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【相続税】小規模宅地等の特例の適用対象地の合意
相続財産のうちに小規模宅地等の特例(国税庁HP👈クリック)の対象となる宅地等がある場合は、減税効果が大きい※ので適用したい制度です。
※特定事業用宅地等(400㎡まで8割評価減)、 特定同族会社事業用宅地等(400㎡まで8割評価減)、特定居住用宅地等(330㎡まで8割評価減)、貸付事業用宅地等(200㎡まで5割評価減)
この小規模宅地等の特例の適用を受けるには、申告期限(10ヶ月以内)までに共同相続人間で対象となる宅地等が分割されていなければなりません。
ただし、申告期限から3年以内に分割されたときは分割が行われた日の翌日から4か月以内(裁判などでやむを得ない事情がある場合で税務署長の承認を受けたときは、分割できることとなった日の翌日から4ヶ月以内)に更正の請求を行うことができます。
この小規模宅地等の特例の適用対象となる宅地等が複数ある場合には、通常は、評価した宅地等の単価の高いものから順次適用します。
相続税を計算するにあたっては、全体の財産を価額の合計し、これを法定相続分で相続したものとして相続税の総額を算出するため、全体の財産の価額が低くなるように計算した方が有利だからです。(詳しくは国税庁HP👈クリック)
各相続人の相続税額は、この算出した相続税の総額を各相続人が実際に取得した財産の価額で按分計算して求めます。
その結果、相続人個々人では、自分が相続した宅地等について小規模宅地等の特例を受けた方が自身が負担する相続税額に限っては低くなる場合があります。
相続では遺産分割協議についつい目がいってしまいがちですが、小規模宅地等の特例の適用対象となる宅地等が複数ある場合には、誰のどの宅地等から小規模宅地等の特例の適用をうけるか、予め合意しておく必要があります。
なお、相続税の申告書に添付する「小規模宅地等についての課税価格の計算明細書」(国税庁HP👈クリック)には、下記の記載をしなければなりません。
1 特例の適用にあたっての同意 この欄は、小規模宅地等の特例の対象となり得る宅地等を取得した全ての人が次の内容に同意する場合に、その宅地等を取得した全ての人の氏名を記入します。 私(私たち)は、・・(略)・・その取得者が小規模宅地等の特例の適用を受けることに同意します
(注)1 小規模宅地等の特例の対象となり得る宅地等を取得した全ての人の同意がなければ、この特例の適用を受けることはできません。 |
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【消費税】年の途中で遺産分割が確定した場合の納税義務の判定
被相続人が消費税の課税事業者であった場合で、相続人がその事業を承継したときの消費税の納税義務の判定は次のとおりです。(消法10)
相続があった年 | 被相続人の基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円を超えるか否かで納税義務を判定します。 |
相続があった年の翌年又は翌々年 | 被相続人の基準期間の課税売上高と相続人の基準期間の課税売上高との合計額が1,000万円を超えるか否かで判定します。 |
相続人が2人以上いる場合で、被相続人の遺産が各相続人に分割されていない状態のことを共同相続といいます。
この共同相続の場合の消費税の納税義務は、どうなるでしょうか。
このような場合は、法定相続分で判断するとされています。
例えば、被相続人の基準期間の課税売上高が3,000万円だとして、共同相続人が配偶者と子供2人であったします。
この場合、納税義務の判定に用いる被相続人の基準期間における課税売上高は、配偶者は3,000万円×法定相続分1/2=1,500万円、子2人は各3,000万円×法定相続分1/4=750万円となります。
消基通1-5-5( 共同相続の場合の納税義務) 法第10条第1項又は第2項《相続があった場合の納税義務の免除の特例》の規定を適用する場合において、2以上の相続人があるときには、相続財産の分割が実行されるまでの間は被相続人の事業を承継する相続人は確定しないことから、各相続人が共同して被相続人の事業を承継したものとして取り扱う。この場合において、各相続人のその課税期間に係る基準期間における課税売上高は、当該被相続人の基準期間における課税売上高に各相続人の民法第900条各号《法定相続分》(・・・)に規定する相続分に応じた割合を乗じた金額とする。 |
通常、相続財産の分割の実行は年の途中で行われます。
例えば、亡くなったのが2月で、その年中に遺産分割協議が整ったような場合、遺産の分割は相続開始の時に遡ってその効力を生ずる(民法第909条:分割の遡及効)とされていることからどのように判断すればよいでしょうか?
