自署・押印制度が導入された背景
その制度の趣旨は、「その導入当時(昭和25 年)、代表者又は経理担当の責任者が申告書に 記載された事項について了知していない法人が 見受けられたという状況を背景に、申告書を提 出するという事実を法人の業務を主宰している 者及び申告書作成の直接の責任者が確認し、そ の申告についての責任を明らかにするために設 けられたもの(財務省・平成30年度税制改正の解説より」とあるように、申告納税制度が未熟な時代にその責任を明確にするというものでした。
平成30年度の税制改正で記名押印に
それが、平成30年度の税制改正で、電子申告の普及の妨げになっているとして法人税法本法では廃止となりました。
その結果、法人税は国税通則法(124①②)の適用を受けることになり、記名・押印という中途半端な形になりました。所得税、消費税、相続税と同様になりました。
令和3年度の改正で押印が廃止され記名のみに
申告書等の税務関係書類については、令和3年度税制改正で、令和3年4月1日以降、原則押印を要しないこととされ、記名のみとなりました。
押印が不要となった主な書類
- 確定申告書、修正申告書、更正の請求書
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 給与所得者の扶養控除等申告書
- 国税、地方税の各届出書・申請書 など
引き続き押印が必要な主な書類
- 担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類
- 相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類
(具体例)
配偶者に対する相続税額の軽減
小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除
非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例 など