年末調整の時期になりました。令和2年の税制改正に伴い、年末調整ために従業員が会社に提出する申告書の用紙も変更されています。
従来の「給与所得者の配偶者控除等申告書」が「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」となりました。
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このうち、「給与所得者の基礎控除申告書」には、給与所得を記載する欄と給与所得以外の所得の合計額を記載する欄が設けられています。
まず、「給与所得」の欄ですが、ここには2以上の支払者がある場合その総額を記載することになっています。
副業として給与所得がある場合はその副業も含めた合計の見積もり額が収入金額になります。
「給与所得以外の所得の合計額」の欄には所得を書くことになっています。
副業がある場合は収入から経費を差し引いた所得の見積もり金額を自分で計算し記載することになります。
ところで、勤務先やその関連会社から複数の給与を受けている場合や会社が副業を認めているような場合は、これらの欄に記入することについて悩むことはありません。
問題は、会社が副業を認めていない場合です。
副業が給与所得の場合、副業先には通常「給与所得の扶養控除等申告書」を提出していないと思われます。
この場合は、副業先の会社は税務署には給与収入が年間50万円を超えていなければ「給与所得の源泉徴収票」が提出されないのですが、副業先が副業をしている人の住所地の市町村に提出する給与支払報告書には金額のすべて記載されてしまいます。
また、副業が給与所得以外の場合も、副業先の会社が税務署に提出する支払調書やその会社の税務調査でやはり税務署がわかる可能性があります。
では、会社に提出する「給与所得者の基礎控除申告書」に副業にかかる部分を記載しないでおいて、別途確定申告をすればどうでしょう。
これは、給与所得者にとって年末調整は義務ですから、意図的に基礎控除申告書に不実の記載するのはルール違反だと思います。
たとえ確定申告したとしても翌年給料から天引きされる住民税の額から、副業していることを会社が知る可能性は残ります。
こういったことの本質は、本来国民は確定申告をするべきところ、年末調整という便宜的な方法で給与の支払い者である会社を介在させ、個人の確定申告の代わりをさせていることにあります。
その結果、寡婦控除やひとり親控除もそうですが、本来国民のプライバシーにかかる部分を会社にオープンにしなければならない結果となっています。
電子申告を含む行政の電子化の機運が高まりつつあります。
そろそろ年末調整という制度の見直しの議論が出てもよいのではないでしょうか。
∞∞ 吉岡 ∞∞