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【法人税・消費税・地方税】よく似た名称の税

2020-10-08

企業の経理担当はご存知だと思いますが、法人の申告にはよく似た名前が出てきます。

【地方法人税】
地方の名称がついていますが、法人税とともに納める国税で、法人税の申告書「別表1の次葉」で税額計算し、「別表1」で納付税額を算出します。

平成26年の消費税率の引き上げ(5%→8%)の際の税制改正で創設され、平成28年度に改正されています。

改正の趣旨は、地方法人課税の偏在是正のため、法人住民税法人税割の税率を5.9%引き下げる(都道府県分を3.2%から1%の2.2%、市町村分を9.7%から6%の3.7%、それぞれ引き下げる)とともに、地方法人税の税率を5.9%(引下げ分相当)引き上げることとされました。(国税庁HP 👈クリック)

【地方消費税】
これは、都道府県税ですが、国税である消費税の計算ととともに一旦国に納付します。

国は納付があった月の翌々月末日までに、地方消費税を都道府県に払い込みます。一方、都道府県は徴収取扱費を国に支払います。各都道府県に払い込まれた地方消費税は、都道府県ごとの消費に相当する額に応じてあん分し、清算されます。(東京都HP 👈クリック)

【地方法人特別税 ⇒ 廃止】
平成20年度の税制改正により創設され、地方税である事業税とともに計算しました。
制度の趣旨は、地域間の税源偏在を是正するためですが、消費税を含む税体系の抜本的改革が行われるまでの間の暫定措置でした。

令和元年9月30日までに開始する事業年度をもって廃止され、特別法人事業税に衣替えしました。

【特別法人事業税】
令和元年度税制改正により、地方法人課税における税源の偏在を是正するため、法人事業税の一部を分離し、特別法人事業税が創設されました。(東京都HP👈クリック)

 

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【法人税】グループ間での簿価譲渡

2020-10-07

平成22年度の税制改正により創設されたグループ法人税制により、完全支配関係がある法人間で支出した寄附金の額がある場合には、寄附をした法人の寄附金の額は全額を損金不算入になるとともに、寄附を受けた法人の受贈益の額についてはその全額を益金不算入とすることになりました(法 25 の2、37 ②)。
この場合においては、親法人による子法人の株式の寄附修正が必要となっています(法令9①七、119の3⑥)。

また、完全支配関係にある法人間で譲渡損益調整資産※を譲渡した場合には、その譲渡損益は繰り延べることとされました(法 61 の 13 ①)。

※譲渡損益調整資産とは、固定資産、土地、有価証券、金銭債権及び繰延資産で次に掲げるもの以外のものをいいます。
・売買目的有価証券
・譲受法人において売買目的有価証券とされる有価証券
・その譲渡の直前の帳簿価額が 1,000 万円に満たない資産


ところで、完全支配関係にある親法人から子法人へ譲渡損益調整資産を簿価で譲渡した場合はどうなるでしょうか。
(例)
親法人A社から100%子会社B社へ簿価1億円(時価3億円)の土地を簿価で譲渡した。

【寄附金部分について】
土地の簿価と時価との差額2億円については、親会社A者から子会社B社へ寄附をしたことになります。
グループ法人税制の適用により、親会社A社の寄附金2億円は全額損金不算入、子会社B社の受贈益2億円は全額益金不算入となります。
また、親会社A社においては、子会社株式の2億円を増額する寄附修正が必要となります。

【譲渡益部分の繰延について】
親会社A社の譲渡損益調整資産の譲渡益2億円は、グループ法人税制により繰り延べられることになり、譲渡損益調整勘定として子会社B社がその土地を譲渡等する時まで課税が留保されることになります。

-A社の仕訳-

現金  1億円//土地 1億円
寄付金 2億円//譲渡損益調整勘定2億円
寄付金2億円は全額損金不算入(法37②)
譲渡損益調整勘定による利益の繰り延べ
(法 61 の 13 ②)
子会社株式 2億円//利益積立金 2億円 寄附修正(法令9①七、法令119の3⑥)

-B社の仕訳-

土地 1億円//現金  1億円
土地 2億円//受贈益 2億円
受贈益2億円は全額益金不算入(法25の2①)

 

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【法人税】グループ法人税制の寄附金

2020-10-06

平成22年度改正でグループ法人税制が導入され、法人による完全支配関係にある法人間では、寄附金の額はその全額が損金不算入となり、受贈益の額はその全額が益金不算入とすることになりました(強制的用)。

