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【コラム】不動産の担税力と税金
-担税力-
担税力とは、税金を負担する能力のことです。
所得税は所得に担税力を見出し、相続・贈与税は財産の移転に担税力を見出し、消費税はその消費に担税力を見出して課税されます。では、契約書や領収書に貼る印紙税はどうでしょうか。印紙税の課税根拠は契約書や領収書などの文書の背後にある経済取引に担税力があるのだとされています。
よく税金は取れるところからとると言われますが、一面ではそのとおりだといえます。
-不動産にまつわる税金-
不動産の取得・保有・売却、相続・贈与の全ての局面で担税力があるとして、さまざまな税金が課されます。
国 税 | 地方税 | |
取 得 | 建物等を取得すれば「消費税」、契約書や領収書等には「印紙税」、不動産を登記すれば「登録免許税」が課税されます。 | 不動産を取得すると「不動産取得税」、建物等を取得すれば消費税とともに「地方消費税」が課税されます。 |
保 有 | - | 不動産を保有することにより「固定資産税・都市計画税」が課税されます。 |
不動産を賃貸することによりその所得に対して「所得税・復興特別所得税」、土地や住宅以外の収入等に対しては「消費税」が課税されます。 | 不動産を賃貸することによりその所得に対して「住民税」、賃貸の規模によっては「事業税」、土地や住宅以外の収入等に対しては「地方消費税」、償却資産に対しては「固定資産税(償却資産)」が課税されます。 | |
売 却 | 不動産を売却すれば「譲渡所得にかかる所得税・復興特別所得税」、売却した不動産が建物等の場合は「消費税」、契約書や領収書等には「印紙税」が課税されます。 | 不動産を売却すれば「譲渡所得にかかる住民税」、売却した不動産が建物等の場合は消費税とともに「地方消費税」が課税されます。 |
相続・贈与 | 相続の場合は「相続税」、 贈与の場合は「贈与税」が課税されます。 | 贈与の場合は「不動産取得税」が課税されます。 |
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税理士法人熊谷事務所は、東京都千代田区神保町を拠点に、東京都区部や多摩地域はもちろん、埼玉県・千葉県・神奈川県まで幅広く対応しています。遠方の方にはリモートでのご相談も可能です。
法人の決算申告や個人の確定申告、相続税・贈与税の申告、事業承継や株価対策など、幅広い内容に日常的に対応。学校法人や宗教法人の申告、組織再編、セカンドオピニオンのご相談も承ります。
すべてのお客様に担当者とリーダーの二名体制で対応し、ご相談内容をしっかり共有。急なご連絡にも柔軟にお応えできる体制を整えています。
税金や経営に関するお悩みがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
【所得税】副業の確定申告
ちょっと前までは、会社員や公務員の副業といえば、「隠れてこっそり」というイメージでした。
ところが、平成19年12月に政府、地方公共団体、経済界、労働界の合意により、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」が策定され、現在、官民を挙げて様々な取組が進められているそうです。
内閣府HPによると、ワーク・ライフ・バランスとはつぎのような社会だとしています。
①就労による経済的自立が可能な社会
②健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
③多様な働き方・生き方が選択できる社会
企業の中には、少数ながら副業を認める企業を出てきています。副業解禁は、社員の視野や人脈が広がる、やりがいや年功序列の給与体系に対する不満の解消といったメリットがありますが、一方では本業がおろそかになる、企業情報の漏洩のリスクといったデメリットもあります。今後どのような形で広がってい行くかわかりませんが、副業を認めている会社であっても今のところほとんどの会社において、申請による承諾が原則のようです。
-給与所得か否か-
当然のことながら副業であっても所得が生じれば、原則として確定申告をしなければなりません。この場合受ける収入が個人の事業なのか給与なのか判断に迷うことがあります。
一つの判断材料として、仕事の依頼者との間で雇用契約があるかどうかを掲げることができます。雇用契約があれば給与所得、なければ事業所得又は雑所得となります。実務的には仕事の依頼者から年末に「給与所得の源泉徴収票」が交付されていれば原則として給与所得となります。必ずしも交付されるとは限りませんが「報酬・料金・契約金及び賞金の支払調書」ならば事業所得又は雑所得となります。