相続財産の分割が年の途中で実行さた場合の扱いは、相続があった年、相続があった年の翌年又は翌々年のいずれも、法定相続分で消費税の納税義務を判断してもよいようです。
その根拠としては、東京国税局と大阪国税局の次の文書回答事例が参考になります。
東京国税局 (平成24年9月18日付) 前年に相続があった場合の共同相続人の消費税の納税義務の判定について |
(国税庁HP👈) | |
大阪国税局 (平成27年3月24日付) 相続があった年に遺産分割協議が行われた場合における共同相続人の消費税の納税義務の判定について |
(国税庁HP👈) |
なお、上記文書回答事例の中で、質問者は、納税義務の判定に用いる被相続人の基準期間における課税売上高を法定相続分で判定することについて、下記の点を掲げています。
■消費税は事業者が販売する商品やサービスの価格に含まれて転嫁していくものであることから、その課税期間が課税事業者に該当するかどうか、特に免税事業者から課税事業者となる場合には、事業者自身が事前に予知しておく必要があること
■課税事業者となる場合には、消費税法に規定する帳簿の記載などが必要となりますのでこれらに対する事前準備や簡易課税制度を選択する、あるいは免税事業者が課税事業者となることを選択する場合は、その課税期間の開始の日の前日までに所定の届出書を納税地の所轄税務署長に提出することなどからも、事前に予知しておく必要があること
■(相続があった年は)被相続人の基準期間における課税売上高だけで納税義務の有無を判定するものですが、相続があった年に、年の途中から、しかも相続の直後に煩雑な事務処理をしなければならないこと
■相続財産が未分割の場合における納税義務の判定方法が消基1-5-5に示されていること
遺産分割があった年の翌年の納税義務の判定については、下記の取扱の規定があります。
消令21( 相続があつた場合の納税義務の免除の特例) 相続により、2以上の事業場を有する被相続人の事業を2以上の相続人が当該2以上の事業場を事業場ごとに分割して承継した場合に・・・については、・・・被相続人の基準期間における課税売上高は、当該被相続人の当該基準期間における課税売上高のうち当該相続人が相続した事業場に係る部分の金額とする。 |
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【消費税】事業を承継した場合の納税義務の判定
消費税の納税義務は、基準期間(個人の場合は2年前)の課税売上高が1,000万円を超える場合と特定期間(前年の1月~6月)の課税売上高と支払給与が1,000万円を超える場合です。
では、被相続人が消費税の課税事業者であった場合で、相続人がその事業を承継したときの納税義務の判定はどのようになるのでしょうか。
1.相続があった年の納税義務の判定(消法10①)
被相続人の事業を承継した相続人に消費税の納税義務※がない場合で、基準期間における被相続人の課税売上高が1,000万円を超える事業を承継したときは、相続のあつた日の翌日からその年12月31日までの間については消費税の課税事業者となります。
つまり、相続があった年は、相続人の基準期間における課税売上高は考慮せず、被相続人の2年前の課税売上高が1,000万円を超えるか否かで納税義務を判定します。
※相続人が課税事業者の選択をしている場合及び特定期間の課税売上高と支払給与が1,000万円を超える場合を除きます。
2.相続があった年の翌年又は翌々年の判定(消法10②)
相続があった年の翌年又は翌々年の基準期間における被相続人の課税売上高と相続人の課税売上高との合計額が1,000万円を超える場合は、相続があった年の翌年又は翌々年については消費税の課税事業者となります。
つまり、相続があった年の翌年、翌々年は、被相続人の基準期間の課税売上高だけでなく、相続人の基準期間の課税売上高も加算して判定します。
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【消費税】事業を承継した相続人の消費税の届け出と期限
被相続人が消費税の課税事業者であった場合で、その被相続人が提出した各種届出は事業を承継した相続人には及ばないので、改めて諸々の届け出をする必要があります。
1.被相続人に関するもの
国税庁HP | 期 限 |
・個人事業者の死亡届出書 | 速やかに |
2.事業を承継する相続人に関するもの
国税庁HP | 期 限 | |
・消費税課税事業者届出書(基準期間用) ・相続・合併・分割等があったことにより課 税 事 業 者 と な る 場 合 の 付 表 |
・速やかに | |
・消費税簡易課税制度選択届書 (消基通13-1-3の2) |
・個人事業を営んでいない相続人が相続により被相続人の事業を承継した場合 →相続があった日の属する課税期間中※に「簡易課税制度選択届出書」を提出 |
