Archive for the ‘所得税’ Category

【所得税】雑損控除の概要

2017-02-01

最近は台風、集中豪雨、地震などの災害により住宅や家財に深刻な被害を受けるケースが多くなってきました。
所得税では、災害・盗難・横領によって自身やその家族の資産に損害を受けた場合は、その損害額のうち一定額を所得から控除することができる制度があります。これを雑損控除といいます。

 損失の原因

災害、盗難、横領による損失

 対象となる資産の範囲

住宅及び家財を含む生活に通常必要な資産

事業用資産、別荘や競走馬、30万円を超える貴金属、書画、骨とう等の生活に通常必要でない資産は対象とはなりません。

 控除額の計算

つぎのうちいずれか多い方の金額です。

①損失額-所得金額の10分の1
②災害関連支出の金額-5万円

 「災害関連支出」とは、災害により滅失した住宅、家財などを除去するための費用や豪雪による住宅の倒壊を防止するための屋根の雪下ろし費用などの災害に関連したやむを得ない支出をいいます。

 その他の事項

雑損控除の金額について、その年に控除しきれない金額がある場合には、翌年以後3年間繰越控除することができます。

確定申告書に雑損控除に関する事項を記載するとともに、災害関連支出について災害等に関連したやむを得ない支出の金額の領収を証する書類を添付するか、提示する必要があります。

 

 

【所得税】譲渡所得の短期と長期の区分

2017-01-31

譲渡所得は大きく分けて、総合課税の短期と長期、分離課税の短期と長期があります。

総合課税の短期

総合課税の長期

分離課税の短期

分離課税の長期

 

 ①総合課税の譲渡
不動産や有価証券以外の譲渡をいい、ゴルフ会員権、金地金、貴金属、書画骨とうなどを譲渡した場合に総合課税として他の所得(配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得など)と合算します。
保有期間が5年以内の資産を譲渡すると短期譲渡所得、保有期間が5年を超える資産を譲渡すると長期譲渡所得となります。

総合課税の譲渡所得については50万円の特別控除額があり、総合課税の短期譲渡所得から先に控除します。
総合課税の長期譲渡所得は損益通算後2分の1を乗じますので、長期保有の方が短期保有よりも税負担では優遇されています。

②分離課税の短期譲渡
分離課税の譲渡には、不動産と有価証券がありますが、有価証券については保有期間の長短の区別はありません。
不動産を譲渡した場合の長期・短期の区分はつぎのとおりです。
・長期譲渡所得:譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるものをいいます。
・短期譲渡所得:譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のものをいいます。

ご注意いただきたいのは、総合課税の場合と違って長期・短期の区分は、譲渡した年の1月1日で判定する点です。例えば平成28年12月23日に不動産を譲渡したとすると、譲渡した年の1月1日は28年1月1日ですので、平成23年1月1日以後に取得した不動産は短期保有となり、平成22年12月31日以前に取得した不動産は長期保有となります。

長期譲渡所得の場合の税率は20.315%(所得税、復興特別所得税、住民税を含む)ですが、短期保有譲渡所得だと税率は39.63%(所得税、復興特別所得税、住民税を含む)と税率が2倍近くになるので長短の判定は慎重に行う必要があります。

 

 

【所得税】不動産の取得費が不明な場合

2017-01-30

不動産の譲渡所得は、下記の算式で計算します。
譲渡所得=譲渡収入金額-(譲渡資した資産の取得費+譲渡費用)

①売った土地建物が先祖伝来のものであるとか、 買い入れた時期が古いなどのため取得費がわからないことがあります。この場合は、譲渡収入金額の5%相当額を取得費とすることが出来ます。実際の取得費が売った金額の5%相当額を下回ったとしても5%相当額で譲渡所得を計算することができます。例えば譲渡収入金額が3,000万円だとすると150万円(3,000万円×5%)が取得費となります。国税庁HPをご参照下さい。

②それでは、つぎのような場合はどうすればよいのでしょうか?
平成2年に不動産を取得したが、今年に入ってこの不動産を3,000万円で処分した。買値はバブルの頃で1億円を超えていたが、何度かの引越で取得費を証明するものは処分してしまっている。このような場合も取得費は150万円(3,000万円×5%)として譲渡益で申告しなければならないのでしょうか?

