財務省は企業の経費精算で紙に基づいた税務処理の手続きを見直す。現在は領収書を電子的に読み込んで保存する場合、税務署の事前承認を得たうえで事後的に原本との照合も求められる。こうした煩雑な要件を廃止し紙の書類を廃棄しやすくする。2021年度税制改正での実現をめざす。
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これまでに税務署が承認した電子保存も4千件程度にとどまっているようだ。普及を促すため煩雑な手続きを改める。税務署の事前承認や定期検査は不要にする方向だ。スキャナー保存後に電子データの日時を証明するタイムスタンプを打てば原本の廃棄も認める。(2020/11/08 日経)
早ければ来年(2021年)にもデジタル庁が創設される見込みであることから、財務省としては先手を取ろうということでしょうか。
現行の電子帳簿書類保存法では、電磁的記録による保存、COM(電子計算機出力マイクロフィルム)による保存、スキャナによる保存が認められています。
上記記事はこのスキャナによる保存に関連するものですが、その適用を受けるための要件は極めて煩雑なものとなっています。
例えば、入力期間の制限(おおむね7営業日以内)、タイムスタンプ の付与(例えば1,000スタンプ8,000円といったコストが発生)、適性事務処理要件(相互けんせい、定期的な検査)、帳簿との相互関連性の確保、検索機能の確保、等々です。(詳しくは国税庁H P参照)
単純にPDFにして保管したのでいいじゃないかという意見もあると思いますが、今のPDFはセキュリティーをかけても容易に編集ができてしまいます。
そうすると、データの改ざんができないタイムスタンプ(参考:アマノセキュアジャパンのHP)が必要となりますし、制度の円滑な運用を考えると入力の期間背制限や相互けんせいなども要件として必要になってきます。
つまり、相当程度の経理体制が整った会社でなければ、スキャナ保存一つとってもなかなか実施は難しいのではないかと思います。
∞∞ 吉岡 ∞∞