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【相続税・贈与税】事業承継税制は株価が固定
現在、事業承継税制には、「一般措置」と「特例措置」の2つの制度がありますが、いずれの場合も認定が取り消されると猶予税額を納税しなければならないという大きなリスクがあります。
これ以外にもリスクや注意点がありますが、見過ごされがちな点として、贈与税の納税猶予を受けた場合には、将来の相続まで株価が固定するという点でがあります。
先代経営者等(贈与者)が死亡した場合には、「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除」の適用を受けた非上場株式等は、相続又は遺贈により取得したものとみなして、贈与の時の価額により他の相続財産と合算して相続税を計算します。(国税庁HPより)
これはメリットにもデメリットにもなります。
贈与を受けた時の株価よりも相続の時の株価が上昇していればメリットとなりますが、逆に業績が悪化し株価が下落していればデメリットとなります。
株価が下落しても贈与時の株価で相続税を計算しなければならないため、余計な税負担が生じてしまいます。贈与などせずそのまま相続までもっていればよかったということになってしまいます。
仮に、先代経営者が70歳、後継者が40歳だとして、非上場株式の贈与税の納税猶予制度を利用して事業承継したとします。先代経営者が90歳まで存命だとしたらこの間20年あります。20年先の自社株式が上がっているか下がっているかなど予測のつけようがありません。
この点を理解した上で、制度の適用を検討する必要があります。
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税理士法人熊谷事務所は、東京都千代田区神保町を拠点に、東京都区部や多摩地域はもちろん、埼玉県・千葉県・神奈川県まで幅広く対応しています。遠方の方にはリモートでのご相談も可能です。
法人の決算申告や個人の確定申告、相続税・贈与税の申告、事業承継や株価対策など、幅広い内容に日常的に対応。学校法人や宗教法人の申告、組織再編、セカンドオピニオンのご相談も承ります。
すべてのお客様に担当者とリーダーの二名体制で対応し、ご相談内容をしっかり共有。急なご連絡にも柔軟にお応えできる体制を整えています。
税金や経営に関するお悩みがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
【相続税・所得税】共有地の分割
相続が発生し相続財産が確定すると、遺言書がある場合を除き※遺産分割協議に入ります。
※相続人の全員の同意があれば遺言書と異なる遺産分割協議をしてもよいことになっています。この場合贈与税の課税はありません(国税庁HP参照)。
例えば不動産が複数ある場合、相続人間で相続したい物件が競合する場合があります。このような場合、揉めることを避けて相続人で共有にするケースがあります。
近々譲渡する予定なら共有でも問題ありませんが長期保有予定の場合は、できるだけ共有は避けたほうがよいと思います。
昨今の相続は老老相続などといわれ、亡くなった父は90歳代、相続人である子は60~70歳代というケースも珍しくはなく、つぎの世代の相続の話もでる時代になっています。
不動産を共有にしてしまうと、つぎの世代では甥姪同士の共有、そのつぎの世代では会ったことも者同士の共有になっていまします。このような状態になると不動産の利用が著しく制限されていまいます。
共有で相続した土地の面積が十分大きくて分割ができるような場合は、早めに共有地の分割をしておいて次の世代に共有状態を引き継がないことが望まれます。
共有地の分割は共有者同士の持ち分の交換という考え方があります。税務の取り扱いは交換も譲渡になりますので、これだと譲渡所得課税といういことになります。
もう一つは、共有は将来において行われる持分に応じた分割のための過渡的な姿に過ぎないという考え方もあり、税務はこの考え方に基づき譲渡には当たらない扱いとなっています。
所得税基本通達33-1の7
個人が他の者と土地を共有している場合において、その共有に係る一の土地についてその持分に応ずる現物分割があったときには、その分割による土地の譲渡はなかったものとして取り扱う。
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以下略
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【コラム】コロナ対策費と財政
日本の財政は、基本税収によって賄われています。そうはいっても慢性的な財政赤字で、日本の債務の額はコロナ前で1,200兆円を超えるとされていました。
さらに今年に入って新型コロナウイルスの影響で歳入は急減する一方、コロナ対策費に多額の歳出を余儀なくされています。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国の2019年度の税収が2年ぶりに60兆円を割り込む見通しだ。企業活動の停滞に加え、収入が急減した場合に納税を1年猶予する措置を導入したことも響く。20年度も不透明感が強く、民間では50兆円台前半まで落ち込むとの試算もある。(日経新聞 2020/06/18付)
