個々の遺産を各相続人に分割するための話し合いが遺産分割協議です
個々の遺産をどのように分割するかは、遺言で指定されていればそれに従いますが、そうでなければ相続人同士で話し合い、相続人全員の同意を得て決めていきます。
これが遺産分割協議です。
遺産分割協議がまとまらないときは調停で、それでもまとまらないときは審判で遺産分割を行うことができます。
遺産分割協議は通常、相続税の申告期限までに終わらせます
遺産分割協議はいつ行わなければならないといった期間が定められているわけではありません。
遺言で分割禁止期間が定められていなければいつでも行えますし、いつまでも待つこともできます。
ただ、相続税の配偶者軽減や小規模宅地の特例など、相続税を軽減する措置は遺産分割が前提になっているので、通常は相続税の申告期限となる、相続開始後10か月以内に終わらせています。
ただし、土地については、民法と不動産登記法の改正により、相続登記が義務化されることになりました。具体的には、土地所有者が亡くなるとその相続人は、土地を取得したことを知ってから3年以内に相続登記しなければならなくなり、正当な理由なく登記を怠ると10万円以下の過料が科されるとされています。
2024年(令和6年)を目処に施行されることになっていて、過去の相続にも遡及して適用されることになっています。。
必ずしも法定相続分どおりに分割する必要はありません
民法では相続人ごとに、遺産の分割を受けることができる割合を定めています。
これを法定相続分といいます。
例えば、相続人が配偶者A、子B、子Cの3人の場合、法定相続分は配偶者が2分の1、子Bと子Cはそれぞれ4分の1ずつです。
遺産分割協議では法定相続分通りに分割しなければならないと考えている方もいるようですが、相続人全員が同意すればこれと異なる割合で分割することも可能です。
相続人が認知症の場合は成年後見人等を選任してもらう必要があります
相続人に認知症など意思能力が不十分な者がいる場合は、家庭裁判所に申立をして成年後見人等を選任してもらう必要があります。
成年後見制度には、保護が必要な程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の3つの類型がありますが、最も重い場合(意思能力が無い場合)は成年後見人がその相続人に変わって遺産分割協議に参加します。
成年後見人等の選任には裁判所の事実調査や精神科等の精神鑑定が必要なため、申立から3か月から10か月程度かかります。
相続人が未成年者の場合は特定代理人を選任してもらう必要があります
相続人が未成年者の場合は、その親権者が法定代理人として遺産分割協議に参加することになりますが、その親権者も相続人である場合は、利益が相反することになってしまいます。
このような場合は、家庭裁判所にその未成年者のために特別代理人を選任してもらって、その特別代理人が遺産分割協議に加わることになります。