Archive for the ‘相続税’ Category
【相続税】配偶者居住権
今年の民法の改正で、配偶者居住権が認められることになりました。
配偶者居住権とは、被相続人の所有していた住宅に住んでいた配偶者が、原則としてその配偶者が亡くなるまでの間、その住宅に賃料などを払うことなく利用し続けることを認める権利です。
日税連では、毎年「税制建議書」をとりまとめて公表していますが、この民法の改正を受けて、平成31年度の税制建議書の中で、配偶者居住権の評価方法の留意点をあげています。
・相続財産として何らかの評価が必要
・譲渡不可であるため、評価額の上限を設けることが必要
・制度の乱用による租税回避防止策が必要
なお、この制度の施行日についは周知に十分な時間が必要としているようですが、現時点では未定です。
(平成31年度税制改正に関する建議書より) 民法の改正により、配偶者の長期的な居住権と生活資金を確保するため、配偶者居住権制度が創設される。 その税務上の評価のあり方について、法制審議会「民法(相続関係)等の改正に関する要綱」では、配偶者が配偶者居住権を取得した場合には、その財産的価値に相当する価額を相続したものと扱うとしており、かつ相続税法第2条では「相続又は遺贈により取得した財産」に対して相続税を課税するとしていることからすれば、何らかの評価が必要であると考えられる。 他方、配偶者居住権の立法趣旨や法律上譲渡が禁止されていること等に鑑みれば、上限を設けること等も検討すべきである。この場合には、配偶者居住権は当事者が合意すれば容易に設定できることから、租税回避防止の観点も踏まえる必要がある。 |
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【相続税】小規模宅地等の特例の見直しの趣旨その2
小規模宅地等の特例は、宅地等のうち80%減額できる「特定事業用宅地等である小規模宅地等」、「特定居住用宅地等である小規模宅地等」及び「特定同族会社事業用宅地等である小規模宅地等」と「貸付事業用宅地等である小規模宅地等」があります。
平成30年度改正で「特定居住用宅地等である小規模宅地等」のうち、いわゆる「家なき子」とともに、「貸付事業用宅地等である小規模宅地等」が見直されています。
その内容はつぎのとおりです。
・貸付事業用宅地等の範囲から,相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等を除外する。
・ただし、相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者が当該貸付事業の用に供しているものを除く
・平成30年4月1日前から貸付事業の用に供されている宅地等は従前の取扱いとする。
その趣旨はつぎのとおりです。
・・・また、貸付事業用宅地等の軽減措置については、相続開始前に貸付用不動産を購入することにより金融資産を不動産に変換し、金融資産で保有する場合に比し、相続税評価額が圧縮され、かつ、小規模宅地等の特例も適用できるという節税策が雑誌などで盛んに紹介され、低金利も背景に賃貸アパートが増加する状況となっていました。特にタワーマンションでは、その減額効果が大きくなるといわれています。また、会計検査院による随時報告「租税特別措置(相続税関係)の適用状況等について」(平成29年11月)においては、申告期限経過後短期間で本特例の適用を受けた宅地等を譲渡している事例も多いこと、譲渡している事例のうち貸付用不動産が多数を占めることが指摘されていました。このような状況に対応するため、平成30年度税制改正では、相続開始前 3 年以内に貸付用不動産を取得した場合には、貸付事業用宅地等の特例は適用できないこととされました。ただし、3 年以上継続的に事業的規模で不動産貸付けを営んでいる場合は、金融資産を不動産に変換して節税策を講じるものともいえないことから、適用対象から除外されません。 (財務省・平成30年度税制改正の解説 641頁より) |
【相続税】小規模宅地等の特例の見直しの趣旨その1
小規模宅地等の特例は、宅地等のうち80%減額できる「特定事業用宅地等である小規模宅地等」、「特定居住用宅地等である小規模宅地等」及び「特定同族会社事業用宅地等である小規模宅地等」と「貸付事業用宅地等である小規模宅地等」があります。
平成30年度改正で「特定居住用宅地等である小規模宅地等」のうち、いわゆる「家なき子」が見直されていますが、見直した趣旨について、財務省から解説が公表されました。
これを読むと、意図的に持ち家がない状況を作り出す租税回避が横行したため、この節税封じが改正の趣旨のようです。
