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【コラム】税務調査の動向

2020-09-24

全国の税務署や国税局が新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、4月から中止していた新規の訪問税務調査を再開させることが、関係者への取材で分かった。国税側は連休明けの23日から納税者に電話で調査を受けてもらえるかどうか確認し、10月から再開する見通し。(2020/09/23 日経)


3月以降、仕掛り中の調査を除き新規の税務調査は行われてきませんでした。
同業者の声を聞いても、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ほとんど税務調査は行われてこなかったようです。

税務調査には、強制調査(査察)と任意調査があります。
任意調査には、準備調査と実地調査があります。

準備調査というのは、提出された申告書の分析や資料せん※などの税務署が独自に収集した情報との申告内容の照合などを行う、机上調査のことです。

※税務署では、適正・公平な課税の実現のため、法人及び個人の事業者の方々に「売上、仕入、費用及び リベート等に関する資料」の提出をお願いしております。(国税庁HP👈クリック)

税務署は、3月以降はこの準備調査がメインだったのでしょう。
上記日経の記事では「・・・18日に日税連に連絡した」とありますが、早速昨日調査の連絡があった税理士もいるようです。


実地調査は、原則として税務職員が納税者の事務所や自宅に訪問して行われます。
コロナの感染リスクについては、マスクをするなどの一定の予防をしていればあまり気にしない方もいらっしゃいますが、家から出ることさえ恐怖を感じている高齢者の方もいたりして、人それぞれです。

かようにコロナに対する受け取り方は人それぞれで、納税者の感情を無視して調査日程を決めるのは難しいと思います。
税務調査がなくなるということは基本ありませんので、どこかで折り合いをつける必要があると思っています。

法人税 従来と同じで、会社の会議室や応接室で税務調査が行われると思います。オフィースの広さの関係で3密(密閉・密集・密接)が避けられない場合の実地調査は難しいと思います。税務署への呼び出し、貸会議室などが考えられます。
所得税 所得税の調査は、税務署への呼び出しが中心だった思いますので、取引規模の大きい個人を除き、変わらないのではなかと思います。
相続税 相続税の税務調査は、被相続人の自宅で調査が行われることが多いようです。昨今の相続は相続人が高齢者の場合もあり、コロナ禍での実地調査は難しい思います。相続人のうち都合の良さそうな方の自宅や担当した税理士の事務所などが考えられます。

 

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【所得税】義父からの住宅取得とローン控除

2020-09-23

都内の賃貸マンションに家族で住んでいます。
義父母が有料老人ホームに入ることになり、銀行借入れで義父の一戸建て住宅(築15年)を購入することになりました。
注意すべき点を教えてほしいとのことです。

まず、仲介業者を通さない親族間の売買です。
売買価額をどう設定するかという問題があります。

土地については、路線価が容易に入手できます。(国税庁HP👈クリック)

路線価は公示地価の80%程度とされていますので、路線価を0.8で割り戻せば公示地価に準じた土地価格が出ます。

また、建物は固定資産税の評価額が使えます。(固定資産税の納税通知書に記載されています。)

路線価又は公示価格に準じた価格に地積を乗じた土地価額と建物の固定資産税評価額の合計が売買価額の目安になります。

ただし、「個人間の対価を伴う取引により取得したものの価額は、当該取得時における通常の取引価額に相当する金額によって評価する。」とする、負担付贈与通達(国税庁HP 👈クリック)があります。

できれば、近隣の不動産業者から売買価格の相場観を確認しておいた方がよいと思います。
なお、業者から不動産を購入すれば建物部分について消費税が課税されますが、義父は消費税法における事業者ではないので、当然のことながら消費税は課税されません。

銀行借入れで取得しますが、ローン控除の適用があるかどうかということです。
義父が住んでいるとのことなので中古住宅になります。

中古住宅のローン控除については、築年数又は一定の耐震基準を満たせば対象住宅となります。
築年数については、築20年(マンションなどは25年)以下が条件です。(詳しくは国税庁HP 👈クリック)

