【相続税・贈与税】新型コロナウイルスと路線価

新型コロナウイルスは地価にも影響を与えそうです。


(日経新聞 朝刊より)
・・・だがテレワークが機能すると確認したスタートアップなど新興勢は、事業環境の悪化に備えオフィスを解約し始めた。都心部のオフィス利用に依存する不動産会社は、成長戦略の見直しを迫られる可能性がある。


かつて平成バブルが崩壊し、株も土地もものすごい勢いで下落したことがあります。その頃耳にしたのが、買値と比較して「半値、8掛け、2割引き」でした。もともとは、「天井を付けた後下落局面に入った時に、底の水準を判断する目安とされる相場の格言。高値×0.5×0.8×0.8=0.32で1/3程度まで下げるというもの。(野村證券、証券用語解説集より)」だそうです。

今回の新型コロナウイルスがどの程度地価に影響を及ぼすかわかりませんが、仮に一時的であったにせよ土地の需要が下がるでしょうから、下落要因であることは間違いないと思います。

そこで気になるのが、国税庁が公表する2020年度の路線価です。路線価は「路線価及び評価倍率は、毎年1月1日を評価時点として、地価公示価格、売買実例価額、不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格等を基として算定した価格の80%により評価しています。(国税庁HP)」とされていて、例年7月1日に公表されています。

今年の路線価は、新型コロナウイルスの感染が拡大し始める前の1月1日現在の土地の価格が基礎となってしまいます。したがって、2020年に相続が発生した場合の多くは、新型コロナウイルスの影響を受けていない路線価で土地の相続税評価をすることになってしまいます。

路線価は評価の安全を見ていわゆる時価の80%により評価されていますので、理屈の上では20%の下落なら時価よりも路線価の方が有利ということになっていまします。しかしながら、相続税は、相続開始から10ヶ月後に申告納税しますので、納税時にはさらに地価が下がっている場合も考えられます。

国税庁は、2020年の路線価についてどのように対応するのか注視したいと思います。


(参考1)
国税庁 平成4年4月事務連絡「路線価に基づく評価額が「時価」を上回った場合の対応等について」より

①路線価等に基づく評価額が、その土地の課税時期の「時価」を上回ることについて、申告や更正の請求の相談があった場合、路線価等に基づく評価額での申告等でなければ受け付けないなどという事のないように留意する。

②路線価を下回る価額で、申告や更正の請求があった場合には、相続税法上の「時価」として適切であるか否かについて適正な判断を行うこと。

具体的には、各種地価動向調査等による当該土地周辺の地価動向を把握し、例えば、当該土地が売却され、その売買価額を根拠として申告等がなされた場合には、他の売買事例との比較から当該土地の売買が適正な価格での取引といえるかどうか判断する。あるいは精通者(不動産鑑定士等)への意見聴取を行うなどして、当該土地の課税時期における時価の把握を行う事とする。

(参考2)
地価下落時の時点修正に係る裁決

(平15.9.2裁決、裁決事例集No.66 265頁)より

(ロ)路線価の時点修正について
請求人らは、P市宅地及びQ市宅地の評価について、路線価を本件相続開始日に時点修正した価格に基づき評価すべきである旨主張する。
しかしながら、路線価は評価の安全性の観点から評価割合を公示価格の80%程度として算定しているところ、いずれの宅地についても、請求人らが算定した時点修正率(平成8年1月1日から本件相続開始日までの地価の変動)は20%を超えるものではないことから、P市宅地及びQ市宅地に付されている路線価は本件相続開始日において時価を下回るものであるので、路線価に基づき算定したP市宅地及びQ市宅地の価額は適正である。


 

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