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【贈与税】保険料贈与スキームの注意点
ときどき、父・祖父が毎年保険料相当額を子・孫に贈与し、子・孫を保険契約者とする生命保険スキームを見かけます。
これは、父・祖父の相続税対策、子・孫の相続税の納税資金対策などを目的としたものです。
このスキームの実行にあたっては、下記の点に注意する必要があります。
・毎年の贈与契約書を交わす。
・贈与額が110万円超の場合は贈与税の申告をする。
・父・祖父が自分の確定申告で生命保険料の控除をしない。
・その他(子・孫の預金口座に父・祖父が振り込み、その預金口座から保険料が支払われる、
など)
~昭和58年9月国税庁事務連絡「生命保険料の負担者の判定について」~
【コラム】生命保険の考え方
生命保険における保険料は、純保険料と付加保険料から成り立っています。
純保険料は予定死亡率と予定利率から求められます。付加保険料は保険会社の
運営のための事業費を予定事業費率として見込んだものです。
死差益・・・保険会社の用いる予定死亡率は、実際の死亡率よりも高く設定されて
いるため必ず死差益がでることになっています
利差益・・・予定利率は、運用利回りのことで実際の利回りが予定利率を上回ると
利差益、逆に下回ると利差損となります。現在では国債の利回りをベースとした
標準利率という考え方が導入されたため、利差損(逆ザヤ)はでにくくなっています。
費差益・・・予定事業費率により保険会社の予定事業費を保険料に上乗せします。
予定事業費が実際の事業費を上回れば費差益がでます。最近では新興の
ネット系保険会社の出現により費差益は減少傾向にあるとされています。
予定死亡率に影響を与えるほどの出来事(パンデミック、巨大災害、戦争など)が
ない限り、3利源(死差益・利差益・死差益)により保険会社はほぼ儲かる仕組みに
なっています。
これをもって「保険会社をもうけさせるだけだから保険には入らない。」という意見を
聞くことがあります。大手14 社の基礎利益の合計額は、平成25年度で2兆円超えて
いますので、この意見は一面ではそのとおりだと思います。
ところで、35歳の男性の死亡率は0.00105(生保標準生命表2007より)で、10万に
対して向こう1年間に亡くなるのはたった105人です。
しかし、一家の稼ぎ頭が運悪くこの105人の中に入ってしまうと、残された家族は
その後悲惨な人生を歩むことになります。
保険金が全てを担ってくれるわけではありませんが、保険金は少なくともその後の
金銭的な苦労を軽減してくれます。
このように考えれば、月々の保険料でこのような事態へのリスクヘッジをしておく
という考え方もあると思います。