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【法人税】中小企業投資促進税制

2017-06-26

中小企業投資促進税制は、指定事業や対象設備の要件さえ満たせば他に特別な手続きを必要としないため、中小企業ではもっとも利用されている制度の一つだと思います。


-対象者-

中小企業者等(資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人※)

※ただし、資本金の額若しくは出資金の額が1億円を超える同一の大規模法人に発行済株式または出資の総数または総額の2分の1以上を所有されている法人および2以上の大規模法人に発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を所有されている法人を除く。


-指定事業-

つぎに掲げる事業が対象となります。ただし、性風俗関連特殊営業に該当するものは指定事業から除かれます。

製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業を除く)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、通信業、損害保険代理業及びサービス業(物品賃貸業及び映画業以外の娯楽業を除く)


-対象設備-

機械及び装置 1台160万以上
測定工具及び検査工具 1台120万以上、1台30万以上かつ複数合計120万以上
一定のソフトウェア 一のソフトウェアが70万以上、複数合計70万以上
貨物自動車 車両総重量3.5トン以上
内航船舶 取得価格の75%が対象


-適用内容-

資本金3,000万以下の中小企業 30%特別償却 又は 7%税額控除
資本金3,000万超の中小企業 30%特別償却

【所得税】国外転出時課税制度/非上場株式の時価に注意

2017-06-21

国外転出時課税、国外転出(贈与)時課税及び国外転出(相続)時課税のいずれの場合も、有価証券等の時価からその取得価額を控除した含み益に対して所得税等が課税されます。

この場合において有価証券等が上場していて時価が判る場合の含み益は比較的容易に計算することができます。
ところが、非上場株式の場合は時価そのものを自らが求めなくてはなりません。その計算方法の詳細はここでは割愛しますが、基本的には相続税や贈与税の場合の非上場株式の評価方法に準じて計算します。
しかし、その者が25%以上持つ大株主グループに属している場合は、相続税法の評価方法とはつぎの点で異なります。
・評価する会社の規模に関係なく常に「小会社」に該当するものとします。つまり、「純資産価額」か「類似業種比準価額×0.5+純資産価額×0.5」のいずれか低い価額での評価となります。
・土地等の評価額は路線価等の評価額ではなく時価で評価します。
・上場有価証券はその時の時価で評価します。
・純資産価額の計算においては、評価差額に対する法人税額等に相当する金額は控除しません。

その結果、非上場株式の評価額が相続(贈与)税評価額の何倍にもなってしまうこともあります。
(例)
会社規模は大会社、類似業種比準価額は500円/株、純資産価額8,000円/株(土地及び上場有価証券は時価、評価差額に対する法人税額等控除なし)
居住者である祖父が、非居住者である孫に6,000株贈与した場合の、孫の贈与税額はつぎのとおりです。
1株あたりの価格=500円
500円/株×6,000株=3,000,000円
贈与税額=(3,000,000円-基礎控除1,100,000円)×贈与税率10%=190,000円

この場合において、祖父は有価証券等を1億円以上有しているなど国外転出(贈与)時課税制度の条件を満たしているとした場合の祖父が負担する所得税等はつぎのとおりです。
1株あたりの価格=500円×0.5+8,000円×0.5=4,250円
1株あたりの含み益=4,250円-500円※=3,750円 ※1株あたり取得価額を500円とします。
譲渡所得金額=3,750円×6,000株=22,500,000円
所得税等=22,500,000円×税率15.315%(復興特別所得税を含む)=3,445,800円(100円未満切り捨て)

国外転出時課税制度における非上場株式の含み益を計算する場合は、相続(贈与)税の評価額を用いるのではなく、所得税における評価額を用いる点に留意する必要があります。

【所得税】国外転出(相続)課税制度

2017-06-18

国外転出時課税制度、国外転出(贈与)時課税制度の他にもう一つ、国外転出(相続時)時課税制度があります。
国外転出(相続)時課税は、相続開始の時点で1億円以上の対象資産を所有等している居住者が亡くなり、非居住者である相続人等がその相続又は遺贈により対象資産を取得した場合に、その相続開始の時に、相続対象資産の譲渡等があったものとみなして、その相続対象資産の含み益に対して被相続人に所得税が課税される制度です。また、国外転出(相続)時課税においても、国外転出時課税や国外転出(贈与)時課税制度と同様に、納税猶予制度やこの制度の適用がなかったものとされる等の減額措置を受けることができます。