・・・しかし、特定居住用宅地等の要件のうち、勤務の都合等により被相続人と同居できず、かつ、持ち家を持たない相続人が被相続人の死亡後に被相続人が居住の用に供していた家屋に戻る場合を想定した要件(省略)について、既に自己の名義の家屋を持っている相続人が、その家屋を譲渡や贈与により自己又はその配偶者以外の名義に変更し、居住関係は変わらないまま、持ち家がない状況を作出して被相続人が居住の用に供していた宅地等について本特例を適用することも可能となっていました。 また、自らは家屋を所有しない孫に対して被相続人が居住の用に供していた宅地等を遺贈することにより本特例を適用するケースも指摘されていました。相続人の居住の継続のためという本特例の趣旨に照らすと、このようなケースは自己が居住する家屋を実質的に維持したまま、被相続人が居住していた宅地等の課税価格を減額するものであり、制度の趣旨を逸脱しているとみることもできます。そこで、平成30年度税制改正では、この要件が本特例の趣旨に即したものとなるよう見直されました。(財務省・平成30年度税制改正の解説 641頁より) |
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【相続税】小規模宅地等の特例の改正その2
つぎに被相続人等の事業の用に供されていた宅地等ですが、現行ではつぎのようになっています。
利用区分 | 要件 | 減額割合 | ||
被相続人等の事業の用に供されていた宅地等 | 不動産貸付業以外の事業用 | 被相続人の事業用 | 特定事業用宅地等 | 80% |
被相続人と生計を一にする親族の事業用 | 特定事業用宅地等 | 80% | ||
不動産貸付業等の事業用 | 特定同族会社事業用宅地等 | 80% | ||
貸付事業用宅地等 | 50% |
このうち貸付事業用宅地等ですが、相続開始直前に土地等を購入して貸し付けることにより小規模宅地等(200㎡まで50%の減額)をうけることにより税負担を軽減する事例が見受けられたことから、次のように改正される見込です。
貸付事業用宅地等 ・被相続人の貸付事業用宅地等 ・被相続人と生計を一にする親族の貸付事業用宅地等 |
左の貸付事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等を除外する。(ただし、相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている場合は従来どおり。) |
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【相続税】小規模宅地等の特例の改正その1
昨年末に与党から税制改正大綱が公表され閣議決定されました。
その中で小規模宅地等の見直しが掲げられています。
まず特定居住用宅地等※ですが、現行ではつぎのようになっています。
※特定居住用宅地等に該当すると、宅地のうち330平方メートルまでについてその評価額の 80%が減額されます。
1.被相続人の配偶者が取得した場合・・・つねに適用があります。
2.被相続人の配偶者以外が取得した場合
取得者 | 要件 |
被相続人の同居親族 | 相続開始の時から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人 |
いわゆる家なき子 | ・被相続人に配偶者がいないこと ・被相続人に同居親族がいないこと ・相続開始前3年以内に日本国内にあるその人又はその人の配偶者の所有する家屋に居住したことがないこと ・その宅地等を相続税の申告期限まで有していること |
被相続人と生計一親族 | 相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人 |
この家なき子について、被相続人と同居しない孫に遺贈したり、相続人の住宅を親族や同族会社に譲渡して社宅として住み続けるなどして、適用要件を回避する事例が見受けられたため、次のように改められる見込です。
相続開始前3年以内に日本国内にあるその人又はその人の配偶者の所有する家屋に居住したことがないこと | ・相続開始前3年以内に日本国内にあるその人又はその人の配偶者、その者の3親等以内の親族又はその者と特別の関係のある法人の所有する家屋居住したことがないこと ・相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたこ とがないこと |
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【相続税・国外転出時課税】相続人に非居住者いたら国外転出(相続時)課税に注意!
