【所得税】副業の普及

会社で働きながら社外に職を持つ「副業」が普及している。日本経済新聞社と日経HRの共同調査では副業を認める企業は3割に上り、会社員の7割以上が関心を持っているとわかった。社員が本業で生かす知見や人脈を培う機会になる。専門スキルや多様なアイデアを募る手段としても、副業の活用が企業で広がりつつある。

日本経済新聞社と就職情報サービスなどを手掛ける日経HRが10月下旬に共同で実施した副業に関する調査で会社員4279人が回答。勤務先が副業を容認しているとの答えが28.1%に上った。74.7%の会社員が副業を探すなど関心を持っていることもわかった。(日経 2020/11/28)


コロナ前の話ですが、トヨタ自動車の豊田社長が「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた。」と発言されて話題になりました。

また、経団連の中西宏明会長も、「企業は従業員を一生雇い続ける保証書を持っているわけではない」とも発言しています。

企業の建前としては、「優秀な人材を留めるため」とか「社員のスキルアップ」とか副業解禁の理由をいろいろ掲げていますが、本音は豊田社長や中西宏明会長の発言にあるのではないでしょうか。


企業に勤務しながら副業を持つと給与以外の所得が生じます。

その副業の収入から経費を差し引いた所得の金額が20万円を超えると確定申告をしなければなりません。(国税庁HP👈クリック)

そこで悩むのがその副業収入が「事業所得」なのか、「雑所得」なのかです。事業所得ならば、事業から赤字が出た場合は給与所得等との損益通算できたり、青色申告特別控除ができたりと、税金計算で何かと有利になります。

事業所得 農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。(国税庁HP👈クリック)
雑所得 利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも当たらない所得をいい、例えば、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)が該当します。(国税庁HP👈クリック)

事業所得と雑所得の区分については一般的には下記の点などを総合的にみて判断するとされています。
・自己の危険と計算において独立して行う業務か
・営利性と有償性を有しているか
・反復継続して遂行されて営まれているか
・社会的地位が客観的に認められているか 等など

会社に勤務しながら副業として働くといった場合、仕事の軸足が勤務にあると思います。このような場合、多くの副業は雑所得になるではないかと思います。

ただし、例えば配達の仕事反復・継続して生活をしているが、空いた時間でパート・アルバイトをしているような場合は、配達の仕事は事業所得でパート・アルバイトは給与所得としても差し支えないと思います。


執筆及び講演等の業務から生じる所得を事業所得として申告したところ、否認された下記の裁決例があります。(国税不服審判所👈クリック)

本件は、大学の准教授である審査請求人(以下「請求人」という。)が執筆及び講演等の業務から生じる所得を事業所得として申告したところ、原処分庁が、当該所得は雑所得に該当し、また、請求人が事業所得の金額の計算上必要経費に算入した費用のほとんどが家事関連費等に該当して必要経費に算入できないとして所得税の各更正処分等を行ったのに対し、請求人が、著述業を行う目的を持ち、その目的を達成する意思で執筆及び講演等を行っていたのであるから当該業務は事業に該当し、また、請求人の主張する費用はいずれも当該業務の遂行上必要な費用であるから必要経費に算入することができ、さらに、原処分に係る調査の手続には違法があり、原処分庁が提示した更正の理由には不備があるとして、同処分等の全部の取消しを求めた事案である。

 

∞∞ 吉岡 ∞∞

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