Archive for the ‘コラム’ Category

【コラム】新型コロナウイルス・税制の緊急対応策

2020-03-23

今朝の新聞報道によると、自民党の甘利明税制調査会長は、「新型コロナウイルスの感染拡大の影響で売り上げが激減した中小企業などの納税猶予を検討する。」と述べたそうだ。

詳細はこれからのようだが、ここで言う中小企業とは、中小企業法上の中小企業なのか、法人税法上の中小法人または租税特別措置法上の中小企業者等になるのだろうか。
さらに、個人の所得税は現在納期限が4月16日(振替納税は所得税:5月15日、消費税5月19日)に延長されているが中小企業者に個人も含めるのかなど、納税猶予の対象者の線引に注意したい。

納税免除ではなく猶予だから、いつかは納税しなくてはならない。一律に何ヶ月と定めるのか、あるいは一定の条件を満たすまで猶予するのだろうか。

また、企業の売上が激減した場合を想定しているようだが、どのくらいの売上減少を想定しているのだろうか。多くの中小企業は借入により資金繰りをおこなっている。今月の収入が想定外に減少すれば直ちに資金繰りに窮してしまう。したがって、比較するのは月単位でなければ意味がない。

新型コロナウイルス関連では、消費税率の引き下げの議論がある。企業の事務負担などの経済全体のコストを考えれば、電子マネーを含む一律の現金給付の方がまだマシだろう。

 

 

∞∞ 吉岡 ∞∞

 

【コラム】新しい価値基準

2020-01-21

昨日の日経新聞によると、ここ10年で世界の先進国の失業率は大幅に下がったそうだ。にも関わらず、労働分配率は低下傾向だという。ということは、一人当たりの人件費は大幅に下がったということになる。

世界の上位26人の富裕層が下位38億人の貧困層と同等の資産を保有しているそうだ。日本の場合これほどではないにしても、やはり所得の格差は広がっているのだろう。

戦後の高度成長の恩恵を受けた団塊の世代の人たちが中間層を構成している。一方、それに続く世代はグローバル化、デジタル化のせいで、もはや以前のようなピラミッド型の組織をした会社はなくなりつつある。

飛び込み営業、飲食店、営業ドライバー、建築現場、警備員、交通整理・・・。結婚をして所帯を持っても年収が500万円に届かない、就職はできるが将来の見通しがたたない層が団塊の世代に続いているのだ。

昔から「富の再分配」という経済政策がある。税制や社会保険制度で所得が多い者から税や社会保険料という形で国が所得を徴収し、所得の低い層に再分配するのである。

これには、副作用が伴う。つまり、働かなくてもお金は天から降って湧いてくるのだから、誰も働くなる。一方では働いても働いても稼いだお金は税金で国に取られてしまう。もっと税金の低い国に移住するか、馬鹿らしくなって働くのやめてしまうかも知れない。

過度に富の再分配を行なってしまうと、国活力が衰退してしまうのである。今はまさに、新しい価値基準が求められているのではないだろうか。(続く)

 

∞∞吉岡∞∞

 

【コラム】所得格差の拡大

2020-01-20

今日の日経新聞によると、世界で所得の格差が拡大しているという。その原因は、グローバル化とデジタル化だとしている。

グローバル化は税理士として実感している。バブル崩壊後、物の値段が下がった、百円均一、回転寿司、島村、UNIQLO、・・・。

日本人は機能は落とさず低価格を商品に求めた。結果、企業が国内での生産を諦め、人件費の安い国に生産をシフトした。当然の帰結として、国内産業は廃業に追い込まれた。顧問先の決算打ち合わせで下町の工場地帯の出向くと、工場が取り壊され、跡地はしばらくは駐車場になり、その後マンションに変わっていく、そういった景色をよく見かけたものだ。

デジタル化はどうだろう。
今日、Amazonほど便利なものはない。欲しいものはなんでも揃っている。こんなものまでと驚いてしまうことも少なからずある。しかも、クリックすれば翌日には商品が自宅に届く。

人々は新聞も本も読まなくなった、情報は全てスマートホンで得ることができる。最近の若者は漫画本さえスマホで読む。CDも売れなくなり、ゲーム機もスマホがとって代った。