相続財産に1億円以上の株式や投資信託などの有価証券等があって、相続人に非居住者がいる場合は要注意です。非居住者である相続人が有価証券等を相続すると国外転出(相続時)課税を受けしまうからです。
この場合、相続税は相続人に課税されますが、非居住者が相続した有価証券等は、被相続人が有価証券等を譲渡したものとみなして所得税が課税されます。被相続人の所得税はその相続人がなくなった日から4か月以内に被相続人の準確定申告をして、所得税の納税義務を負います。
国外転出時課税の場合の有価証券等は、上場有価証券等に限られません。非上場株式も対象となります。
例えば、中小企業の後継者が海外の製造子会社に出向していていた最中、創業者である社長が急死したような場合では、後継者が非上場株式を相続することになると思います。
この場合、後継者を含め相続人は亡くなった創業者の相続税の他に、創業者の国外転出(相続)時課税に係る譲渡所得税も負担しなければなりません。
相続が発生した場合、相続人に非居住者いたら相続税だけでなく、国外転出(相続時)課税も考慮して遺産分割協議を進めることになります。
【相続税】修正申告、財産もらってないのに税金が増える?
亡くなった方の財産を申告期限の10か月の間に全て把握するというのは、なかなか大変です。遠方に住んでいたり、仮に同居したとしてもそんな財産があることを知らなかったり、思い違いといったこともあります。相続税の税務調査で申告もれが発見されることは決して珍しいことではありません。
税務調査で税務署から指摘されて、申告もれであることを相続人が納得すれば、多くの場合その財産を誰が相続するかを決めた上で相続税の修正申告書を提出し、納税することになります。
このときに、相続財産をもらっていない人までも相続税の納税が発生することがあります。
これは、わが国が現在採用している相続税の課税方式に起因しています。
相続税の課税方法にはつぎの3つがあるとされています。
①遺産課税方式
被相続人の遺産総額に応じて課税する方法で、相続税を差し引いた残りの財産を相続人が分割取得します。アメリカ・イギリスがこの方式を採用しています。
②遺産取得課税方式
各相続人等が相続した財産の価額に応じて、超過累進税率が適用されます。この方式は取得財産額に応じて税負担が発生するため公平である点が長所ですが、分割の仕方によって相続税の総額が変わってくるため仮装分割の問題点が指摘されています。ドイツ・フランスがこの方式を採用しています。
③法定相続分課税方式
各相続人等が相続等により取得した財産の合計を一旦法定相続分で分割したものと仮定して相続税の総額を算出し、それを実際の遺産取得額に応じて按分して各人の相続税額を計算します。この方式は財産をどのように分割しても相続税の総額は変わらないといった長所がある反面、納税者にとってわかりにくく、上記のような修正申告で財産を取得していないにもかかわらず追徴税額が出てしまうといった問題点があります。現行の日本の相続税法はこの方式を採用しています。
現行の相続税は具体的にはつぎの手順で計算します。
①各相続人が相続した財産から債務を控除するなどして計算した、各人の課税価格を合計(「課税価格の合計額」)を出します。
②課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて、課税される遺産の総額(「課税遺産総額」)を計算します。
③課税遺産総額を、各法定相続人が民法に定める法定相続分に従って取得したものとして、各法定相続人の取得金額を計算します。
④③で計算した各法定相続人ごとの取得金額に税率を乗じて相続税額を算出します。
⑤④の各法定相続人ごとの算出税額を合計して「相続税の総額」を計算します。
⑥つぎの算式により、各相続人ごとの相続税額を計算します。
相続税の総額 × 各人の課税価格 ÷ 課税価格の合計額 = 各相続人等の税額
相続税の税務調査で申告もれを指摘された財産を誰が相続するかに関係なく、一旦上記①の課税価格の合計額に取り込みます。
そして、②基礎控除額を控除し、③各法定相続人が民法に定める法定相続分に従って取得したものとして、④相続税の総額を計算するため、⑤申告もれ分だけ相続税の総額は増えます。これを⑥各相続人が相続した財産に応じて按分計算するため、申告にもれた財産を相続していない人までも相続税が増えて追加の納税が発生してしまうことがあります。
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【相続税・贈与税】この通達の定めにより難い場合・・・