詳しくは国税庁HPを参照下さい。
-事業所得か雑所得か-
事業所得と雑所得の明確な区分はありませんが、サラリーマン等の給与所得者が行う副業は、勤務先での職務の遂行が本業でしょうから、そのほとんどが雑所得なるものと思われます。
事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。 |
雑所得とは、他の9種類の所得のいずれにも当たらない所得をいい、公的年金等、非営業用貸金の利子、著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税、講演料や放送謝金などが該当します。 |
なお、事業所得も雑所得も所得の計算方法はおなじです。
総収入金額 – 必要経費 |
しかし、事業所得には、赤字の場合に給与所得等との損益通算ができる、最大65万円の青色申告特別控除がある、純損失の繰り越しと繰り戻しがあるなど、雑所得にはないメリットがあります。
-確定申告義務-
給与所得が20万円を超える所得がある場合は、確定申告をしなければなりません。具体的にはつぎのとおりです。
給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える場合 |
給与を2か所以上から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との合計額が20万円を超える場合 |
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【相続税】修正申告、財産もらってないのに税金が増える?
亡くなった方の財産を申告期限の10か月の間に全て把握するというのは、なかなか大変です。遠方に住んでいたり、仮に同居したとしてもそんな財産があることを知らなかったり、思い違いといったこともあります。相続税の税務調査で申告もれが発見されることは決して珍しいことではありません。
税務調査で税務署から指摘されて、申告もれであることを相続人が納得すれば、多くの場合その財産を誰が相続するかを決めた上で相続税の修正申告書を提出し、納税することになります。
このときに、相続財産をもらっていない人までも相続税の納税が発生することがあります。
これは、わが国が現在採用している相続税の課税方式に起因しています。
相続税の課税方法にはつぎの3つがあるとされています。
①遺産課税方式
被相続人の遺産総額に応じて課税する方法で、相続税を差し引いた残りの財産を相続人が分割取得します。アメリカ・イギリスがこの方式を採用しています。
②遺産取得課税方式
各相続人等が相続した財産の価額に応じて、超過累進税率が適用されます。この方式は取得財産額に応じて税負担が発生するため公平である点が長所ですが、分割の仕方によって相続税の総額が変わってくるため仮装分割の問題点が指摘されています。ドイツ・フランスがこの方式を採用しています。
③法定相続分課税方式
各相続人等が相続等により取得した財産の合計を一旦法定相続分で分割したものと仮定して相続税の総額を算出し、それを実際の遺産取得額に応じて按分して各人の相続税額を計算します。この方式は財産をどのように分割しても相続税の総額は変わらないといった長所がある反面、納税者にとってわかりにくく、上記のような修正申告で財産を取得していないにもかかわらず追徴税額が出てしまうといった問題点があります。現行の日本の相続税法はこの方式を採用しています。
現行の相続税は具体的にはつぎの手順で計算します。
①各相続人が相続した財産から債務を控除するなどして計算した、各人の課税価格を合計(「課税価格の合計額」)を出します。
②課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて、課税される遺産の総額(「課税遺産総額」)を計算します。
③課税遺産総額を、各法定相続人が民法に定める法定相続分に従って取得したものとして、各法定相続人の取得金額を計算します。
④③で計算した各法定相続人ごとの取得金額に税率を乗じて相続税額を算出します。
⑤④の各法定相続人ごとの算出税額を合計して「相続税の総額」を計算します。
⑥つぎの算式により、各相続人ごとの相続税額を計算します。
相続税の総額 × 各人の課税価格 ÷ 課税価格の合計額 = 各相続人等の税額
