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【所得税・相続税】暗号資産(仮想通貨)の低額譲渡と相続税・贈与税
所得税では暗号資産の譲渡は、不動産や有価証券等の譲渡とは異なり、棚卸資産に準ずる資産として扱われます。(所令87)
この暗号資産については、国税庁のHPに「暗号資産に関する税務上の取り扱いについて(情報)」として公表されています。
以下、説明がやや煩雑になるので個人間の税務の取り扱いとします。
7. 時価よりも著しく低い価額による譲渡があった場合(情報16)
<譲渡をした人>
■暗号資産を著しく低い価額(注)で譲渡した場合には、その対価の額だけでなく、その対価の額と譲渡の時における時価(注)との差額のうち実質的に贈与したと認められる金額も雑所得等の総収入金額に算入する必要があります。(所法40①二、所令87)
(注)著しく低い価額での譲渡とは、時価の70%未満か否かで判定すればよいことになっています。(所基通40-2)
<譲渡を受けた人>
■暗号資産を取得した人がその後譲渡する場合の雑所得の計算の基礎となる取得価額は、その支払った対価の額と贈与とされた金額の合計額になります。(所法40②)
■暗号資産を購入した時の時価と支払った対価との差額は贈与があったものとして贈与税が課税されます。なお、この場合の贈与税の計算における時価について明文規定がないため時価の70%相当額(所基通40-2)の適用はないものと思われます。
8. 贈与又は遺贈があった場合(情報4,情報16,情報26)
<贈与又は遺贈をした人>
■暗号資産の贈与(注1)又は遺贈(注2)があった場合は、その時における暗号資産の時価を雑所得の総収入金額に算入されます。(所法40①一、所令87)
(注1)相続人に対する死因贈与を除きます。
(注2)包括遺贈及び相続人に対する特定遺贈を除きます。
<贈与又は遺贈を受けた人>
■贈与を受けた場合には、その贈与を受けた時の暗号資産の時価に対して贈与税が課税されます。
■遺贈を受けた場合には、その遺贈に係る相続の時の暗号資産の時価に対して相続税が課税されます。
■上記贈与又は遺贈により暗号資産の取得をした個人が、その後暗号資産を譲渡した場合における雑所得等の計算の基礎となる暗号資産の取得価額は、その贈与又は遺贈の時における暗号資産の時価となります。
9. 相続等があった場合(情報4,情報26)
■被相続人等から暗号資産を相続又は遺贈(死因贈与を含む。)より取得した場合には、相続税が課税されます。
相続税法では、個人が、金銭に見積もることができる経済的価値のある財産を相続若しくは遺贈又は贈与により取得した場合には、相続税又は贈与税の課税対象となることとされています。
■暗号資産を、相続人に対する死因贈与、相続、包括遺贈又は相続人に対する特定遺贈により取得した場合における取得価額は、被相続人の死亡の時に、その被相続人が暗号資産について選択していた方法により評価した金額(被相続人が死亡時に保有する暗号資産の評価額)とされています。
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【所得税】暗号資産(仮想通貨)の計算方法と留意点
仮想通貨といったり暗号資産といったりしますが、その意味するところは同じものです。
なお、令和元年の資金決済法の改正により、暗号資産という名称に統一されたようです。
5. 所得計算方法
-暗号資産計算書-
この暗号資産に係る所得については、原則として雑所得として確定申告が必要となります。
実際の所得計算に当たっては、国税庁のHPに暗号資産の計算書(移動平均法用、総平均法用)がエクセルで公表されていますのでこれを利用すると便利です。
-年間取引報告書-
国税庁が公表している暗号資産計算書は、暗号資産交換業者から交付される「年間取引報告書」から転記します。
この年間取引報告書は、国税庁から各暗号資産交換所に対して確定申告用に作成を依頼したものです。
現在では、大手の暗号資産交換業者(bitFlyer(ビットフライヤー)、GMOコイン、DMMビットコイン、bitbank、などはホームページから年間取引報告書の入手が可能のようです。
なお、大手の中でCoincheck(コインチェック)は、確定申告用の報告書は発行おらず、取引履歴(CSV)から自分で作成しなくてはならないようです。
6. 取引価額がわからない場合
