小規模宅地等の特例は、遺産分割が申告期限(10ヶ月)までに行われていない場合にはこの特例の適用を受けることはできません。
ただし、相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」(国税庁HP👈クリック)を添付して提出しておき、相続税の申告期限から3年以内に分割された場合には、適用を受けることができます。この場合、分割が行われた日の翌日から4か月以内に「更正の請求」を行うことになります。
また、相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日までに訴えが提起されているなどのやむを得ない事情がある場合には、所定の手続き(国税庁HP👈クリック)をすることにより、判決等が確定するまで期限が延長されます。この場合は、その確定したした日の翌日から4か月以内までに「更正の請求」をすることになります。
ところで、小規模宅地等の特例は、対象となり得る宅地等を取得した全ての人の同意がなければ適用を受けることはできません。
では、小規模宅地等の特例の対象となり得る宅地等が複数あって、そのうち一部が未分割だった場合はどうなるでしょうか。
この場合にも、その宅地を相続する可能性が相続人全員にあることから、相続人全員の同意が必要とする下記裁決例があります。
平成21年4月相続開始に係る相続税について遺産が未分割であることにつきやむを得ない事由がある旨の各承認申請の各却下処分・棄却・平成26年6月2日裁決(国税不服審判所HP👈クリック) : 特例対象宅地等を取得した全ての個人とは、特例対象宅地等が未分割であることから共有で取得され、その後、当該特例対象宅地等が分割される際に、本件特例を適用する可能性のある者も含まれると解されるのであるから(・・・)、未分割である特例対象宅地等に該当するf市土地相続分を共有で取得している本件相続人ら全員の同意を証する書類を提出しなければならないこととなる。 : 特例対象宅地等を取得した全ての個人の同意を証する書類の添付が求められている趣旨は、上記・・・のとおり、同一の被相続人に係る相続人等が特例対象宅地等のうち、それぞれ異なる特例対象宅地等を選択して本件特例の適用を受けようとして、相続税の課税価格が確定できない結果となることがないようにすることにある。 : したがって、本件特例の趣旨等から、特例対象宅地等を取得した全ての個人の同意を証する書類の添付がなくとも本件特例の適用が認められるべきであるとする請求人の主張は採用できない |
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