日本はすでに高齢化社会だといわれていますが、戦後の第一次ベビーブーム世代、すなわち団塊の世代・・・1947年(昭和22)から1949年(昭和24年)生まれ・・・が、これから70歳(2020年)、75歳(2025年)にさしかかります。
さらなる高齢化にともなって、取締役在任中に認知症になってしまったというケースが今後増えることが予想されます。
-参考-
「厚労省が今回発表した推計によれば、団塊の世代が75歳以上となる2025年には、認知症患者数は700万人前後に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人を占める見込みです。」
認知症フォーラム.comより
認知症になれば、取締役としての職務執行が困難となります。取締役在任中に認知症が発症した取締役に退任してもらうには、つぎの三つの方法が考えられます。
①後見の開始、補佐の開始(会社法331条1項2号)
②任期満了(会社法332条1項)
③解任(会社法339条1項)
ところで、認知症と診断されてもその程度によって三の類型があり、法定後見はそれぞれに応じて「後見」「保佐」「補助」の三があります。
日常生活を営むことが困難な人で最も重い類型 | 成年後見 |
判断能力が相当程度低下してしまった人で中間に位置する類型 | 保佐 |
断能力がある程度低下してしまった人で最も軽い類型 | 補助 |
①後見の開始、補佐の開始について
会社法の定めにより、成年被後見人と被補佐人に該当する場合は、取締役としての資格喪失による退任ということになります。(被補助人は資格喪失による退任とはなりません。)
②任期満了について
認知症が発症した取締役の任期があと少しという場合は、任期満了まで待つという選択肢もあります。
③解任について
会社法では、取締役は、いつでも株主総会の決議によって解任することができるとされています。また、取締役の解任は、定款に別段の定めがない限り、株主総会の普通決議で可能です。
ただ、取締役本人が退任を拒む場合には、世間の目もあり、できれば避けたい方法です。
∞∞ 吉岡 ∞∞