平成 30 年1月1日以後の暗号資産取引については、上記の「年間取引報告書」が大手の暗号資産交換業者から入手できますが、次のような場合などで取引金額が分からない場合があります。
・平成 30 年1月1日前の暗号資産取引
・国外の暗号資産取引業者との取引
・個人間取 など
このような場合は、次の方法等で所得計算をすることになります。
◇暗号資産を購入した際に利用した銀行口座の出金状況や、暗号資産を売却した際に利用した銀行口座の入金状況から、暗号資産の取得価額や売却価額を確認する。
◇暗号資産取引の履歴及び暗号資産交換業者が公表する取引相場を利用して、暗号資産の取得価額や売却価額を確認する。
なお、売却した暗号資産の取得価額については、売却価額の5%相当額とすることも認められています。
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【所得税】暗号資産(仮想通貨)の必要経費と所得計算
3. 暗号資産の必要経費
次に、暗号資産の所得(雑所得)計算における必要経費です。
・暗号資産の売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
・暗号資産に関連してその年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
売上原価については「2. 暗号資産の譲渡原価」をご参照ください。
注意しなければならないのは暗号資産の販売費や一般管理費です。
雑所得である暗号資産の譲渡等の場合は、不動産所得や事業所得と違って次のような限られたものなるでしょう。
・ 暗号資産の売却の際に支払った手数料
・インターネットやスマートフォン等の回線利用料※
・パソコン等の減価償却費等※
※家事上と業務上の両方に関わりがある費用(家事関連費)については、取引の記録に基づいて、業務の遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合に限り、その区分した金額を必要経費に算入することがでるとされています。
4. 所得金額の計算
-(例1)-
・暗号資産の年間の譲渡収入金額 11,200,000円
・上記暗号資産の譲渡原価 8,640,000円(総平均法)
・暗号資産の譲渡にかかる必要経費 150,000円
・他雑所得該当する所得はない。
雑所得の金額:11,200,000円 - 8,640,000 - 150,000円 = 2,410,000円
-(例2)-
・暗号資産の年間の譲渡収入金額 8,200,000円
・上記暗号資産の譲渡原価 8,640,000円(総平均法)
・暗号資産の譲渡にかかる必要経費 150,000円
・他に満期保険金の年金にかかる雑所得が1,200,000円がある。
暗号資産に係る所得:8,200,000円 - 8,640,000 - 150,000円 = ▲590,000円
保険金に係る所得:1,200,000円
雑所得の金額:▲590,000円 + 1,200,000円 = 610,000円 ※
※雑所得の損失は他の所得との損益通算はできませんが、上記(例2)のように雑所得内での通算(内部通算)は可能です。
ただし、雑所得であってもFX取引のような申告分離課税となるものは内部通算できないのでご注意ください。
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【所得税】暗号資産(仮想通貨)の譲渡原価
1. 暗号資産の譲渡損益
暗号資産を譲渡した場合の譲渡損益の計算は、つぎになります。
譲渡等の価額 - 譲渡原価の価額 - 必要経費の額 = 譲渡損益の額 |
2. 暗号資産の譲渡原価
譲渡原価の計算は次のように計算します。
①:前年から繰り越した年初(1月1日)時点で保有する暗号資産の評価額
②:その年中に取得した暗号資産の取得価額の総額
③:年末(12 月 31 日)時点で保有する暗号資産の評価額
譲渡原価の額 = ① + ② - ③
譲渡原価の計算において、暗号資産を年中に繰り返し売買した場合の年末に保有する暗号資産の評価額をどのように計算するかが問題になります。
(例)
日付 | 売買 | 数量 | 売買金額 | 残数量 |
年初繰越残高 | - | - | 3,000,000円 | 1BTC |
1/9 | 買 | 1BTC | 5,000,000円 | 2BTC |
4/27 | 売 | 1BTC | 5,800,000円 | 1BTC |