|
・相続開始以前から個人事業を営んでいる相続人が相続により被相続人の事業を承継した場合 | ・被相続人が簡易課税制の適用を受けていた場合 →相続があった日の属する課税期間中※に「簡易課税制度選択届出書」を提出 |
|
・被相続人が簡易課税制度の適用を受けていなかった場合 →選択不可 |
||
・消費税課税事業者選択届出書 (消基通1-4-12) |
・個人事業を営んでいない相続人が相続により被相続人の事業を承継した場合 →相続があった日の属する課税期間中※に「課税事業者選択届出書」を提出 |
|
・相続開始以前から個人事業を営んでいる相続人が相続により被相続人の事業を承継した場合 | ・被相続人が課税事業者の選択の適用を受けていた場合 →相続があった日の属する課税期間中※に「課税事業者選択届出書」を提出 |
|
被相続人が課税事業者の選択の適用を受けていなかった場合 →選択不可 |
※提出時期の特例
亡くなった時期によっては、相続があった日の属する課税期間中に「簡易課税制度選択届出書」や「課税事業者選択届出書」を年末までに提出することが事実上困難な場合があります。
このような場合には、亡くなったのが提出期限前おおむね1ヵ月以内のときは、亡くなった年の翌年2月末日までに「消費税簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例承認申請」や「消費税課税事業者選択(不適用)届出に係る特例承認申請書」を提出すれば亡くなった年から課税事業者になることが認められています。
(消基通1-4-16、1-4-17 、13-1-5の2 )
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【コラム】書類のスキャナ保存
財務省は企業の経費精算で紙に基づいた税務処理の手続きを見直す。現在は領収書を電子的に読み込んで保存する場合、税務署の事前承認を得たうえで事後的に原本との照合も求められる。こうした煩雑な要件を廃止し紙の書類を廃棄しやすくする。2021年度税制改正での実現をめざす。
:
これまでに税務署が承認した電子保存も4千件程度にとどまっているようだ。普及を促すため煩雑な手続きを改める。税務署の事前承認や定期検査は不要にする方向だ。スキャナー保存後に電子データの日時を証明するタイムスタンプを打てば原本の廃棄も認める。(2020/11/08 日経)
早ければ来年(2021年)にもデジタル庁が創設される見込みであることから、財務省としては先手を取ろうということでしょうか。
現行の電子帳簿書類保存法では、電磁的記録による保存、COM(電子計算機出力マイクロフィルム)による保存、スキャナによる保存が認められています。
上記記事はこのスキャナによる保存に関連するものですが、その適用を受けるための要件は極めて煩雑なものとなっています。
例えば、入力期間の制限(おおむね7営業日以内)、タイムスタンプ の付与(例えば1,000スタンプ8,000円といったコストが発生)、適性事務処理要件(相互けんせい、定期的な検査)、帳簿との相互関連性の確保、検索機能の確保、等々です。(詳しくは国税庁H P参照)
単純にPDFにして保管したのでいいじゃないかという意見もあると思いますが、今のPDFはセキュリティーをかけても容易に編集ができてしまいます。
そうすると、データの改ざんができないタイムスタンプ(参考:アマノセキュアジャパンのHP)が必要となりますし、制度の円滑な運用を考えると入力の期間背制限や相互けんせいなども要件として必要になってきます。
つまり、相当程度の経理体制が整った会社でなければ、スキャナ保存一つとってもなかなか実施は難しいのではないかと思います。
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【所得税】不動産所得の損益通算
不動産所得の損失は、原則として他の黒字の所得と損益通算できます。(所法69①)
ただし、不動産所得の場合の損失については次の点について留意が必要です。
■生活に通常必要でない資産から生じる損失は原則としてなかったものとされます。(所法69②、法令200)
したがって、別荘等のように主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産の貸付けに係るものの損失は損益通算の対象とはなりません。
■不動産所得の損失の額のうち、必要経費に算入した土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分の金額は損益通算の対象とはなりません。(措法41の4)
土地の取得に要した借入金の額の計算 | 借入金額 ・・・5,000万円 建物の取得価額 ・・・ 3,000万円 5,000万円-3,000万円=2,000万円 ※まず、建物の取得の対価に充てられ、残額が土地の取得の対価に充てられたものとして計算します。 |