相続税の税務調査で申告もれを指摘された財産を誰が相続するかに関係なく、一旦上記①の課税価格の合計額に取り込みます。
そして、②基礎控除額を控除し、③各法定相続人が民法に定める法定相続分に従って取得したものとして、④相続税の総額を計算するため、⑤申告もれ分だけ相続税の総額は増えます。これを⑥各相続人が相続した財産に応じて按分計算するため、申告にもれた財産を相続していない人までも相続税が増えて追加の納税が発生してしまうことがあります。
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【相続税・贈与税】この通達の定めにより難い場合・・・
行政文書に、全国国税局課税(第一・第二)部長(次長)会議資料というのがあります。これを見ていると毎年、財産評価基本通達の総則5項、6項についての記載があります。
例えば、平成27年ではつぎのようになっています。
平成27年9月28日・29日 |28・29資産評価企画官|
資産評価企画官当面の課題
:
(省略)
:
評価通達5項及び6項に該当する事案を一元的かつ適切に管理することにより、適正・公平な課税の実現が図られるよう、その運用に係る事務処理要領を定めている。財産の評価に疑義のある事案等については、事実確認を確実に行うとともに、評価通達5項及び6項の定めを適用すべきかどうかも含め、評価通達への当てはめや評価方法等の検討を十分に行い、庁・局・署間の連絡を密にして、評価通達のより一層の適切な運用を図る。
(上記はTAINSより引用)
(参考)
5 (評価方法の定めのない財産の評価) この通達に評価方法の定めのない財産の価額は、この通達に定める評価方法に準じて評価する。 |
6 (この通達の定めにより難い場合の評価) この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する |
この課題は全国で統一的に運用され、具体的にはまず全国の税務署から各国税局に報告され、国税局から国税庁に上申される流れになっているようです。
現在巷にはタワーマンション節税のように財産評価通達に基づいて評価をすることにより評価額を引き下げる手法がいくつか存在するようですが、一方では否認されるリスクも承知しておく必要があります。
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【相続税】タワーマンション節税の裁決
−裁決とは−
税務調査などでの税務署の処分に納得がいかない場合は、納税者の手続きの一つとして国税不服審判所長に対して審査請求をする方法があります。国税不服審判所では、調査・審理し、合議の結果国税不服審判所長が出すのが裁決です。裁決には公開裁決と非公開裁決がありますが、非公開裁決であっても情報公開法に基づく開示請求は可能となっています。
−タワーマンション節税の裁決−
タワーマンションの時価と相続税評価との乖離を利用した相続税の節税対策について、税務署が否認したことから納税者が国税不服審判所に審査請求した裁決例があり、その概要はつぎのとおりです。
<認定事実>
国税不服審判所では、被相続人名義で取得した本件マンションは、被相続人の相続財産であるとした上で、事実関係についてつぎのように認定しました。
①本件マンションの購入目的は、相続税の節税のためである。
②本件マンションの購入価額は293,000,000円であり、本件マンションを評価基本通達に基づいて評価すると、土地41,181,124円、建物16,837,100円の合計58,018,224円である。
③本件被相続人名義で本件マンションを購入してから、請求人が○○○に本件マンションを譲渡するまでの間、本件被相続人が本件マンションを訪れたことはなく、請求人が、たまに窓を開け、水を流しに行く程度で、本件マンションを利用した事実は一切ない。
④請求人は、本件被相続人死亡の約4か月後には本件マンションの売却を依頼する一般媒介契約を締結した。
⑤請求人は、本件マンションをなかなか売却できず、本件マンションを、○○○に285,000,000円で売却した。
⑥○○○は本件マンションを購入した日の翌日には、本件マンションの売却を依頼する一般媒介契約を締結した。
⑦本件マンションの近傍・・・基準地の価格動向は、・・・、ほぼ横ばいの状況にある。
<本件マンションの評価方法について>
本件マンションについては、つぎの理由により一般に行われる評価基本通達よらず、他の合理的な方法による評価が許されるものと解するのが相当であるとしました。
①本件被相続人の本件マンション取得時(平成19年8月)と本件相続開始時が近接していること、
