給与所得者のほとんどは、給与所得についてはつぎの計算をします。
■給与所得の収入金額-給与所得控除額=給与所得の金額
特定支出の金額が給与所得控除額の1/2を超えている場合には、つぎの算式になります。
■給与所得の収入金額-{給与所得控除額+(その年中の特定支出の額の合計額-給与所得控除額の 1/2)}=給与所得の金額
特定支出とはつぎのものをいいます。詳しくは国税庁HP (👈クリック)
◇通勤費 | 通勤のために必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のための支出 |
◇職務上の旅費 | 勤務する場所を離れて職務を遂行するために直接必要な旅行に係る支出 |
◇転居費 | 転任に伴う転居のための支出 |
◇研修費 | 職務の遂行に直接必要な技術又は知識を習得することを目的として受講する研修のための支出 |
◇資格取得費 | 職務の遂行に直接必要な資格を取得するための支出 |
◇帰宅旅費 | 転任に伴う帰宅のための支出 |
◇勤務必要経費 | 職務の遂行に直接必要な支出 〔図書費、衣服費、交際費等〕(最高 65 万円) |
通常、職務に係る諸費用は会社が負担しますので、個人的に支払うケースというのはあまりないと思います。
また、給与所得控除が比較的高く設定されていることもあって、実際に特定支出控除を利用する人はほとんどいません。平成30年度分で1,704人だったそうです。
ところが、今年に入って新型コロナウイルスの感染拡大にともない、多くの企業で在宅勤務を余儀なくされました。
このような大規模かつ長期間のリモートワークというのは初めてのことなので、自宅での仕事の環境が整っていなかった人も少なくなかったと思います。
リモートワークの環境整備は会社が負担してくれる部分ありますが、何からなにまで全て会社に請求というわけにはいかなかったと思います。
国税庁ではこのような在宅勤務を想定して、特定支出に関する情報を更新しました。
結論としては、インターネット上に掲載されている有料記事の購入費は特定支出に該当するものの、机・椅子・パソコン等々は該当しないとしています。
これは、現行所得税法がそのように規定しているためやむを得ないのですが、コロナ禍に対応するよう税制改正が望まれます。
(参考)国税庁HP (👈クリック)
16 勤務必要経費(在宅勤務) 問 在宅勤務を命じられたことに伴い、職務の遂行に直接必要なものとして、次の費用を支出しました。 ⑴ 机・椅子・パソコン等の備品購入のための費用 ⑵ 文房具等の消耗品の購入のための費用 ⑶ 電気代等の水道光熱費やインターネット回線使用のための費用 ⑷ インターネット上に掲載されている有料記事購入のための費用 これらの費用に係る支出は、勤務必要経費として特定支出に該当しますか。 |
: ご質問の各費用のうち、「⑷インターネット上に掲載されている有料記事」については、一般的に不特定多数の者に販売することを目的として発行されるものですので、勤務必要経費(図書費)に該当します。 したがって、その支出がその方の職務の遂行上直接必要なものとして給与等の支払者により証明されたものは、特定支出になります。 しかしながら、その他の費用は、勤務必要経費のいずれの支出にも該当しませんので、特定支出とはなりません。 : |
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