この規定の適用は、法人による完全支配関係の場合に限られますが、その趣旨はつぎのように説明されています。

これが除外されているのは、例えば親が発行済株式の100%を保有する法人から子が発行済株式の100%を保有する法人への寄附について損金不算入かつ益金不算入とすると、親から子へ経済的価値の移転が無税で行われることとなり、相続税・贈与税の回避に利用されるおそれが強いことによります。(財務省HP 👈クリック)

しかし、寄附をすることによって、寄附をする側から受ける側に何らかの資産が移転しています。
移転した財産に対応する分だけ、寄附をした法人の株式価値が減少し、受ける側の株式価値が増加することになります。

そこで、グループ法人税制においては、親法人において寄附をした側の法人の子会社株式の簿価を減額修正し、寄附を受けた側の子会社株式の簿価を増額修正することとしました。この寄附修正の相手勘定は利益積立金額となります。

この寄附修正の趣旨については、つぎのように説明さてれいます。

グループ法人間の寄附について課税関係を生じさせないこととなるため、これを利用した株式の価値の移転が容易となり、これにより子法人株式の譲渡損を作出する租
税回避が考えられることから、これを防止するために、子法人株式の帳簿価額を調整するものです。(財務省HP 👈クリック)

例えば、A社がB社株式を100%保有する親子間で、A社がB社に資金援助として現金1億円を寄附したとします。
-A社の仕訳-

寄付金 1億円//現金 1億円 寄付金1億円は全額損金不算入(法37②)
子会社株式 1億円//利益積立金 1億円 寄附修正(法令9①七、法令119の3⑥)

-B社の仕訳-

現金 1億円//受贈益 1億円 受贈益1億円は全額益金不算入(法25の2①)

上記の例で、寄附ではなく無利息貸付で、税務調査において2%の利息認定を受けたとしたらどうなるでしょうか。
-A社の仕訳-

貸付金 1億円//現金 1億円
寄付金 200万円//受取利息 200万円 寄付金200万円は全額損金不算入(法37②)
子会社株式 200万円//利益積立金 200万円 寄附修正(法令9①七、法令119の3⑥)

-B社の仕訳-

支払利息 200万円//受贈益 200万円 受贈益200万は全額益金不算入(法25の2①)

この場合、寄附金と認定されのは授受されるべき利息相当額の現金などの資産部分になります。
損益部分である受取利息についてはA社の益金、支払利息についてはB社の損金となります。

したがって、グループ全体では所得は変動しませんが、個別の会社でみると所得は変動します。

 

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【法人税】グループ法人税制外し

2020-10-05

平成22年度の税制改正で、グルー法人税制ができましたが、完全支配関係にある企業グループには強制適用です。
制度創設の趣旨はつぎのとおりです。


グループ法人が一体的に経営されている実態に鑑みれば、グループ内法人間の資産の移転が行われた場合であっても実質的には資産に対する支配は継続していること、グループ内法人間の資産の移転の時点で課税関係を生じさせると円滑な経営資源再配置に対する阻害要因にもなりかねないことから、連結納税の選択の有無にかかわらず、その時点で課税関係を生じさせないことが実態に合った課税上の取扱いと考えられます。
このことから、完全支配関係(・・・)がある内国法人間の取引一般について、次の措置が講じられました。・・・(財務省HP 👈クリック)


このグループ法人税制の中に、譲渡損益調整資産※を100%グループ内の他の内国法人に譲渡した場合には、その譲渡損益を繰り延べるという規定があります。

繰り延べられた譲渡損益は、その譲渡を受けた他の内国法人がグループ外へ譲渡したり、減価償却費の計上に応じて戻し入るとされています。(法 61 の 13)(詳しくは国税庁HP 👈クリック)

※譲渡損益調整資産とは、固定資産、土地、有価証券、金銭債権及び繰延資産で次に掲げるもの以外のもの。
・売買目的有価証券
・譲受法人において売買目的有価証券とされる有価証券
・その譲渡の直前の帳簿価額 が 1,000 万円に満たない資産


「今期相当利益がでそうだ。」という場合に、会社の資産に含み損のあれば、グループ内の他の会社に譲渡して損失を実現させてしまうという節税が(ややグレーですが)行われて来ました。