②本件被相続人の本件マンションの取得時の金額が293,000,000円であること、
③請求人から本件マンションを取得した○○○が売却を依頼した時点(平成20年7月及び同年8月)の媒介価額は、315,000,000円であること、
④本件マンションの近傍における×××の基準地の価格は、・・・、本件相続開始日の前後においてほぼ横ばいであること等
を参酌すると、本件相続開始時における本件マンションの時価は、取得価額とほぼ同等と考えられるから、本件マンションは293,000,000円と評価するのが相当である。
<法令解釈等>
時価とは、相続開始時における財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額、すなわち客観的な交換価値をいう。
↓
しかしながら、財産の客観的交換価値は必ずしも容易に把握されるものではないから、課税実務上は、財産評価の一般的基準が評価基本通達によって定められ、原則として、これに定められた画一的な評価方式によって相続財産を評価することとされている。
↓
そして、上記通達に定められた評価方式が合理的なものである限り、これが形式的にすべての納税者に適用されることによって租税負担の実質的な公平をも実現することができる。
↓
しかし、課税手続における形式的平等を貫くことにより、かえって納税者間の実質的な租税負担の公平を害することとなる場合には、形式的平等を犠牲にしても、実質的な租税負担の平等の実現を図るべきであり、具体的な相続財産の価額の評価について、評価基本通達によらないことが正当として是認されるような特別な事情がある場合には、評価基本通達によらず、他の合理的な方式によってこれを評価することが相続税法第22条の法意に照らして当然に許されるものというべきである。
上記<法令解釈等>に記載されているとおり、かならずしも相続財産や贈与財産を財産評価基本通達にしたがって評価していればOKとうわけではありません。じつは、この財産評価基本通達にもその点をうたっていて、やはり過度な節税対策は否認のリスクと隣り合わせといわざるをえません。
財産評価基本通達 第1章 総則 6項この通達の定めにより難い場合の評価 この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。 |
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【コラム】税務署の処分に納得がいかない場合の手続き
今日の日本経済新聞の朝刊で、サッポロビールが一旦納めた税金の還付を求めて国を訴えたとする記事がありました。
当初の「極ゼロ」が一般の発泡性酒類に該当した場合に払うべきだった酒税との差額分115億円を納税した。
だが、サッポロはその後の社内調査で当初の製品が「第三のビールにあたるとの確証を得た」として、税の返還を要求。しかし国税当局は退け、昨年10月には国税不服審判所への審査請求も棄却された。
税の返還を求めて訴訟を起こす場合、国税不服審の結論から半年以内に決める必要がある。
ギリギリ半年たった11日に提訴に踏み切った背景には、「ここで返還を断念すれば、株主に説明がつかない」との判断があったようだ。
(日経4月19日朝刊)
税務調査などでの税務署の処分に納得がいかない場合は、手続きとしては2通りあります。一つは、税務署長に再調査の請求をする方法です。もう一つは国税不服審判所に審査請求をする方法です。それでもなお不服があるときは、裁判所に訴訟を起こすことになります。なお、税務訴訟の場合は国税不服審判所への審査請求を経なければならないことになっていて、いきなり訴訟は出来ないことになっています。
-再調査の請求-
税務署長の処分に不服があるときは、処分の通知を受けた日の翌日から3か月以内に税務署長に対して再調査の請求を行うことができます。税務署長はその処分を改めて見直しを行い再調査決定書を納税者に通知することになっています。しかし、一度した処分を見直してもらったところで期待が持てない場合は、この再調査の請求を経ずに、直接国税不服審判所長に対して審査請求を行うこともできます。なお、この再調査の請求に係る決定により、納税者にとって不利となるような変更はありません。
-審査請求-
国税不服審判所長に対しての審査請求となります。なお、この裁決により、納税者にとって不利となるような変更がされることはありません。
直接審査請求を行う場合・・・税務署長の処分の通知を受けた日の翌日から3か月以内
税務署長に対する再調査の請求を経てから行う場合・・・再調査決定書により通知された日の翌日から1か月以内
