税法では現物での支払いをした場合には、その支払いの時の時価で譲渡があったものとされることがあります。
例えば、離婚にともなう財産分与で、金銭に代えて夫が妻に住宅を渡すような場合です。
これは夫から妻への「贈与」と思われるかも知れませんが、税務的に見れば財産分与請求権を対価とする「譲渡」になります。
譲渡ですから、渡したときの時価から住宅の取得費等を控除した金額がプラスであれば譲渡所得税がかかります。
もっとも、妻に渡した住宅が夫の居住用財産に該当する場合は、居住用の3,000万円控除の適用が可能ですので、確定申告をする必要がありますが実際に課税されることはあまりないでしょう。
他にも、例えば退職にあたって従業員が住んでいた会社所有の社宅を退職金代わりにその従業員にあげたとします。
これは法人からの不動産の贈与ではなく、退職金の請求権を対価とする法人からの「譲渡」になります。したがって、法人側で退職時の社宅の時価から帳簿価額を控除した差額が法人税の課税の対象となります。
法人の配当は決算をして利益が出た場合に株主に金銭で分配するのが一般的です。しかし、例えば子会社を清算するにあたって、清算時の債務を弁済してなお財産が残ったような場合において、子会社は残余財産を換金せずに親会社に現物を分配することもできます。この場合において財産を受けた親会社はその出資額以上の分配となれば、その差額は法人税法ではみなし配当となります。
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