税金の申告にあたって、納税者にとって有利になる制度の適用を受けるための意思表示を、申告期限内の申告で行われなければならないものと、当初の申告において行われなければならないものがあります。
前者を”期限内申告要件”といい、後者を”当初申告要件”といいます。
ちょっと見には同じもののようですが、後者には期限内申告の他に期限後申告も含まれています。
いずれの場合も原則として、更正の請求や修正申告で新たに制度を適用させることはできません。
期限内申告要件のある特例には次のものがあります。
■青色申告65万円控除(所得税関係)
青色申告者の特典の一つで、所得金額から最高65万円又は10万円を控除するという制度です。
この制度の適用を受けるための要件の一つに、次の期限内申告要件があります。
・・・明細書の添付があり、かつ、当該確定申告書をその提出期限までに提出した場合に限り、適用する。(措法25の2) |
■相続時精算課税制度(相続税関係)
この制度を選択すると、 贈与時に2,500万円までの特別控除が認められています。
ただし、贈与者が死亡して相続が発生した場合には、この特例により贈与した財産を相続財産に加算して相続税額を計算するという制度です。
つまり、生前の贈与は相続時に相続税に取り込まれて精算されるという制度です。
なお、一旦相続時精算課税制度を選択すると、暦年課税に戻ることはできません。
この制度の適用を受けるための要件の一つに、次の期限内申告要件があります。
前項(注:相続時精算課税制度)の規定の適用を受けようとする者は、・・・、第28条第1項(注:その年の翌年2月1日から3月15日までの申告期限)の期間内に・・・届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。 |
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