6/8 | 買 | 1BTC | 3,600,000円 | 2BTC |
8/13 | 買 | 2BTC | 10,000,000円 | 4BTC |
12/25 | 売 | 1BTC | 5,400,000円 | 3BTC |
年末保有残高 | - | ? | 3BTC |
暗号資産の年末保有残高の計算方法には、総平均法と移動平均法があります。
初めて暗号資産を取得した年分の確定申告期限(原則:翌年3月 15 日)までに、納税地の所轄税務署長に対し、「所得税の暗号資産の評価方法の届出書」の提出が必要です。
評価方法の届出書の提出がない場合には、総平均法になります。
■ 総平均法の場合
年初時点で保有する暗号資産の評価額とその年中に取得した暗号資産の取得価額との総額との合計額を、これらの暗号資産の総量で除して「年末時点での1単位当たりの取得価額」とする方法です。
受入(千円) | 払出(千円) | 残高(千円) | ||||||||
数量 | 単価 | 金額 | 数量 | 単価 | 金額 | 数量 | 単価 | 金額 | ||
年初 | - | 1BTC | 3,000 | 3,000 | ||||||
1/9 | 買 | 1BTC | 5,000 | 5,000 | ||||||
4/27 | 売 | 1BTC | ||||||||
6/8 | 買 | 1BTC | 3,600 | 3,600 | ||||||
8/13 | 買 | 2BTC | 5,000 | 10,000 | ||||||
12/25 | 売 | 1BTC | ||||||||
年末 | 計 | 5BTC | 4,320 | 21,600 | 2BTC | 3BTC | 4,320 | 12,960 |
譲渡原価の額:8,640,000円(①年初残高3,000,000円 + ②年中購入金額18,600,000円 - ③年末残高12,960,000円)
■ 移動平均法
暗号資産を取得する都度、その取得時点において保有している暗号資産の簿価の総額をその時点で保有している暗号資産の数量で除して計算した価額を「取得時点の平均単価」とし、その年12月31日から最も近い日において算出された「取得時点の平均単価」を「年末時点での1単位当たりの取得価額」とする方法です。
受入(千円) | 払出(千円) | 残高(千円) | ||||||||
数量 | 単価 | 金額 | 数量 | 単価 | 金額 | 数量 | 単価 | 金額 | ||
年初 | - | 1BTC | 3,000 | 3,000 | 1BTC | 3,000 | 3,000 | |||
1/9 | 買 | 1BTC | 5,000 | 5,000 | 2BTC | 4,000 | 8,000 | |||
4/27 | 売 | 1BTC | 4,000 | 4,000 | 1BTC | 4,000 | 4,000 | |||
6/8 | 買 | 1BTC | 3,600 | 3,600 | 2BTC | 3,800 | 7,600 | |||
8/13 | 買 | 2BTC | 5,000 | 10,000 | 4BTC | 4,400 | 17,600 | |||
12/25 | 売 | 1BTC | 4,400 | 4,400 | 3BTC | 4,400 | 13,200 | |||
年末 | 計 | 3BTC | 4,400 | 13,200 |
譲渡原価の額:8,400,000円(①年初残高3,000,000円 + ②年中購入金額18,600,000円 - ③年末残高13,200,000円)
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【所得税】暗号資産(仮想通貨)の所得区分と収入金額
<暗号資産の所得区分>
暗号資産取引で利益が生じた場合、所得税法上は原則として雑所得となります。
暗号資産取引の収入で生計を立てているなら事業所得といえるかもしれませんが、ほとんどの場合は雑所得だろうと思います。
雑所得だと暗号資産の取引により損失が生じた場合は、給与所得や事業所得等の所得と通算(損益通算)することはできません。ただし、雑所得の中で他の雑所得と通算(内部通算)することはできます。
<取得の計算方法>
1. 収入金額
雑所得の収入金額に計上されるのは次のような場合です。
■暗号資産を譲渡した場合 | 譲渡代金が収入金額です。原則として譲渡により暗号資産の引き渡しがあった年の収入金額になります。 |
