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【相続税】相続財産の評価方法

2017-04-03

相続財産の種類別評価方法の概要はつぎのとおりです。

財産の種類 評価方法
①土地 路線価地域
路線価×地積(㎡)
倍率地域
固定資産税評価額×評価倍率
②建物 固定資産税評価額
③有価証券 株価×株数
④現金・預貯金等 預入残高
⑤その他

①土地
土地は、路線価地域と倍率地域があります。いずれも国税庁のHPで公表されています。
-路線価-
例えば当事務所の所在地は東京都千代田区神田神保町2-14ですが、ここの路線価を見てみましょう。つぎの青い部分をクリックしてみて下さい。東京都千代田区神田神保町2-14
わかりにくいですが、左上の方に⑭となっている辺りがそうです。当事務所が入っているビルは白山通りには面していないので路線価は960千円/㎡となります。

-倍率地域-
例えば東京都西多摩郡檜原村大沢の都道沿いの地域の宅地なら、1.1倍となっています。仮に評価する土地の固定資産税評価額が300万円だとすると、330万円(300万円×1.1)となります。
固定資産税評価額は固定資産税の納税通知書に記載されています。参考までに東京都の納税通知書にリンクを貼っておきます。東京都の例では[ウラ]土地の価格が45,000,000円となっているところです。

②建物
建物は、固定資産税評価額となります。参考までに東京都の納税通知書にリンクを貼っておきます。東京都の例では[ウラ]建物の価格が6,000,000円となっているところです。

③有価証券
有価証券は、上場有価証券と非上場有価証券があります。
-上場株式等-
相続の場合は死亡の日、贈与の場合は贈与の日の最終価格に株数などの数量を乗じます。詳しいことは国税庁HPをご参照下さい。

-非上場株式等-
少数株主の場合は配当還元方式となります。支配株主の場合は原則方式(類似業種比準価額、純資産価額、その併用価額)となりますが、この評価は税理士などの専門家に依頼した方が無難です。

④現金・預貯金等
預入残高となります。定期預金等には既経過利子を計上することになっていますが、相続税の概算額を求める場合は無視してもよいでしょう。

⑤その他
相続税の概算額を求める場合は、ザックリ○○○円でもよいと思います。

∞∞ 吉岡 ∞∞

【相続税】相続税の申告状況

2017-04-02

国税庁が平成28年12月に公表した資料によりますと、相続税の申告状況はつぎのとおりです。
詳しくは国税庁HPをご参照下さい。

平成25年 平成26年 平成27年
①被相続人数
(死亡者数)
1,268,436人 1,273,004人  1,273,004人
②相続税の申告書の提出に係る被相続人数 54,421人 56,239人 103,043人
課税割合
(②/①)
 4.3% 4.4% 8.0%
相続財産の金額
の構成比の推移
 土地 41.5% 41.5% 38.0%
 建物 5.2% 5.4% 5.3%
 有価証券 16.5% 15.3% 14.9%
 現金・預貯金等 26.0% 26.6% 30.7%
 その他 10.8% 11.2% 11.0%

26年と27年で課税割合が4.4%から8.0%にほぼ倍増しています。
これは相続税の基礎控除額がそれまでの60%に引き下げられたことが主な原因と考えられます。

平成26年12月31日以前の相続
基礎控除:5,000万円 + 1,000万円 × 法定相続人の数
平成27年1月1日以後の相続
基礎控除:3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

また、相続財産のうち不動産(土地と建物)が約5割、次いで現金・預貯金等が約3割となって
います。


それでは、東京国税局管内ではどうなっているか見てみます。
詳しくは国税庁HPをご参照下さい。

平成25年 平成26年 平成27年
①被相続人数
(死亡者数)
246,521人 249,140人 253,150人
②相続税の申告書の提出に係る被相続人数 18,136人 18,608人 32,209人
課税割合
(②/①)
7.4% 7.5% 12.7%
相続財産の金額
の構成比の推移
 土地 45.8% 45.7% 41.1%
 建物 5.0% 5.1% 5.1%
 有価証券 15.2% 14.3% 15.0%
 現金・預貯金等 24.3% 25.4% 28.9%
 その他 9.7% 9.5% 9.9%

課税割合は全国レベル(国税庁H27、8.0%)よりも高い(東京国税局H27、12.7%)ですが、
その傾向は同様です。また財産の構成割合も、全国レベルと概ね同じです。