土地の取得に要した借入金の利子の額の計算 | 借入金の利子を100万円だとします。 100万円 × 2000万円 /5,000万円= 40万円 |
損益通算の対象とならない不動産所得の損失 | 不動産所得の損失が100万円だとします。 100万円 > 40万円 ∴40万円が損益通算の対象となりません。 |
不動産所得の損失が20万円だとします。 20万円 < 40万円 ∴20万円が損益通算の対象となりません。 |
これは、平成4年に導入された制度で、銀行借入れで不動産を取得し、不動産所得の赤字と給与所得などの他の所得と損益通算するという節税策を規制したもので、不動産バブルの頃の名残です。
■その他にあまり事例としては多くないと思いますが、下記のものがありますが、いずれも過度な節税策を着せしたものです。(措法41の4の2、国税庁HP👈クリック参照)
・不動産所得を生ずべき事業を行う民法組合等の特定組合員(個人組合員のうち、組合事業に係る重要な業務の執行の決定に関与し、かつ、契約を締結するための交渉等を自ら執行する組合員以外のもの)である個人が、組合事業から生じた不動産所得の損失については、損益通算の対象にもなりません。(財務省HP:平成17年度 税制改正の解説)
・特定受益者に該当する個人が、信託から生ずる不動産所得を有する場合において不動産所得の損失の金額があるときは、損益通算の対象とはなりません。(財務省HP:平成19年度 税制改正の解)
なお、国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例(第41条の4の3 )については、2021年(令和3年分)の国外不動産所得の損失からの適用となります。
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【所得税】事業を承継した相続人の所得税の届け出と期限
被相続人が事業を行っていた場合で、その相続人が事業を承継した場合は諸々の手続きが必要です。(なお、消費税については後日UPします。)
1.被相続人に関するもの
被相続人が行なっていた事業に関して、相続人は次の手続きをとらなければなりません。
国税庁HP | 期 限 |
個人事業の開業・廃業等届出書 | 死亡の日から1か月以内 |
所得税の青色申告の取りやめ届出書 | 翌年3月15日まで |
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 | 死亡の日から1か月以内 |
2.事業を承継する相続人に関するもの
被相続人の事業を承継した相続人がとる手続きのうち、所得税に関するものは次のとおりです。
国税庁HP | 期 限 |
個人事業の開業・廃業等届出書 | 事業の開始した日から1月以内 |
所得税の青色申告承認申請書 | ・被相続人青色申告:相続人白色申告 →相続に関係なく翌年の3月15日まで |
・被相続人青色申告:相続人青色申告 →手続き不要 |
|
・被相続人青色申告:相続人事業を営んでいなかった →下記※参照 |
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・被相続人白色申告:相続人白色申告 →相続に関係なく翌年の3月15日まで |
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・被相続人白色申告:相続人青色申告 →手続き不要 |
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・被相続人白色申告:相続人事業を営んでいなかった →亡くなった日に応じて次のとおり 1月1日から1月15日までに亡くなった場合・・・亡くなった年の3月15日まで 1月16日以降に亡くなった場・・・亡くなった日から2ヵ月以内 |
|
青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書 | 1月1日から1月15日までに亡くなった場合・・・亡くなった年の3月15日まで 1月16日以降に亡くなった場合・・・亡くなった日から2ヵ月以内 |
※次の②又は③に該当する場合は期限に要注意です。
被相続人の準確定申告の期限(4ヶ月)よりも前に相続人は青色申告承認申請書を提出しなければならないケースがあります。
①その死亡の日がその年の1月1日から8月31日までの場合 | 死亡の日から4か月以内 |
②その死亡の日がその年の9月1日から10月31日までの場合 | その年の12月31日まで |
③その死亡の日がその年の11月1日から12月31日までの場合 | その年の翌年の2月15日まで |