この場合、義父からの取得ですが、「取得の時に生計を一にしており、その取得後も引き続き生計を一にする親族や特別な関係のある者などからの取得でないこと。」(詳しくは国税庁HP 👈クリック)の要件を満たしていればローン控除を受けることができます。

ローン控除に関しては下記のチェック表が便利です。
令和元年分住宅借入金等特別控除を受けられる方へ(新築・購入用)(A1~A3)(国税庁HP 👈クリック)

 

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【コラム】持続化給付金の不正受給

2020-09-22

持続化給付金のホームページ(👈クリック)が一新されています。

サイトの入り口で、2020年8月31日以前の申請と9月1日以降の申請に別れます。これは、電通に丸投げしたとして批判された一般社団法人サービスデザイン推進協議会から、コンサル会社「デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社」に事業者が変更されたことによると思われます。

さらに、9月1日以降の申請を選択すると、「中小法人等」、「個人事業者等(事業所得)」、「個人事業者等(主たる収入が雑所得・給与所得)」の3つに別れ、情報が絞り込まれる作りとなってます。

持続化給付金は、例えば「個人事業者等(事業所得)」の場合、次が条件となっています。
・2019年以前から事業により事業収入(売上)を得ており、今後も事業継続する意思があること
・2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月があること

ところが、持続化給付金の性質上、支給決定までのスピードを重視し、形式的な要件を満たしていれば給付するという「性善説」に基づいた制度設計だあったため、一定数の不正受給があるようです。

9月に入ってからでも、京都、兵庫、愛知で組織的な不正受給がりました。


もし不正に加担して発覚すれば「受給したお金を返して終わり」では済みません。まず、不正受給した給付金については受給の翌日から起算して年3%の金利が課され、さらにその合計額の20%を加算した金額を請求されます。仮に100万円を不正受給して1年後に返還すると、123万6000円を払う必要があります。加えて申請者の氏名が公表されます。

さらに悪質な場合には刑事告発をされ、詐欺罪により厳しい刑事罰が科される可能性もあります。万一、不正受給をしてしまった人がいたら、直ちに給付金を返還することを勧めます。(日経 2020/09/11)


不正受給は明らかな詐欺行為です。
仮に刑事告発までも行かなかったとしても、氏名が公表されてしまうとSNSなどで拡散されてしまうことも考えられます。

 

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【所得税】雑損控除の計算式

2020-09-21

書籍やインターネットのサイトをみていると、雑損控除の計算方法が二種類でてきます。

A:災害関連支出の有無と金額で区分

その年の損失の金額のうちに災害関連支出の金額がない場合又は5万円以下の場合 損失の金額-総所得金額等☓1/10
その年の損失の額のうちに5万円を超える災害関連支出の金額がある場合 損失の金額-次のいずれか低い金額
(ⅰ)損失の金額-(災害関連支出の金額-5万円)
(ⅱ)総所得金額☓1/10
その年の損失の金額がすべて災害関連支出の金額である場合 損失の金額-次のいずれか低い金額
(ⅰ)5万円
(ⅱ)総所得金額等☓1/10

B:災害関連支出の有無と控除限度額で区分
次のイ、ロのうちいずれか多い方の金額

損失の金額 - 総所得金額等 ☓ 1/10
損失の金額のうち災害関連支出の金額 - 5万円

- 検討 -
A-① 災害関連支出の金額がない場合又は5万円以下の場合 ==> B-イ

A-②
(ⅰ)損失の金額-{損失の金額-(災害関連支出の金額-5万円)}
=災害関連支出の金額-5万円 ==> B-ロ
(ⅱ)損失の金額-総所得金額☓1/10 ==> B-イ