不動産(土地と建物)で相続財産の約5割、預貯金で約3割で、これらで相続財産の8割を占めています。

相続税の申告を自分で行うのはなかなか難しいと思いますが、土地の評価ができれば相続税の概算額を自分で求めることはさほど難しいことではありません。

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【相続税・贈与税】相続時精算課税制度を利用した相続税対策

2017-03-31

-概要-
相続時精算課税制度では、この制度を選択した後の贈与財産の額を累計し、累計額が2,500万円までは無税、2,500万円を超える場合には超える額に対して一律20%の税率で贈与税が課税されます。
さらに、贈与財産は全て相続税の課税対象となり贈与者の相続税の計算に取り込まれ、支払った贈与税は相続税から控除されます。その結果、不足があれば納付し、払い過ぎがあれば還付されます。

-相続税対策-
相続時精算課税制度において相続税の対象になるのは、贈与時の評価額です。将来値上がりする財産を贈与すれば節税対策になりますが、値上がりするか値下がりするかは誰にもわかりません。
例えば、土地についてみてみると、東京区部住宅地の平成12年3月(2000/3)の市街地価指数を100とした場合、昭和60年3月(1985/3)は100.5、バブルピークの平成2年9月(1990/9)は270.4、平成16年3月(2004/3)は91.2、平成28年3月(2016/3)は106.0となっています。つまり、バブルの頃の平成2~3年頃にピークを迎えた地価はその後一度下がって、再度平成12年頃に上昇して、もう一度下がって、また上がって今日に至るということです。(市街地価格指数、一般社団法人日本不動産研究所より)
贈与時の評価額が相続税の対象になるのことが、相続時精算課税制度を相続対策として利用することを難しくしています。

ただ、全く利用できないかというと、必ずしもそうではなりません。
よく行われているのが、収益物件を相続時精算課税制度を利用して子や孫に移転する方法です。
(例)
祖父所有土地の上の賃貸アパートを孫に贈与する。

建築家価額 5,000万円
固定資産税評価額 3,500万円 5,000万円×(仮)70%
相続税評価額(貸家) 2,450万円 3,500万円×(1-0.3:貸家割合)
賃料 1、500万円  年額
地代      - 祖父と孫との間の土地の利用は使用貸借

相続時精算課税制度を利用して賃貸アパートを贈与すれば、特別控除額の範囲内(2,450万円<2,500万円)なので、贈与時の税の負担はありません。
一方、祖父の相続時にアパートの贈与時の評価額2,450万円は相続税の計算に取り込まれ、孫は2割加算された相続税を負担しなければなりません。

しかし、孫にアパートの家賃が毎年入ってきますので、孫にアパートを贈与した方が有利になるケースがでてきます。

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【相続税・贈与税】相続時精算課税制度の留意点Ⅱ

2017-03-30

-概要-
相続時精算課税制度では、この制度を選択した後の贈与財産の額を累計し、累計額が2,500万円までは無税、2,500万円を超える場合には超える額に対して一律20%の税率で贈与税が課税されます。
さらに、贈与財産は全て相続税の課税対象となり贈与者の相続税の計算に取り込まれ、支払った贈与税は相続税から控除されます。その結果、不足があれば納付し、払い過ぎがあれば還付されます。
この制度を選択するに当たって特に注意すべき点は、つぎの3つです。

・選択後の撤回は不可
・受贈者は贈与者の孫でも可
・相続税の対象になるのは贈与時の評価額


-贈与者の孫でも可-

平成25年の税制改正により平成27年1月1日からは孫への贈与も相続時精算課税制度が適用できることになりました。この場合の注意点はつぎのとおりです。

・孫は、父母が亡くなるなどして代襲相続人となった場合や祖父母の養子となった場合を除き、祖父母の相続人ではありません。しかし、相続時精算課税制度を選択して贈与をすると、贈与者の相続時においてその相続人でるか否かに関わらず相続税の計算対象となってしまいます。したがって、祖父母の相続財産が多額であったりすると思わぬ税負担となってしまいます。

・相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人を含みます。)及び配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されます。