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【所得税】未分割不動産の家賃の帰属
確定申告の必要がある人が年の途中で亡くなったっ場合は、相続人等は1月1日から死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算した準確定申告書を、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告し、納税をしなければなりません。
ただし、1月1日から確定申告期限(原則として翌年3月15日)までの間に確定申告書を提出しないで死亡した場合の準確定申告の期限は、前年分、本年分とも相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内となります。
例えば不動産所得のある方が、9月15日に亡くなり、遺産分割協議が翌年の4月30日に整ったとします。
この場合のこの不動産に係る不動産所得の計算の期間は次のようになります。
①亡くなった年の1月1日~9月15日まで期間 | 相続人等は亡くなった年の翌年の1月15日(4ヶ月以内)までに準確定申告をする。 |
②亡くなった年の9月16日~12月31日までの期間 | 共同相続人は、それぞれ法定相続分に応じて確定申告期限(亡くなった年の翌年3月15日)までに確定申告をする。 |
③亡くなった年の翌年の1月1日~4月29日までの期間 | 共同相続人は、それぞれ法定相続分に応じて確定申告期限(亡くなった年の翌々年3月15日)までに確定申告をする。 |
④亡くなった年の翌年の4月30日~12月31日までの期間 | 不動産を相続した相続人は、確定申告期限(亡くなった年の翌々年3月15日)までに確定申告をする。 |
民法では、遺産分割は相続の開始の時にさかのぼって効力を生ずるとする「遡及効」があるとされています(民法909)
遺産分割協議で不動産を相続する人が確定したのなら、亡くなってから不動産の帰属が確定するまでの間の家賃や経費は、その相続した人に帰属させるべきではないかという見方ができます。
遡及効があるのなら、亡くなった年の翌年の家賃や経費はもとより、亡くなった年の9月16日~12月31日までの期間についても、共同相続人は所得金額を是正するために修正申告や更正の請求をすべきということになります。
これについては、未分割財産に係る家賃などの法定果実は相続財産そのものではないから、遺産分割の遡及効果が及ぶものではない、とする最高裁判決があり、課税庁も同様の見解です。(国税庁HP👈クリック)
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【所得税】不動産所得の収入の計上時期
不動産賃貸契約書では、多くの場合翌月分の家賃は前月末日までの支払という取り決めのになっているのではないでしょうか。
そうすると、個人の大家さんの場合で、12月31日までに入金される家賃は翌年1月分の家賃となります。
この12月31日までに入金された家賃は今年の不動産所得の収入金額になるのでしょうか、それとも来年の収入金額になるのでしょうか。
所得税法では、次のように定めれれています。
36-5(不動産所得の総収入金額の収入すべき時期) (1)不動産所得の総収入金額の収入すべき時期は、別段の定めのある場合を除き、それぞれ次に掲げる日によるものとする。契約又は慣習により支払日が定められているものについてはその支払日、支払日が定められていないものについてはその支払を受けた日(請求があったときに支払うべきものとされているものについては、その請求の日) : |
したがって、たとえ来年1月分の家賃であっても、契約書で支払日が今年の12月31日までと定めていれば、原則として今年の家賃収入となります。
一定の要件がありますが、前受家賃や未収家賃として来年の家賃とする方法があります。
(国税庁HP👈クリック)
■不動産等の貸付けが事業として行なわれている場合
1.原則
その契約に定められている賃貸料の支払日の属する年分の収入金額に算入する。
2.例外
次のいずれにも該当するときは、その賃貸料にかかる貸付期間の経過に応じ収入金額に算入することができる。
①帳簿書類を備えて継続的に記帳し、その記帳に基づいて不動産所得の金額を計算していること。
②その者の不動産等の賃貸料※にかかる収入金額の全部について、継続的に前受収益および未収収益の経理が行なわれていること。
③その者の1年をこえる期間にかかる賃貸料収入については、その前受収益または未収収益についての明細書を確定申告書に添付していること。
※「不動産等の賃貸料」には、不動産等の貸付けに伴い一時に受ける頭金、権利金、名義書替料、更新料、礼金等は含まれない。
■不動産等の貸付けが事業(国税庁HP👈クリック)として行なわれていない場合
