男性よりも女性の方が平均寿命が長いので、一時相続で父が亡くなり、次いで二次相続で母が亡くなるというのが相続の場合の典型例でしょう。
ほとんどの場合父と母は年齢も近く、父の一時相続の遺産分割を検討する際には、母の二次相続についても考慮することが望まれます。
これは相続税の負担ということだけでなく、年老いた母が自身の老後をどの様に過ごすか、あるいは子供からすればどのように過ごしてもらうかということでもあります。
[相続税額の負担]
一時相続と二次相続、財産の分割の仕方によって税負担が変わってきます。
要因(小規模宅地等の特例を除く※)
①配偶者の税額軽減 (国税庁HP👈クリック) |
配偶者が遺産分割により実際に取得した財産の額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからない。 ・1億6千万円 ・配偶者の法定相続分相当額 |
②基礎控除額 (国税庁HP👈クリック) |
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数 |
③相続税の税率構造 (国税庁HP👈クリック) |
法定相続分に応ずる取得金額に応じて10%〜55%までの超過累進税率 |
※相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)(国税庁HP👈クリック)を配偶者が受けるか子が受けるかでも一次相続と二次相続で税負担が異なってきますが、複雑になりますのでここでは取り上げていません。 |
①配偶者の税額軽減
一次相続における遺産分割において、どの程度配偶者が相続財産を取得するかによって配偶者の税額が異なってきます。
②基礎控除
一時相続の場合、例えば相続人が母と子供二人の場合、基礎控除額は4,800万円(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数:3)です。
一方、二次相続では子供二人なので基礎控除額は4,200万円になります。
③相続税の税率構造
現行の相続税の計算方式は法定相続分課税方式※(国税庁HPクリック)を採用しているため、一次相続、二次相続それぞれの相続においてどのような遺産分割をしても相続税の総額は変わりません。
しかし、一次相続で配偶者に多く財産を残せば、二次相続では法定相続人が二人なので法定相続人一人当たりの相続財産が大きくなり、その結果高いところの税率が適用されます。
※現行の相続税法は、相続人が法定相続分で遺産を取得したと仮定して相続税の総額を算出する遺産取得者課税方式を採用しています。
次回でその具体例を検討したいと思います。
∞∞ 吉岡 ∞∞