多額の株式や投資信託などの有価証券をお持ちの方が海外勤務となったら国外転出時課税で大変だといわれています。
1億円以上の有価証券を持っている人が国外転出(国内に住所等を有しなくなることをいいます。)すると、その時に持っていた有価証券を一旦譲渡してこれを同時に買い戻したものとみなされる「国外転出時課税」の適用を受けることになっています。
つまり、売ってもいないのに国外転出時の譲渡益の20.315%が所得税課税を受けてしまうということです。
この場合の1億円の判定にあたっては、未決済の信用取引等やデリバティブ取引の含み損益も加減することになっています。
しかし、海外勤務のように長期間日本から離れるよう場合には信用取引やデリバティブ取引は手仕舞いをするでしょうから、国外転出時に未決済のままということは通常ないだろうと思われます。
また、上場有価証券ですが、そもそも非居住者になっても日本の証券会社に口座を持ち続けることができるのでしょうか。どうも現状では、非居住者は証券口座をもてないようです。非居住者となった時点で口座を解約するか休眠口座にせざるを得ないようです。
そうすると国外転出時課税の適用を受けるのは、事実上証券会社の休眠口座に保管されている上場株式か非上場株式ということになるのではないしょうか。
この制度で怖いのは、非上場株式をお持ちの方が国外転出する場合だと考えています。例えば、ある程度事業承継が進み後継者に株式が移転しているような場合で、後継者が海外の生産拠点にしばらく赴任するといったケースです。
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