通信費の半額非課税 社員のテレワーク補助 政府が基準明示 在宅定着を後押し
国税庁の指針では、在宅勤務をした日数分の通信費のうち、2分の1は仕事で使ったものと認める。残りは私用などとみなす。月30日のうち半分の15日を在宅で勤務すれば、通信費全体の4分の1が非課税となる。電気料金も目安を示し、業務で使った自宅の部屋の床面積などで水準が決まる仕組みにする。(日経 2021/01/15)
ところで、給与所得には給与収入から差し引く給与所得控除があります。これには、給与収入に応じた概算によるもの((国税庁HP👈クリック)と実額を控除する特定支出控除(国税庁HP👈クリック)があります。
概算額で控除すること理由は下記ですが、最大の理由は、①の必要経費の個別的認定が困難だからでしょう。
①必要経費の個別的認定が困難であるため
②給与所得が勤労性所得であってその担税力が資産性所得や資産勤労結合所得より低いこと
③給与所得の捕捉率が他の所得よりも高いこと
④給与所得はその支払のたびごとに源泉徴収されるのに対し,事業所得等は二回にわたり予定納税するのみであるため利息相当額を調整する必要のあること
「通信費の半額非課税」にケチをつける気持ちは毛頭ありませんが、もしこの通信費が給与収入を得るための経費だとすると、理屈の上では非課税とする理由はないことになります。
会社などの使用者から支払われるものもののうち給与以外には下記のものがあるとされています。
①福利厚生費としての支出
②使用者にとっての業務遂行のための費用としての支出
③本来の職務外の行為に対するものとしての贈与としての支出等
(フリンジ・ベネフィット課税の強化に関する一考察👈クリック)
そこで改めて給与収入から実額控除する特定支出項目を見てみると、「通勤費、転居費、研修費、資格取得費、帰宅旅費及び勤務必要経費」となっていて会社に務めることによって不可避な費用や自己研鑽費用となっています。
概算控除は、これらの費用項目を予定し、概算的に求めたものと考えられます。
一方、在宅勤務に伴う通信費は業務命令によるもので、出張旅費などと同じく会社の業務遂行上必要な費用です。
このように考えると、在宅勤務に伴う通信費の業務使用分は当然に給与課税されるものではないといえます。
「通信費の半額非課税」というのは、通信費の家事部分と会社の業務遂行部分の区分を簡便に計算できるようにしたものといえます。
なお、国税庁より「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)👈クリック」が既に公表されています。
このFAQでは、在宅勤務に事務用品等の支給、通信費の業務使用部分の具体的計算方法、電気料金の計算方法、従業員がレンタルオフィスを使用した場合などについて取り扱いが明らかにされています。
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