A-③
(ⅰ)損失の金額-5万円 ==> すべて災害関連支出の金額-5万円 ==> B-ロ
(ⅱ)損失の金額-総所得金額☓1/10 ==> B-イ

-結果-
当然のことながら、両者は同じ内容であることがわかります。

※総所得金額等
事業所得、不動産所得、給与所得などの所得を合計した金額に、これらの所得とは分離して計算する退職所得、山林所得を加算した合計所得から、純損失の繰越控除、雑損失の繰越控除を適用した後の金額をいいます。(詳しくは国税庁HP👈クリック)

※※災害関連支出
災害等に関連して住宅家財等の取壊し又は除去などのためにした支出をいいます。災害関連支出のうち、災害により生じた土砂を除去するための支出などの原状回復支出については、災害のやんだ日から1年以内(大規模な災害の場合等には、3年以内)に支出したものが対象となります。

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【所得税】預金不正流出と雑損控除

2020-09-18

最も甘かったのは地銀とゆうちょ銀行の預金がドコモ口座から引き出された例だ。ドコモ口座は匿名のメールアドレスだけで登録できた。銀行側でも、預金口座の番号と暗証番号を入力すればドコモ口座とひもづけ、預金口座から入金できた。(2020/9/16 日経)

複数の電子決済サービスで銀行の預金が流出している問題で、不正の実態が明らかになってきた。SBI証券では不正なアクセスで9864万円が流出した。犯罪者が他のネットサービスで使ったパスワードを盗み取り、同姓同名の偽口座を作ってお金を引き出していた。犯罪の手口は高度になっている。本人確認が破られる深刻な事態で安全対策は待ったなしだ。(2020/09/18 日経)


ドコモ口座にしろSBI証券にしろ、今のところ事業者が全額保証するとしているので実害はない見込みです。

しかし、事業者からの注意喚起を無視していたり、IDやパスワードを使いまわしにしていたりしていたような場合、どこまでが事業者の責任で、どこまでが利用者の責任なのか難しい問題が出てきます。

今のところ、事業者も完璧なセキュリティー対策はないと認めています。こまめにパスワードを変更する、預貯金残高やクレジットカードの利用履歴を確認する、可能なら生体認証を利用するといった地道な努力が必要なようです。


ところで、所得税法では、こういった預貯金の不正流失やカードの不正利用などの盗難によって受けた損害については、雑損控除の対象になります。

雑損控除とは、各種所得の金額の合計額から差し引ける所得控除の一つです。災害・盗難・横領によって資産について損害が受けたことにより、担税力に影響を受けたことへの考慮、といういのが制度の趣旨です。

雑損控除の対象となる資産の範囲、損害の原因、雑損控除の金額の計算方法についてはこちら(国税庁HP 👈クリック)を参照ください。

なお、振り込め詐欺は、災害・盗難・横領のいずれにも該当しないので雑損控除の対象にはならないというのが、国税庁の見解です。

 

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【贈与税】負担付贈与通達

2020-09-17

平成元年、いわゆるバブルの最中に発遣された下記「負担付贈与通達」は現在も残っています。(国税庁HP👈クリック)


(趣旨)
最近における土地、家屋等の不動産の通常の取引価額と相続税評価額との開きに着目しての贈与税の税負担回避行為に対して、税負担の公平を図るため、所要の措置を講じるものである。

(本文)

土地及び土地の上に存する権利(以下「土地等」という。)並びに家屋及びその附属設備又は構築物(以下「家屋等」という。)のうち、負担付贈与又は個人間の対価を伴う取引により取得したものの価額は、当該取得時における通常の取引価額に相当する金額によって評価する。


負担付贈与とは、受贈者側に債務を負担させることを条件にした贈与です。
例えば、不動産を買った時の借金を引き継いでくれれば、この不動産あげるよ、というのが負担付き贈与です。

この通達が発遣されたバブルの頃は路線価は時価の30%~60%程度だったと思います。
(ちなみに、路線価は平成3年に公示価格の70%程度に引き上げ、さらに平成4年に今の80%程度に引き上げました。)