■支払手段に充てた場合 | 支払手段に充てた金額が収入金額になります。 |
■他の暗号資産と交換した場合 | 交換時の交換レート(時価)に基づき計算した金額が収入金額になります。 |
■マイニングにより受け取った場合 | マイニングにより取得した時点の取引相場(時価)が収入金額になります。 |
■無償・低額譲渡した場合 | 無償・低額譲渡した時の取引相場(時価)の70%(注)相当額になります。 |
■分岐により取得した場合 | 分岐した時点において取引相場がないので課税の対象とはなりません。 |
(注)時価の70%相当というのは、所得税法における「たな卸資産の贈与等の場合の総収入金額算入」の取り扱いを準用したものと思われます(所基通40-2,40-3)
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【所得税】商品代金を暗号資産(仮想通貨)で支払った場合の所得計算
ビットコイン(BTC)に代表される暗号資産(仮想通貨)は、一般的には販売所や取引所※で購入します。この他にも取引所を通さないで個人間で取引をする方法やマイニングに参加して報酬としてビットコイン(BTC)などの暗号資産を入手する方法があります。
※販売所では、投資家が次のような仮想通貨取引所を相手に仮想通貨を購入(売却)します。一方、取引所では投資家同士が売買注文を使って仮想通貨を取引します。
・Coincheck(コインチェック)
・bitFlyer(ビットフライヤー)
・GMOコイン、など
暗号資産はボラティリティ(値動きの幅)が大きいことから投資目的で購入されることが多いようです。また、それほど多くはありませんが買い物の支払手段としても利用することができますし、給料の支払手段として利用することもできます。
ただし、給料については労働基準法で「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。(労基法24①」とされているため、労働協約で別段の定めが必要となります。
給与の一部として暗号資産が支給された場合は、支払われた金銭の額とその支給された時の暗号資産の時価との合計額について給与の源泉徴収がなされます。
ところで、1万円はいつであっても1万円ですが、暗号資産は値動きが激しく、その取得した時と暗号資産を利用したり譲渡した時とでは価格が異なることが通常です。その際に所得(又は損失)が発生してしましいます。
例えば、某電器店で30万円のテレビを購入し、その支払をビットコイン(BTC)で支払ったとします。そのビットコイン(BTC)の取得時と利用時の価格は次とします。
取得時の1BTC価格 | 1,000,000円 |
支払時の1BTC価格 | 6,000,000円 |
利用したBTC | 0.05BTC (300,000円÷6,000,000円=0.05) |
(所得計算)
テレビ代金(BTCの譲渡価額) 譲渡原価 所得金額
300,000円 - 1,000,000円☓0.05 = 250,000円
この場合の所得は雑所得となり、所得税課税の対象になります。
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【相続税】相続登記の義務化
所有者不明土地がどのくらいあるかというと、最後の登記から50年以上経過している土地の割合が、大都市で約6.6% 、中小都市・中山間地域で約26.6%、
また、不動産登記簿のみでは所有者の所在が確認できない土地の割合が 約20.1%もあるそうです。👈法制審議会第183回会議配布資料より
その結果、公共事業の用地買収、災害の復旧・復興事業の実施や民間の土地取引の際に、所有者の探索に多大な時間と費用を要するなど、
国民経済にも著しい損失を生じさせています。
「所有者不明土地」対策のための民法、不動産登記法などの改正案が国会で4月21日に成立しました。
改正のポイントは次です。
①所有者の氏名・住所変更登記の義務化 | 所有者の氏名や住所が変わった場合、その変わった日から2年以内の変更登記の申請が義務化されました。違反者には5万円以下の過料が科されます。 |
②相続登記の義務化 | 相続があった場合、取得を知った日から3年以内の相続登記の申請が義務化されました。違反者には10万円以下の過料が科されます。 |
