[事例]
甲は、勤務していた会社の早期退職優遇制度を利用して円満退職、サラリーマン時代の経験と人脈を生かして2020年6月から〇〇◯のコンサルタント事業を開始した。
また、甲はかねてより、ワンルームマンション1室の不動産賃貸業をしていたが、白色申告であった。
甲はコンサルタント業務を行うにあたり初期投資がかさんだため、今年度は相当額の赤字が見込まれるため、所得税の青色申告承認申請手続をして今年度の赤字を翌年度以降に繰り越したいと考えてる。
所得税の青色申告の適用を受けたい場合には、次の期日までに「所得税の青色申告承認申請書(国税庁HP👈クリック)」を提出しなければなりません。
■青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで
■その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日から2月以内
なお、青色申告の承認を受けていた被相続人の事業を相続により承継した場合は、相続開始を知った日(死亡の日)の時期に応じて、次の期間内に提出しなければなりません。
・その死亡の日がその年の1月1日から8月31日までの場合 | ・・・死亡の日から4か月以内 |
・その死亡の日がその年の9月1日から10月31日までの場合 | ・・・その年の12月31日まで |
・その死亡の日がその年の11月1日から12月31日までの場合 | ・・・その年の翌年の2月15日まで |
設例のように、すでに白色申告の不動産所得があった場合でも、新たに事業を開始した場合には2ヶ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を提出することで青色申告者となることができるでしょうか。
これについては、すでに白色申告の不動産所得があったため、事業を開始してから2ヶ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を提出しても、その提出した年には青色申告者となることは認められないとする次の採決事例があります。
・・・、本件不動産の貸付けは、・・・「不動産所得を生ずべき業務」に該当し、請求人は・・・、平成13年12月から引き続き本件不動産を貸し付けていたことからすれば、請求人が平成18年10月1日に再生資源回収業という個人事業を開始した時点では、既に請求人は、不動産所得を生ずべき業務を行っていたのであるから、・・・その年の1月16日以後新たに不動産所得又は事業所得を生ずべき業務を開始した者とは認められない。したがって、本件承認申請書の法定の提出期限は、平成18年3月15日である。(国税不服審判所 (平20.9.16、裁決事例集No.76 258頁)👈クリック)
∞∞ 吉岡 ∞∞