創業社長の子供が長男と次男の2人、早めに後継者を決めておかないと将来後継者争いになりかねない。そこで、生前に後継者を長男にして社長を継がせ、併せて自社株式の贈与も行なった。多額の贈与税が発生したが事業承継税制を使って納税猶予を受けることにより当面の税金の問題は回避した。
この事案で将来創業社長に相続が発生した場合、次男が遺留分を主張したらどうなるでしょう?
話を簡単にするために相続人は長男と次男の2人だとします。次男の法定相続分は2分の1ですから遺留分はその半分の4分の1になります。
せっかく長男に自社株式を集中させたのに、次男が遺留分を侵害されたとして財産の返還請求すると、自社株式の一部が次男に行ってしまう可能性があります。
このような問題に対処するために、経営承継円滑化法では、「遺留分に関する民法の特例」(「民法特例」)という手続きを定めています。
民法特例にはつぎの二つがあります。
■除外合意・・・現経営者から後継者に贈与等された自社株式について、遺留分算定基礎財産から除外する合意です。
後継者が生前に贈与等によって取得した自社株式について、他の相続人は遺留分の主張ができなくなるので、相続に伴って自社株式が分散するのを防止できます。
■固定合意・・・遺留分算定基礎財産に算入する価額を合意時の時価(※)に固定をする合意です。
後継者は、自分の努力で自社株式の価額を上昇させてもその上昇分は遺留分の額に影響させないことができます。
(※)固定する合意時の時価は、税理士、 公認会計士、弁護士等による証明が必要です。
この民法特例を利用するためには、現経営者の推定相続人全員及び後継者で合意をし、合意書を作成することが必要です。
後継者は、合意をした日から1ヶ月以内に「遺留分に関する民法の特例に係る確認申請書」に必要書類を添付して経済産業大臣に申請します。
さらに、その確認後1ヵ月以内に家庭裁判所に許可の申立てを行い、この家庭裁判所の許可を受けて、その効力を認められることになります。
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