「自国通貨建てで国債を発行できる国は財政赤字を心配せずに歳出を拡大できる」。1年ほど前、世界で論争が起きたMMT(現代貨幣理論)。主唱者の一人の米学者ステファニー・ケルトン氏は、昨年の来日時に「日本では財政赤字が自動的な金利上昇につながらず量的緩和も機能している」と述べ、すでにMMTを実践していると指摘した。当時、中央銀行や主流派学者は猛反発したが、コロナ禍を前に、今や先進国の多くが日本の後を追っている。
(2020/08/03 日経)
今回のコロナ禍にあたっては、10万円を一律給付する特別定額給付金が12.8兆円、Go Toキャンペーン事業が1.6兆円、家賃支援給付金2.0 兆円・・・、過去3度のコロナ対策と合わせた真水は計 61.6 兆円程度(第一生命経済研究所)とされています。
「コロナ禍にあたって各国は巨額の財政支出を迫られた。日本も66兆円の国債を増発した・・・(上記日経)」とのことです。
国債はいったん市中で消化された後、日銀が大量に購入しているそうです。その購入代金は、日銀が印刷する紙幣です。
これを複式簿記的な表現をすれば、国は国債を発行してお金を手に入れます。
日銀はその国債を市中から買い入れます。
結果として国は日銀からお金を借り入れ、日銀は国にお金を貸したことになります。
国債の買い入れ代金は日銀の負債側には「発行銀行券」として計上されますが、日銀がかかったのは紙代とインク代だけです。
財政規律など考えずそれが無制限に膨らんでもよいとするのがMMT(現代貨幣理論)なのではないでしょうか。
つまり国民が国家をの信頼する限り、諸外国がその国を信頼する限り、いくら財政支出しても問題ないということのようです。
逆に言えば、国民や諸外国がその国の通貨を信用しなくなればハイパー・インフレになり国が破綻します。
そうすると、やはり通貨の発行にあたっては、国が赤字でも国民には潤沢な預貯金がある、国民が勤勉である、技術力が優れている、豊かな観光資源がある、など国に何らかの裏付けがなければならないのだろうと思います。
国が多額の債務をおったままでは、国が国債を発行できる余力はそれだけ小さくなっているわけですから、今回のコロナ禍で膨れ上がった債務はやはり将来に渡って返済して行かなければならないものだと思います。
∞∞ 吉岡 ∞∞