③相続人申告登記制度の創設 | 遺産分割でもめるなどして期限に間に合わない場合に、法務局において、自分が登記名義人の法定相続人である旨を申告することによって、相続登記の義務を履行をしたものとみなす制度 です。 ただし、持分等は登記されない報告的な登記なので、遺産分割が確定したら、遺産分割の日から3年以内に改めて相続登記をしなければなりません。 |
④相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属制度の創設 | 相続等により土地を取得した者がその所有権を放棄して、その土地を国庫へ帰属させることを可能とする制度です。
ただし、次のような土地は対象外となります。 また、審査手数料のほか、10年分の土地の管理費を納めなければなりません。 (参考) 柵を設け、看板を設置し、草刈・巡回費用として、200㎡の宅地の管理費用(10年分)は約80万円程度かかるとする例(👈法務省HP)が掲げられています。 |
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【相続税・贈与税】今が自社株贈与のチャンスかも
昨年来のコロナ禍の影響を受けて、多くの業種で業績が悪化しています。
今年に入ってからも3回目の緊急事態宣言が出されました。現時点では東京都、京都府、大阪府、兵庫県、愛知県、福岡県が対象となっています。また、まん延防止等重点措置も、埼玉県、千葉県、神奈川県など9県で出されています。
今のところ、コロナの急速な収束の見込みがなく、コロナワクチンの接種が進み、うまく集団免疫が獲得できることが唯一の希望でしょうか。
ところで、コロナ禍ではありますが、今が自社株(=取引相場のない株式)を後継者に贈与するチャンスかも知れません。
業績が悪化しているということは、自社株の評価額が下がっている、あるいは下がる可能性があるということです。
贈与などの場合の自社株の評価については、国税庁長官が定める財産評価基本通達に基づいて評価します。
自社株を支配株主が有する場合には、類似業種比準価額と純資産価額の二つの評価方法で計算します。さらにこの二つの価額を基に、会社の規模に応じて次の計算をします。
類似業種比準価額×L※+1株当たりの純資産価額×(1-L) |
※Lの割合は会社の規模(総資産価額、従業員数、取引金額)に応じて定められています。詳しくは国税庁HPをご参照ください。
このうち純資産価額の方は、多少赤字が出ても価額が大きく変わることはありません。
もう一方の類似業種比準価額ですが、こちらは評価しようとする会社の一株あたりの配当、利益、純資産の3要素と、国税庁が公表する業種ごとのこれら3要素(値類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等)とを比較して計算します。
したがって、配当や利益が小さくなればなるほど類似業種比準価額は低くなります。
ただし、この3要素のうち2要素がゼロにならないように注意する必要があります。もし、2要素がゼロになると、そのような会社は類似業種比準価額の適用が妥当でないとして、逆に株価が高くなってしまいます。
コロナ禍で前期が赤字だった、今期も厳しそうだという場合は、顧問税理士に依頼して株価を計算してもらってみてはいかがでしょうか。
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【所得税】共有家屋と共有敷地を譲渡した場合
コロナ禍の前から地方都市の駅前商店街はシャッターが下りている店舗が少なくありませんでした。かつては地方都市の交通の要は鉄道でしたから駅前はそれなりに賑わっていました。経済発展とともに車社会になり、また大店法の影響で郊外に大型スーパーができるとともに徐々に駅前商店街は衰退していきました。
それに追い打ちをかけたのが昨年からのコロナ禍です。
「黒字でも休廃業」6割 コロナで消える老舗
企業の廃業や休業が目立ち始めている。政府の緊急事態宣言や外出自粛の長期化で、事業の継続をあきらめた経営者が増えている。廃業を検討する事業者も多く、雇用や地域経済への影響に懸念が高まる。新型コロナウイルス禍から1年。廃業の実態と課題に迫った。(2021/4/5 日経)
駅前店舗では2代目、3代目というのも少なくなく、相続で土地・建物は兄弟共有、1階が店舗、2階・3階が住居というようなケースが見受けられます
