会社は決算・申告業務をしなければなりません
会社とは、会社法で定められていて、株式会社、合名会社、合資会社及び合同会社のことを会社といいます。
種類が四つもありますが、その95%以上が株式会社です。
会社は会社法で、正確な会計帳簿を作成しなければならないとされています。
さらに、その会計帳簿に基づき、貸借対照表や損益計算書などの計算書類を作成するとされています。
また、会社は法人税法において法人税の納税義務者となっていますので、法人税等の申告・納税をしなければなりません。
決算業務
月次決算
月次決算は会社法などの法律上の要請ではなく、会社の経営管理を目的として行われます。
したがって、減価償却費の計上、在庫の計上、未払費用や前払費用の計上、各種引当金の計上などは金額の重要度に応じて会社独自に決めます。
また、月次決算のフォームも業種、会社の規模、報告対象者などに応じて自由に決めることができます。
諸々の事情から請求書や領収書などを会計事務所などに渡して会計帳簿等の作成(いわゆる記帳代行)を依頼しているケースがあります。
このような場合も、月次決算の結果を通じて、業績の進捗状況を確認するために、できれば月次決算を行うことをおすすめします。
年次決算業務
月次決算を12回繰り返せば年次決算になりますが、年次決算特有のものとして決算整理事項があります。
主なものはつぎのとおりです。
- 月次決算をおこなっている場合、月次決算で計上した任意の各種引当金等の取り消し
- 前払費用、未払費用、未収入金、前受金などの計上
- 商品、製品等の在庫の棚卸し
- 売掛金・受取手形などの貸倒引当金の設定
- 賞与引当金、退職給付引当金の設定
- 固定資産の減価償却費の計上
- 繰延資産償却の計上
- 法人税等の計上、などなど
申告業務
株式会社などの法人は、法人税、住民税及び事業税の申告書を、自ら作成して所轄税務署、都道府県や市町村に提出しなければなりません。
また、消費税の前々年の課税売上高が1,000万円以上あるなど一定の場合は、消費税の申告も必要になります。
法人税の計算は、会社法に基づいて作成した会計帳簿(貸借対照表や損益計算書など)の当期純利益から一定の調整(申告調整)をして法人税においける所得金額を計算します。
これに法人税率を乗じて法人税額が算定されます。
申告調整事項の主なものはつぎのとおりです。
必須の申告調整事項
- 法人税の損金不算入
- 前期分および中間申告分事業税の損金算入
- 減価償却費の償却超過額の損金不算入
- 引当金の繰入限度超過額の損金不算入
- 役員賞与の損金不算入
- 交際費の損金不算入
- 寄付金の損金不算入
- 繰越欠損金の損金算入、など
任意の申告調整事項
- 受取配当金の益金不算入
- 所得税額の控除、など
専門家に依頼することも可能です
多くの会社では事務量が、経理要員を専属的に配置するまでもないのが実態です。
仮に配置しても退職すれば新たに一から日常の記帳から決算・申告まで覚えてもらわなければなりません。
あるいは、人材は積極的に営業や開発に投入し、事務は極力アウトソーシングを考えている会社もあります。
このような場合、会計事務所などの専門家に一定の経理事務を依頼することが考えられます。
会計事務所では一般につぎのような業務を引き受けています。
記帳代行
記帳代行とは、原始証憑(請求書や領収書など、記帳のための基礎資料)からの記帳を代行して行うサービスです。
なお、金銭の出納、預金の出し入れ、手形の受け取り・発行などの事務は、一般には引き受けられていません。
会計帳簿の作成
日々の正確な記帳により、正確な会計帳簿の作成が可能となります。
会計帳簿とは、仕訳帳や総勘定元帳などをいい、貸借対照表や損益計算書を作成するための基礎になります。
当然、所得税や法人税もこの会計帳簿を基に税金の計算を行います。
会計指導
正確な会計帳簿を作成するためには、税務の知識だけでなく会計の知識が必要です。
大企業と中小企業の会計処理方法や表示方法の違い、会計と税務の処理方法の違い、個人と法人の処理方法の違いなど、それぞれの事業者に応じた適切な会計指導を受けることができます。
財務分析・財務相談
事業を継続していくためには、会社の現状を把握し、会社の強みや弱み把握しておく必要があります。
そのための手法として、財務分析があります。
財務分析とは、借対照表や損益計算書などの計算書類に記載される金額を利用してそれぞれ安全性・収益性・成長性などを客観的に分析する手法です。
税務申告
会社などの法人は、借対照表や損益計算書などの計算書類を基に、通常は年に1回、1年間の法人税法上の所得金額を計算し、税務署に確定申告書を提出します。
法人税は納税者が自ら税額を計算して申告するため、申告納税方式と呼ばれています。
事業者自らが、申告納税をするためには、会計や税務の知識が不可欠となりますが、税務は毎年改正があるため、その知識を得てかつ維持し続けることは、膨大な労力が必要となります。
税務調査立会い
税務調査には、強制調査と任意調査があります。
強制調査は脱税の疑われる納税者に対して、国税局査察部が裁判所の令状を得て強制的に行う調査で、いわゆる「マルサ」で知られています。
ほとんどの税務調査は後者の任意調査です。
任意調査では、原則として、納税者に対し調査の開始日時・開始場所・調査対象税目・調査対象期間などを事前に通知されます。
その際、税務代理を委任された税理士に対しても同様に通知がなされます。
※税務代理とは、納税者の申告等や税務調査等に関して、税務署等に対して主張若しくは陳述を納税者に変わって代理・代行することをいいます。
税務代理は、税理士以外のものがおこなうことはできません。
税理士にとって税務調査は通常業務ですので、ほとんどの税理士は多くの経験を有しています。
ただ、税務調査での指摘事項に対するスタンスは税理士事務所の方針によりかなり開きがあります。
会社の方針にあった税理士事務所を選ぶことが大切です。