その結果、デパート、本屋、レコード店、電器店、玩具屋、文房具屋、みんな街から消えていった。(続く)

 

∞∞吉岡∞∞

【法人税・所得税】海外中古不動産を利用した節税規制

2019-12-01

日本では、中古の建物はあまり評価されません。
地価の高い地域では、建物は評価されず、多くは取壊しが前提になります。

一方、海外のリゾート地などの投資物件は、建物を修繕しながら使っていくため、建物込みの価額で取引されます。
ここに目を付けたのが、賃貸物件として海外の中古不動産を利用した節税です。

郊外のタウンハウスや一戸建ての木造だと、新築の耐用年数は22年ですが、耐用年数を超えたものは4年で償却できます。
これを利用して多額の減価償却費を計上することにより赤字を作り出し、日本国内の所得と通算して節税をはかるものです。

この耐用年数を利用した節税は、なにも海外の中古不動産投資ばかりではありません。
ちょっとした節税としては、自動車の耐用年数が5年と短いことから、中古の高級車を利用したものがあります。
商品としては航空機リーススキーム(オペレーティングリース)などがあります。

このうち海外中古不動産を利用した節税は、ここ数年毎年規制されるのではないかといわれ続けてきました。
先日の新聞報道によりますと、どうも来年の税制改正で規制されるようです。

今年は、所得層にかかわらず国民全員が負担する消費税が10月に10%に増税されました。
高額な海外中古不動産の投資が富裕層に多い節税であることを考えれば、規制のタイミングは今なのだと思います。

財務省主税局は、巷で行われている節税商品や手法は、すべて把握していると考えておくべきです。行き過ぎた節税が盛んになると、時期を見て税制改正や通達で蓋をします。

納税者は、節税商品に蓋をされた場合、どのように対応するかは、最初から考えておくべきです。節税は、常にリスクと隣り合わせだからです。

 

 

∞∞吉岡∞∞

【コラム】取締役が認知症になったら?

2018-11-07

日本はすでに高齢化社会だといわれていますが、戦後の第一次ベビーブーム世代、すなわち団塊の世代・・・1947年(昭和22)から1949年(昭和24年)生まれ・・・が、これから70歳(2020年)、75歳(2025年)にさしかかります。
さらなる高齢化にともなって、取締役在任中に認知症になってしまったというケースが今後増えることが予想されます。

-参考-
「厚労省が今回発表した推計によれば、団塊の世代が75歳以上となる2025年には、認知症患者数は700万人前後に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人を占める見込みです。」
認知症フォーラム.comより


認知症になれば、取締役としての職務執行が困難となります。取締役在任中に認知症が発症した取締役に退任してもらうには、つぎの三つの方法が考えられます。
①後見の開始、補佐の開始(会社法331条1項2号)
②任期満了(会社法332条1項)
③解任(会社法339条1項)

ところで、認知症と診断されてもその程度によって三の類型があり、法定後見はそれぞれに応じて「後見」「保佐」「補助」の三があります。

日常生活を営むことが困難な人で最も重い類型 成年後見
判断能力が相当程度低下してしまった人で中間に位置する類型 保佐
断能力がある程度低下してしまった人で最も軽い類型 補助

 


①後見の開始、補佐の開始について
会社法の定めにより、成年被後見人と被補佐人に該当する場合は、取締役としての資格喪失による退任ということになります。(被補助人は資格喪失による退任とはなりません。)

②任期満了について
認知症が発症した取締役の任期があと少しという場合は、任期満了まで待つという選択肢もあります。

③解任について
会社法では、取締役は、いつでも株主総会の決議によって解任することができるとされています。また、取締役の解任は、定款に別段の定めがない限り、株主総会の普通決議で可能です。
ただ、取締役本人が退任を拒む場合には、世間の目もあり、できれば避けたい方法です。

 

∞∞ 吉岡 ∞∞

 

 

 

 