なお、この場合の孫は法定相続人ではないので相続税の基礎控除の人数にはカウントされません。

基礎控除の額=3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数


-相続税の対象になるのは贈与時の評価額-

ある意味、これが相続時精算課税制度を選択するにあたって最も重要なポイントかも知れません。
相続時精算課税制度を選択して贈与を受けた財産は贈与時の価額で相続税の課税価格に加算されます。この加算は、贈与を受けた財産の状態にかかわらず贈与時の価額とされていますので、贈与財産が相続時に値上がりしていたとしても、値下がりをしていたとしても、極端な場合無価値や存在しなくなっていたとしても、贈与時の価額となります。
したがって、金銭などの贈与時も相続時もその評価額が変わらないものはよいのですが、外貨、株式、土地などの価格変動があるものは、相続時において有利・不利が生じてしまいます。

(例)相続時精算課税制度を選択して土地を子供に贈与しました。

贈与時の価額 相続時の価額 相続税の課税
価格加算額
3,000万円 4,000万円 3,000万円
3,000万円 2,000万円 3,000万円

①の場合は、相続時精算課税制度により贈与したことによって、相続時まで所有していれば4,000万円であった土地が3,000万円で課税価格に加算されるので、1,000万円得をしました。

②の場合は、相続時精算課税制度により贈与したことによって、相続時まで所有していれば2,000万円であった土地が3,000万円で課税価格に加算されるので、1,000万円損をしました。

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【相続税・贈与税】相続時精算課税制度の留意点

2017-03-28

-概要-
相続時精算課税制度では、この制度を選択した後の贈与財産の額を累計し、累計額が2,500万円までは無税、2,500万円を超える場合には超える額に対して一律20%の税率で贈与税が課税されます。
さらに、贈与財産は全て相続税の課税対象となり贈与者の相続税の計算に取り込まれ、支払った贈与税は相続税から控除されます。その結果、不足があれば納付し、払い過ぎがあれば還付されます。

この制度を選択するに当たって特に注意すべき点は、つぎの3つです。
・選択後の撤回は不可
・受贈者は贈与者の孫でも可
・相続税の対象になるのは贈与時の評価額

-選択後の撤回は不可-
贈与者60歳以上、受贈者20歳以上の推定相続人又は孫ならば、いつでも相続時精算課税を選択することは可能です。
しかし、一度選択すると再度暦年課税に戻ることはできませんので、相続時精算課税制度のメリット・デメリットをよく検討する必要があります。
メリットはなんといっても、特別控除の2,500万円までならとりあえず無税で財産を贈与できるという点です。2,500万円を超えると超えた額に対して一律20%の比例税率が適用されます。
デメリットの一つは毎年ある110万円の基礎控除が使えなくなってしまう点です。

<<親の援助で子が住宅を購入した例>>
<住宅購入時>
子が自宅を購入するに当たって、父から住宅取得資金の贈与の非課税制度と相続時精算課税制度を利用して、資金援助をした。
・資金援助前の父の遺産の総額5億円(相続税評価額)
・住宅取得資金の贈与の非課税限度額700万円(29年度契約、良質な住宅以外の住宅)
・資金援助額3,200万円
・購入したマンション8,500万円(内訳:親からの資金援助3,200万円、自己資金800万円、住宅ローン4,500万円)

資金援助した3,200万円は、住宅取得等資金の贈与の住宅取得資金の贈与の非課税制度の限度額(700万円)と相続時精算課税制度の特別控除限度額(2,500万円)の合計3,200万円の範囲内なので、贈与税はかかりません。(贈与税の申告は必要です。)
また、住宅ローンが4,500万円あるので、ローン控除の要件を満たせば40万円(限度額4,000万円×1%)を10年間、合計400万円のローン控除が受けられます。

<(仮)10年後の父の相続時>
・資金援助後の父の遺産の総額5億円-3,200万円=46,800万円(遺産額は変わらないと仮定)
・父の相続財産に加算2,500万円(相続時精算課税制度を選択して贈与した額)

父の遺産の総額は、46,800万円+相続時精算課税制度による贈与2,500万円=49,300万円となり、住宅取得等資金の贈与700万円だけをした場合と遺産総額は同じ結果になります。

∞∞ 吉岡 ∞∞

【相続税・贈与税】相続時精算課税制度

2017-03-27

-概要-
暦年課税制度は、1年ごとに贈与税額を計算し、これにより原則として課税が完了する制度です。
これに対し相続時精算課税制度では、この制度を選択した後の贈与財産の額を累計し、累計額が2,500万円までは無税、2,500万円を超える場合には超える額に対して一律20%の税率で贈与税が課税されます。
さらに、この制度の下で受けた贈与財産は全て相続税の課税対象となり贈与者の相続税の計算に取り込まれ、支払った贈与税は相続税から控除されます。その結果、不足があれば納付し、払い過ぎがあれば還付されます。