行政文書に、全国国税局課税(第一・第二)部長(次長)会議資料というのがあります。これを見ていると毎年、財産評価基本通達の総則5項、6項についての記載があります。
例えば、平成27年ではつぎのようになっています。
平成27年9月28日・29日 |28・29資産評価企画官|
資産評価企画官当面の課題
:
(省略)
:
評価通達5項及び6項に該当する事案を一元的かつ適切に管理することにより、適正・公平な課税の実現が図られるよう、その運用に係る事務処理要領を定めている。財産の評価に疑義のある事案等については、事実確認を確実に行うとともに、評価通達5項及び6項の定めを適用すべきかどうかも含め、評価通達への当てはめや評価方法等の検討を十分に行い、庁・局・署間の連絡を密にして、評価通達のより一層の適切な運用を図る。
(上記はTAINSより引用)
(参考)
5 (評価方法の定めのない財産の評価) この通達に評価方法の定めのない財産の価額は、この通達に定める評価方法に準じて評価する。 |
6 (この通達の定めにより難い場合の評価) この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する |
この課題は全国で統一的に運用され、具体的にはまず全国の税務署から各国税局に報告され、国税局から国税庁に上申される流れになっているようです。
現在巷にはタワーマンション節税のように財産評価通達に基づいて評価をすることにより評価額を引き下げる手法がいくつか存在するようですが、一方では否認されるリスクも承知しておく必要があります。
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【相続税】タワーマンション節税の裁決
−裁決とは−
税務調査などでの税務署の処分に納得がいかない場合は、納税者の手続きの一つとして国税不服審判所長に対して審査請求をする方法があります。国税不服審判所では、調査・審理し、合議の結果国税不服審判所長が出すのが裁決です。裁決には公開裁決と非公開裁決がありますが、非公開裁決であっても情報公開法に基づく開示請求は可能となっています。
−タワーマンション節税の裁決−
タワーマンションの時価と相続税評価との乖離を利用した相続税の節税対策について、税務署が否認したことから納税者が国税不服審判所に審査請求した裁決例があり、その概要はつぎのとおりです。
<認定事実>
国税不服審判所では、被相続人名義で取得した本件マンションは、被相続人の相続財産であるとした上で、事実関係についてつぎのように認定しました。
①本件マンションの購入目的は、相続税の節税のためである。
②本件マンションの購入価額は293,000,000円であり、本件マンションを評価基本通達に基づいて評価すると、土地41,181,124円、建物16,837,100円の合計58,018,224円である。
③本件被相続人名義で本件マンションを購入してから、請求人が○○○に本件マンションを譲渡するまでの間、本件被相続人が本件マンションを訪れたことはなく、請求人が、たまに窓を開け、水を流しに行く程度で、本件マンションを利用した事実は一切ない。
④請求人は、本件被相続人死亡の約4か月後には本件マンションの売却を依頼する一般媒介契約を締結した。
⑤請求人は、本件マンションをなかなか売却できず、本件マンションを、○○○に285,000,000円で売却した。
⑥○○○は本件マンションを購入した日の翌日には、本件マンションの売却を依頼する一般媒介契約を締結した。
⑦本件マンションの近傍・・・基準地の価格動向は、・・・、ほぼ横ばいの状況にある。
<本件マンションの評価方法について>
本件マンションについては、つぎの理由により一般に行われる評価基本通達よらず、他の合理的な方法による評価が許されるものと解するのが相当であるとしました。
①本件被相続人の本件マンション取得時(平成19年8月)と本件相続開始時が近接していること、
②本件被相続人の本件マンションの取得時の金額が293,000,000円であること、
③請求人から本件マンションを取得した○○○が売却を依頼した時点(平成20年7月及び同年8月)の媒介価額は、315,000,000円であること、
④本件マンションの近傍における×××の基準地の価格は、・・・、本件相続開始日の前後においてほぼ横ばいであること等