ところが、グループ法人税制ができたことにより100%グループ内ではできなくなってしまいました。

そこで、総務経理部長に第三者割当増資をして、形式的に100%グループではなくしてしまうことにより、グループ法人税制を逃れた事例があります。
これに対し、課税庁は「 同族会社等の行為又は計算の否認同」(法第132)を適用し、更正処分をした事案があります。



4 請求人は、本件割当増資によって請求人・A社間の完全支配関係を解消し、本件繰延制度の適用要件を不充足とすることにより、同制度の適用を免れ、本来、同制度の適用により繰り延べられるべき固定資産売却損を、各事業年度の所得金額の計算上、損金の額に算入し、法人税額を減少させたものと認められるから、本件割当増資によって「法人税の負担を・・・減少させる結果となる」ものと認めることができる。
5 以上によれば、本件各更正処分は適法である。

裁決年月日 H28-01-06 TAINSコード番号 F0-2-629


 

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【コラム】法人の借入返済と実効税率

2020-10-02

銀行借入れをすると、借り入れの返済が始まります。
返済額は元本とその利息の合計額となりますが、返済原資は企業利益です。

正確に言えば、利息は費用になりますから、利息を払ったあとの税引後当期利益から、元本の返済をすることになります。

元本返済額 = 利益 - 税金
= 利益 - 利益 × 実効税率
= 利益 × (1 - 実効税率)

上記式は、利益 = 元本返済額 / (1 - 実効税率)となります。

元本返済額:1,000
実効税率:(仮)30%
利益 = 1,000 / (1 - 0.3) ≒ 1,428

つまり、設備投資をして毎年の借入返済が1,000だとすると、会社の実効税率が30%なら、元本を返済するためには、約1,428の利払い後の利益を上げ続ける必要があります。

見方を変えれば、それだけの利益をあげられない投資は再検討すべきということになります。


実効税率の求め方は次のとおりです。
正確な実効税率を知りたい場合は、会社の経理担当者か顧問税理士に計算してもらってください。

実効税率= 法人税率×(1+地方法人税率+住民税率)+事業税率+特別法人事業税率
1+事業税率+特別法人事業税率

(具体例)資本金1億円以下、東京都、標準税率の場合

法人税率(800万円超の部分) 23.2%
地方法人税率 23.2%×10.3%= 2.3896%
都民税法人税割(不均一課税適用法人の税率)  23.2%×7.0%= 1.624%
事業税(標準税率) 7.0%
特別法人事業税  7.0%×37%= 2.59%
実効税率 = (分子)36.8036% / (分母)/1.0959 ≒ 33.58%

 

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【所得税・相続税】住所地と国外転出課税

2020-10-01

所得税法と相続税法では、住所地が異なる場合があるという話です。

両者はほとんど同じなのですが、子供が海外留学をしている場合などは、所得税法では日本に住所がないものとして扱われますが、相続税法では日本に住所があるものと扱われます。(下記赤字の部分です。)


所得税法では、居住者か否かで納税義務と課税財産の範囲を定めています。

この場合の居住者ですが、「国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいう。」としとしています。
さらに住所については、次の場合には日本に住所があると推定するとしています。(所令14)

・日本において、継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有すること。
・日本国籍があって、日本に家族がいて、日本での職業や資産内容によって、継続して1年以上居住するものと推測するに足りる事実があること。

逆に、次の場合には日本に住所がないと推定するとしています。(所令15)

・国外において、継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有すること。
・外国籍を有するなどしていて、国内に家族がいなくて、外国での職業や資産内容によって、再び帰国して日本で住むと推測するに足りる事実がないこと。

 


相続税法では、日本に住所があるか否かで、相続税の納税義務と課税財産の範囲を定めています。

この場合の住所ですが、「法に規定する住所とは各人の生活の本拠をいい、生活の本拠であるかどうかは客観的事実によって判定する。」としています。(相基通1の3・1の4共-5)

ただし、相続税法では所得税法とやや趣がちがって、たとえ海外に居住していても、そのことだけで直ちに住所が海外にあるとはしていません。
日本の国籍を有している者で、相続等により財産を取得した時に日本を住んでいなくても、つぎの場合は日本に住所があるとして扱うとしています。(相基通1の3・1の4共-6 )

学術、技芸の習得のため留学している者で日本にいる者の扶養親族となっている者
・国外において勤務その他の人的役務の提供をする者で、国外における人的役務の提供がおおむね1年以内であると見込まれる者(配偶者その他生計を一にする親族でその者と同居している者を含む。)