不安を煽るつもりはありませんが、1兆円借金すると、毎日1億円返しても27年かかります。1兆円を縦に積むと約10km、富士山3個分の高さになるそうです。
今回、国民一人当たり10万円の「特別定額給付金」を支給するのに12兆8,802億円かかります。その他にも、売り上げが減少した中小企業などに現金を支給する「持続化給付金」に2兆3176億円、観光や飲食産業の需要喚起策「Go Toキャンペーン」に1兆6794億円、コロナで影響を受けたテナント事業者に現金を支給する「家賃支援給付金」に2兆242億円の予算が計上されています。
今回の補正予算において、特別会計や地方歳出分も勘案した真水額は約 33.1 兆円。過去3度のコロナ対策と合わせた真水は計 61.6 兆円程度になる。(第一生命経済研究所 調査研究本部 経済調査部 2020年5月28日付)
国からいろいろな援助を受けることはありがたいことですが、その財源は国債という国の借金です。これらはすべて次の世代に引き継がれるものであることを留意する必要があると思います。
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【コラム】かんぽ生命の販売員の持続化給付金申請
昨年かんぽ生命は保険業法違反や社内規定違反などの不適切な販売が判明し、営業自粛をしていました。なお、12月27日には金融庁より3ヶ月間の業務の一部停止命令を受けています。
郵便局員らかんぽ生命の販売員は、給与所得とは別に、保険の販売成績に応じて支給される営業手当は事業所得として確定申告※しているそうです。この手当が保険の販売自粛に伴い激減したため、持続化給付金の申請をし、一部受け取った販売員もいるようです。
※会社に勤務している人の副業は主たる業務には当たらないので雑所得なります。雑所得に比べて事業所得のほうが所得税法上メリットがあります。疑義があるところですが、保険の外交員との平仄をとったのでしょうか。いずれにせよ、慣習として認められてきたのだと思います。
持続化給付金は、新新型コロナウイルス感染症の影響により、ひと月の売上が前年同月比で50%以上減少している事業者が対象となります。
かんぽ生命の販売員の場合、事業収入が50%以上減少していてもそれは新新型コロナウイルス感染症の影響ではなく、保険の不適切販売による営業自粛によるものです。
持続化給付金の要件を満たしていないので申請は当然できませんし、もし給付を受けていたら返還すべきものです。
なお、一人10万円の定額給付金にも一部の政治家・公務員の間でその受給を辞退する動きがありました。
定額給付金には新型コロナウイルス感染症の影響といった要件はありませんので、辞退されるかどうかはその人の価値観の問題だと思います。
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【コラム】令和元年度の査察の概要
国税庁は6月11日,令和元年度(H31.4~R2.3)の査察の概要を公表しました。
査察はマルサともいわれ名称は聞いたことはあるかと思います。
名称は聞いたことがあるとしても、実際に経験したケースはないものと思います。
われわれが普段接するのは税務調査です。通常は会社や個人宅で実施調査がおこなわれ、申告内容の確認とその是正が目的で、あくまでも任意調査が建前です。
税務調査といっても様々で、通常の一般的な調査の他に、他に調査に入った会社との取引内容の整合性を確認する反面調査、申告に不備が多い場合や不正が見込まれる場合に細部にわたり行われる調査として特管調査や各国税局の料調調査などがあります。
特に料調調査は多人数で会社の本・支店の事務所やオーナの居宅に一斉に入ることから、査察と手法が似ていますが、あくまでも法人税法等の各税法に基づく税務調査の範疇に入ります。
一方査察は事前の情報収集により多額の脱税が見込まれる場合に実施されます。
根拠となる法律も税法ではなく国税犯則取締法で、強制調査となります。
査察は裁判所の令状をとり、多人数で事務所や居宅などに入り、強制調査により証拠物件の差押えが行われます。質問調査権に基づいて聴取が行われ、必要に応じて検察庁に告発されます。
検察庁に告発される割合は大体60%~70%くらいですが、一度告発されると有罪率は一審では100%です。
脱税したお金の使途や保管場所は色々あるようですが、一度隠したお金を表に出して使うことは極めて難しく、脱税は割があわないと思っています。
脱税によって得た不正資金の多くは、現金や預貯金として留保され、隠匿場所は様々でしたが、
○ 居宅内の和ダンスに作り込まれた隠し戸の中(法人税法違反)
○ 個人名義で契約したレンタル収納スペース内のスーツケースの中(法人税法違反)
に現金を隠していた事例などがありました。
