住宅を購入する際に加入するのが団体信用生命保険(以下、団信)です。個人が契約する生命保険は保険料を保険会社に支払いますが、団信の場合は住宅ローンの返済額に上乗せされます。
ローンの返済期間中に万一死亡等の保険事故が発生した場合は、保険金が遺族に支払われるのではなく、金融機関に直接支払われローンの残債に充てらます。
金融機関と契約する住宅ローンの種類によってによって、強制加入のものと任意加入のものがあります。
また、保険金の保障内容も、死亡時・高度障害保障、三大疾病保障( がん・急性心筋梗塞・脳卒中)、七大疾病保障(三大疾病に糖尿病、高血圧疾患、肝疾患、腎疾患保障を加えたもの)があります。
さて、これらの保険事故が不幸にして発生してしまった場合ですが、所得税や相続税の課税関係はどうなるでしょうか。
結論から申し上げれば、所得税、相続税、いずれの税も課税されない取り扱いになっています。
疾病により保険金が金融機関に支払われた場合、金融機関からローンの残債が免除されたます。この場合は、その経済的利益は身体の傷害に起因して受けるものなので所得税法上の非課税の規定が適用されます(所得税法1項一七号)。
また、死亡の場合ですが、保険金を受け取るのは金融機関で、保険金は住宅ローンの残債に充てられます。したがって、その時点で住宅ローンは免除されますので、住宅ローンの残債はその相続人に承継されないことになります。
この場合、相続の放棄をする場合を除きその相続人が住宅ローンの残債を引き継ぐべきところ、相続人は免除されたわけですから所得税課税の問題が生じるのではないかと思いますが、相続税の個別通達で課税は生じないとされています。
団体信用保険にかかる課税上の取扱いについて(昭和44.1.22付照会に対する回答)
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保険事故が死亡であった場合の賦払償還債務の免除に関しては、相続税の課税上は相続人によって承継される債務がないものとし、被保険者である顧客およびその相続人について所得税の課税関係は生じない。
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∞∞ 吉岡 ∞∞