婚姻期間が20年以上の配偶者に居住用不動産を贈与した場合、贈与税の配偶者控除という特例があります。この特例は、贈与した居住用財産等から基礎控除額110万円の他に2,000万円、合計2,110万円まで控除できる制度です。
この特例は、金銭をの贈与を受けて居住用財産を取得しても、居住用不動産そのものの贈与を受けても適用があります。
一般的には金銭の贈与よりも居住用不動産の贈与の方が有利です。
なぜなら贈与された財産は財産評価基本通達により評価しますが、不動産は土地については路線価で、建物については固定資産税評価額で評価します。
路線価は時価の8割、建物の固定資産税評価額は建築価額の5〜6割と言われていますので、同じ2,000万円であっても、金銭よりも不動産で贈与する方がより多く贈与することができるからです。
ところで、この配偶者に対する贈与税の非課税規定は、居住用の家屋の敷地だけでもかまいません。通常、一戸建ての中古の不動産の売買では、建物が古いと建物には値が付かず土地だけの価額となってしまいます。ならば土地のみ贈与を受けた方が、将来売却した場合にはより売却代金を多く受け取れます。
しかし、これには落とし穴があります。
居住用財産を譲渡した場合で譲渡益が出ても、譲渡益が3,000万円までなら税金がかからない、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除という特例があります。この特例の対象となるのは居住用家屋又は居住用家屋とその敷地となっているため、敷地を譲渡だけでは適用ありません。
居住用財産を将来売る可能性がある場合は、敷地だけでなく土地と建物両方の贈与を受けておいた方がよいでしょう。
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