法人の税務調査立会い

税務調査は、任意調査と強制調査があります

税務調査は、納税者の税務申告内容が正しいかのどうかを確認するため、国税局又は税務署がおこないます。

税務調査には任意調査と強制調査があります。
任意調査とは、納税者の同意のもと国税通則法や法人税法による質問検査権が認められる範囲内においておこなわれる調査をいい、強制調査とは、国税犯則取締法により裁判所の令状を得ておこなわれる査察調査(いわゆるマルサ)をいいます。

一般的な法人について強制調査がおこなわれることはまれであり、税務調査といえば、通常は任意調査のことを指します。

税務調査の回数については、何年に1度調査に入るかは決まっていません。
会社の規模、業績及び過去の調査事績等により異なってきます。

国税通則法が改正され、調査の手続きがかわりました

法改正の趣旨は、「手続きの透明化及び納税者の予見可能性を高め、調査にあたって納税者の協力を促すことで、より円滑かつ効果的な調査の実施と申告納税制度の一層の充実・発展に資する観点及び課税庁の納税者に対する説明責任を強化する」ということになっています。

税務調査に該当しない行為が明確化されました

以下の行為は税務調査に該当しない行為として、明記されています。
税務調査に該当しない場合は、原則として加算税が課されない、又は軽減されることがあります。

  1. 提出された納税申告書の自発的な見直しを要請する行為
  2. 税法の適用誤りがあると思料される納税義務者に対して、必要に応じて修正申告書又は更正の請求書の自発的な提出を要請する行為
  3. 納税申告書の提出がないが、提出義務があると思料される納税義務者に対して、必要に応じて納税申告書の自発的な提出を要請する行為
  4. 源泉徴収税額の納税額に過不足徴収額があると思料される納税義務者に対して、源泉徴収税額の自主納付等を要請する行為
  5. 源泉徴収税額の納税がないが、納税義務があると思料される者に対して、必要に応じて源泉徴収税額の自主納付を要請する行為

実地調査がおこなわれる場合には、原則的には事前の通知がおこなわれます

実地調査をする場合には、税務署長等はあらかじめ、納税義務者にその旨及び以下の事項を通知します。

  1. 質問検査等をおこなう実地の調査を開始する日時
  2. 調査をおこなう場所
  3. 調査の目的
  4. 調査の対象となる税目
  5. 調査の対象となる期間
  6. 調査の対象となる帳簿書類その他の物件
  7. その他調査の適正かつ円滑な実施に必要なもの

ただし、納税義務者の申告若しくは過去の調査結果の内容又はその営む事業内容に関する情報等に鑑み、違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれがある場合等は事前通知をしないことになっています。

実地調査は、会社概要のヒヤリングから始まります

実地調査は、調査官が実際に納税者の事務所等に臨場して、質問検査権等をおこなうことをいいます。

実地調査の期間は法人の規模によって異なりますが、中小企業では通常1日~3日程度でおこなわれます。

例えば、2日間で実地調査がおこなわれる場合には、1日目の午前中に会社の概要や実際に売上をあげてから帳簿に反映されるまでの流れ、原材料や商品を仕入れてから帳簿に反映されるまでの流れなどを社長や担当者にヒヤリングをします。
お昼休みをはさんで、午後は売上関係の資料や帳簿を確認。
2日目の午前中は仕入関係の確認をして、午後に経費の確認をおこなうのが一般的な流れでしょう。
午前と午後の間にはお昼休みを1時間程度とりますが、この時間は調査官の作戦タイムとも言われているようです。

なお、帳簿や書類を確認していく中で必要に応じて資産・負債の確認や消費税、印紙税なども同時に確認をしていきます。

なお、調査官は納税義務者から提出された帳簿書類等を預かる権利が与えられています(「提出物件の留置き」)。
調査官は、留置きを実施する場合には預り証を交付することとなっていますので、預り証の内容を必ずチェックしましょう。

実地調査時には税務代理人(関与税理士)が立ちあうことで、その場やその後の調査対応が円滑に進むこと、不当な扱いがないように監視するなど、一定の役割を期待することができます。

実地調査後の調査官との対応は、窓口を1本化しましょう

実地調査は1~3日で終了しますが、実地調査の内容や留置きした資料、又は反面調査(必要に応じて、納税義務者の取引先などに対して質問検査等をおこなうこと)を基に調査官は指摘事項を検討していきます。
会社側でも、調査時に回答できなかった内容の確認や指摘事項への反証など、調査内容の対応を検討していきます。

調査官との窓口は、1本化することをお勧めします。
いろいろな人が対応をすると、誰がいつ何を話したかが不明になり、正しい情報が調査官に伝わらない可能性があります。
正しい情報が伝わらないと、不要な勘違いや、無駄に時間がかかってしまうおそれがあります。

窓口には税金に精通し、かつ会社の状況に詳しい税務代理人が適任と考えられます。

調査結果の通知は原則納税義務者に対しておこなわれます

調査の結果、申告内容に誤りが認められない場合には、その旨の通知が書面でおこなわれます。
誤りが認められた場合には、調査官はその理由を説明する義務があり、修正申告書等の提出の推奨がなされます。

納税義務者が修正申告書等を提出しない場合には、更正又は決定がおこなわれることになるでしょう。

調査結果の通知は原則納税義務者に対しておこなわれますが、納税義務者の同意がある場合には、税務代理人に対しておこなわれることになります。

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