消費税の租税回避の一例が「自販機スキーム」だったわけですが、これは平成22年の税制改正で蓋をされました。
具体的には、俗に3年縛りという規制がで下記の期間中に調整対象固定資産を取得した場合には、調整対象固定資産を取得後3年目までは強制的に免税事業者や簡易課税を選択できない(原則課税)というものです。
・課税事業者選択届出書を提出し、自ら課税事業者となってから2年間
・資本金1千万円以上の法人を設立した場合の基準期間がない課税期間
しかし、これでは蓋をしきれないケースがありました。
・基準期間(2年前)の課税売上が1,000万円超だったなどの場合
・課税事業者を選択した後2年間(強制適用期間)を経過していた場合
・資本金1千万円以上の法人を設立した後2年間を経過してから取得した場合
・棚卸資産(調整対象資産から棚卸資産は除外されている)を取得した場合
そこで、平成28年の税制改正で、事業者が事業者であったり簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に高額特定資産(※)の仕入れ等を行った場合には、高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の翌課税期間から、高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、免税事業者になることや簡易課税制度の選択をすることができないことになりました。
※ 「高額特定資産」とは、一の取引の単位につき、課税仕入れに係る支払対価の額(税抜き)が 1,000 万円以上の棚卸資産または調整対象固定資産をいいます。
調整対象固定資産の3年縛りと同様の趣旨で、この高額特定資産(※1)についても、新型コロナウイルス感染症等の影響で、事業収入が激減(※2)しているような場合は、特定課税期間(※3)の初日以後2年を経過する日の属する課税期間までの課税期間において高額特定資産の仕入れ等を行った特例対象事業者は、納税地の所轄税務署長の承認を受けることで、特定課税期間以後の課税期間について、この3年間の納税義務が免除されない制限を解除することができます。(国税庁HP参照)
(※1 )高額特定資産とは、一の取引単位につき、1,000 万円(税抜き)以上の棚卸資産又は調整対象固定資産をいう
(※2)令和2年2月1日から令和3年1月 31 日までの間のうち任意の連続した1か月以上の期間の事業としての収入金額が、前年の同時期と比べて、概ね 50%以上減少
(※3)特定課税期間とは、新型コロナウイルス感染症等の影響により事業としての収入の著しい減少があった期間内の日を含む課税期間をいう
∞∞ 吉岡 ∞∞