1.原則
その契約に定められている賃貸料の支払日の属する年分の収入金額に算入する。
2.例外
次のいずれにも該当するときは、その賃貸料にかかる貸付期間の経過に応じ収入金額に算入することができる。
①上記①に該当すること。
②その者の1年以内の期間にかかる不動産等の賃貸料の収入金額の全部について上記②に該当すること。
■小規模事業者の収入及び費用の帰属時期の特例
青色申告者で不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を行うもののうち小規模事業者として次の要件に該当するものは、現金主義により所得金額を計算できます。(所法67、所令195)
① その年の前々年分の不動産所得の金額及び事業所得の金額(青色専従者給与又は事業専従者控除の規定を適用しないで計算した金額)の合計額が300万円以下であること
② すでにこの現金主義の適用を受け、その後適用を受けないこととなった者については、再びこの現金主義の規定の適用を受けることにつき納税地の所轄税務署長の承認を受けた者であること
なお、青色申告の承認申請とともにこの特例の適用を受けるための手続をする場合には、「所得税の青色申告承認申請書(兼)現金主義の所得計算による旨の届出書」(国税庁HP👈クリック)を、過去にこの特例を受けていた場合には、「再び現金主義による所得計算の特例の適用を受けることの承認申請書」(国税庁HP👈クリック)を提出しなければなりません。
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【コラム】金の密輸
消費税不正、40億円を追徴課税…金地金買い取り業者など80法人・個人
国税当局が、全国の免税店などを対象に消費税の不正申告の有無を調べる一斉税務調査を行い、約80の法人と個人に計約40億円を追徴課税したことが関係者の話でわかった。うち約30億円は金地金買い取り業者2社への課税で、中国人などから金地金を買い取ったとする帳簿の記載に裏付けがないと判断された。(2020年10月28日 読売新聞)
金地金密輸のスキーム
①日本から現金を持ち出す。(仮3,500万円)
②香港・シンガポールなど消費税がかからない国で金地金を購入する。(仮5kg 3,500万円)
③税関で輸入申告をしないで入国
※本来なら携帯品・別送品とした場合でも輸入消費税10%がかかります。
※実際には、現地で買い付けた金地金を小分けにして運び屋を使うようです。
※地金(純度 90%以上)の重量が 1 ㎏を超える場合は、税関へ「支払手段等の携帯輸出・輸入届出書」を提出しなければなりません。(通関案内PDF参照)
④密輸業者は金の買取業者に消費税10%を上乗せして売却(消費税分350万円の儲け)
※3,850万円-3,500万円=350万円
⑤金の買取業者から大手商社に転売
※買取価額と売却価額との差が利益になります。
⑥大手商社が金国際市場へ輸出(ロンドン、シンガポール、香港等)
※買取価額と売却価額との差が利益になります。
※消費税分350万円は輸出免税として還付されます。
(財務省資料を参考としました。)
金地金の密輸の対策としては、密輸業者を厳しく取り締まる一方、密輸しても用意に換金できないような仕組みづくりが必要です。
平成30年度の税制改正で罰則の強化(財務省:税制改正の解説より)
罰則規定 | 改正前 | 改正後 |
消費税法第64条 (消費税ほ脱) |
1,000万円 又は 脱税額が1,000万円超の場合は脱税額 |
1,000万円 又は 脱税額の10倍が1,000万円超の場合は脱税額の10倍 |
地方税法第72条の109 (地方消費税ほ脱) |
1,000万円 又は 脱税額が1,000万円超の場合は脱税額 |
1,000万円 又は 脱税額の10倍が1,000万円超の場合は脱税額の10倍 |
関税法第111条 (無許可輸出入罪) |
500万円 | 1,000万円 又は 貨物の価格の 5 倍が1,000万円超の場合は貨物の価格の 5 倍 |
令和元年度税制改正で金地金等の密輸に対応するための消費税における仕入税額控除の見直し(財務省:税制改正の解説より)
改正前 | 改正後 |
金地金等の課税仕入れについては、 ・密輸品であったとしても、 ・課税仕入れ等の事実を記載した帳簿を保存することに より、仕入税額控除が可能 |
⑴仕入税額控除の要件強化 金又は白金の地金に係る仕入税額控除について、「本人確認書類※の保存」を要件に追加する。 ※本人確認書類 個人:免許証、パスポート等 法人:登記事項証明書等 |
⑵仕入税額控除の制限 密輸品と知りながら行った課税仕入れについて、仕入税額控除を認めないこととする。 |
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