【所得税】国外転出(贈与)時課税制度の軽減措置

2017-06-17

国外転出(贈与)時課税制度も、国外転出時課税制と同様に軽減措置があります。

-納税猶予-
国外転出時までに納税管理人を選任しその届出をしたうえで、つぎの要件を満たせば5年間(最長10年間)納税が猶予されることになっています。

確定申告時 一定の書類を添付した確定申告書を提出し、かつ、納税猶予分の所得税額及び利子税額に相当する担保を提供する必要がります。
納税猶予期間中 納税猶予期間中の各年12月31日に所有している対象資産について、継続適用届出書を、翌年3月15日の提出期限までに、所轄税務署に提出する必要があります。なお、提出期限までに提出がなかった場合は、その期限から4か月を経過する日に納税猶予期限が確定し、納税が猶予されていた所得税及び利子税を納付することとなります。
期限延長 納税猶予期限を5年延長することができます。延長するためには、国外転出の日から5年を経過する日までに、延長届出書を所轄税務署に提出する必要があります。延長後の納税猶予期限は国外転出の日から10年を経過する日となります。

 

-適用がなかったものとされる場合-
贈与等の日から5年を経過する日(期限延長をしている場合は10年)までにつぎの場合に該当するときは、帰国などをした日から4か月以内に、国外転出をした年分の所得税について更正の請求によ国外転出(贈与)時課税の適用がなかったものとすることができます。

① 帰国(国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有することとなることをいいます。)をした場合
② 対象資産を居住者に贈与した場合
③国外転出時課税の申告をした方が亡くなり、その国外転出の時において有していた対象資産を相続(限定承認に係るものを除きます。)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除きます。)により取得した相続人及び受遺者の全員が居住者となった場合

なお、対象資産の所得の計算につき、その計算の基礎となるべき事実の全部又は一部について、隠蔽又は仮装があった場合には、その隠蔽又は仮装があった事実に基づく所得については、課税取消しは認められません。

 

【所得税】国外転出(贈与)時課税制度とその対象者

2017-06-12

国外転出時課税制度は、有価証券などの対象資産を1億円以上有している方が、国外転出(国内に住所及び居所を有しなくなること)すると、その時に譲渡があったものとみなされ、その含み益に対して譲渡所得税が課されてしまう制度でした。
またこの制度は、国外転出時だけでなく非居住者に対象資産を贈与した場合や非居住者が対象資産を相続した場合にも、国外転出時課税と同様にその含み益に対して譲渡所得税が課されてしまいます。
ここでは、国外転出(贈与)時課税制度について説明します。

-対象者-
贈与の時において、次の①及び②のいずれにも該当する居住者である贈与者が、国外転出(贈与)時課税の対象者となります。なお、贈与をした居住に譲渡所得が課税される点にご留意下さい。

① 贈与者が所有等している対象資産(注1)の贈与の時の価額の合計額が1億円以上(注2)であること。
② 贈与の日前10年以内において贈与者が国内に5年を超えて住所又は居所を有していること。

(注1)対象資産
・有価証券等(株式や投資信託等、 匿名組合契約の出資の持分の価額に相当する金額)
・未決済信用取引等(未決済の信用取引、未決済の発行日取引)
・未決済デリバティブ取引

(注2)1億円以上
この場合の1億円以上については、非居住者へ贈与した贈与対象資産のみで判定するのではなく、その贈与対象資産を含めてた贈与の時に贈与者が所有等していた対象資産の全ての合計額が1億円以上となるかどうかで判定します。

【所得税】国外転出時課税制度の適用がなかったものとされる場合

2017-06-08

国外転出時課税制度は、有価証券などの対象資産を1億円以上有している方が、国外転出(国内に住所及び居所を有しなくなること)すると、その時に譲渡があったものとみなされ、その含み益に対して譲渡所得税が課されてしまう制度です。

しかし、国外転出の日から5年を経過する日(期限延長をしている場合は10年)までにつぎの場合に該当するときは、帰国などをした日から4か月以内に、国外転出をした年分の所得税について更正の請求によ国外転出時課税の適用がなかったものとすることができます。

① 帰国(国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有することとなることをいいます。)をした場合
② 対象資産を居住者に贈与した場合
③国外転出時課税の申告をした方が亡くなり、その国外転出の時において有していた対象資産を相続(限定承認に係るものを除きます。)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除きます。)により取得した相続人及び受遺者の全員が居住者となった場合

なお、対象資産の所得の計算につき、その計算の基礎となるべき事実の全部又は一部について、隠蔽又は仮装があった場合には、その隠蔽又は仮装があった事実に基づく所得については、課税取消しは認められません。

【所得税】国外転出時課税制度における納税猶予制度

2017-06-06

国外転出時課税制度は、有価証券などの対象資産を1億円以上有している方が、国外転出(国内に住所及び居所を有しなくなること)すると、その時に譲渡があったものとみなされ、その含み益に対して譲渡所得税が課されてしまう制度です。
しかし、売ってもいないのに税金が課税されると納税ができないこともあります。そこで、国外転出時までに納税管理人を選任しその届出をしたうえで、つぎの要件を満たせば5年間(最長10年間)納税が猶予されることになっています。