そうすると、仮に時価100土地を借金して購入し、借金を40返済した後子供にその借金とともに負担付き贈与すれば、子供は時価100の土地を60の債務で取得することができます。

売買も然りで、時価100の土地を子供と60で売買しても贈与税がかからないことになります。

上記通達は、その(趣旨)にもありますように、このような租税回避を対処したものでした。


現在は、路線価は時価(公示価格)の8割に設定され、地価もバブルの頃に比べれば安定しています。

実務では、不動産の売買においては路線価は一つの目安になっています。これは親族間や同族会社との間での売買でも同じで、ケースによりますが公示地価との2割程度の幅があるからといって、直ちに租税回避とはならないだろうと思います。

実際、訴訟で納税者が勝訴した事例もあります。


・・・。もっとも個々の事案に対してこの基準をそのまま硬直的に適用するならば、結果として違法な課税処分をもたらすことは十分考えられるのであり、本件はまさにそのような事例であると位置づけることができる。・・・
(東京地裁 平成19年8月23日判決〔確定〕〔納税者勝訴〕 TAINS Z888-1280)


例えば親から子へ路線価で不動産を移し、直ちに子供が不動産業者に譲渡する、こういった明らかに租税回避を狙ったもに対処するために、この通達を残しているのではないか思います。

 

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【贈与税】上場株式の負担付贈与

2020-09-16

上場株式※を相続や贈与で取得する場合、財産評価基本通達で定める方法により評価し、相続税や贈与税の計算をします。
※金融商品取引所に上場されている株式をいいます。

上場株式の場合の評価方法は、原則として下記により評価します。


金融商品取引所の公表する次の①から④までのうち、最も低い価額によって評価します。
①課税時期(被相続人の死亡の日、贈与により取得した日)の最終価格
②課税時期の月の毎日の最終価格の平均額
③課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均額
④課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額


要は、課税時期の最終価格とその月を含む前3か月の月中平均のうち、最も低い価格での評価するということです。
上場株式の評価明細書はこちら(👈クリックです。

上記最終価格の平均ですが、証券新聞などでも入手できますが手っ取り早いのは、取引所グループの月間相場表(👈クリック)が便利だと思います。


なお、負担付贈与※や個人間の対価を伴う取引で取得した上場株式の価額は、その株式が上場されている金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格によって評価しなければならないとされています。

この規定がないと「後出しジャンケン」の租税回避が可能となります。
例えば、つぎの場合です。
①課税時期:10,000円
②課税時期の月の最終価格の平均額:9,000円
③課税時期の月の前月の最終価格の平均額:8,000円
④課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額:7,000円

贈与の時は10,000円ですが、これを7,000円で売買しても贈与税の評価額以上の売買なので贈与税が課税されないことになってしまいます。
同じく7,000円の負担付贈与をしても、贈与税が課税されないことになってしまいます。

※負担付贈与とは、受贈者に債務を負担させることを条件にした財産の贈与をいいます。贈与財産の価額から負担する債務の額を控除した価額に対して贈与税がに課税されます。

 

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【消費税】レジ袋有料化

2020-09-15

容器包装リサイクル法の省令改正により、持ち手がついたレジ袋の配布は有料にすることが義務付けられた。価格は1枚1円以上で事業者が自ら決める。海中で分解される海洋生分解性プラスチック100%にしたり、バイオマス素材を25%以上配合したりした場合は無料で配れる。(2020/6/30 日経)


7月1日からレジ袋の有料化が義務づけられています。

レジ袋を扱う小売業者の全てが対象となります。
下記は有料化の対象から除外されてますが、日常生活で使うレジ袋のほとんどが有料化の対象になります。

プラスチックのフィルムの厚さが50マイクロメートル以上のもの 繰り返し使用が可能であるため
海洋生分解性プラスチックの配合率が100%のもの 微生物によって海洋で分解されるため
バイオマス素材の配合率が25%以上のもの 植物由来がCO2総量を変えない素材であため