【コラム】どんな経営者でも認知症になるリスクはある

2018-10-20

同族会社の経営者は、「自分が死んだら、この会社はどうなる」といった心配はしますが、自分が認知症になったらどうなる、とはあまり考えません。

しかし、どんなに人格者であっても、どんな実力者であっても、人は歳を重ねれば認知症になるリスクが高まります。これは創業社長といえども例外ではありません。

-参考-
「厚労省が今回発表した推計によれば、団塊の世代が75歳以上となる2025年には、認知症患者数は700万人前後に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人を占める見込みです。」
認知症フォーラム.comより

やっかいなのは、認知症はいきなり認知になるのではなく徐々に進行していくことです。
物忘れの頻度が最近多くなってきた、単に固有名詞が出てこないだけではなく出来事そのものを忘れてしまう、突然感情的になってしまう、車庫入れで車をこすってしまうことが多くなった、などなど。

周囲が明らかに認知症と判断できれば、認知症を前提に対応できるのですが、認知症は徐々に進行し、しかも本人にその自覚がないためやっかいです。
家族なら本人に認知症と伝えることができますが、社長に向かって他の役員が認知症などといえるはずがありません。

不愉快かも知れませんが、社長自身も一定の確率で認知症になるという自覚が必要です。
65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症になる時代がもうすぐ来ることを鑑みれば、おそくても70歳頃までには後継者を決め、事業承継の準備をしなければなりません。

 

∞∞吉岡∞∞

【国民健康保険料】国民健康保険あれこれ

2018-09-04

1.退職した場合の健康保険

現役のサラリーマンの頃は、各企業が運営する組合健保(健康保険組合)か協会けんぽ(全国健康保険協会)に加入していたと思います。退職すると任意継続しない場合、国民健康保険に加入することになります。通常はこのパターンだと思いますが、退職してからもフリーランスで働く場合は、業種が限られていますが国民健康保険組合の加入という選択肢もあります。

国民健康保険法 市町村 各市町村(特別区を含む)が運営
国保組合 同種の事業又は業務に従事する者で組織する団体が運営
健康保険法 組合健保 大企業とそのグループ会社や子会社が運営
協会けんぽ 全国健康保険協会という団体が運営

 

2.国民健康保険料と保険税

ところで退職後に加入する国民健康保険ですが、お住まいの地域によって国民健康保険料となっていたり国民健康保険税となっていたりします。
たとえば東京都では、23区と立川市、西東京市が保険料、その他の市町村は保険税となっているようです。

国民健康保険法では、「・・・被保険者の属する世帯の世帯主から保険料を徴収しなければならない。」とされています。ただし、「地方税法の規定により国民健康保険税を課するときは、この限りでない。」とされていて(国民健康保険法76条①、各市町村はどちらを選択してもよいとされています。
なお、被保険者が病気やケガをした際の保険給付に差はありません。

保険料と保険税、どちらであっても保険料(税)をきちんと納めている分には違いはないのですが、保険料(税)滞納したときに取り扱いに差が出てきます。

保険料の場合は国民健康保険法により時効が2年(国民健康保険法110)なのに対して、保険税の場合は地方税法により5年で時効となっています(地方税法18)。

 

∞∞ 吉岡 ∞∞

【コラム】中小企業基本法における中小企業

2017-05-07

中小企業庁によると、全事業者数の99.7%が中小企業、全従業者の約70%が中小企業に就業しているとされています。
この中小企業に該当すると、税制、金融、補助金、創業・事業承継支援などのさまざまな恩典がうけられます。

ではこの場合の中小企業基本法における中小企業の定義はどのようになっているでしょうか。

中小企業者 うち小規模事業者
資本金 または 従業員 従業員
製造業その他 3億円以下 300人以下 20人以下
卸売業 1億円以下 100人以下 5人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下 5人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下 5人以下

この場合の従業員は、労働基準法第20条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」を従業員とされています。
第20条(解雇の予告)
①使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
②前項の予告の日数は、1日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
③前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。

第21条
前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。
但し、第1号に該当する者が1箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第2号若しくは第3号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第4号に該当する者が14日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない。
一 日日雇い入れられる者
二 2箇月以内の期間を定めて使用される者
三  季節的業務に4箇月以内の期間を定めて使用される者
四  試の使用期間中の者