-留意点-
・選択後の撤回は不可
・相続税の対象になるのは贈与時の評価額
・贈与者ごとに選択可能
・贈与者は60歳以上
・受贈者は贈与者の推定相続人又は孫
・受贈者は20歳以上
・年齢は、贈与の年の1月1日現在で判定

-暦年課税と相続時精算課税の比較-

暦年課税 相続時精算課税
贈与者の年齢 制限なし 60歳以上
対象受贈者 制限なし  推定相続人 + 孫
受贈者の年齢 制限なし 20歳以上
控除額 基礎控除:毎年110万円 特別控除:累計で2,500万円
税率 10%~55%の累進税率 一律20%
相続税の対象となる財産 相続開始前3年以内に贈与した財産 相続時精算課税制度を選択した後に贈与した財産全て
控除し切れなかった贈与税 切り捨て 還付


-孫が相続時精算課税制度を選択した場合-

相続時精算課税制度を選択すると、贈与者の相続時においてその相続人でるか否かに関わらず相続税の計算対象となってしまいます。
したがって、孫がこの制度を適用して贈与を受けると贈与者の相続の際に、孫は相続人ではないにもかかわらず相続税の課税を受けてしまいます。また、相続税額の2割加算の対象にもなります。


-受贈者が先に死亡した場合-

贈与者よりも先に受贈者が先に死亡した場合には、その受贈者の相続人がその権利・義務を承継します。


-計算例-

贈与額1,000万円(過去に相続時精算課税制度のもとで既に2,000万円の贈与を受けている。

課税標準額=(2,000万円+1,000万円)-2,500万円=500万円
贈与税額=500万円×20%=100万円

(参考)暦年課税(直系尊属→20歳以上)の場合
1,000万円-110万円=890万円
890万円×30%-90万円=177万円

∞∞ 吉岡 ∞∞

【相続税・贈与税】結婚子育て資金の一括贈与の非課税制度は相続税対策になる?

2017-03-26

-制度の概要-
20歳以上50歳未満の受贈者が、結婚・子育て資金に充てるため、金融機関等との契約に基づき、受贈者の直系尊属である贈与者から結婚・子育て資金口座の開設等をした場合には、1,000万円までの金額については、金融機関等の営業所等を経由して結婚・子育て資金非課税申告書を提出することにより贈与税が非課税となります。

契約期間中に贈与者が死亡した場合には、死亡日における非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額(結婚に際して支払う金銭については、300万円を限度とします。)を控除した残額(管理残額)を、贈与者から相続等により取得したとみなされます。

受贈者が50歳に達することなどにより、結婚・子育て口座に係る契約が終了した場合には、非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額があるときは、その残額はその契約終了時に贈与があったこととされます。

-この制度は相続対策になり得るか-
<相続対策>
**祖父母から孫への贈与**
祖父母から挙式費用や不妊治療費用などの結婚・子育て資金をその都度贈与しても、扶養義務者間の贈与なので贈与税は課税されません。詳しくは、国税庁HPをご参照下さい。
贈与税の課税の問題が生じるのは、将来の結婚・子育て資金分までまとめて贈与した場合なので、ある程度まとまった金額となります。

ところで、厚生労働省によると平成27年度の平均初婚の年齢は、夫31.1歳、妻29.4歳で男女とも概ね30歳前後です。30歳の孫に祖父母が結婚・子育て資金を贈与する場合の祖父母の年齢は、80歳前後のケースが多いと思われます。
そうすると祖父母から贈与を受けた結婚・子育て資金を使い切る前に祖父母に相続が発生してしまうことが想定されます。

この制度は、贈与を受けた結婚・子育て資金を使い切らないうちに祖父母に相続が発生した場合には、その残額(管理残額)は2割加算の適用こそはありませんが、贈与者から相続等により取得したとみなされてしまいます。本来相続人ではない孫にも相続税が課税されてしまう可能性があるため、相続税対策としては利用しづらいといわざるを得ません。