-訴訟-
国税不服審判所長の裁決を受けた後、なお処分に不服があるときは、その通知を受けた日の翌日から6か月以内に裁判所に訴訟を起こすことができます。
サッポロビールの場合、まず税務署長に再調査の請求をしたようです。その結果、再調査決定が不服であったため、国税不服審判所長に審査請求したものと思われます。さらに国税不服審判所長の裁決に不服があったため、その裁決後6ヶ月以内に裁判所に原処分取消訴訟を起こしたものと思われます。
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【相続税】タワーマンションによる相続税の節税
-タワーマンション相続税節税とは-
タワーマンション相続税節税、略してタワマン節税というのがあります。
相続税は時価以上で評価して課税することはできないため、安全を見て時価よりも低く評価することになっています。その価格水準はつぎのとおりです。
評価方法 | 価格水準 | |
土地 | 路線価 | 公示地価の80% |
建物 | 固定資産税評価額 | 建築家価額の50%~70% |
この時価と相続税評価の乖離を利用して不動産投資をするのが不動産による相続税対策なのですが、タワーマンションは特にその効果が大きいといわれています。
タワーマンションは一定の敷地の上に高層マンションが建っていますが、世帯数が多いため1戸当たりの土地の持分が小さいという特徴があります。つまり好立地であっても路線価の影響度合いが小さいという特徴があります。
また、タワーマンションは高層階になるほど市場価額は高くなりますが、その相続税評価は高層階の価格上昇を反映することのない固定資産税評価額となっています。
そのため、タワーマンションの高層階を購入すれば購入価額と相続税評価の乖離は他の不動産に比べて大きく、相続税の節税効果が大きいといえます。
-国税庁サンプル調査と見解-
平成27年 10 月 27 日の政府税制調査会でも取り上げられていますが、国税庁が実施した中古のタワーマンション(20 階以上)の売買価格と財産評価額の乖離の実態を把握するためサンプル調査を行ったところ、平均で約3倍、最大で約7倍の乖離率あったとしています。
サンプル数 | 平均値 | 中央値 | 最大値 | 最小値 |
343 | 3.04 | 2.98 | 6.93 | 0.57 |
また、平成 27 年 10 月 29 日、タワマン節税に対するつぎのような国税庁の見解が発表され、行き過ぎた節税対策について、一定の牽制をしました。
当庁としては,実質的な租税負担の公平の観点から看過しがたい事態がある場合には,これまでも財産評価基本通達 6 項を活用してきたところですが,今後も,適正な課税の観点から財産評価基本通達 6 項の運用を行いたいと考えております。 |
(参考)
財産評価基本通達 6 項
(この通達の定めにより難い場合の評価) この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。 |
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【相続税】アパートを建てれば相続税の節税になる?
-不動産の相続税評価方法-
評価方法 | 価格水準 | |
建物 | 固定資産税評価額 | 建築家価額の50%~70% |
土地 | 路線価 | 公示地価の80% |
-貸家(入居率100%)の場合-
評価方法 | |
建物(貸家) | 固定資産税評価額×(1-0.3:借家権割合) |
土地(貸家建付地) | 路線価×(1-借地権割合※×0.3:借家権割合) |
※借地権割合は国税庁HPの路線価図に路線価と一緒に表示されています。
(例)当事務所の所在地(千代田区神田神保町2-14)だと路線価図で960Cとなっています。これは路線価960千円/㎡、借地権割合70%ということを表しています。
記号 | A | B | C | D | E | F | G |
借地権割合 | 90% | 80% | 70% | 60% | 50% | 40% | 30% |
-手持ち資金又は借入でアパートを建築-
(例)駐車場(相続税評価100)事業をやめて、その土地の上に手持ち資金100で賃貸アパート建築しアパート事業を開始しました。敷地の借地権割合はD(60%)とします。
現状 | ⇒ | アパート建築 | ⇒ | 賃貸開始(入居率100%) | |||
資金 | 100 | 建物 | (仮)60 | 建物 | 60×(1-60×0.3)=42 | ||