 

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【相続税】納税義務の変遷③

2020-09-30

納税義務の変遷②の続きです。

在留資格などで日本で一時的に働いていた期間が10年を超えて本国に帰国すると、その者は非居住被相続人とはなりません。

この者について相続が発生すると、全世界財産について日本の相続税がかかってしまうという問題がありました。


平成30年度の税制改正で、非居住被相続人の範囲を拡大しました。

日本に10年超滞在して帰国した外国人の相続開始前10年以内において、国内に住所を有していた期間中継続して日本国籍なしであった者を非居住被相続人とすることによりこの問題に対処しました。

非居住被相続人 相続開始時において日本国内に住所がなかった被相続人であって次に掲げるものをいいます。
①相続の開始前10年以内のいずれかの時において日本国内に住所があったもののうち、そのいずれの時においても日本国籍がなかったもの
②相続の開始前10年以内のいずれの時においても日本に住所がなかったもの

贈与税の納税義務についても相続税と基本的には同じですが、非居住贈与者の範囲が異なります。

非居住贈与者 贈与の時において日本に住所がなかった者であつて次に掲げるものをいいます。
イ贈与前10年以内のいずれかの時において日本に住所があったものであつて次に掲げるもの
日本国籍なし (1)日本に住所を有しなくなつた日前15年以内において、住所を有していた期間の合計が10年以下であるもの
(2)日本に住所を有しなくなつた日前15年以内において、住所を有していた期間の合計が10年を超えるもののうち同日から2年を経過しているもの(※短期非居住贈与者)
ロ贈与前10年以内のいずれの時においても日本に住所を有していたことがないもの

 

※短期非居住贈与者からの贈与については、一旦申告不要とされます。
・短期非居住贈与者が出国後2年以内に国内に住所を有することになった場合には、全世界財産が贈与税の課税の対象となります。
・短期非居住贈与者が出国後2年を経過した場合には、非居住贈与者になり日本国内の財産が贈与税の課税の対象となります。

現行の相続税・贈与税の納税義務については、極めて複雑な規定となっています。
財務省のホームページに表にまとめられたものがありますので参考にしてください。
財務省HP 👈クリック)

 

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【相続税】納税義務の変遷②

2020-09-29

納税義務の変遷①の続きです。
平成25年の税制改正後もいくつかの問題がありました。

①子供に外国籍を持たせ海外に居住させるとともに、親自身も海外に移住すれば、国外財産について相続税が課税されない。
②子供に日本国籍があっても、親子共々5年超海外に移住するすれば、国外財産について相続税が課税されない。
③在留資格などで日本で一時的に働いているにもかかわらず、日本に住所を有しているために、本国にある財産も日本の相続税の課税対象されてしまう。


平成29年の税制改正で、これらの問題ついてつぎのように対応しました。

①について
外国籍で海外に居住する子供であっても、親自身が相続開始前10年以内に日本に住所を有していれば、全世界財産について相続税を課税する。

②について
相続人又は被相続人のいずれかが相続開始前5年以内に日本に住所を有している場合は、全世界財産について相続税を課税するとしていましたが、この5年の期間を10年に伸ばしました。

③について(平成30年度の税制改正で一部変更されていますのでご注意ください。)
日本に住所を有する相続人が一時居住者であって、被相続人が一時居住被相続人又は非居住被相続人である場合は、日本にある財産についてのみ相続税を課税する。

一時居住者 相続開始時に在留資格を有する者で相続開始前15年以内に日本国内に住所を有していた期間の合計が10年以下であるもの。
一時居住被相続人 相続開始時において在留資格を有し、かつ、日本国内に住所があった被相続人であって、相続開始時前15年以内において日本国内に住所をあった期間の合計が10年以下であるものをいいます。
非居住被相続人 相続開始時において日本国内に住所がなかった被相続人であって次に掲げる者をいいます。
①相続開始時前10年以内の何れかの時において日本国内に住所があったことがあるもののうち相続開始時前15年以内において日本国内に住所があった期間の合計が10年以下のもの(この期間引き続き日本国籍を有していなかったものに限る。)
②相続開始時10年以内のいずれの時においても日本国内に住所がなかったもの。