「有料化義務違反」となると、行政サイドから勧告、指導等が入り、状況によっては事業者名(企業名)が公開され、悪質の場合は50万円以下の罰金刑となるようです。

ここで厄介なのが、消費税の扱いです。
6月30日までは、多くの場合レジ袋は無料でした。これは、商品に付帯して通常必要なものは「飲食料品の譲渡」に該当するとされているからです。

消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)より(国税庁HP👈クリック)


(飲食料品を販売する際に使用される容器)
問25  飲食料品を販売する際に使用する容器は、どのような取扱いになりますか。

【答】
飲食料品の販売に際し使用される包装材料及び容器(以下「包装材料等」という。)が、その販売に付帯して通常必要なものとして使用されるものであるときは、当該包装材料等も含め軽減税率の適用対象となる「飲食料品の譲渡」に該当します。
ここでの通常必要なものとして使用される包装材料等とは、その飲食料品の販売に付帯するものであり、通常、飲食料品が費消され又はその飲食料品と分離された場合に不要となるようなものが該当します。
なお、贈答用の包装など、包装材料等につき別途対価を定めている場合のその包装材料等の譲渡は、「飲食料品の譲渡」には該当しません。


ところが、7月1日からレジ袋の有料化が義務付けられたため、別途対価が定められているとして、食料品を購入してもレジ袋は10%の消費税率を徴収しなければならなくなりました。

このため、コンビニやスーパーでは数円のレジ袋代金のために、食料品の軽減税率8%と区別してレジ袋を標準税率10%でレジしなければならなくなりました。

また、飲食店などの事業者がスーパーなどで仕入れをしてレジ袋を購入すすると、やはり8%と10%に税率を区分して帳簿に記帳しなければならななくなりました。

レジ袋の有料化は地球環境を考えればやむを得ないことだと思います。
しかし、一方では民間の事務コストも考慮する必要があったと思います。

レジ袋の対価は数円です。レジ袋を「販売に付帯して通常必要なもの」として、消費税率8%としても税収的には大きな問題ではないと思います。

是非、検討していただきたいと思います。

 

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【相続税】仮想通貨と相続税

2020-09-14

暗号化された仮想通貨の税務の取り扱いについては、令和元年の税制改正で整備されました。
また、国税庁より「仮想通貨に関する税務上の取扱いについて(情報)」が公開されています。(国税庁HP 👈クリック)

仮想通貨はインターネット上のデジタルな無記名の資産とされていますが、そもそもこれが相続財産となりうるのでしょうか。


◇相続財産についてい(国税庁HP 👈クリック)
『仮想通貨については、「決済法上、代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができる財産的価値」と規定されていることから、被相続人等から仮想通貨を相続若しくは遺贈又は贈与により取得した場合には、相続税又は贈与税が課税される』としています。

◇ 評価方法について(国税庁HP 👈クリック)
・活発な市場が存在する仮想通貨は、相続人等の納税義務者が取引を行っている仮想通貨交換業者が公表する課税時期における取引価格によって評価する。
・活発な市場が存在しない仮想通貨の場合には、・・・、その仮想通貨の内容や性質、取引実態等を勘案し個別に評価します


仮想通貨を相続した場合、留意すべき点があります。
仮想通貨には、通貨などの資産で担保されたステーブルコインという比較的値動きの小さい仮想通貨もあるようですが、ビットコインのような値動きの激しいものもあります。

仮想通貨の評価は、相続開始時の時価に対して課税されます。
いざ相続税を納付するとなった時点では大きく値下がりしてしまっているということも起こりえます。

また、その仮想通貨そのものを引き出せるのかという問題があります。

仮想通貨は、インターネット上のサービスを利用してIDとパスワードを決めて登録・保管する方法、被相続人のパソコンにソフトウエアをインストールして保管する方法、USBなどのデバイスに保管する方法、紙で秘密鍵などを保管する方法、があるようです。

