土地等の上に1棟の建物がある場合で、その用途が事業用、居住用、同族会社事業用、賃貸事業用のいくつかと混在する場合があります。
例えば、被相続人が土地とその上に1棟の建物を所有していた場合で、建物の1階は同族会社事業用、2階は賃貸事業用として使用していたとします。
この場合は、所定の要件のもと前者は特定同族会社事業用宅地等(400㎡まで80%減額)、後者は貸付事業用宅地等(200㎡まで50%減額)となります。
土地・建物の相続人が1人なら次のとおり、減額割合が大きい特定同族会社事業用宅地等から適用し、残った面積を貸付事業用宅地等を適用することになります。
(例)
敷地400㎡・相続税評価40,000,000円、建物1階300㎡・2階300㎡、乙は同族会社A社の株式を60%保有している役員とします。
この建物の1階はA社(日用品雑貨小売業)の店舗として貸し付け、2階は甲とは資本関係のないB社に貸し付けているとします。
この場合の小規模宅地等の有利な選択は次のとおりです。
敷地400㎡×1/2=200㎡(1階部分) | 特定同族会社事業用宅地等 | 200㎡※ |
敷地400㎡×1/2=200㎡(2階部分) | 貸付事業用宅地等 | 100㎡※ |
※特定同族会社事業用宅地等200㎡ + 貸付事業用宅地等100㎡×2 ≦ 400㎡ ∴OK
⬅ 国税庁HP 👈限度面積参照
この土地・建物を兄(乙)・弟(丙)の二人が2分の1ずつ共有で相続した場合はどうなるでしょうか。なお、弟(丙)はA社の役員ではないとします。
仮に、兄(乙)が1階部分、弟(丙)が2階部分を相続したと考えることができるのなら、上記と同じく200㎡までが特定同族会社事業用宅地等80%減額でき、限度面積の残り100㎡が貸付事業用宅地等として50%減額となるのですが、残念ながらそのようには取り扱われません。
この場合共有なので、1階部分、2階部分それぞれを兄(乙)・弟(丙)が2分の1ずつ相続すると考えます。(国税庁HP 👈左記にこの事例がありますのでご参照くだだい。)
その結果、小規模宅地等の有利な選択は次のようになります。
敷地400㎡×1/2=200㎡ (1階部分) |
乙相続200㎡×1/2=100㎡ | 特定同族会社事業用宅地等 |
丙相続200㎡×1/2=100㎡ | 貸付事業用宅地等 | |
敷地400㎡×1/2=200㎡ (2階部分) |
乙相続200㎡×1/2=100㎡ | 貸付事業用宅地等 |
丙相続200㎡×1/2=100㎡ | 貸付事業用宅地等 |
※特定同族会社事業用宅地等100㎡ + 貸付事業用宅地等150㎡×2 ≦ 400㎡ ∴OK
⬅ 国税庁HP 👈限度面積参照
∞∞ 吉岡 ∞∞