**両親から子への贈与**
両親がその子に結婚費用や子育て資金の面倒をみてあげるのなら、必要に応じてその都度出してあげれば済む話です。
仮に両親から子へ結婚・子育て資金を一括贈与し、使い切らないうちに両親に相続が発生してしまうと結局その残額は相続等により取得したものとみなされてしまいます。それなら、必要に応じてその都度負担した場合と結果的に同じことになり、相続税対策にはならないだろうと思われます。

<相続対策>
相続対策にはならなくても、とりあえず無税で子や孫に結婚・子育て資金としてまとまった金額の援助をしてあげられるので、相続対策にはなるかもしれません。
例えば、遺言を書くほどのものではないけれど祖父母が孫のために何かしてあげたいという場合に、孫に結婚・子育て資金として生前に援助してあげるケースが考えられます。ただし、使い残した場合その残額が相続税の対象となるので、その相続税の負担を考慮してあげる必要があります。
あるいは、親が子供達にかけた教育費などのバランスを考え、その調整として結婚・子育て資金の一括贈与の制度を利用することが考えられます。

-教育資金の一括贈与との比較-
教育資金の一括贈与場合と結婚・子育て資金の一括贈与の場合とにおける、贈与者が死亡した場合の取扱いの違いはつぎのとおりです。

 教育資金の一括贈与  結婚・子育て資金の一括贈与
 贈与者の要件  贈者の直系尊属であること  贈者の直系尊属であること
 受贈者の要件  30歳未満である者  20歳以上50歳未満である者
期間中に贈与者が死亡した場合 贈与者の死亡による課税関係は生じない。 資金残額は相続又は遺贈により取得したものとみなされ、贈与者の死亡に係る相続税の課税対象となる。
・相続税額の2割加算は適用はない。
・他に相続税の課税対象となる取得財産がない場合には、相続開始前3年以内の贈与加算は適用はない。

 

∞∞ 吉岡 ∞∞

 

【相続税・贈与税】結婚子育て資金の一括贈与の非課税制度

2017-03-25

-制度の概要-
<贈与時>
贈与者である直系尊属(父母・祖父母など)から、20歳以上50歳未満の受贈者(子・孫など)が、結婚・子育て資金に充てるため、金融機関等との契約に基づき、①信託受益権を付与された場合、②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合又は③書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合(以下、結婚・子育て資金口座の開設等)には、信託受益権又は金銭等の価額のうち1,000万円までの金額に相当する部分の価額については、金融機関等の営業所等を経由して結婚・子育て資金非課税申告書を提出することにより贈与税が非課税となります。

<贈与者が死亡した場合>
契約期間中に贈与者が死亡した場合には、死亡日における非課税拠出額※1から結婚・子育て資金支出額※2(結婚に際して支払う金銭については、300万円を限度とします。)を控除した残額(以下、管理残額)を、贈与者から相続等により取得したこととされます。

※1「非課税拠出額」とは、結婚・子育て資金非課税申告書等にこの制度の適用を受けるものとして記載された金額の合計額(1,000万円を限度とします。)をいいます。
※2「結婚・子育て資金支出額」とは、金融機関等の営業所等において、結婚・子育て資金の支払の事実を証する書類(領収書等)により結婚・子育て資金の支払の事実が確認され、かつ、記録された金額の合計額をいいます。

<終了した場合>
つぎの事由により結婚・子育て口座に係る契約が終了した場合には、非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除(管理残額がある場合には、管理残額も控除します。)した残額があるときは、つぎの(2)の場合を除きその残額はその契約終了時に贈与があったこととされます。
(1) 受贈者が50歳に達したこと
(2) 受贈者が死亡したこと
(3) 口座の残高が0(ゼロ)になり、かつ、その口座に係る契約を終了させる合意があったこと

-結婚子育て資金-
(1) 結婚に際して支払う次のような金銭(300万円限度)をいいます。
① 挙式費用、衣装代等の婚礼(結婚披露)費用(婚姻の日の1年前の日以後に支払われるもの)
② 家賃、敷金等の新居費用、転居費用(一定の期間内に支払われるもの)
(2) 妊娠、出産及び育児に要する次のような金銭をいいます。
③ 不妊治療・妊婦健診に要する費用
④ 分べん費等・産後ケアに要する費用
⑤ 子の医療費、幼稚園・保育所等の保育料(ベビーシッター代を含む)など