③さらに、つぎのような場合はどうすればよいのでしょうか?
昭和50年に不動産を取得したが、今年に入ってこの不動産を3,000万円で譲渡した。買値は1,500万円位だったと記憶しているが、当時の取得費を証明するものは見当たらない。取得費は少なくとも150万円(3,000万円×5%)よりははるかに大きいはずだ。

取得費が不明な場合の取扱いについて税法上明らかになっているのは、実は①の「譲渡収入金額の5%相当額」についてだけです。②の明らかに譲渡損の場合や③の譲渡益がでるが取得費は譲渡収入金額の5%相当額よりもはるかに大きい場合についての規定はありません。

②の場合は、取得費が譲渡価額よりもはるかに大きいことが説明できるように下記のような資料収集をすることになります。
・購入者の当時のメモ
・仲介業者に記録が残っていないか問い合わせる
・売主と連絡が取れる場合は売主側に売買契約書などが残っていないか問い合わせる
・当時の売り出し物件のチラシ
・銀行借り入れで取得した場合は融資の記録など

③の場合は、費用の問題はありますが、費用対効果を考えれば税理士などの専門家に任せた方が無難だと思います。また、税理士に相談しても明文規定がないためその対応は様々だとおもわれます。もちろん、当事務所ではこのような場合も対応しておりますでご相談下さい。

【所得税】不動産譲渡の申告は契約した年でもOK?

2017-01-28

不動産を譲渡した場合いつ申告するかですが、原則は資産の引渡しがあった年ということになります。不動産の売買にあたっては、通常買主は最終代金を支払い、それと同時に売主は所有権移転登記に必要な書類等の交付しますが、このタイミングが引き渡しの日となります。

 しかしながら所得税法の取扱いで、不動産の売買契約の効力発生の日の年に不動産の譲渡があったものとして申告してもよいとされています。通常、不動産の売買契約の締結すると同時に買主は手付金を支払いますが、このタイミングで不動産の譲渡をしたものとすることができます。

契約効力の発生日であろうと引き渡しの日であろうと、通常はどちらでもかまわないのですが、まれに契約効力の発生日に譲渡があったものとして申告する方が有利な場合があります。
例えば、その年に既に不動産の譲渡がありその譲渡が損失であった場合で、年末に別の不動産の売買契約をしたがその引き渡しが翌年で譲渡益が見込まれるのなら、不動産の譲渡損と譲渡益の内部通算するために売買契約を締結した年に譲渡したものとして申告することが考えられます。
また、引き渡しの年には海外転勤が見込まれるなどの場合は、契約効力の発生した日の年に譲渡があったものとして申告・納税を済ましておくと申告の煩わしさから解放されます。

【所得税】配偶者控除、配偶者特別控除の見直し

2017-01-27

政府与党は、税制においてはすでに配偶者特別控除が導入されているため「103万円の壁」は存在しないが、心理的な壁として作用しているなどとして、平成29年度の税制改正において配偶者控除、配偶者特別控除を見直すことにしています。

具体的には、現行では夫の収入が1,000万円以下の場合、妻の給与収入が103万円を超えてもその収入に応じて配偶者特別控除の額を38万円から徐々に逓減させ、妻の給与収入が141万円になるとゼロになるようにしています。

改正案では妻の給与収入が150万円までは配偶者特別控除として38万円満額控除できる仕組みとし、その後は徐々に逓減させ妻の収入が201万円で控除額がゼロになる仕組みに変更するとしています。

ちなみに、150万円というのは、時給1,000円の人が1日6時間、週5日勤務すると年間144万円(1,000円×6時間×5日×4週×12ヶ月)になるので、これを上回る水準だとしています。

この改正に伴い1,500億円の財源が必要となることから、夫が配偶者控除の適用に当たって新たに所得制限を設け、夫の所得が900万円(給与収入1,120万円)未満なら満額38万円、その後は逓減し1,000万円(給与収入1,220万円)を超えると適用がなくなるなどの措置がとられる見込です。詳しくは平成 29 年度税制改正の大綱 をご覧下さい。

 しかしながら、税制よりも、企業や公務員の配偶者手当の存在や社会保険における106万円や130万円の壁の存在の方がむしろ就業調整の動機としては大きく、これを抜本的に見直さない限り「働き方改革」とはならないだろうと思われます。

【所得税】106万円の壁、130万円の壁

2017-01-26

ある一定の収入に達すると社会保険の加入の問題が発生し、収入を増やしたことにより逆に手取額が減ってしまうことを指して、106万円の壁とか130万円の壁と呼ばれています。

1.106万円の壁
(1)所定労働時間および所定労働日数が3/4以上の場合
健康保険や厚生年金の適用事業所で次のいずれにも該当することが常態とするときは、社会保険に加入しなければなりません。
・1週間所定労働時間の3/4以上
・1か月の所定労働日数の3/4以上

(2)所定労働時間および所定労働日数が3/4未満の場合
下記の要件の全て満たす方は、社会保険に加入しなければなりません。
1週間の所定労働時間が20時間以上あること
・雇用期間が1年以上見込まれること
賃金の月額が8万8千円以上であること
・学生でないこと
常時501人以上の企業(特定適用事業所)に勤めていること

この(2)の場合において、8万8千円×12か月=1,056,000円 ⇒ 約106万円となることから、106万円の壁といわれています。

夫がサラリーマンで妻が(1)又は(2)の条件に該当する働き方をすると、妻はサラリーマンである夫の扶養から外れてしまい、自身で健康保険や厚生年金の保険料を支払わなければならなくなります。