通常住宅を譲渡した場合、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の適用がありますが、このような建物の利用形態場合はどうなるでしょうか。
居住用財産とは、自分が住んでいる家屋やその敷地地や借地権をいいます。したがって、所得税法の適用において居住用以外の用途(店舗や貸家等)の供している部分は特例の対象とはなりません。
ただし、店舗等部分の割合が低い家屋として居住の用に使っていた部分が全体の90%以上であるときは、全体を居住の用に使っていたものとしてこの特例を受けることができます。
(具体例)
甲と乙は、3階建ての家屋とその敷地を共有しています。各々の持ち分は2分の1ずつです。家屋の1階は店舗として第三者に貸し付けています。2階部分には甲が、3階部分には乙が居住しています。なお、各階の床面積はすべて同じとします。
①甲・乙の居住専用割合・・・各1/3
②甲・乙の共有割合・・・各1/2
① < ② なので 建物及びその敷地のうち、全体の1/3※が特例の対象となります。(国税庁HPより👈クリック)
※甲・乙それぞれの持ち分3/6のうち2/6(=1/3)が居住用、1/6が貸店舗用ということです。
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【相続税】一時相続・二次相続の有利不利(その2)
一次相続(父)と二次相続(母)における財産の分割の仕方によって税負担が変わってきますが、その具体例を検討してみたと思います。
- 前提 -
家族構成:父、母、兄、弟の4人家族
相続財産:1億5千万円
(注)一次相続(父)、二次相続(母)において財産の価額は変わらないものとします。また、小規模宅地等の特例は考慮しないものとします。
[パターンⅠ]
遺産分割の方法 | 相続税額 | コメント | |
一次相続 | 母が相続財産のすべてを相続 | 0円 | 配偶者は1億6千万円まで相続税が課税されない。(配偶者の税額の軽減) |
二次相続 | 兄弟が法定相続分で相続 | 1,840万円 | 相続人が2人なので基礎控除は42百万円となる。 |
Total税負担 | 1,840万円 |
[パターンⅡ]
遺産分割の方法 | 相続税額 | コメント | |
一次相続 | 母は相続せず、兄弟が全額2分の1ずつ相続 | 1,495万円 | ・相続人が3人なので基礎控除は48百万円となる。 ・法定相続分課税方式※なので低い相続税率が適用される。 |
二次相続 | 母は一次相続で相続しなかったのでなし | 0円 | |
Total税負担 | 1,495万円 |
※現行の相続税法は、相続人が法定相続分で遺産を取得したと仮定して相続税の総額を算出する遺産取得者課税方式を採用しています。
[パターンⅢ]
遺産分割の方法 | 相続税額 | コメント | |
一次相続 | 法定相続分(母1/2、兄弟各1/2ずつ)で相続 | 747.5万円 | ・配偶者は1億6千万円まで相続税が課税されない。(配偶者の税額の軽減) ・相続人が3人なので基礎控除は48百万円となる。 |
二次相続 | 母が相続した財産を法定相続分(兄弟各1/2ずつ)で相続 | 395.0万円 | 相続人が2人なので基礎控除は42百万円となる。 |
Total税負担 | 1,142.5万円 |
[検討]
・[パターンⅠ]と[パターンⅡ]では、一次相続と二次相続で法定相続人の数が異なるため基礎控除額分だけ課税遺産総額が異なり、Total税負担額に差が出ています。
・[パターンⅢ]がもっともTotal税負担額が小さくなっていますが、これは兄弟が一次相続、二次相続共に基礎控除額を有効に使えているためだと思われます。
相続税の負担の軽減も大切ですが、併せて考えてなければならないことがあります。
それは、一次相続で父が亡くなった後の母親の老後の生活です。
特に親が認知症になった場合、認知症になった母は次のような法律行為ができなくなります。
・預金口座の解約、引出し
・不動産の売買、賃貸契約
・遺言書の作成
・生前贈与
・介護施設の入所契約 等。
例えば母が自宅を相続し、将来介護が必要になったら自宅を売却して介護施設に入ろうとしても、その時に認知症になっていると売買契約そのものができない恐れがあります。
父の一次相続の遺産分割にあたっては、このような事態も想定しておくことが必要です。
∞∞ 吉岡 ∞∞

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