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【コラム】新型コロナウイルス対応休業支援金
「新型コロナウイルス対応休業支援金」が6月12日に可決・成立しました。
この制度は、新型コロナウイルス感染症の影響で休業させられ、勤務先から休業手当を受け取れない従業員が自ら直接国に申請できるようにしたものです。
すでに、4月1日から9月30日までを緊急対応期間として雇用調整助成金の特例措置導入されています。しかし、つぎのような理由からあまり評判がよくありません。
・休業手当を支払う資金がない
・制度がわかりにくく申請が煩雑である
・相談窓口に電話がなかなか繋がらない
雇用調整助成金は、休業した従業員に賃金の60%以上の休業手当を支払った事業者に対して休業手当等の一部(一定の場合は全部)を国によって助成する制度です。
これに対して、休業支援金は休業手当を受け取れなかった従業員が自ら直接給付申請をする点に違いがあります。その概要はつぎのとおりです。
・対象期間は2020年4月1日~9月30日までの間の休業
・休業前給与の80%(月額33万円が上限)
・対象者は中小企業のみ
・パート・アルバイトも対象
なお、休業支援金の支給を受けた従業員の所得税については、雇用調整助成金と同様に非課税の扱いになります。
また会社については、会社都合で従業員を休業させた場合労働基準法に基づき休業手当の支給義務があるわけですが、一方では休業手当を支給しなかったことにより債務免除益が計上されるため、事実上課税関係は生じないものと思わまれます。
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【相続税・贈与税】取得者によって異なる取引相場のない株式の価額
取引相場のない株式は、相続や贈与の場合、その株式を発行した会社の経営支配力を持っている同族株主等か、それ以外の株主かの区分により、それぞれ原則的評価方式又は特例的な評価方式の配当還元方式により評価します。
会社の経営支配力を持っていない株主、つまり少数株主の場合だと配当還元方式により下記の算式で計算します。
例えば、資本金等の額が1,000万円、発行済株式数が200株(1株あたりの資本金等の額50,000円)、配当金額が100万円だとします。
・上記算式の適用にあたっては、まず1株あたりの資本金等の額を50円とした場合の発行済株式数を求めます。
200株 ☓ (50,000円/50円) = 200,000株
・つぎに、200,000株の場合の1株あたりの配当金額を求めます。
1,000,000円 / 200,000株 = 5円/株
これを上記算式に当てはめます。
5円※/10% ☓ 50,000円/50円 = 50,000円
※2円50銭未満であったり無配の場合は2円50銭とします。
今、仮にA社の経営支配力を持っている同族株主等である創業社長から後継者の長男に10株、同族株主等でない古参の社員に10株、A社株式を贈与したとします。例えばA社株式の1株あたりの評価額は下記とします。
配当還元価額 : 50,000円

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【相続税・贈与税】業績が悪化したのに価額が上昇した取引相場のない株式
先日、取引相場のない株式はそもそも取引相場がないわけですから、その評価額自体がいわばフィクションだとお話しましました。
では大雑把かといえば決してそうではなく、その評価方法は非常に精緻にできています。
精緻であるが故に、一般には理解し難いケースが生じてしまいます。
取引相場のない株式は、相続や贈与の場合、その株式を発行した会社の経営支配力を持っている同族株主等か、それ以外の株主かの区分により、それぞれ原則的評価方式又は特例的な評価方式の配当還元方式により評価します。
この原則的評価方式ですが、大会社の場合は類似業種比準方式、小会社の場合は純資産価額方式、中会社の場合はこれらの併用方式で評価するのが基本になります。
併用方式は、さらに中会社の規模に応じ類似業種比準価額と純資産価額の割合が変わります。
3つに区分され、中の大は類似業種比準価額が0.9対純資産価額が0.1になります。以下、中の中は0.75対0.25,0.6対0.4と区分されています。
また、類似業種比準方式は国税庁が公表する類似業種株価に比準して計算します。その比準要素は評価する会社の一株当たりの「配当金額」、「利益金額」及び「純資産価額(簿価)」の3つです。
評価方法について詳しく知りたい方は、国税庁HP(←クリック)をご参照下さい。
非上場株式の相続や贈与の場合で大変なのは業績がよい会社です。さらに歴史があって過去の利益が蓄積され、不動産や上場株式の含み益が多額にある、そんな会社です。
このような会社の多くは【 類似業種比準方式 << 純資産価額 】となっています。そのため、純資産価額のウエイトが高くなればなるほど株式の評価額は高くなります。