在留資格などで日本で一時的に働いていた期間が10年を超えて本国に帰国すると、その者は非居住被相続人とはなりません。
この者について相続が発生すると、その相続人が日本に住所なし・日本国籍なしであっても、全世界財産について日本の相続税がかかってしまうことになります。

この点について、平成30年度の税制改正で、日本で一時的に働いていた外国人の出国後の一定の相続については、日本にある財産についてのみ相続税の課税をするとこととしました。

 

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【相続税】納税義務の変遷①

2020-09-28

相続が発生した場合、亡くなった人が日本人で相続人も日本人というのであれば、全世界に所在する財産について相続税を納める義務があります。そうでないと不公平だからです。

では、外国人が日本に来て住んでいて相続が発生したら、納税義務はどうなるのでしょうか。


本来、相続税の納税義務については、次のとおり住所をキーとしたシンプルな作りでした。

・相続人が日本に住所を有していれば、日本の国内外を問わずすべての財産(全世界財産)に対して相続税を課税する。
・相続人が日本に住所を有していなければ、日本国内にある財産に対してのみ相続税を課税する。

しかし、これでは子供を海外に移住させれば、国外財産について相続税の課税を回避することができてしまいました。


平成12年の改正(租税特別措置法)で、次のいずれにも該当する場合は全世界財産に納税義務を課すことにしました。

・相続人が日本に住所を有していなくても日本国籍を有している。
・相続人又は被相続人が相続開始前5年以内に日本に住所を有していた。

これでも、相続人が日本国籍でなければよいので、例えば子を米国で出生しそのまま居住させれば、国外財産について相続税の課税を回避することができてしまいました。


平成15年の税制改正で、上記規定は租税特別措置法から相続税法に取り込まれました。
平成25年の税制改正で、相続人が日本に住所も日本国籍も有していない場合であっても、被相続人が相続開始時に日本に住所を有していれば、全世界財産に納税義務があるとしました。

この改正でも、次の場合には国外財産について相続税の課税を回避することができました。
・子供に外国籍を持たせ海外に居住させるとともに、親自身も海外に移住する。
・子供に日本国籍があっても、親子共々5年超海外に移住する。


また、納税義務と課税財産の範囲は、日本における住所の有無で決まってしまうので、在留資格などで日本で一時的に働いている人たちにとっては問題がありました。

この人たちは、日本に住所を有しているために、日本にある財産のみならず、本国にある財産も日本の相続税の課税対象になってしまうからです。

これらの問題に対処するために、平成29年と30年に、相続税の納税義務について改正がされています。

 

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【所得税】住宅ローン減税の特例措置延長の検討

2020-09-25

政府・与党は2021年度の税制改正で、消費増税対策として導入した住宅ローン減税の特例措置延長を検討する。現在は控除を受けられる期間を通常の10年間から13年間に延ばしているが、対象は今年12月末までの入居者。不動産業界は入居期限の2年程度の延長を求めており、政府・与党で協議する。(2020/09/25 日経)


現在一般の場合(住宅ローンの年末残高の上限:4,000万円)の住宅ローン減税は次のようになってます。

1~10年目 住宅ローンの年末残高×1%
11~13年目 次のいずれか少ない額
①年末残高等×1%
②(住宅取得等対価の額-消費税額×2%÷3

・認定長期優良住宅などの認定住宅の場合、住宅ローンの年末残高の上限は5,000万円です。
・11~13年目の算式は、2019年10月からの消費税率の2%引き上げに対応したものです。したがって、住宅取得の際に消費税率8%だった人は対象となりません。

なお、11年目~13年目のローン控除については、令和元年10月1日~令和2年12月31日までの入居が条件でしたが、新型コロナウイルス感染症等の影響により条件が緩和されています。

例えば、新築の場合は令和2年9月末までの契約、令和3年12月31日までに住宅に入居となっています。(詳しくは国税庁HP問6、問7 👈クリック)


ところで、次の表は各銀行の住宅ローン商品の人気順の金利(2020年9月1日現在:変動)です。(価格ドットコムより)

1位 2位 3位 4位 5位
年0.410% 年0.410% 年0.380% 年0.475% 年0.870%

住宅ローン減税は年末残高の1%です。
仮に手元に余裕資金があったとしても、住宅ローンに係る諸費用(融資手数料、団信手数料、登記費用など)を払ってでも、金利次第では住宅ローン減税を受けたほうが有利な場合もあるかもしれません。

 

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