確定申告時 一定の書類を添付した確定申告書を提出し、かつ、納税猶予分の所得税額及び利子税額に相当する担保を提供する必要がります。
納税猶予期間中 納税猶予期間中の各年12月31日に所有している対象資産について、継続適用届出書を、翌年3月15日の提出期限までに、所轄税務署に提出する必要があります。なお、提出期限までに提出がなかった場合は、その期限から4か月を経過する日に納税猶予期限が確定し、納税が猶予されていた所得税及び利子税を納付することとなります。
期限延長 納税猶予期限を5年延長することができます。延長するためには、国外転出の日から5年を経過する日までに、延長届出書を所轄税務署に提出する必要があります。延長後の納税猶予期限は国外転出の日から10年を経過する日となります。

 

 

 

【所得税】国外転出時課税制度の対象者

2017-06-04

国外転出時価税制度の創設により、平成27年7月1日以後居住者(国内に住所を有し、又は、現在まで引き続き1年以上居所を有する個人)から非居住者(居住者以外の個人)になった時点で、保有する株式などの含み益に所得税が課税されることになりましたが、その対象者はつぎの①及び②のいずれにも該当する方です。

① 所有等している対象資産(注1)の金額の合計額が1億円以上(注2)であること。
② 国外転出をする日前10年以内において国内に5年を超えて住所又は居所を有していること。

(注1)対象資産
・有価証券等(株式や投資信託等、 匿名組合契約の出資の持分の価額に相当する金額)
・未決済信用取引等(未決済の信用取引、未決済の発行日取引)
・未決済デリバティブ取引

(注2)1億円以上
対象資産については、含み益があるかどうかにかかわらず、全ての対象資産の価額の合計額が1億円以上となるかで判定します。

 

【所得税】国外転出時課税制度の概要

2017-06-01

日本に住所がある方が、例えば1,000円で買った株式が売却時点では3,000円だったとします。儲けは2,000円(3,000円-1,000円)となります。売るときまでずっと日本に住んでいれば、この2,000円に対して日本の所得税などの税金が課されます。

仮に、この方が日本で株式は買ったもののこの株式の株価が2,000円となった時点で、海外に居住することになったとします。しかし、売る時点では海外に居住していますので、日本での値上がり益1,000円(2,000円-1,000円)と海外での値上がり益1,000円(3,000円-2,000円)の合計2,000円に対して、現地の法律に基づき海外で課税されることになります。そうすると、日本に居住していた期間の値上がり益1,000円に対して、わが国は税金を取り損ねてしまします。
また、シンガポールや香港などのように、国によってはキャピタルゲインに対して課税されない国もあります。そうすると、儲け2,000円に対して合法的に租税回避が出来てしまうことになります。

このようなBEPS(税源浸食と利益移転)に対応するために、わが国においても平成27年度の税制改正において国外転出時課税制度なるものが創設されました。この制度創設の趣旨の中で財務省は「主要国の多くが国外転出時点の未実現の所得(含み益)を国外転出前の居住地国で課税するようになってきています。」(平成27年度税制改正の解説)と説明しています。

しかしながら、売ってもいない、つまり実現もしていない所得に対して税金を課税してしまう、ある意味怖い制度でもあります。

 

【法人税】中小法人等と中小企業者のちがいに注意

2017-05-27

国税庁が平成29年3月に公表した「会社標本調査」によりますと、平成27年度における法人の数は264万社、そのうち資本金が1億円以下の法人は260万社となっています。つまり、日本の場合そのほとんどが資本金1億円の法人だといえます。

中小法人等に該当すれば、法人税の軽減税率や貸倒引当金の繰入れなどといった特例の適用があります。
また、中小企業者に該当すれば、中小企業投資促進税制や少額減価償却資産の特例といった特例の適用があります。

中小法人等と中小企業者、いずれも資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人をいうので、日本の法人のほとんどがこれらの特例の適用があることになります。
ただし、注意しなければならないのは中小法人等と中小企業者は必ずしもイコールではないということです。

中小法人等
(法法57条⑪)
資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下の法人。
ただし、資本金の額又は出資金の額が5億円以上である大法人との間に当該大法人による完全支配関係がある普通法人を除く。
中小企業者
(措令第27条の4⑫)
 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人。
ただし、資本金の額若しくは出資金の額が一億円を超える同一の大規模法人に発行済株式または出資の総数または総額の2分の1以上を所有されている法人および2以上の大規模法人に発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を所有されている法人を除く。

 

 

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