-口座開設-
結婚・子育て資金口座の開設等を行った上で、結婚・子育て資金非課税申告書をその口座の開設等を行った金融機関等の営業所等を経由して、信託や預入などをする日までに、受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
なお、結婚・子育て資金非課税申告書は、原則として、受贈者が既に結婚・子育て資金非課税申告書を提出している場合には提出することができません。

-支払い-
結婚・子育て資金口座からの払出し及び結婚・子育て資金の支払を行った場合には、その支払に充てた金銭に係る領収書などを、次の(1)又は(2)の提出期限までにその金融機関等の営業所等に提出する必要があります。
(1) 結婚・子育て資金を支払った後にその実際に支払った金額を口座から払い出す方法を選択した場合
領収書等に記載された支払年月日から1年を経過する日
(2) (1)以外の方法を選択した場合
領収書等に記載された支払年月日の属する年の翌年3月15日

詳しくは国税庁HPをご参照下さい。

∞∞ 吉岡 ∞∞

 

 

 

 

 

 

 

【相続税・贈与税】教育資金の一括贈与の非課税制度と相続税対策

2017-03-23

祖父母が孫に教育資金を贈与したからといって必ずしも贈与税がかかるわけではありません。
民法では、「直系血族」と「兄弟姉妹」は原則として扶養義務があり,特別な事情がある場合には「3親等内の親族」も扶養義務を負うとされています。
相続(贈与)税法でも、「扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの」は、贈与税は非課税と定められています。

この非課税の規定と教育資金の一括贈与の非課税の規定と何が違うかというと、前者は教育費を支出の都度贈与した場合であり、後者は将来の教育費までも一括して贈与した場合です。
したがって、教育費をその都度贈与する限り非課税なので贈与税の基礎控除110万円も関係ありません。また、通常必要な範囲の教育費なら金額の上限があるわけでもありません。

この制度創設の趣旨が、高齢者の資産を若い世代に移転させるとともに、その資金を教育資金として有効に活用してもらい経済を活性化の一助にしようというものです。
この制度は、相続開始前3年以内の贈与財産の相続税の課税価格の加算の適用がありません。さらに、贈与者が死亡した場合で未使用の教育資金が残ったとしても相続税の対象とはなりませんので、相続税対策としても有効です。

-制度の概要-
<教育資金の一括贈与時>
30歳未満の受贈者が、教育資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、祖父母など直系尊属から①信託受益権を付与された場合、②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合又は③書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合(以下「教育資金口座の開設等」といいます。)には、信託受益権又は金銭等の価額のうち1,500万円までの金額に相当する部分の価額については、金融機関等の営業所等を経由して教育資金非課税申告書を提出することにより贈与税が非課税となります。

<教育資金口座の契約終了時>
教育資金口座の契約が終了※した場合には、非課税拠出額((1,500万円が限度)から教育資金支出額(学校等以外に支払う金銭については、500万円が限度)を控除した残額があるときは、その残額はその契約終了時に贈与があったものとされます。

※教育資金口座に係る契約は、つぎのときに終了します。
①受贈者が30歳に達したこと
②受贈者が死亡したこと
③口座の残高が0(ゼロ)になり、かつ、その口座に係る契約を終了させる合意があったこと

-教育資金とは-
(1) 学校等に対して直接支払われる次のような金銭をいいます。
① 入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費又は入学(園)試験の検定料など
② 学用品の購入費や修学旅行費や学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用など
(注) 「学校等」とは、学校教育法で定められた幼稚園、小・中学校、高等学校、大学(院)、
専修学校及び各種学校、一定の外国の教育施設、認定こども園又は保育所などをいいます。

(2) 学校等以外に対して直接支払われる次のような金銭で教育を受けるために支払われるものとして社会通念上相当と認められるものをいいます。
<イ 役務提供又は指導を行う者(学習塾や水泳教室など)に直接支払われるもの>
③ 教育(学習塾、そろばんなど)に関する役務の提供の対価や施設の使用料など
④ スポーツ(水泳、野球など)又は文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)その他教養の向上のための活動に係る指導への対価など
⑤ ③の役務の提供又は④の指導で使用する物品の購入に要する金銭