先ほど類似業種株価に比準する要素は、一株当たりの「配当金額」、「利益金額」及び「純資産価額(簿価)」と申しましたが、このうち2要素がゼロの場合、つまり無配当で赤字決算になってしまったケースですが、この場合比準要素1の会社になってしまいます。
このような場合、中会社の規模にかかわらず、類似業種比準価額が0.25に対して純資産価額が0.75で評価することになっています。
例えば中の大の会社で今までは類似業種比準価額が0.9に対して純資産価額が0.1の割合だったとします。ところが、業績が悪化し赤字になったため配当をしませんでした。その結果、比準要素が1になってしまいましたといった場合、類似業種比準価額が0.25に対して純資産価額が0.75の割合になってしまいます。
つまり、業績が悪くなったのに、株価が上がってしまうという結果になってしまいます。長い間実務をやっていると、稀にこういうケースに遭遇します。
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【所得税・相続税】団信の課税関係
住宅を購入する際に加入するのが団体信用生命保険(以下、団信)です。個人が契約する生命保険は保険料を保険会社に支払いますが、団信の場合は住宅ローンの返済額に上乗せされます。
ローンの返済期間中に万一死亡等の保険事故が発生した場合は、保険金が遺族に支払われるのではなく、金融機関に直接支払われローンの残債に充てらます。
金融機関と契約する住宅ローンの種類によってによって、強制加入のものと任意加入のものがあります。
また、保険金の保障内容も、死亡時・高度障害保障、三大疾病保障( がん・急性心筋梗塞・脳卒中)、七大疾病保障(三大疾病に糖尿病、高血圧疾患、肝疾患、腎疾患保障を加えたもの)があります。
さて、これらの保険事故が不幸にして発生してしまった場合ですが、所得税や相続税の課税関係はどうなるでしょうか。
結論から申し上げれば、所得税、相続税、いずれの税も課税されない取り扱いになっています。
疾病により保険金が金融機関に支払われた場合、金融機関からローンの残債が免除されたます。この場合は、その経済的利益は身体の傷害に起因して受けるものなので所得税法上の非課税の規定が適用されます(所得税法1項一七号)。
また、死亡の場合ですが、保険金を受け取るのは金融機関で、保険金は住宅ローンの残債に充てられます。したがって、その時点で住宅ローンは免除されますので、住宅ローンの残債はその相続人に承継されないことになります。
この場合、相続の放棄をする場合を除きその相続人が住宅ローンの残債を引き継ぐべきところ、相続人は免除されたわけですから所得税課税の問題が生じるのではないかと思いますが、相続税の個別通達で課税は生じないとされています。
団体信用保険にかかる課税上の取扱いについて(昭和44.1.22付照会に対する回答)
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保険事故が死亡であった場合の賦払償還債務の免除に関しては、相続税の課税上は相続人によって承継される債務がないものとし、被保険者である顧客およびその相続人について所得税の課税関係は生じない。
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【相続税・贈与税】取引相場がないのに価額がつけられる取引相場のない株式
税務の世界では、非上場株式のことを取引相場のない株式といいます。
売る人がいて、買う人がいて売買が成立し価額がつきます。取引の相場がなければ、そもそも価額などないのではないかということになります。
日本の会社の数は国税庁の公表資料によると270万社あまり、一方上場会社の数は日本取引所グループによると現在3,711社だそうです。
つまり、日本の会社の株式のほとんどは非上場株式ということになります。
非上場株式であっても、その株主に相続が発生したり、後継者に株式を贈与するケースもあります。上場株式を持っている人には相続税や贈与税が課税され、非上場株式には課税されないというのは不公平です。
そこで取引相場はないけれども一定のルールに基づき株価を計算する方法が、財産評価基本通達という通達の中で定めています。
具体的には、相続や贈与などで株式を取得した株主が、その株式を発行した会社の経営支配力を持っている同族株主等の場合には原則的評価方式、それ以外の株主の場合には特例的な評価方式として配当還元方式により評価をします。
原則的評価方式とは、会社の総資産価額、従業員数及び取引金額により大会社、中会社又は小会社のいずれかに区分して、類似業種比準方式、純資産価額方式又はその併用方式により評価する方法です。
配当還元方式とは、配当金額を、10%で還元して元本である株式の価額を評価する方法です。
そもそも取引相場がないわけですから、これらの価額で売買できるわけではありません。つまり、これらの価額はフィクションではとないかといわれたらそのとおりなのですが、現時点では財産評価基本通達で定める方法により評価する外ないのも事実です。
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