被相続人が仮想通貨をどのように保管していたのかを調べる必要があります。
仮に保管方法が分かっても、IDやパスワードが分からなかったり、秘密鍵などを印刷した紙が見当たらなかったりすると、その仮想通貨は永遠に引き出すことができません。

それでは、仮想通貨を引き出すことができなかった場合、相続税の取り扱いがどうなるのでしょうか。
国税庁の方針としては相続財産として課税するということのようです。

これは、パスワードを知っているかどうかは相続人にしか分からないことなので、課税の公平の観点から課税庁としては相続税を課税するということだろうと思います。

何れにせよ、仮想通貨を保有したまま相続が発生すると、相続人は大変だと思います。


藤巻議員:仮想通貨の相続時の税制についてお聞きしたいんですが、仮想通貨のリスクというのは、パスワードを忘れちゃうともう引き出せないということがあるわけですね。(中略)それでも相続税は掛かるのかどうか。

藤井氏:仮想通貨に関連いたしますビジネスがまだ初期段階なんだと思います。そして、パスワードとの関係でございますが、一般論として申し上げますと、相続人が被相続人の設定したパスワードを知らない場合であっても相続人は被相続人の保有していた仮想通貨を承継することになりますので、その仮想通貨は相続税の課税対象となるという解釈でございます。
日経XTECH 👈クリック)

(注)藤井氏:国税庁次長兼国税庁長官心得(当時)

 

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【法人税】コロナ禍と定期同額給与

2020-09-11

法人税法における定期同額給与は、「臨時改定事由」か「業績悪化改定事由」に該当しないと、期中における改定は認められていません。

臨時改定事由 役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情によりされたこれらの役員に係る定期給与の額の改定
業績悪化改定事由 経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由によりされた定期給与の額の改定(その定期給与の額を減額した改定に限る)

新型コロナウイルスの感染拡大にともない、業績が悪化した場合や業績悪化が見込まれることにより、期中に役員報酬を減額する場合があります。

国税庁では、このようなケースへの対応として「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」(国税庁HP👈クリック)を公表しています。

問6はイベント等の開催中止要請により、予定していた収入がなくなったので役員給与を減額するケースです。
問6-2は、外国からの入国制限が外出自粛要請により、主要な売上が減少し、今後さらに業績が悪化する見込みなので役員給与を減額するケースです。

FAQでは、問6の「業績が悪化した場合」、問6-2は「業績悪化が見込まれる場合」ですが、いずれの場合も業績悪化事由に該当するとしています。


テレビ報道などを見ていると、客層が家族連れに変わったがほぼコロナ前に戻った、テイクアウトが好調でコロナ前の8割り程度には回復したなどのコメントがあります。

緊急事態宣言解除を受け営業を再開、その後客足が戻りつつあるので期中に役員報酬を元に戻した、こういった場合はどうでしょうか。

これについては、一度業績悪化改定事由で減額をしたものを期中にもとに戻す法人税法の規定がないとして、定期同額給与とは認められないという見解が大勢のようです。

しかしながら、役員が病気が原因で職務執行ができない期間は減額し、職務執行が可能となったら従前の給与に水準に戻すのは臨時改定事由に該当するとする、下記Q&Aがあります。

今回の企業業績の悪化は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言など基づき、店舗の休業や国民の外出自粛をしたことによるものです。

下記Q&Aの役員の病気からの復帰がOKなら、企業が今回のコロナ禍での業績悪化から復帰するのも同様に考えてもよいのではないかと、個人的には思っています。


役員給与に関するQ&A (国税庁HP👈クリック)
(臨時改定事由の範囲-病気のため職務が執行できない場合)
[Q5]

ご質問のように、役員が病気で入院したことにより当初予定されていた職務の執行が一部できないこととなった場合に、役員給与の額を減額することは臨時改定事由による改定と認められます。また、従前と同様の職務の執行が可能となった場合に、入院前の給与と同額の給与を支給することとする改定も臨時改定事由による改定と認められます。したがって、甲に支給する給与はいずれも定期同額給与に該当します。

 

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