現行法には、①換価の猶予(国税徴収法第151条及び第151条の2)と②納税の猶予(国税通則法第46条)がありますが、令和2年4月30日の新型コロナ税特法の成立・施行により、新型コロナウイルス感染症の影響により収入が大幅に減少している方に向けて、③納税の猶予の特例(特例猶予)が創設されました。(国税庁HP👈クリック)
直接・間接を問わず新型コロナウイルス感染症により、申告期限までに申告・納付ができない場合は、その延長が認められています。
依然、新型コロナウイルス感染症の収束は見えていませんが、テレワーク、時差通勤、オフィス環境の整備などにより、コロナ前提の勤務体制も定着しつつあります。
会社の経理事務も次第に軌道にのり、例えば3月決算の会社の決算・申告業務が未だ終わっていないというケースはほぼないだろうと思います。
現状での喫緊の課題は、決算・申告事務よりも、納税をどうするかだと思います。
今年の2月までは好調だったため、3月以降に決算月を迎える会社は黒字で納税が発生しているというケースが相当数あると思われます。
ところが、多くの業種で3月以降新型コロナウイルス感染症の影響で売上が激減しています。
売上が減れば仕入れも減りますが、人件費や家賃などの固定費の負担が重く、これらの会社では急速に資金繰りを悪化しています。
納税については、可能なら延滞税なし・1年間猶予・無担保の新型コロナ税特法に基づく特例猶予を利用したいところです。
-要件-
・新型コロナウイルス感染症の影響により、国税を一時に納付することが困難。
・一時の納税により、事業の継続・生活維持を困難にするおそれがある。
・ 納税について誠実な意思を有する。
・ 猶予を受けようとする国税以外の滞納がない。
・ 納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請書の提出がある。
ただし、納 税の猶予申請書(国税庁HP👈クリック)を見てみると、当面の運転資金が6ヶ月分しか認められていません。
■ | 当面の運転資金等(6ヶ月分) | + | 今後6か月間に予定されている臨時支出等の額 | = | 当面の支出見込額 |
■ | 現金・預貯金残高 | - | 当面の支出見込額 | = | 納付可能金額 |
■ | 納付すべき国税 | - | 納付可能金額 | = | 猶予額 |
昨今の経済状況を鑑みると6ヶ月分では心もとない、せめて1年分ぐらいは認めてもよいのではないかと思います。今後の当局の弾力的な運用が望まれます。
∞∞ 吉岡 ∞∞