(毎年、申請が必要です)。

後期高齢者医療被保険者数 前年の収入判定基準
世帯に1人 収入額が383万円未満(ただし、383万円以上でも、同じ世帯に他の医療保険制度に加入の70~74歳の方がいる場合は、その方と被保険者の収入合計額が520万円未満)
世帯に複数 収入合計額が520万円未満

ここで注意なければならないのは、収入金額で判定する点です。この点について東京都後期高齢者医療広域連合のホームページに下記の説明書きがあります。

収支上の損益にかかわらず、確定申告したものはすべて上記収入金額に含まれます(ただし、上場株式等に係る配当所得等及び譲渡所得について、個人住民税において申告不要を選択した場合は含まれません)。
例)土地・建物や上場株式等の譲渡損失を損益通算又は繰越控除するため確定申告した場合の売却収入等も収入に含まれます。

詳しくは東京都後期高齢者医療広域連合HP参照👈クリック

 

∞∞ 吉岡 ∞∞

【所得税】異なる事業を始めた場合の青色申告の承認申請

2021-02-03

[事例]

甲は、勤務していた会社の早期退職優遇制度を利用して円満退職、サラリーマン時代の経験と人脈を生かして2020年6月から〇〇◯のコンサルタント事業を開始した。

また、甲はかねてより、ワンルームマンション1室の不動産賃貸業をしていたが、白色申告であった。

甲はコンサルタント業務を行うにあたり初期投資がかさんだため、今年度は相当額の赤字が見込まれるため、所得税の青色申告承認申請手続をして今年度の赤字を翌年度以降に繰り越したいと考えてる。


所得税の青色申告の適用を受けたい場合には、次の期日までに「所得税の青色申告承認申請書(国税庁HP👈クリック)」を提出しなければなりません。

■青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで

■その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日から2月以内

なお、青色申告の承認を受けていた被相続人の事業を相続により承継した場合は、相続開始を知った日(死亡の日)の時期に応じて、次の期間内に提出しなければなりません。

・その死亡の日がその年の1月1日から8月31日までの場合 ・・・死亡の日から4か月以内
・その死亡の日がその年の9月1日から10月31日までの場合 ・・・その年の12月31日まで
・その死亡の日がその年の11月1日から12月31日までの場合 ・・・その年の翌年の2月15日まで

設例のように、すでに白色申告の不動産所得があった場合でも、新たに事業を開始した場合には2ヶ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を提出することで青色申告者となることができるでしょうか。

これについては、すでに白色申告の不動産所得があったため、事業を開始してから2ヶ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を提出しても、その提出した年には青色申告者となることは認められないとする次の採決事例があります。


・・・、本件不動産の貸付けは、・・・「不動産所得を生ずべき業務」に該当し、請求人は・・・、平成13年12月から引き続き本件不動産を貸し付けていたことからすれば、請求人が平成18年10月1日に再生資源回収業という個人事業を開始した時点では、既に請求人は、不動産所得を生ずべき業務を行っていたのであるから、・・・その年の1月16日以後新たに不動産所得又は事業所得を生ずべき業務を開始した者とは認められない。したがって、本件承認申請書の法定の提出期限は、平成18年3月15日である。(国税不服審判所 (平20.9.16、裁決事例集No.76 258頁)👈クリック)


 

∞∞ 吉岡 ∞∞

【所得税】Go Toトラベル・家賃支援給付金の課税

2021-01-28

[基本的な考え方]
所得税の計算上、ある収入の収入計上時期については、その収入すべき権利が確定した日の属する年分となります(所得税法第36条)。

[特定の支出を補填するもの]
助成金等が、支給要綱などで定められた特定の支出(・・・)を補填するものについて、その支給を受けるために必要な手続をしているときには、その支出と同時に、実質的に、助成金を支給する権利が確定していると考えられることから、その収入計上時期は、結果として、所得が生じることがないように、その支出が発生した日の属する年分として取り扱うこととしています(所得税基本通達36・37共-48)。(国税庁HP👈クリック)


