ちょっと前までは、会社員や公務員の副業といえば、「隠れてこっそり」というイメージでした。
ところが、平成19年12月に政府、地方公共団体、経済界、労働界の合意により、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」が策定され、現在、官民を挙げて様々な取組が進められているそうです。
内閣府HPによると、ワーク・ライフ・バランスとはつぎのような社会だとしています。
①就労による経済的自立が可能な社会
②健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
③多様な働き方・生き方が選択できる社会
企業の中には、少数ながら副業を認める企業を出てきています。副業解禁は、社員の視野や人脈が広がる、やりがいや年功序列の給与体系に対する不満の解消といったメリットがありますが、一方では本業がおろそかになる、企業情報の漏洩のリスクといったデメリットもあります。今後どのような形で広がってい行くかわかりませんが、副業を認めている会社であっても今のところほとんどの会社において、申請による承諾が原則のようです。
-給与所得か否か-
当然のことながら副業であっても所得が生じれば、原則として確定申告をしなければなりません。この場合受ける収入が個人の事業なのか給与なのか判断に迷うことがあります。
一つの判断材料として、仕事の依頼者との間で雇用契約があるかどうかを掲げることができます。雇用契約があれば給与所得、なければ事業所得又は雑所得となります。実務的には仕事の依頼者から年末に「給与所得の源泉徴収票」が交付されていれば原則として給与所得となります。必ずしも交付されるとは限りませんが「報酬・料金・契約金及び賞金の支払調書」ならば事業所得又は雑所得となります。
詳しくは国税庁HPを参照下さい。
-事業所得か雑所得か-
事業所得と雑所得の明確な区分はありませんが、サラリーマン等の給与所得者が行う副業は、勤務先での職務の遂行が本業でしょうから、そのほとんどが雑所得なるものと思われます。
事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。 |
雑所得とは、他の9種類の所得のいずれにも当たらない所得をいい、公的年金等、非営業用貸金の利子、著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税、講演料や放送謝金などが該当します。 |
なお、事業所得も雑所得も所得の計算方法はおなじです。
総収入金額 – 必要経費 |
しかし、事業所得には、赤字の場合に給与所得等との損益通算ができる、最大65万円の青色申告特別控除がある、純損失の繰り越しと繰り戻しがあるなど、雑所得にはないメリットがあります。
-確定申告義務-
給与所得が20万円を超える所得がある場合は、確定申告をしなければなりません。具体的にはつぎのとおりです。
給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える場合 |
給与を2か所以上から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との合計額が20万円を超える場合 |
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