詳しくは中小企業庁HPをご参照下さい。

∞∞ 吉 岡 ∞∞

【コラム】退職給付金の受取方法の有利不利

2017-05-03

退職給付金を一時金で受け取る場合と年金で受け取る場合とでは、どちらが有利なのでしょうか。
その判断要素としては、受取総額、税負担額、社会保険料の三つの要素があると思います。


-受取総額-
年金方式には有期年金と終身年金がありますが、終身年金は少なくなって最近は有期年金が一般的になってきているようです。

年金方式の最大のメリットは、退職金を分割してもらう代わりに企業が退職金を運用してくれるので、一時金で受け取るよりも受取総額が多くなる点です。
例えば退職金を3,000万円、予定利率を2%、10年有期年金だと毎年の年金は334万円なので10年間での受取総額は3,340万円となり、一時金で受け取るよりも総額で340万円多くなります。



-税負担額-

①退職所得
一時金で受け取った場合は退職所得となります。
退職所得の金額は、つぎのように計算します。

退職所得の金額=(収入金額 - 退職所得控除額※) × 1 / 2
勤続年数 ※退職所得控除額
20年以下 40万円 × 勤続年数
20年超 800万円 + 70万円 × (勤続年数 – 20年)

例えば、退職金が3,000万円で38年間勤務した場合の退職所得の金額はつぎのとおりです。

470万円=(3,000万円 - 2,060万円※) × 1 / 2

※800万円+70万円×(38年-20年)=2,060万円

つまり退職金3,000万円を受け取っても税金の課税対象となるのは470万円ですみます。
退職所得課税には、退職所得控除や2分の1課税の他にも、他に所得があったとしても他の所得合算しない分離課税となっていて、税金面で優遇されています。詳しくは国税庁HPをご参照下さい。

②公的年金等に係る雑所得
年金で受け取った場合は、公的年金等に係る雑所得となり、つぎのように計算します。詳しくは国税庁HPをご参照ください。

公的年金等に係る雑所得の金額=公的年金等の収入金額の合計額-公的年金等控除額

公的年金等については公的年金等控除額がありますが、他の所得と合算する総合課税であり、退職所得のように2分の1課税や分離課税といった優遇措置はありません。



-社会保険料-

退職金を一時金で受け取る退職所得の場合は、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料などへの影響はありません。しかし、年金として受け取る場合は公的年金等に係る雑所得として、これら保険料の所得割額の計算対象となる総所得金額等を含まれるため、社会保険料が増える場合があります。

∞∞ 吉岡 ∞∞

 

【コラム】退職年金と国民健康保険料等

2017-05-02

-公的年金等-
年金には、公的年金と私的年金があります。公的年金とは、国などの公的機関が運営するものをいいます。私的年金とは、企業が退職者に支給する企業年金や個人が生命保険会社等と契約する個人年金などをいいます。
このうち「公的年金」と「私的年金のうち企業が退職者に支給する企業年金」などを合わせたものを「公的年金等」と呼びます。
したがって、退職者が退職金を年金で受け取ることとした場合、公的年金となります。この場合の公的年金等は雑所得として所得税や住民税の課税の対象になります。詳しくは国税庁HPをご参照ください。

公的年金等に係る雑所得の金額=公的年金等の収入金額の合計額-公的年金等控除額

-国民健康保険料-
国民健康保険料(税)は、世帯の国保加入者ごとのに医療給付分、後期高齢者支援分及び介護納付金分(40歳~64歳まで)を計算し、その合計額が世帯主に通知されます。これらはそれぞれ所得割額と均等割額からなります。
このうち所得割額についてはつぎのように計算します。

(前年の総所得金額等-基礎控除額33万円)×料率

この場合の総所得金額には、公的年金等に係る雑所得の金額は含まれますが、一時金で受け取る退職所得金額は含まれません。

-後期高齢者医療保険料-
後期高齢者医療制度では、75歳になると被保険者一人ひとりに対して保険料がかかってきます。保険料は、所得割額と均等割額からなります。
このうち所得割額についてはつぎのように計算します。

(前年の総所得金額等-基礎控除額33万円)×料率

この場合の総所得金額には、公的年金等に係る雑所得の金額は含まれますが、一時金で受け取る退職所得金額は含まれません。

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