駐車場 | 100 | 土地 | 100 | 土地 | 100×(1-0.6×0.3)=82 | ||
計 | 200 | 計 | 160 | 計 | 124 |
手持ち資金100、駐車場(更地)100のまま相続を迎える場合に比べて、資金100でアパートを建てたことにより、相続財産を△76(200-124)圧縮することができました。
-留意点-
・アパート事業には、入退去手続き、家賃の延滞、入居者同士のトラブル、建物の日常的な管理、所得税の申告等々を伴い、それなりの覚悟をもって始める必要があります。
・アパート事業は30年程度はつづきます。最初の10年くらいはよいのですが、つぎの10年になると屋根・外壁・鉄部の塗装などの大規模な修繕が必要となります。また、どうしても内装や外観が古くなり入居率も落ちてきます。さらにつぎの10年になると建物の老朽化に伴いメンテナンス費用の増加、入居率の低下、家賃の値下げなどが避けられなくなります。
・銀行借入でアパートを建てる場合は、入居率の低下や家賃の値下げなどに伴う収入の減少、建物の老朽化に伴う費用の増加を見込んだ将来キャッシュフローを計算し、借入の返済が十分可能かどうか検討しておく必要があります。
・不動産会社による一括借り上げもありますが、2年毎に家賃の見直しがあるなどの場合がありますので、条件をよく調べておくことが大切です。
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【相続税】不動産を買えば相続税の節税になる?
-不動産の相続税評価方法-
評価方法 | 価格水準 | |
土地 | 路線価 | 公示地価の80% |
建物 | 固定資産税評価額 | 建築家価額の50%~70% |
-手持ち資金又は借入で不動産を取得-
(例)手持資金200で、土地100、建物100の不動産を購入
資金 | ⇒ | 購入 | ⇒ | 相続税評価 | ||
200 | 土地 | 100 | 土地 | 80 | ||
建物 | 100 | 建物 | (仮)60 | |||
計200 | 計 | 200 | 計 | 140 |
手持ち資金200保有したまま相続を迎える場合に比べて、資金を不動産に変えたことにより、△60(200-140)圧縮することができました。
-景観は不動産の相続税評価額に含まれない-
不動産の売買価額は、周囲の景観、騒音、駅までの距離、都心へのアクセス、近隣に公園や学校等の有無といった様々な要素が織り込まれて形成されています。しかし、相続税の評価ではこれらの価値を取り出して評価しているわけではありません。例えばタワーマンションのように土地の持分が少なく、上階いけば行くほど売買価額が高くなる不動産は、より相続税の節税効果があるといえます。
ただし、行き過ぎた節税対策は評価額が否認されるリスクを伴うので注意が必要です。
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【相続税】実勢価格、公示価格、基準地価、路線価、固定資産税評価額
実勢価格、公示価格、基準地価、路線価、固定資産税評価額の意義と価格水準をはつぎのとおりです。
名 称 | 意 義 | 価格水準 |
実勢価格 (売買時価) |
一般に売買されている価格 「時価」といえば、通常これを指す http://tochi.mlit.go.jp/tochi-kakaku/ |
100~125 |
公示価格 | 国土交通省の土地鑑定委員会が選定した標準地の毎年1月1日現在の価格 民間の土地取引の際に目安とされ、鑑定評価や公共用地の取得価格などの参考にされる http://tochi.mlit.go.jp/tochi-kakaku/ |
100 |
基準地価 | 都道府県知事が選定した基準地の毎年7月1日現在の価格公示価格と同様の目的に利用される http://tochi.mlit.go.jp/tochi-kakaku/ |
100 |
路線価 | 国税庁が路線ごとに評定する毎年1月1日現在の価格続税と贈与税の課税基準となる http://www.rosenka.nta.go.jp/ |
80 |
固定資産税 評価額 |
市町村(東京23区は都税事務所)が土地ごとに評定する毎年1月1日現在の評価額 固定資産税、都市計画税、登録免許税、不動産取得税の課税基準となる <東京都23区http://www.tax.metro.tokyo.jp/map/ |
70 |
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