確定申告の必要がある人が年の途中で亡くなったっ場合は、相続人等は1月1日から死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算した準確定申告書を、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告し、納税をしなければなりません。
ただし、1月1日から確定申告期限(原則として翌年3月15日)までの間に確定申告書を提出しないで死亡した場合の準確定申告の期限は、前年分、本年分とも相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内となります。
例えば不動産所得のある方が、9月15日に亡くなり、遺産分割協議が翌年の4月30日に整ったとします。
この場合のこの不動産に係る不動産所得の計算の期間は次のようになります。
①亡くなった年の1月1日~9月15日まで期間 | 相続人等は亡くなった年の翌年の1月15日(4ヶ月以内)までに準確定申告をする。 |
②亡くなった年の9月16日~12月31日までの期間 | 共同相続人は、それぞれ法定相続分に応じて確定申告期限(亡くなった年の翌年3月15日)までに確定申告をする。 |
③亡くなった年の翌年の1月1日~4月29日までの期間 | 共同相続人は、それぞれ法定相続分に応じて確定申告期限(亡くなった年の翌々年3月15日)までに確定申告をする。 |
④亡くなった年の翌年の4月30日~12月31日までの期間 | 不動産を相続した相続人は、確定申告期限(亡くなった年の翌々年3月15日)までに確定申告をする。 |
民法では、遺産分割は相続の開始の時にさかのぼって効力を生ずるとする「遡及効」があるとされています(民法909)
遺産分割協議で不動産を相続する人が確定したのなら、亡くなってから不動産の帰属が確定するまでの間の家賃や経費は、その相続した人に帰属させるべきではないかという見方ができます。
遡及効があるのなら、亡くなった年の翌年の家賃や経費はもとより、亡くなった年の9月16日~12月31日までの期間についても、共同相続人は所得金額を是正するために修正申告や更正の請求をすべきということになります。
これについては、未分割財産に係る家賃などの法定果実は相続財産そのものではないから、遺産分割の遡及効果が及ぶものではない、とする最高裁判決があり、課税庁も同様の見解です。(国税庁HP👈クリック)
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