<ロ イ以外(物品の販売店など)に支払われるもの>
⑥ ②に充てるための金銭であって、学校等が必要と認めたもの
⑦ 通学定期券代、留学のための渡航費などの交通費

-教育資金口座の開設の手続き-
この非課税制度の適用を受けるためには、教育資金口座の開設等を行った上で、教育資金非課税申告書をその口座の開設等を行った金融機関等の営業所等を経由して、信託や預入などをする日までに、受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。なお、教育資金非課税申告書は、金融機関等の営業所等が受理した日に税務署長に提出されたものとみなされます。

-支払い-
教育資金口座からの払出し及び教育資金の支払を行った場合には、その支払に充てた金銭に係る領収書などを、次の(1)又は(2)の提出期限までに金融機関等の営業所等に提出する必要があります。
(1) 教育資金を支払った後にその実際に支払った金額を口座から払い出す方法を選択した場合
領収書等に記載された支払年月日から1年を経過する日
(2) (1)以外の方法を選択した場合
領収書等に記載された支払年月日の属する年の翌年3月15日

詳しくは国税庁HPをご参照下さい。

∞∞ 吉岡 ∞∞

 

【相続税・贈与税】住宅取得等資金の贈与の非課税制度と相続税対策

2017-03-22

父母や祖父母など直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合で、つぎの要件を満たすときは非課税限度額までの金額について贈与税がかかりません。この制度は暦年課税(基礎控除110万円)の場合だけでなく、相続時精算課税(特別控除額2,500万円)の場合にも適用があります。
例えば、平成29年の契約で省エネ等住宅以外の場合非課税限度額は700万円ですから、暦年課税810万円(700万円+110万円)まで、相続時精算課税3,200万円(700万円+2,500万円)まで、無税で子や孫に金銭を移転させることができます。

この制度は平成21年度の経済危機対策の一環として創設されたもので、高齢者の資産を活用して子や孫の世代の住宅取得支援をしてもらおうという趣旨です。
この制度は大変使い勝手がよく、まとまった金額を子・孫世代へ金銭を無税で移転させることとができるとともに、相続開始前3年以内の贈与財産の相続税の課税価格の加算の適用がないので、相続税対策としても有効です。

非課税限度額は契約締結の日で判定され、贈与の日ではないので注意が必要です。
また、非課税限度額の②が適用されるのは、契約締結日が平成 31 年4月1日から平成 33 年 12 月 31 日までの間の契約で、かつ、消費税率が 10%であるときに限られます。

-非課税限度額-
①下記②以外

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結日 省エネ等住宅※ 左記以外の住宅
           ~平成27年12月31日 1,500万円 1,000万円
  平成28年1月1日~平成32年3月31日 1,200万円 700万円
  平成32年4月1日~平成33年3月31日 1,000万円 500万円
  平成33年4月1日~平成33年12月31日 800万円  300万円

②消費税等の税率が10%である場合

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結日 省エネ等住宅※ 左記以外の住宅
平成31年4月1日~平成32年3月31日  3,000万円  2,500万円
平成32年4月1日~平成33年3月31日  1,500万円  1,000万円
平成33年4月1日~平成33年12月31日 1,200万円   700万円

※省エネ等住宅とは、省エネ等基準(断熱等性能等級4若しくは一次エネルギー消費量等級4以上であること、耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上若しくは免震建築物であること又は高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること)に適合する住宅用の家屋であることにつき、一定の書類により証明されたものをいいます。

-要件のフローチャート-
①受贈者は贈与時に国内に住所がある等
↓YES
②父母や祖父母など直系尊属からの贈与か
↓YES
③受贈者は贈与の年の1月1日で20歳以上か
↓YES
④合計所得が2,000万円以下か
↓YES
⑤贈与を受けた金銭を翌年3月15日までに資金の全額を住宅取得等に利用か
↓YES
⑥贈与を受けた翌年3月15日までに居住(又は居住が確実な見込み)か
↓YES
⑦床面積の1/2以上が居住用か
↓YES
⑧床面積が50㎡以上240㎡未満か
↓YES
⑨新築住宅又は一定の中古住宅か
↓YES
⑩住宅取得資金の贈与の特例の適用あり
贈与を受けた年の翌年の2月1日~3月15日までに贈与税の申告が必要

-手続き-
贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書につぎの書類を添付する必要があります。
・戸籍の謄本
・登記事項証明書
・新築や取得の契約書の写しなど

詳しくは国税庁HPをご参照下さい。

∞∞ 吉岡 ∞∞

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