新型コロナウイルスの感染拡大で個人事業の廃止を決めた方もいらっしゃるかと思いますが、必ずしも資金繰りが原因という方だけではないようです。
跡継ぎもいないしそろそろやめようかと思っていたところにコロナ禍、with コロナでこれから先の見通しも立たない、これを期に廃業というケースもあると思います。
日本の多くの駅前商店街はシャッター通り化していますが、今度のコロナ禍はこれに追い打ちをかけるのではないでしょうか。
さて本題ですが、課税事業者が事業を廃止したら消費税がかかる、という話をご存知でしょうか。
「ほんとかよ!」と思われるかもしれませんが、本当です。もっともほとんどのケースでは自動車など家事使用に転用できるものに限られるとおもいますが。
廃業した個人事業主の確定申告を会計検査院がサンプル調査した結果、少なくとも4割近い事業主について消費税の課税漏れがあったとみられることが8日、分かった。検査院は課税の徹底に向けた対策を講じるよう国税庁に改善を求めている。(2019/10/8 日経新聞より)
廃業となると、棚卸資産など売れるものは売却又は廃棄すると思います。もちろん、売れたものには消費税が課税されます。しかし、車両などは売らないでそのまま使用し続けるのことも結構あるのではないでしょうか?
車両購入時には支払った消費税は、消費税の納税額を計算するにあたって原則として控除されています。一方、廃業時に売却すれば消費税がかかりますが、そのまま家事使用すると消費税の課税漏れが生じてしまいます。
このような場合に備えて、消費税法ではあらかじめ条文が手当されていたわけですが、税の執行面で課税漏れがあったため会計検査院から指摘を受けたという次第です。国税庁はこれを受けてタックスアンサーで下記の案内をして注意を促しています。
消費税の課税事業者に該当する個人事業者が事業を廃止した場合、その廃止の日の属する課税期間に係る消費税の申告が必要です。
また、個人事業者が事業を廃止した場合、事業の廃止に伴い事業用資産に該当しなくなった車両等の資産は、事業を廃止した時点で家事のために消費又は使用したものとして、事業として対価を得て当該資産を譲渡したものとみなされ(みなし譲渡)、非課税取引に該当しない限り、消費税の課税対象となります。
この場合、当該事業を廃止した時の当該資産の通常売買される価額(時価)に相当する金額を、当該事業を廃止した日の属する課税期間の課税標準額に含める必要があります。
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