特定居住用宅地等の特例は、原則として相続開始直前の居住状況により、その適用の有無が判定されます。
しかしながら、老人人口の増加に伴い介護等の問題から自宅での生活を断念し老人ホームに入居していたため、相続開始直前では自宅に居住していない場合も少なくありません。
ところで老人ホームに入居した場合における特定居住用宅地等(330㎡まで80%減額)の適用ですが、平成25年度の税制改正前までは、次の要件がありました。
・相続人がいつでも生活できるようその建物の維持管理が行われていたこと。
・老人ホームに入居するために所有権や終身利用権を取得したものではないこと。
特別養護老人ホームへの入居を希望しつつも入居できなかったため、やむを得ず終身利用権を取得し有料老人ホームに入居した場合などもあることから、同年の税制改正でこれらの要件は撤廃されました。
現行法では次のようになっています。
1.居住用宅地等
居住の用(下記2.老人ホーム等に入居している場合を含む。)に供されていた宅地等 | 措法69の4本文 |
2.老人ホーム等に入居している場合
次の事由により、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかつた(下記3.他の用途に供されている場合を除く。)被相続人の居住の用に供されていた宅地等
一 介護保険法に規定する要介護認定又は要支援認定を受けていた被相続人で次に掲げる住居又は施設に入居又は入所をしていたこと。 二 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に規定する障害支援区分の認定を受けていた被相続人が障害者支援施設(施設入所支援が行われるものに限る。)又は共同生活援助を行う住居に入所又は入居をしていたこと。 |
措令40の2② |
なお、要介護認定又は要支援認定や障害支援区分の認定は、老人ホーム入居時に認定を受けていなくても、相続の開始の直前において認定を受けていればよい取扱になっています。
(措基通69の4-7の3 要介護認定等の判定時期)
3.他の用途に供されている場合
事業の用又は被相続人等(下記4.生計一にしていた親族を含む。)以外の者の居住の用とする。 | 措令40の2③ |
4.生計一にしていた親族
被相続人と老人ホーム等へ入居又は入所の直前において生計を一にし、かつ、被相続人の住宅に引き続き居住している被相続人の親族を含む。 | 措令40の2③ |
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