医療法人は3種類あります
医療法人とは、医療法の規定により、病院、診療所又は介護老人保健施設を開設しようとする財団又は社団が各都道府県知事の認可を受けて設立される非営利の法人をいいます。
この医療法人のうち、財団又は持分の定めのない社団の医療法人であって、その事業が医療の普及及び向上その他公益の増進に著しく寄与し、かつ、公的に運営されていることにつき国税庁長官の承認を受けたものを特定医療法人といいます。
この特定医療法人として承認された場合は、法人税の税率が19%(通常は23.2%)に軽減されます。
また、医療法人のうち、救急医療やへき地医療、周産期医療など特に地域で必要な医療の提供を担い、かつ、一定の要件を満たすものとして都道府県知事の認定を受けたものを社会医療法人といいます。
この社会医療法人は、一般の医療法人で行うことのできない一定の収益事業を行うことができるものとされ、また、本来業務である医療保健業から生じた利益については法人税が非課税となります。
出資持分の定めのある医療法人は設立できなくなりました
医療法人を設立するには、法人の管理運営を行うための組織、根本原則等を定めた定款・寄附行為を作成し、医療法人設立のための設立総会を開催します。
設立総会後、設立認可申請書を作成し、各都道府県知事へ提出し、設立の認可を受けなければなりません。この設立の認可を受けた後、登記を行うことで医療法人が設立します。
近年の医療法の改正により、平成19年4月1日以降、出資持分(出資持分とは社員の退社時の持分払戻請求権及び解散時の残余財産分配請求権をいいます)のある社団医療法人の設立はできなくなってしまいました。
このため新規に設立された持分のない社団医療法人が解散した場合、残余財産は国や地方公共団体、一定の医療機関に帰属することとなります。
なお、平成19年4月1日前に設立された医療法人については、経過措置として、当分の間、出資持分を持ったまま存続することになります。
医療法人は事業報告書等を作成しなければなりません
医療法人は、毎会計年度終了後2カ月以内に事業報告書、貸借対照表、財産目録及び損益計算書(以下「事業報告書等」)を作成し、3ヶ月以内に事業報告書等及び監事の報告書を各都道府県知事へ提出しなければなりません。
また、事業報告書等の書類については医療法人の事務所に備付け、社員又は債権者等から帳簿書類の閲覧の請求があったときはこれに応じなければなりません。
MS法人を上手く活用すれば業務の拡大につながります
MS法人とはメディカルサービス法人のことをいい、医療法人の関係者により設立された医療法人と取引を行う営利法人をいいます。
医療法人は、営利を目的として設立された法人ではないため、社会医療法人以外の医療法人は、病院の運営等の本来の業務、附帯業務、付随業務しか行うことができません。
そこで、MS法人を設立し、MS法人が医療法人では実施できない業務を行うことによって、業務を拡大することができます。
例えば、医療法人では物品販売業が行えないため、MS法人を利用してコンタクトレンズや眼鏡を販売することなどが考えられます。
また、MS法人に医療法人の業務の一部を委託することにより、医療法人の経営合理化に役立てることもできます。
さらにMS法人と医療法人が取引を行うことにより、医療法人の所得が分散され、法人税等の節税を図ることもできます。