[Go Toトラベル事業における給付金]
旅行業者等を通じたご予約で旅行前に決済をした場合、宿泊施設へ直接予約手続きを行った場合で自身で「Go To トラベル事業事務局」に還付請求をした場合、いずれの場合も下記の年分の一時所得の収入金額になります。

□旅行終了時(旅行代金割引相当額)
□クーポン使用時(地域共通クーポン相当額)

一時所得は下記のとおり50万円までの特別控除があるため、ほとんどのケースで所得は生じないと思われます。

総収入金額 - 収入を得るために支出した金額 - 特別控除額(最高50万円) = 一時所得の金額(国税庁HP👈クリック)

ただし、生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金等があったりすると、一時所得が生じる場合がありますのでご留意下さい。


[家賃支援給付金]
家賃支援給付金とは、新型コロナウイルス感染症を契機とした5月の緊急事態宣言の延長などにより、売上の減少に直面するみなさまの事業の継続をささえるため、地代・家賃(以下、賃料)の負担を軽減することを目的として、賃借人(かりぬし)である事業者に対して給付金を給付されます。(中小企業庁HP👈クリック)

新型コロナウイルス感染症の影響などにより、①いずれか1か月の売上が前年の同じ月と比較して50%以上減っている、②連続する3か月の売上の合計が前年の同じ期間の売上の合計と比較して30%以上減っている場合に、個人は最大300万円まで給付されます。

支給決定時又は経費発生時の事業所得又は雑所得の総収入金額に計上することとされています。(国税庁HP👈クリック)

 

∞∞ 吉岡 ∞∞

 

 

 

 

【所得税】持続化給付金・雇用調整助成金の課税

2021-01-26

[基本的な考え方]
所得税の計算上、ある収入の収入計上時期については、その収入すべき権利が確定した日の属する年分となります(所得税法第36条)。

[特定の支出を補填するもの]
助成金等が、支給要綱などで定められた特定の支出(・・・)を補填するものについて、その支給を受けるために必要な手続をしているときには、その支出と同時に、実質的に、助成金を支給する権利が確定していると考えられることから、その収入計上時期は、結果として、所得が生じることがないように、その支出が発生した日の属する年分として取り扱うこととしています(所得税基本通達36・37共-48)。(国税庁HP👈クリック)


[持続化給付金]
持続化給付金は、極めて厳しい経営環境にある事業者の事業継続を支援するため、使途に制約のない資金を給付するものとされています。(経済産業省HPQ15👈クリック)

売上が前年同月比50%以上減少している事業者は、中堅・中小企業、小規模事業者は上限200万円、フリーランスを含む個人事業者は上限100万円の給付が受けられるとあって多くの方が申請されたと思います。

持続化給付金は所得税の課税対象となります。事業所得者は事業所得の総収入金額、給与所得者は一時所得の総収入金額、雑所得者は雑所得の総収入金額にそれぞれ算入されます。

収入への計上時期は支給決定時となっていますので、仮に振り込みが2021年1月であったとしても給付通知書が2020年12月となっていれば2020年度の所得となります。

なお、消費税は課税対象外(不課税)です。


[雇用調整助成金]
雇用調整助成金は、事業主が労働者に休業手当等を支払う場合、その一部を助成する制度です。新型コロナ感染症に伴う特例措置により助成率及び上限額の引き上げがおこなわれています。

最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少していて、労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている場合に適用があります。(厚生労働省HP👈クリック)

従来からある雇用調整助成金は、あらかじめ「計画届」を提出し、休業手当の補てんとして助成金をうけとります。

したがって、上記[特定の支出を補填するもの]に該当するため、助成金の支給額が確定していなくても見積もった上で休業手当を支給する年分の計上することになります。

しかしながら、新型コロナ感染症に伴う特例措置では緊急対応期間中の特例として「計画届」の提出を不要とされ、休業等の実績に基づき支給申請することになっていることから、助成金の支給が確定した年分の収入金額に計上するればよいようです。

 

∞∞ 吉岡 ∞∞

 

 

 

 

« Older Entries Newer Entries »

keyboard_arrow_up

電話番号リンク 問い合わせバナー