を参酌すると、本件相続開始時における本件マンションの時価は、取得価額とほぼ同等と考えられるから、本件マンションは293,000,000円と評価するのが相当である。
<法令解釈等>
時価とは、相続開始時における財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額、すなわち客観的な交換価値をいう。
↓
しかしながら、財産の客観的交換価値は必ずしも容易に把握されるものではないから、課税実務上は、財産評価の一般的基準が評価基本通達によって定められ、原則として、これに定められた画一的な評価方式によって相続財産を評価することとされている。
↓
そして、上記通達に定められた評価方式が合理的なものである限り、これが形式的にすべての納税者に適用されることによって租税負担の実質的な公平をも実現することができる。
↓
しかし、課税手続における形式的平等を貫くことにより、かえって納税者間の実質的な租税負担の公平を害することとなる場合には、形式的平等を犠牲にしても、実質的な租税負担の平等の実現を図るべきであり、具体的な相続財産の価額の評価について、評価基本通達によらないことが正当として是認されるような特別な事情がある場合には、評価基本通達によらず、他の合理的な方式によってこれを評価することが相続税法第22条の法意に照らして当然に許されるものというべきである。
上記<法令解釈等>に記載されているとおり、かならずしも相続財産や贈与財産を財産評価基本通達にしたがって評価していればOKとうわけではありません。じつは、この財産評価基本通達にもその点をうたっていて、やはり過度な節税対策は否認のリスクと隣り合わせといわざるをえません。
財産評価基本通達 第1章 総則 6項この通達の定めにより難い場合の評価 この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。 |
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【相続税】タワーマンションによる相続税の節税
-タワーマンション相続税節税とは-
タワーマンション相続税節税、略してタワマン節税というのがあります。
相続税は時価以上で評価して課税することはできないため、安全を見て時価よりも低く評価することになっています。その価格水準はつぎのとおりです。
評価方法 | 価格水準 | |
土地 | 路線価 | 公示地価の80% |
建物 | 固定資産税評価額 | 建築家価額の50%~70% |
この時価と相続税評価の乖離を利用して不動産投資をするのが不動産による相続税対策なのですが、タワーマンションは特にその効果が大きいといわれています。
タワーマンションは一定の敷地の上に高層マンションが建っていますが、世帯数が多いため1戸当たりの土地の持分が小さいという特徴があります。つまり好立地であっても路線価の影響度合いが小さいという特徴があります。
また、タワーマンションは高層階になるほど市場価額は高くなりますが、その相続税評価は高層階の価格上昇を反映することのない固定資産税評価額となっています。
そのため、タワーマンションの高層階を購入すれば購入価額と相続税評価の乖離は他の不動産に比べて大きく、相続税の節税効果が大きいといえます。
-国税庁サンプル調査と見解-
平成27年 10 月 27 日の政府税制調査会でも取り上げられていますが、国税庁が実施した中古のタワーマンション(20 階以上)の売買価格と財産評価額の乖離の実態を把握するためサンプル調査を行ったところ、平均で約3倍、最大で約7倍の乖離率あったとしています。
サンプル数 | 平均値 | 中央値 | 最大値 | 最小値 |
343 | 3.04 | 2.98 | 6.93 | 0.57 |
また、平成 27 年 10 月 29 日、タワマン節税に対するつぎのような国税庁の見解が発表され、行き過ぎた節税対策について、一定の牽制をしました。
当庁としては,実質的な租税負担の公平の観点から看過しがたい事態がある場合には,これまでも財産評価基本通達 6 項を活用してきたところですが,今後も,適正な課税の観点から財産評価基本通達 6 項の運用を行いたいと考えております。 |
(参考)
財産評価基本通達 6 項
(この通達の定めにより難い場合の評価) この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。 |
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