2.130万円の壁
夫の勤務先の社会保険の被扶養者となれるかどうかは、【扶養家族の見込み年収が130万円未満、かつ、被保険者の年収の1/2未満】であるかどうかによります。
見込み年収が130万円以上となると、妻は夫の扶養から外れ、妻の勤務先で健康保険や厚生年金の保険料を支払うか、勤務先が社会保険の適用事業所でない場合は市町村役場などで国民年金や国民健康保険の保険料を支払うことになります。

【所得税】もう一つの103万円の壁

2017-01-25

例えば妻のパート収入が103万円を超えると所得が38万円を超えるため、夫は配偶者控除の適用を受けられなくなることを指して103万円の壁と呼ばれています。

103万円の壁にはもう一つ、税制以外の壁があります。それは福利厚生の一環として設けられている配偶者手当です。配偶者手当制度を設けている多くの民間企業ではその基準を年収が103万円(公務員の場合の多くは130万円)未満としていることが多いためこのようにいわれています。

しかしこの配偶者手当も政府の「働き方改革」の一貫で見直される環境が整いつつあり、国や経団連なども配偶者手当を見直し、子育て支援を充実させるため扶養手当を拡充させる方向に動いています。

【所得税】配偶者特別控除

2017-01-24

政府は「一億総活躍社会を実現するために、働き方改革が重要」としています。
この議論の中でよくいわれるのが103万円の壁です。これは、年間103万円を超えて働くと損をするから就業時間を調整するというものです。

妻のパート収入が103万円だと給与所得控除が65万円なので所得は38万円となります。
給与収入103万円-給与所得控除65万円=38万円
夫の所得税の計算において、妻を配偶者控除とするためには妻の所得は38万円以下であることが必要です。したがって、妻が103万円を超えて働くと夫は配偶者控除が受けられなくなるので損だということになります。

これは夫の所得が1,000万円(給与収入が約1,230万円)を超える場合はそのとおりなのですが、1,000万円以下の場合は配偶者控除に代えて配偶者特別控除という制度があるため直ちに損をするとはいいきれません。
現行の配偶者特別控除は下記の表の通りで、妻の収入に応じて夫の配偶者特別控除の額が逓減する仕組みとなっています。つまり、税制における103万円の壁というのは所得が1,000万円超の人はそのとおりですが1,000万円以下の人は必ずしもそうではないといえます。
                               (現行平成28年度)

妻の給与収入

妻の所得金額

夫の配偶者特別控除額

103万円超  ~ 105万円未満

38万円超  ~ 40万円未満

38万円

105万円以上 ~ 110万円未満

40万円以上 ~ 45万円未満

36万円

110万円以上 ~ 115万円未満

45万円以上 ~ 50万円未満

31万円

115万円以上 ~ 120万円未満

50万円以上 ~ 55万円未満

26万円

120万円以上 ~ 125万円未満

55万円以上 ~ 60万円未満

21万円

125万円以上 ~ 130万円未満

60万円以上 ~ 65万円未満

16万円

130万円以上 ~ 135万円未満

65万円以上 ~ 70万円未満

11万円

135万円以上 ~ 140万円未満

70万円以上 ~ 75万円未満

6万円

140万円以上 ~ 141万円未満

75万円以上 ~ 76万円未満

3万円

141万円以上 ~

76万円以上 ~

0円

【所得税】医療費控除の特例の適用を受けるための手続き

2017-01-21

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)の適用を受けるためには、確定申告をする必要があります。確定申告書には、次の書類を添付するか、又は確定申告書の提出の際に提示することになっています。

・その年に健康診査や予防接種など一定の特定の取組を行ったことを明らかにする書類
・その年に購入したスイッチOTC医薬品の領収書

セルフメディケーション税制は、スイッチOTC医薬品を1万2千円以上購入した場合に適用があり、所得控除額の上限は8万8千円です。
課税総所得金額が330万円~695万円までの人の所得税と住民税の合算税率は、30.420%です。
例えば、所得がこの範囲の方がスイッチOTC医薬品を年間で8万円購入した場合、その節税額は次のようになります。

8万円 - 1万2千円 = 6万8千円 < 8万8千円  ∴6万8千円
6万8千円 × 30.420% = 2万685円

 

【所得税】医療費控除か医療費控除の特例か?

2017-01-20

1.病院に行く? 薬局に行く?

① 病院に行った場合 : (治療費+薬代)×医療費の自己負担割合30%+待ち時間
② 薬局にいった場合 : 薬代

① > ② と思うなら薬局に行く
① < ② と思うなら病院に行く

 

2.医療費控除? 医療費控除の特例?

① 1年間の医療費合計 > 10万円(※)          医療費控除を選択する
② 1年間の医療費合計 < 10万円(※)
かつ1年間のスイッチOTC医薬品代合計 > 1万2千円  医療費控除の特例を選択する

      ※その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等5%の金額

« Older Entries Newer Entries »

keyboard_arrow_up

電話番号リンク 問い合わせバナー